萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和3年6月15日)

令和3年6月15日(火曜日)
教育、スポーツ、文化、その他

キーワード

海外留学予定者へのワクチン接種支援、大学間交流協定等に基づく海外留学支援、新型コロナワクチンの大学拠点接種、運動会のオンライン配信に係る音楽著作権の取扱い

萩生田光一文部科学大臣記者会見映像版

令和3年6月15日(火曜日)に行われた、萩生田光一文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

令和3年6月15日萩生田光一文部科学大臣記者会見

令和3年6月15日萩生田光一文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

萩生田光一文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 おはようございます。
 冒頭、私から2件ございます。今般、文部科学省において、留学先でワクチン接種が必要とされている海外留学予定者に対して、大学拠点接種の中で接種を受けられるよう支援する仕組みを作りました。これは、渡航が夏に迫っている中、ワクチン接種を理由に留学を断念し、人生における貴重なチャンスを失うことのないようにとの配慮から始めるものです。支援の仕組みにつきましては、まず、大学に籍のない方、すなわち卒業後に留学を予定されている方が学位取得目的で留学する場合、文部科学省に申請をしていただき、文部科学省から接種に協力いただける大学等をご紹介した上で、申請者が大学等の会場に直接予約し接種を受けていただくことになります。また、この後ご説明する大学間交流協定に基づく留学の場合は、まずは、学生から所属の大学へご相談をいただければと思います。いずれの場合においても、接種完了後には、留学先の大学に提示していただけるよう、英語のワクチン接種記録保有証明を、要望に基づいて文部科学大臣名で特別に発行したいと思います。現時点でご協力いただける大学数は全国で24大学26会場となっており、今後も追加される可能性がございます。申請に当たっての詳細な情報は、本日午後に文部科学省のホームページに掲載予定であり、掲載次第、申請受付を始めたいと思います。社会の発展をけん引しグローバルに活躍する人材の育成のために、海外留学を後押ししていくことは大変重要です。文科省としては、海外留学に意欲ある学生が安心して留学できるように努めてまいりたいと思います。
 もう1点、関連もするのですけれど、日本人の海外留学については、外務省が発出する感染症危険情報レベル3の国・地域への留学は取り止めるとともに、レベル2の国・地域への留学も、留学の是非又はその延期について改めて検討するよう要請してきました。昨年11月以降、海外大学での学位取得を目指す留学については、渡航の遅れによる学修等への影響が大きいため、学生が渡航先の防疫措置を確認していることなどを条件として日本学生支援機構の奨学金による支援を再開したところですが、学位取得を目的としない留学については、依然多くの学生が留学できていない状態が続いています。こうした中、国内外において感染症への対応策の蓄積やワクチン接種が進捗しつつあることに加え、世界各国が留学生の受入れや派遣を進める中で、多くの日本人学生が留学できていない状態となっていることなどを踏まえ、大学間交流協定等に基づく1年間、実際の派遣期間は9か月以上ということになりますが、の海外留学プログラムについて、JASSOの奨学金による支援を再開することとしました。具体的には、8月以降の渡航から奨学金の支給が可能となるよう、本日、文部科学省から各大学等に通知するとともに、日本学生支援機構から必要な事務手続について各大学等に通知をする予定です。学生の渡航に当たっては、各大学等には、渡航先の感染状況や感染防止策の状況、感染した場合の現地の医療体制の確認や、感染した場合に十分に対応できる保険の加入など、学生の安全確保に万全を期していただくようにお願いしたいと思います。なお、1年未満の留学についても、国内外における感染状況やワクチン接種の進捗、帰国時の入国者数制限状況等を注視しながら、段階的な支援再開を検討してまいりたいと思います。私からは以上です。

記者)
 大学・企業によるワクチン接種では、既に一部の企業で接種が始まっていて、今後の関心も非常に高まっているかと思うんですが、現状で、大学からの接種の文科省への相談件数・申請件数、それから、21日スタートもしくはそれ以前に前倒しでスタートする大学の数の見通しというのは今のところいかがでしょうか。あと、また、大臣は、11日の記者会見で大学が地域の核として地域貢献をする接種会場になることを前提に許可したいというお考えを示されているかと思うんですが、これは、そもそも文科大臣の許可が必要なのか、それから申請があっても許可されないケースというのは出てくる可能性があるのか、その辺のお考えをお聞かせください。

