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第1部   総説
第2章  科学技術の一般動向とわが国の現状
2  現代の科学技術に見られる傾向とわが国の現状,
(3)  研究活動の役割の増大


科学のなかに新しい可能性を見出し,これを実際に応用できる形に仕あげ,また生産の場においておきるいろいろの問題の解決をはかるために,専門的に研究に従事する科学技術者がおかれるようになり,組織的にこれを行う場としての研究所が,科学技術を支えるものとして増強されつつある。企業において,研究所はアクセサリでなく,企業の将来を担うものとして,経営上重要な役割を果すべき存在となっており,またさきの総合化の傾向は,研究所を必然的に大組織化しつつあり,優秀な科学技術者を競って集めている。

諸外国においては,研究に投ぜられる人員と経費は年々ぼう大なものとなっているが,米国の場合,毎年の研究費総額は50億ドルを超えており,産業界では研究に従事している人は50万人以上におよんでいる。英国の場合でも13万人が産業界で研究に従事している。個々の企業をみても,進歩の急速な化学,電気等の分野における各国の代表的な会社は,一般に売上高の5%以上を投じて研究に力を入れている。

このように研究は生産や販売とならんで,いまや新しいビジネスの1つの形式となりつつある。このビジネスは研究者の創意と共同活動を必要とするほか,成功するかどうか予測の困難な未知の要素を多分に含むという特殊な性質をもっている。

さらに,このような研究という機能を経営においてどのように取扱ってゆくとかということ,また研究課題をどうやって選びだし,どのように能率的に進めて,すぐれた成果を短期間に収めるかというような,新しい研究管理という問題が提起されている。また政府がどうやって研究を援助し,政府,大学,産業界の間の研究の分担,協力をどのようにしてやってゆくべきかという研究体制の問題が,各国ともに大きな関心事となっている。

わが国の現状は,後にのべるように,産業界の研究投資額は,昭和31年度には年間200億円程度で研究従事者も3万5,000人にすぎず,進歩のはげしい分野でも売上高に対する比率は,化学工業1.1%,電気機械工業1.2%にすぎない。

わが国の技術がとくに新しい分野において決定的に立遅れた原因は,過去における研究活動の規模の差にあると考えられ,わが国の科学技術にとって研究規模の拡大と,これにともなう研究推進方策や研究体制の確立が,当面する最も重大な問題である。


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