萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和3年6月8日)

令和3年6月8日(火曜日)
教育、科学技術・学術、その他

キーワード

令和3年版科学技術・イノベーション白書、浸水想定区域・土砂災害警戒区域に立地する学校に関する調査、海外留学を予定している学生等へのワクチン接種、池田小学校事件後20年の経過と学校安全、児童生徒へのワクチン接種について

萩生田光一文部科学大臣記者会見映像版

令和3年6月8日(火曜日)に行われた、萩生田光一文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

令和3年6月8日萩生田光一文部科学大臣記者会見

令和3年6月8日萩生田光一文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

萩生田光一文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 おはようございます。
 私からは冒頭、3件です。本日、「令和2年度科学技術・イノベーション創出の振興に関する年次報告」、いわゆる令和3年度版科学技術・イノベーション白書(注)が閣議設定をされました。今回の白書では、今年3月に閣議決定された第6期科学技術・イノベーション基本計画が掲げるSociety 5.0として我が国が目指す未来社会像や、その実現に向けた最先端の取組を、イラストやQRコードも活用しつつ、国民の皆様にわかりやすく紹介しています。なお、白書冒頭のイラストについては、後日、ポスターにして、全国の教育委員会や科学館などに配布する予定です。できるだけ多くの国民の皆様にこの白書をご覧いただき、科学技術・イノベーションに関心を持っていただくとともに、より良い未来社会を創造していく上で、科学技術・イノベーションが重要な役割を果たしていることについて、理解を深めていただけることを期待をしております。
 2件目です。近年、気候変動に伴う水害や土砂災害の激甚化・頻発化により、学校において甚大な被害が発生していることから、文科省では、全国の公立学校を対象に、浸水想定区域又は土砂災害警戒区域に立地し、要配慮者利用施設として位置づけられた学校の数や、対策の実施状況について、初めて、調査をしました。今回の調査により、令和2年10月現在で、全国の調査対象校37,374校のうち、7,476校、約20%ですけれど、が浸水想定区域に、4,192校、11.2%が土砂災害警戒区域に立地をし、市町村地域防災計画において要配慮者利用施設として位置づけられていることがわかりました。これらの学校は、水防法や土砂災害防止法で、避難確保計画の作成や避難訓練の実施が義務付けられていますが、実施状況は7~8割程度にとどまっています。また、ハード面の対策については、法律による義務付け等はございませんが、学校施設内や受変電設備の浸水対策を実施している学校は約15%です。文科省としては、水害や土砂災害時における児童生徒等の安全を確保するため、本日付けで都道府県教育委員会等に通知を発出し、避難確保計画の作成やその計画に基づく避難訓練を実施していない学校に対して今年度中に速やかに実施するように要請をしました。また、各学校や学校設置者等に対し、「学校の危機管理マニュアル等の評価・見直しガイドライン」や「学校施設の水害・土砂災害対策事例集」を周知し、ソフト面とハード面の両面から対策が適切に講じられるように、引き続き、支援をしてまいります。
 最後に、現在、一部の海外大学において対面授業を受けるためにはワクチン接種が義務化されており、海外留学を予定している学生が渡航できない状況にあると承知しております。そのため、先日設置をした「大学等ワクチン接種加速化検討チーム」において、海外留学を予定している学生のワクチン接種について検討してまいりました。ワクチン接種については、文部科学省としては、自治体における高齢者接種の一定の目処がついた段階で、大学等における教職員・学生や高校以下の近隣校の教職員への接種を拡大することが重要と考えています。その中で、海外留学を予定する学生を後押しするため、留学先の大学からワクチン接種を求められている場合、接種を受けられる仕組みを構築することにしました。まずは、学位を取得するために海外大学への留学を予定している学生から始めて段階的に対象を広げてまいりたいと思います。具体的には、海外留学を予定する学生から文科省に申請していただいて、教職員・学生等へのワクチン接種に取り組む大学等にご協力いただき、当該学生が接種を受けられるようにしたいと考えております。また、ワクチン接種完了後には、海外の大学に対して示していただけるよう、ワクチン接種済であることを証明する英語の文書を、文部科学大臣名で特別に発行することとしました。なお、昨年11月より学位取得を目指す海外留学が再開されておりますが、ワクチン接種をはじめ国内外における感染症への対応を見極めながら、可能な限り早期に、大学間交流協定等に基づく海外留学についても段階的に再開できるように検討を進めているところです。社会の発展をけん引しグローバルに活躍する人材の育成のためには、日本人学生の海外留学を後押しすることは大変重要です。文科省としては、海外留学に意欲のある学生を支援できるように努めてまいりたいと思います。

