萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和3年5月18日)

令和3年5月18日(火曜日)
教育、科学技術・学術、スポーツ、その他

キーワード

国立大学法人法の一部を改正する法律、持続可能な開発のための教育(ESD)に関するユネスコ会議、大学等卒業者及び高校卒業者の就職状況調査、革新的将来宇宙輸送システム実現に向けたロードマップ検討会、奨学金保証人の返済過払いに関する地裁判決について、奨学金の機関保証制度、新型コロナウイルス禍における学校行事の実施について、新型コロナウイルス禍における子供の体力低下について

萩生田光一文部科学大臣記者会見映像版

令和3年5月18日(火曜日)に行われた、萩生田光一文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

令和3年5月18日萩生田光一文部科学大臣記者会見

令和3年5月18日萩生田光一文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

萩生田光一文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 おはようございます。
 私からは3件です。まず、今国会に提出していた「国立大学法人法の一部を改正する法律案」が、先週14日、参議院本会議において可決され、成立をいたしました。今回の法改正は、国立大学法人等の管理運営の改善並びに教育研究体制の整備及び充実等を図るため、学長の業務執行権限に対するチェック機能を強化するとともに、年度評価の廃止や出資対象範囲の拡大といった規制緩和を行うこと、また、北海道の3法人の統合及び奈良県の2法人の統合などを内容としています。各国立大学法人においては、今回の法改正を踏まえ、ステークホルダーの信頼を得られる自浄作用を持つガバナンス体制の構築や、財源多様化による財政基盤の強化に向けた取組を進めていただきたいと考えています。また、統合を行う各大学においては、リソースの共有や相互利用によるスケールメリットによって、更に各大学の強み・特色を活かした教育研究を進めていただきたいと考えています。引き続き、文科省としても、教育研究の更なる向上に向けた大学の取組に対して支援をしてまいりたいと思います。
 2件目です。昨晩、ユネスコとドイツ政府主催によるオンラインで開催された持続可能な開発のための教育(ESD)に関するユネスコ会議に出席をしました。同会議はSDGsの達成に向けて、我が国が主導してきたESDの新たな国際枠組みの「ESD for 2030」の開始に当たり開催されたものです。閣僚級によるパネルディスカッションに参加し、ESD提唱国として、ESD先進国であるドイツのカーリチェク教育研究大臣やUAEのアル・ハンマーディ教育大臣とともに、ESDに関する様々な課題について議論しました。私からは、我が国のESDの取組として、ESDの理念を公式に学校教育の中に位置付けていること、関係省庁が連携しオールジャパンでESDを推進していること、学校と地域が連携し地域課題の解決につなげていることなどを紹介しました。また、我が国が、ユネスコへの信託基金等を通じ、国際的なESDの推進をリードしていくことを示しました。今回の会議の成果として、明日、ESDに関するベルリン宣言が採択される予定です。同宣言も踏まえ、我が国においては、今月中にESD国内実施計画を策定すべく作業を進めてまいりたいと思います。
 最後ですけれど、今春、大学や高校等を卒業した方の就職率を、文科省と厚労省で取りまとめましたので公表いたします。大学の学部卒業生は96.0%、大学・短大・高専全体では96.3%となりました。大学の学部卒業者については、前回調査時点、2月ですけれども、このときの89.5%からは6.5ポイント上昇していますが、昨年度と比べると2%、2ポイントの低下であります。高校生につきましても、昨年度と比べて0.2ポイント低下の97.9%となりました。昨年度と比べ就職率が減少した要因の1つとしては、新型コロナウイルス感染症の影響により、例えば航空業や観光業など一部の職種で求人数が激変、減少したことがあると考えており、この厳しい状況は依然として継続するものと認識しております。文科省としては、引き続き、学校関係者や関係省庁などと連携し、未就職のまま卒業した学生・生徒のみならず、卒業後、希望する進路とならなかった方にも寄り添った支援が行えるように取組を続けてまいりたいと思います。私からは以上です。

記者)
 宇宙関連でお聞きしたいんですけれども、先日、文科省の有識者会議で、次世代基幹ロケットを「再使用型」にするという方針が出されましたが、それに関して文科省としての狙いを教えてください。お願いします。

