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第1部   総説
第1章  経済の発展,福祉の向上と科学技術
3  資源の開発と利用の強化


経済を発展させ,生活を向上させるためには,国内資源の開発と保全が重要であることはいうまでもないが,とくに科学技術の進歩によって資源を総合的・効率的に利用するとともに,すすんで利用資源の範囲を拡大することが重要である。

土地資源

限られた土地で最大の生産をあげ,食糧の自給度を高めるのみでなく,各種の原料を増産することが科学技術の課題として要請される。食糧にしても年間消費量の20%が不足し,これを補うため年額5〜6億ドルを輸入にまたなければならない現状である。

まず,土地の利用については,科学的調査を基礎にして,農業生産,林業生産,工業立地,都市計画等を総合的に考慮し,それぞれの生産が適正に能率に行われる地域とその区分を明らかにする必要がある。

農業では,これまでの土地改良や新農薬の普及,化学肥料の活用,品種の改良普及などによって,ここ数年の豊作が実現したのである。しかし国土の現状から,耕地面積の拡張ということが必ずしも容易でないわが国の事情を考えると,生産を増大するため今後さらに水稲栽培,畑作および畜産,その他の農業技術の改良普及に力を注ぎ,土地の徹底的な高度利用をはからなければならない。

林業では,今後建築用材,パルプ用材,包装用材等として,木材の需要の急激な増加が見込まれている。このために,奥地林の開発を促進するとともに,現在成長量に対して2倍以上の過伐が行われている既開発林についても,森林の育成技術を確立普及して供給量の増加をはかるほか,木材の利用や消費の合理化に関する技術問題の解決も強く望まれている。

図1.4 わが国の輸入品の構成比率

図1.5.国民1人当りの土地利用面積

水資源

無尽蔵であると思われていた水もいまや乏しい資源であり,湯水のごとく,といわれたのは過去のこととなりつつある。水資源は農業用水や発電用だけでなく,上水道,工業用水として利用するとともに,他方,治山・治水の立場を考慮して,総合的かつ効率的に活用すべき段階にきている。そのためには上流から下流にいたるまでの一貫した計画に基いて開発,利用の方策を講じ,水配分の適正化をはからなければならない。

防 災

世界で有数の災害国であるわが国においては,水害による損害額は年平均2,400億円(原形復旧に要する経費),火災については年間約300億円(災害時の評価額)と推定され,そのほか,震災等による損害も非常に大きいので,防災技術の進歩によって災害をできるだけ軽減することが,国民生活と経済発展の基礎を固めるうえに必要である。

鉱物資源

これまで硫酸焼鉱はほとんど利用されていなかったが,脱銅技術の確立によって鉄資源として大いに利用されるようになり,砂鉄も製鉄原料金属チタン原料として役立っている。また流動層焙焼炉の採用によって,処理困難であった銅亜鉛複雑鉱から銅とともに亜鉛の回収が可能となってきたが,今後,製錬過程の廃棄物や低品位鉱等の有効利用について技術的解決をおし進めるべきであろう。さらに,天然ガスの合成化学原料としての利用についても,よりいっそうの推進が期待されている。

エネルギ資源

今後わが国の経済規模の拡大にともなって,エネルギの需要は急激に増大する傾向にあり,経済発展を制約する最大の要素になるおそれがある。昭和31年度の石炭,電力,石油,薪炭等のエネルギ消費量は,石炭換算1億400万トンと推定されているが,昭和50年度の予想需要量はその2.7倍に達し,石油,石炭等の輸入が急増するものと予想されている。したがって,安価で安定したエネルギの供給を確保すること,とくに国内自給度を高めることが緊急の問題となっている。このためには,出炭能率の向上,低品位炭の利用,水力の開発,送配電の能率化等を促進しなければならない。またエネルギ使用の合理化,使用効率の向上ならびにエネルギ消費量の少い生産方式によるための技術の開発普及を行う必要がある。

さらに,エネルギ供給における今後の重要な技術の問題は,原子力発電の実用化である。原子力発電は早晩これまでの火力発電に相当する原価で,電力を供給しうるにいたるものとみられるので,わが国としてこの事態に対応する技術的準備を速やかに確立しておかなければならない。なお,新しいエネルギとして,太陽熱などの利用方法の研究を今後進めるべきであろう。


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