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第1部   総説
第2章  科学技術の一般動向とわが国の現状
2  現代の科学技術に見られる傾向とわが国の現状,
(2)  多部門の総合化


最近の科学技術の成果は細分化,専門化された分野だけからうまれるのではなく,多くの専門化された分野の知識の総合によって達成される傾向が顕著になっている。

機械工業の分野では高性能化が進むとともに,合成樹脂などの新しい材料の知識はもちろん,電気とくにエレクトロニクスや新しい精密計測の技術を必要とするし,化学工業の分野でも同様に,機械技術,計測,制御技術をとり入れることが不可欠となってきた。

原子力の開発は核物理学の基礎のうえに,核燃料の探鉱から製錬;原子炉の設計や建設とその材料をつくりだすための電気,機械,冶金の技術;各種の計測,制御のためのエレクトロニクスなどの進歩とその協力がなければ実現不可能である。最近全世界に衝動をあたえた人工衛星が,天文学から空気力学,燃料化学,機体構造および材料,エレクトロニクスなどの総合された技術的進歩の結果であることはあまりにも有名である。

このような傾向は最近の科学技術の進歩との必然的な姿であり,その前進のためには,従来の専門の枠を破った多数分野の専門家の協力とこれを総合する能力,均衡のとれた各分野の発達がとくに必要になってきたことを意味している。

また真空技術の進歩が電子顕微鏡の発達をたすけ,高性能な電子顕微鏡によって物質の分子構造の解明が容易となり,高分子化学の発達をもたらし,新しい材料がうみださきれるというように,科学技術の各分野が波及的,連鎖的に発展するため,その進歩の速度がいちじるしく早められている。

わが国の科学技術には国内で深く根をおろして成長したものが少ないため,関連部門の発達の不均衡がしばしばみられる。これは総合性を要する科学技術を国内で実施する場合の障害となり,また,一方科学技術がそれぞれ外国との結びつきにおいて発達してきたため,個々にすぐれたものがあっても,断片的なものにとどまる例が住々にしてみられる。


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