大臣)
 文科省では、宇宙輸送の国際的な競争の激化等を踏まえ、抜本的な低コスト化等を目指した革新的将来宇宙輸送システムの実現に向けたロードマップを策定するために、昨年秋から、省内に検討会を設置して、これまで議論をしてまいりました。今月12日の検討会では、低・静止軌道、月面等のミッションに対応するため、2030年頃の初号機打上げを目指したロケットの第1段再使用化をはじめとする低コスト化技術を盛り込んだ宇宙輸送システムと、2040年代前半の実用機打上げを目指した、民間主導による開発が想定される二地点間高速輸送等の市場規模が大きく民間が関心を持つミッションに対応できる宇宙輸送システムの2本立ての研究開発を進めていくことについて議論をいただいたところでございます。文科省としては、近々、検討会で、これまでの議論の中間取りまとめを行う予定であり、本取りまとめに基づき、再使用化技術をはじめとした抜本的低コスト化のための研究開発を進め、宇宙輸送システムの競争力強化や我が国の宇宙活動の自立性確保につなげてまいりたいと思っています。

記者)
 先週、札幌地裁の方で、奨学金の返還を巡って保証人の支払義務を超える過払い分の返還を命じる判決がありました。この判決について、大臣の受け止めと、支払義務以上の返済を求めていたという機構の対応について問題はなかったかと考えるか。あともう1点、保証人じゃなくてですね、保証機関を使う枠組みに統一化する議論が、今、止まっているんですけれども、これを再開させるような考えというのはないかどうか、ちょっと多いですが、よろしくお願いします。

大臣)
 まず、判決への受け止めは、判決理由を把握・精査した上で適切に対応していくものと思っております。学生支援機構が主体になりますのでそちらで対応していただきたいと思います。で、要は、原告以外に保証人という制度を設けてきたわけですけれど、本来、債権がどうなっているか、もう少し保証人の果たすべき役割と内容についてもう少し丁寧に説明しておいたらよかったんじゃないかなというふうに、私は報告を受けたときに感じましたので、今、あんまりこういう制度を使っている仕組みって民間でもなくなってきていますよね。だから、割と古い制度で今日まで来てしまっているのだと思いますので、言うなら、保証人の好意に、別に詳しい説明をしないで甘えてきたということだと思うので、直ちに悪質かと言われるとそういうことではないのだと思います。2人いる方のどちらかがきちんとその債務保証してくれるのだとすれば、それは、いただいて、払っていただけるものだったら受け取っておこうというような単純な仕組みだったと思うのですけれども、時代の変化に合わせて、この辺は、色々見直しも必要なんじゃないかなと思っています。まずは、支援機構の方でしっかり対応していただきたいなと思います。

記者)
 運動会について質問します。春の運動会シーズンを迎えていますが、新型コロナの影響で中止・延期の判断が出てきています。2年連続中止となれば影響も大きいと思われますが、運動会開催についての見解をお聞かせください。関連して、コロナ禍の運動不足で、子供の体力低下も懸念されます。現状認識とどのような対応が必要かについてもお聞かせください。