大臣)
 まず、新型コロナワクチンの大学拠点接種については、昨日の12時までに、文部科学省に対して161大学から相談が来ており、そのうち、99大学が既に申請を行ったと承知をしております。このうち、現時点で、21日(月曜日)から接種開始の目処がついてるのは8大学であります。このほか、21日の週から接種開始に向けて複数の大学が調整を行っていると聞いております。このほか、自治体接種に協力する形として、例えば、東海大学が附属病院の医師、看護師、薬剤師などを、海洋調査研修船「望星丸」によって小笠原村に派遣するなど、各大学とも地域への貢献に向けて様々な形で取り組んでいただいているものと承知しております。現時点で、21日より前に前倒しで接種を始めている大学については承知をしておりません。文科省としては、このように各大学等が地域に対して貢献することが重要だと認識しておりまして、職域の中の大学というふうに報道では言われてしまっているのですけれど、当初から大学については別のマインドを持ってやろうということで、この度、大学拠点接種という呼び方を、ぜひしていただければよろしいかなと思います。大学拠点接種においては、それぞれの大学が単体で自校の職員や学生のみに接種を行うのではなくて、大学が地域における新型コロナワクチンの接種拠点となることを想定をしております。そのため、ワクチン接種の申請に当たっては、事前に文部科学省に対して相談していただき、各大学が地域の接種拠点となれるように確認を実施した上で実際に申請いただくというスキームを設けて運用を行っています。文科省としては、引き続き、各大学が自大学のみならず、近隣の教育関係者等にも接種を行う拠点となるよう、各大学等と一体となって取組を進めてまいりたいと思います。あの、そもそも私の許可が必要なのかというのは、私が会見で許可という言葉を使ったのでちょっと厳しく聞こえたかもしれないのですが、いわゆる行政権限としての許可ということではありません。あらかじめ文科省にまず相談をしてくださいねと、そして、大体フォームが整えば厚労省のスキームの方に移行してもらうという、そういう手続を踏んでおりますので、その段階で、我々が申し上げている大学はやっぱり地域の核となって、拠点となって地域貢献をしてくださいねということがご理解いただけない大学とは調整をしています。すなわち、自校の学生だけ打つんだと、うちの学校は特別なんだと言わんばかりの報道などがあって、それは誤解を招くことになるので、そうではなくて、やっぱり繰り返し申し上げていますけれども、会場になれなかった近隣の大学や短大や専門学校の学生・職員も、ぜひ受入れをしてもらいたいと思いますし、公立の小中高、あるいは幼稚園の先生方にも、そういった身近な場所での接種のご協力をお願いしたいと思っております。各大学等が地域の接種拠点となっていただきたいというふうに考えていることから、ワクチンの申請の際には、必ず事前に各大学等の地域貢献などの状況を確認することとしているため、そういった意味で許可と、ちょっときつい言い方をしましたので、同意といった方がいいのですかね、同意という形のほうがいいかもしれない。仮にですね、自大学の関係者のみを対象とするワクチン接種を希望する相談があった場合には、文科省において、それを絶対認めないということを前提にしていませんけれど、今我々が言っている、なぜ大学に先にワクチンが届くんだというのは、地域貢献をするということを、前提なので、企業の皆さんの職域接種とは性格が違うということを大学の皆さんに説明してご理解をいただいて、なるほどということで、どこの大学も説明をすれば皆わかっていただいて、もちろん協力しますと言っていただいていますので、地域の一員としてですね、大学の果たす役割をしっかりやっていただくことを前提に広げていきたい、こう思っているところです。

記者)
 ちょっとお話変わるんですけれども、著作権についてお伺いします。今、運動会シーズンになっておりまして、宣言下ということで、中には、お客さん、保護者を入れずにオンラインで配信するという形もあると思うんですが、そういった中で、運動会ですとBGMがありまして、そのBGMの取扱いについて、著作権の観点から見てどのように文科省は考えてらっしゃるのか教えてください。