記者)
 2問お尋ねいたします。大阪教育大学附属池田小学校の事件から今日で20年となりました。痛ましい事件を教訓に、学校安全をどうしていくべきなのか、ご所見をお聞かせください。2問目は、冒頭発言でありました災害の調査です。浸水や土砂災害のリスクのある区域に公立学校の3割が立地していました。そのことへのご見解と、学校が水害などに対応していくため、文科省としてどのような支援を行っていくのかについてもお聞かせください。

大臣)
 本日で、大阪教育大学附属池田小学校での大変痛ましい事件の発生から20年が経過をいたします。犠牲になられた方々や、ご家族をはじめ関係された方々に改めて哀悼の意を表したいと思います。子供たちが学校で安心して活動し、安心して学べるようにするには、その前提として、学校での安全を十分確保することが不可欠です。このため、文科省では、学校保健安全法に基づき、全ての学校で作成が義務付けられている「危機管理マニュアル」の作成に資する手引きの作成・配布、学校安全資料である「『生きる力』をはぐくむ学校での安全教育」の作成・配布、教職員に対する学校安全に関する研修などにより、学校における安全確保の取組を推進しているところです。また、現在、中教審の学校安全部会において、第3次の学校安全の推進に関する計画の策定に関する議論を行っており、学校の関係者や有識者等の意見を踏まえながら、学校安全に関する取組の更なる充実を図ってまいりたいと思います。文科省としても、こうした過去の事件を教訓として、子供の安全確保に関し、関係機関や教育委員会等と連携しながらたゆまぬ取組を行ってまいりたいと思っております。
 地理的要因や地域事情により、浸水想定区域等に立地することがやむを得ない場合もあると想定されますが、浸水想定区域又は土砂災害警戒区域に立地し、要配慮者利用施設として位置づけられた学校が3割程度であったということについては、実態として受け止めているところです。ただ、今お話しましたように、開校から、例えば40年とか50年で、当時はそういう知見がなくてですね、ハザードマップにも載っていなかった、あるいはその後の法律によって網掛けが変わったという学校もありますので。一概に、わざわざ悪いところに学校を作ったんじゃなくて、作った後に色んなことがわかってきたり、あるいは周りの開発によって状況が変わったということもあるのだと思いますので、ここの3割は、冷静に受け止めていきたいと思います。これらの学校においては、まず、避難確保計画の作成や避難訓練の実施により、災害発生時に備えることが重要です。また、避難確保計画を作成していない学校が一定程度あることについて、文科省としては、この度、避難確保計画作成に資するガイドラインを作成・周知したところであり、各学校における速やかな避難確保計画の作成を促進してまいりたいと思っているところです。

記者)
 昨日の決算委でもお話があったと思うんですが、ワクチンの小中学生の集団接種でお伺いしたいんですけれども。あの、大臣のお話だと、いわゆる高齢者であったり基礎疾患のある方が全国的にも優先されるべき状況であって、慎重に対応するべきじゃないかというご趣旨だったと思うんですけど、改めて、集団接種についての考え方と、あとニュースを見ていると、今日、愛知県の小牧市とかもまた検討をしているようなことを発表されたようなニュースを見まして、全国的にも広がっていきそうだなと思うんですが、昨日もお話しされていた文科省からの通知であったりとか、何らかの対応をどういうスケジュール感で行っていくような考えがあるのか、これもお願いします。