大臣)
 常々申し上げていますけど、運動会や体育祭などの学校行事は、子供たちにとってかけがえのない貴重な思い出になる行事だと思います。また、学習的効果も大きいと思います。そういった意味で、このコロナ禍にあって緊急事態宣言などでこういったイベントができない、あるいは春先に予定していたけれどということで躊躇されている自治体・学校があることは承知しています。私からは、ぜひですね、直ちに中止ではなくて、日程を変えて、例えば春の行事を秋に移していただくような、去年と同じようなですね、試みをしていただきたい。去年の場合は、秋に移していただいたら秋にまた感染が広がってしまって、結果としてできなかったという自治体などがあったことは承知していますけれども、ぜひそこは、色んな工夫をしてですね、例えば私の地元では1日の予定を半日に切り替えて種目を少し絞って、それでも実施したとか、平日に開催したとか、色んな工夫をしているような報告をいただいていますので、ぜひ運動会・体育祭など、緊急事態宣言下となっている地域では、感染拡大が厳しい状況がありますので、直ちに中止ではなくて、実施方法の変更も含めて、ぜひやる可能性をですね、それぞれの現場で模索していただきたいなと思っています。関連で、やっぱりこれ、巣ごもりも多いですし、子供たちは体を動かす機会が減っていますので、体力について心配をしております。ただ、昨年度のですね、体力・運動能力調査では、標本数が例年の6分の1程度と少なかったことや調査実施期間が例年より少し後ろでやったものですから、直ちに前年度や過去と比較がしづらい部分があるのですけれど、明確な分析を行うことが困難だということで、去年のは参考数値だということだと思います。他方、外出の自粛が続いて、屋内で過ごす時間が長くなると、運動不足やストレスから心身に悪影響をきたす健康二次被害の問題が指摘されており、また、特に子供については、運動施設の利用制限、運動教室の実施制限等により、これまで行っていた運動・スポーツが実施しにくくなったと考えられ、体力の低下が懸念をされます。こうした認識の下、スポーツ庁においては、子供を持つ家庭向けに家庭で行えるスポーツや運動を紹介するリーフレットを作成したり、運動遊び定着のための官民連携推進事業を実施することなどにより、コロナ禍における子供の運動・スポーツ促進を図っており、引き続き、子供の体力低下を防ぐため、運動・スポーツを通じた体力の維持・向上に向け、しっかりと取り組んでいく必要があると考えているところです。

記者)
 先ほどの大臣のお話で気になったところがあったのでちょっと質問させていただきたいんですけれども、運動会の中止・延期について、大臣は、去年と同じように、直ちに中止ではなく秋に移していただけたらということなんですけれども、今、感染状況が拡大していますし、去年も、結局ぐだぐだぐだぐだ感染拡大が続いて、結局できませんでしたみたいな話も聞いている状況です。で、こういうふうに、直ちに中止ではなく秋に移していただいたらといっても、また秋に同じようなことが起きて感染が拡大してできなくなってしまったら、結局、期待していた子供たちを裏切ることになってしまうと思いますし、一方で、その、感染不安を抱えてらっしゃる保護者さんからしてもやたらめったら不安で振り回されてしまうと思うんですけれども、やっぱりそこのところ、どうお考えになられているかということと、やっぱり年度で学校も動いているわけですから、そこら辺、もうちょっと明確に方針を出される考えはあるかということと、オリンピックはこの情勢下でやるというふうな話がまだ出ていますけれども、一方で、私が見ている中では、オリンピックはやるのになんで運動会は中止なんだというような子供さんの純粋な疑問というのもあるようですけれども、オリンピックはやるのに運動会は秋に移していただいたらという部分について、大臣どうお考えなのかというこの2点を伺いたいと思います。

大臣)
 それぞれの学校が年次計画を立てて様々な授業を予定しているということは承知をしています。で、先ほど申し上げたように、やめるという決断をすることは可能なのですけれど、子供たちにとって私はかけがえのない授業だと思いますので、可能性を模索していただきたいということです。去年は、結果としてですね、それでも運動会ができなくなってしまった学校があることは承知していますし、大変気の毒だと私も思っていますけれど、今年の場合は、その、今、ワクチン接種が平行して行われているので、秋口というのは少し景色が変わってくるんだろうというふうに期待もしていますので、そこはぜひ、余裕を持って冷静に各学校で考えていただけないかなと思っています。関連して、去年、修学旅行を、何としても諦めないで頑張ってほしいということで3月31日までの提案をしましたところ、その呼びかけに答えていただいて、本当に3月31日までを使って全国の各自治体が2度も3度もトライをしながらですね、これは観光庁なども大変なご支援をいただいて、キャンセル料がかからなくて日程を変えたりとか、今まで行ったことがないコースのご提案をいただいたりなどの支援もあったのですけれど、結果として、子供たちは、非常に納得した、満足したという声も聞いておりますので、ぜひ年間予定している行事については、実施を前提にですね、可能性を見つけていただきたいなということで。あの、結果としてがっかりするというのはわからなくもないのですけれど、がっかりしないようにですね、しっかり現場と連携をとりながら頑張っていきたいと思います。

(了)

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大臣官房総務課広報室