大臣)
 著作権法では、学校等の授業において他人の著作物をインターネットで配信する場合、学校等の設置者が補償金を支払うことにより、一定の条件の下で利用することが可能とされており、学校の運動会の様子をインターネットで配信する際、その会場で音楽の楽曲等を利用することも著作権法上可能となっています。今ご指摘いただいたように、春の運動会シーズン、延期をした学校もありますし、例えば時間短縮をしたり曜日を変えたりしてですね、あるいは来場者を制限して1家族2名までということで、そうするとおじいちゃんおばあちゃんが会場に来られなくて自宅でということになるので、その人たちに対して、PTAの皆さんなどが非常に知恵を絞ってですね、じゃあそのライブで様子を配信をしようということを試みたときにですね、一部誤解があって、それは著作権に引っかかるからできないんだと言って止めさせられた学校があるということで、随分、文科省の方にも問い合わせが来ています。昨年は1年間、コロナでいろんな意味で著作権の免責をしていたのですけれど、これも学校の教育活動の一環なので、例えばご自宅でおじいちゃんおばあちゃんに、ライブ配信を学校なり学校関係者が主体的に配信する場合には、今言ったような条件で、あらかじめサートラスの方にですね、支払いが済まされていれば、自治体としてこれで問題がないのですけれど、まだ、始まったのは今年4月からの制度なので、そんなにその、迅速にですね、著作権料の支払いを済ませている自治体が日本中にあるとは思いません。これは、年度末までにお支払いいただければ遡及して請求がないということになりますので、ほとんどの自治体は多分その準備をしていただいていると思いますので、結論から申し上げると問題なく、リアルタイムで配信するものについては構わないと思います。ただ、録画したものを後に配信するということになるとこれは法律の立て付けと異なりますので、そこは注意していただきたいなと思っていますので、ぜひ運動会などを実施する場合に、ぜひ入場規制でご自宅などでお子さんやお孫さんの姿が見られない皆さんに対してそういう配慮がある場合には、積極的な取組をしていただいてよろしいんじゃないかなと思っております。留意点として、具体的に、教員、児童生徒、保護者といった必要な範囲に限定すること、また、リアルタイムのストリーミング配信などにより行っていただくことが必要でありまして、「必要と認められる限度」で「著作権者の利益を不当に害する」ことのないようにご注意いただきたいと思います。文科省としては、運動会開催に当たっての工夫の一つとして、この取扱いについて、指定管理団体である授業目的公衆送信補償金管理協会(サートラス)と連携をして、ウェブサイトやSNSにおいて周知を図ってまいりたいと思っています。

記者)
 大学拠点接種の関係で、引き続き、ちょっとお願いしたいんですが。大臣、地域貢献が大変重要だというお考えだと思うんですけれども、現状の文科省への相談もしくは申請の中で、そうした学外・地域貢献は現状の人振りとか予算を考えたときに難しいけれども、まずは学生さんとか自大学の職員の接種を進めたいので大学内接種、大学拠点接種を行いたいというような申請もしくは相談はあるんでしょうか。それとも、冒頭でおっしゃった161大学の相談、99の申請というのは、全て地域の接種も行いますという一通りのパッケージにOKした形でそうした相談・申請があったのでしょうか。この辺、すみませんがよろしくお願いします。

大臣)
 もちろんですね、職域接種という立て付けの中で、自校だけで完結をしたいという相談があったことは事実です。しかしそれは、先ほど申し上げた大学の果たす役割というものをよく説明をして、何らかの形でですね、いろんなオプションがあると思うのですけれども、何らかの形でご協力をいただくということを前提に、99大学が既に、言うならば申請段階に入ったということです。例えばですね、これはもともと、自治体接種で大学会場を貸してあげてくれということも文科省から先に通知をしました。それに則って、積極的にご協力いただいている大学が数多くあるのですね。そうすると、自治体接種に協力してしまったために、今回のこの大学の拠点接種会場になり得ないということになってしまって、一生懸命地域に貢献したために逆にそれができなくなってしまったという現状もあります。これはちょっと気の毒なので、大学会場を貸すときには、例えば予約のキャンセルが出た場合などは自校の職員などを先行して打っていいですよということはコロナ室との話合いの中でやっていますから、そういう意味で、少し大学の人たちが接種が進んでいるという実態はあるのかもしれないのですけど、まったくもって気の毒な話になってしまうので、こういう人たちは、今、仮に99大学が許可になったとすれば、そこへ職員や学生は行ってもらって打ってもらうことを想定していますので、いずれにしましても、どちらも社会貢献だと思います。また、高齢者の一定の目処がついて、その後、65歳以下に接種をどんどん増やしていくという段階になったときには、例えばそういった大学会場の人たちには、一定の隙間で打ってもらうようなことも積極的にやってもらいたいと思っています。ただ悩ましいのは、大学の接種会場はモデルナで、自治体はファイザーで走っていますので、これをまた途中で変えたり、1つの大学会場で2つのワクチンを使うというようなことがあってトラブルがあってはいけないので、そういうことも含めて、今、省内でもきめ細かく関係者とも相談しながらですね、できる限り先行して地域貢献していただいた大学の皆さんにも同じようなですね、メリットもあるような、そういう制度にしていこうということで、今、検討しているところでございます。繰り返しになりますけども、単なる自校の職員だけ打つ、自校の学生だけ打つということについては望ましいと思っていませんので、引き続き、接種の地域の拠点として、その役割を果たしてもらいたいと思っています。

(了)

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