大臣)
 これまでの高齢者等への接種方法や学校における予防接種の経緯を考えると、中学生等へのワクチンの接種については、個別接種が基本になると現段階では考えています。直ちに12歳以上の子供たちにワクチンを接種させたいという意向の自治体もあることは承知していますが、その場合、文科省としては、まず、接種に当たっては保護者の同意を確認する必要があること、それから、社会全体のワクチン接種の優先順位として、まずは65歳以上の高齢者であり、次に、基礎疾患のある方たちであることなど様々な点にご留意いただく必要があると考えています。現在、こうした点について、専門家の意見も伺いつつ、関係省庁と調整を進めているところです。各地方自治体が、学校関係者を含め、ワクチン接種を円滑に進められるように、文科省としても、関係省庁と連携して通知の発出など必要な対応を進めてまいりたいと思います。あの、5月31日に、厚労省から、初めてこの12歳以上の接種可能という通知が出ましたので、まだ、我々としては、それを受けて専門家の皆さんと色んなお話をしています。例えば12歳と言うと、小学校6年生の場合、中学1年生の場合、あると思うんですね。じゃあ小学校で6年生だけ打つということが果たして現実的なのか。あるいは年齢で切っていますけれど、発達段階の子供たちが体の大きさに関係なく大人と同じワクチン量でいいのかなど、そういったことはきめ細かく、今、相談をさせていただいておりますので。いずれにしても、学校で直ちに集団接種ということは考えていませんけれども、仮に、将来そういったことが有効だということになればですね、これは自治体の皆さんとも連携しながらやっていきたいと思いますので、もうしばらく、きちんと整理をして通知を出したいなと思っています。

記者)
 先ほど、海外留学生へのワクチン接種の件、お話出ました。そちらの、基本的には、高齢者の方が一定目処がついたらという大前提はお変わりないのかという点と、その後、教職員の方とか近隣の学校の先生なども対象になると思うんですが、それを飛び越えてまず海外留学生という意味なのか、その辺の順位はどういう感じになっていますでしょうか。

大臣)
 いずれにしましても21日以降、職域の接種、それから大学等を利用したですね、広域接種が始まります。で、その中で留学生の皆さんも包含をしていきたいと思っているのですけれど、相手国の事情や学校によっては、例えば今月中に接種の見通しや9月以降の編入・入学の手続の意思を確認されている学生さんがいらっしゃいますので、そういった方は、例えば現在行われている大阪や東京の大規模接種会場の、例えば夜の一定スパンを空けていただくなんていうことも含めて救済をしていきたいと思っています。自治体がやっている65歳以上の接種は計画的にやってもらえますので、その、外でですね、今申し上げた職域などの場所を上手に使って隙間を埋めていくというふうに考えていますので、留学生だけ優先的にどこかに集めて接種をするというイメージではございません。それぞれ可能なところを見つけてですね、そのための相談を文科省にしてくださいということを申し上げているので、そこは、上手に隙間を見つけて、打てる人から打ってあげたいなと思っています。それから、ちょっと報道でも誤解があって、昨日、私、国会でもあえて申し上げたのですけれど、今は21日以降の大学会場の準備を急いでいます。これは別に、国立だけとか大規模私立だけとかそういう決め方じゃなくて、350、会場提供の意思を示されたんですけれど、前にもお話したように、規模ですとか環境ですとか交通アクセスですとかこういったものも踏まえて、ここだったらいいねというところを、まず先行して20校程度モデルを走らせようと思っています。従って、医師が、医療従事者が、自分たちで確保できる大学が、割と先行してスタートするのはご理解いただきたいと思うのです。あるいは、場所が良くてですね、会場提供するところと地元の医師会や民間の医療従事者、提供企業などとのジョイントがうまくいって可能なところはスタートさせてもらうのですけれど、それ、その学校の学生だけを打つために許可をするんじゃなくて、そこは拠点になってもらって、同じ自治体の中にある他の大学や短大の皆さんにも自治体を経由して声をかけていただいて、そういう人たちにも打ってもらいたい。それから、申し上げているように、夏休み期間までの間に、できればその地域の小学校・中学校・高校、あるいは幼稚園の先生方にもその会場が使えるのでしたら、そこで、職域の一環としてですね、接種をしていただきたいと思っておりますので。あの、必ずしもパターンが1つじゃないと思うんですね。この学校はこういうことをやっている、この学校は自治体とこういう連携をとっているというので、いくつかパターンが出てくると思うので、その良い先行例をですね、できれば横展開していきたいなと思っていますので。まずは、モデルと言いますか、条件の整ったところを先に、まず複数やらせてもらいたいと思っています。

(注)「令和3年度版科学技術・イノベーション白書」と発言しましたが、正しくは「令和3年版科学技術・イノベーション白書」です。

(了)

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大臣官房総務課広報室