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第1部   総説
第1章  経済の発展,福祉の向上と科学技術
4  国民の健康と福祉の増進


国民生活の向上には単に物質的なものが望まれるだけでなく,健康な明るい生活の実現こそすべての国民の希望であって,それを達成する鍵をにぎるものは科学技術である。

戦後新しい医薬品の普及によって促進された公衆衛生の徹底,医療技術の向上等は,結核その他伝染病による死亡の減少や,乳児の死亡率の低下などをもたらし,日本人の平均寿命を10年以上のばすという成果を達成した。

しかし,癌,卒中,心臓病などのいわゆる成人病は増加の一途をたどり,国民の死因の上位を占めているが,その診断治療法は技術的に完全には解決されていない。また死亡率こそ激減したが,結核患者は必ずしもこれに応じて減少しておらず,医療予防面でのこれらの問題の解決が強く要請されている。

環境衛生についても,工業の発達にともなう空気汚染,水質汚濁,放射性物質による汚染などの公害関係,じん芥やし尿処理などの清掃関係等の問題は,衛生工学的に解決をはかり,その技術の普及にまつところが多い。また産業の発達にともなうけい肺,放射線障害の職業病への対策も,まず技術面での解決を必要とする。

現在,国民が1年間に支払っている3千億円にのぼる医療費の額からもうかがわれるように,多くの疾病になやむ国民の生活を,健康で明るいものにするために,今後予防を中心とする科学技術にまつべきところがきわめて大きいことが知られよう。


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