萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和2年10月9日)

令和2年10月9日(金曜日)
教育、科学技術・学術、スポーツ

キーワード

ノーベル賞と基礎研究の推進、新国立競技場の利用、遠隔・オンライン教育、大学入学共通テスト、高等学校における情報端末の整備

萩生田光一文部科学大臣記者会見映像版

令和2年10月9日(金曜日)に行われた、萩生田光一文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

令和2年10月9日萩生田光一文部科学大臣記者会見

令和2年10月9日萩生田光一文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

萩生田光一文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 おはようございます。今日、私からはございません。

記者)
 今年は、あの、ノーベル賞科学3賞で日本人の受賞はなかったですが、化学賞では、ノーベル賞の受賞の元となった案件が日本人研究者によるものでした。このことを踏まえて、改めて、基礎研究の推進にあたっての大臣の意気込みをお願いします。

大臣)
 自然科学部門では、今のところですね、今のところというか自然科学部門では、残念ながらノーベル賞の受賞者がございませんでした。今回、受賞された皆様に、まず敬意を表したいと思います。3年連続の日本人受賞にはなりませんでしたが、ご指摘の通り、今回の受賞とはならなかったものの、我が国の独創的で多様な基礎研究の成果が、今回受賞された皆様の研究に貢献してきたことは誇るべきものと考えています。例えば、化学賞の受賞理由であるゲノム編集技術「クリスパー・キャス9」の開発においては、九州大学の石野教授が発見した遺伝子配列「クリスパー」がその技術の基礎となっております。また、物理学賞のブラックホールの存在証明に関しては、昨年、国立天文台が参画した国際共同研究プロジェクトにより、史上初めてブラックホールの撮影に成功しました。先般、私も国立天文台のVERA石垣島局で、ブラックホールの仕組みの解明等を目指すVERAプロジェクトを視察し、基礎研究の重要性を改めて認識したところです。基礎研究は、新たな知的・文化的価値を生み出し、ひいては社会のイノベーションの源泉となる重要なものであり、基礎研究なくして発展的な研究はないと考えております。様々な指標が我が国の基礎研究力の相対的な低下を示していますが、今回のノーベル賞の発表に当たり、我が国の基礎研究の国際的な貢献や基礎研究への国民の関心の高さを再確認しました。我が国の基礎研究力を維持・発展させるため、次世代の人材育成はもちろん、研究者が安心して独創的な研究に没頭できる研究環境を整備をし、今後も全力で取り組んでまいりたいと思います。

記者)
 大臣も昨日面会されたセバスチャン・コー陸連会長が、昨日、新国立場を視察した際に、記者団に対して、東京オリンピック後に新国立競技場を活用して世界陸上を開催したいとの意向を示されました。現在、新国立競技場は、大会後には陸上競技トラックなどがなくなる予定になっているかと思うんですけれども、このことを踏まえて、文科省として、オリンピック後の新国立競技場の利用計画の見直しや変更等を行うご予定はございますか。

大臣)
 昨日、セバスチャン・コー会長が国立競技場を視察をした際に、「世界選手権を日本に持っていきたい、できれば国立競技場で開催したい」というお話をされたことは承知をしておりますし、私も、コー会長と会談をさせていただいたときに、具体的に2025年の大会を東京でできないだろうかというご提案はございました。文科省としては、コー会長のご意見も参考にしながら、引き続き、国立競技場の大会後の運営管理について、民間からの提案や関係者の意見を集めて丁寧に検討を進め、国民に長く愛されるスタジアムの実現を目指してまいりたいと考えております。仮に、世界陸上をやるとすれば、東京都との調整も必要になりますので、東京都の意向というものも尊重しなくてはなりませんし、私、あの、コー会長にですね、逆に世界陸連として検討してもらいたいということでお持ち帰りいただいたのは、第一種の国立競技場ではないと国際競技の対応ができません。で、そのためには、オリンピックもそうなのですけれど、現在の国立競技場の隣接に、これは神宮外苑のご厚意で土地をお借りしまして、国立競技場と同じ素材のトラックが400メートル、仮設で作られております。サブトラックとしてオリンピック期間中は使えますけれども、今の予定では、これはオリンピックが終わったら、そのサブトラックも元に戻してお返しをするということになっていますが、都市型のこういった施設でですね、400メートルのトラックを近所に2つ作るというのは、これはもう、東京もそうでしょうしロンドンもそうでしょうし、ちょっと大変なことなので、国際陸連が言っている近隣へのサブトラックというのはどの程度離れていいのかということを、ぜひ検討してもらえないかということをお願いをしました。すなわち、ウォーミングアップのためのトラックですから、もちろん、すごく離れていたらですね、ウォーミングアップした体が冷えちゃうわけですから意味がないのは分かるのですけれど、例えば、東京の都心のど真ん中で更に400メートルのトラックが取れる場所というのは限りがありますので、そことバスでつないでですね、そういう移動時間で体が冷えなければそれでもいいとか、あるいはもっと言えば、全ての選手がですね、9レーンをフルに使ってウォーミングアップをするということは考えられないわけですから、9レーン要らないんじゃないんですかということも私の私見として会長に申し上げて、ぜひあの、次の時代にふさわしいサブトラックの在り方、第一種国立競技場の在り方について、陸連として世界陸連として、ぜひ検討していただいて、都市型のグラウンドの在り方というのを、カテゴリー2を作ってもらえないかということを、大変突然の会話だったんですけど、私も思い付きで会長にお願いして、会長も、一定の理解をして持ち帰るということで別れておりますので、そういう財政的な問題、自治体の意思、それから技術的な今のルールで行っている問題、こういったものを整理して、可能であればですね、私、積極的に、国立競技場は将来も陸上ができるようなグラウンドとして残すことは一つの方策だと思っていますので、まず、オリンピックを成功させてその後、関係者とよく話をしていきたいなと思っています。

記者)
 すみません、関連で。昨日夕方の、大臣、総理とご面会されていたと思うんですけれども、その中でこの話が出たかというのと、もし出ていたらどういった話だったか教えていただけますか。

大臣)
 コー会長がお見えになって会談をしたということはその場で報告をしました。その中で、言うならば、オリンピックレガシーの一つとして、世界陸上を東京でやれないかという提案があったということは報告をしました。総理は、ぜひ、様々な条件もあるんでしょうから、萩生田大臣の方で色々前向きに検討していただいたらどうかという、そんなやり取りはありました。

記者)
 教育のデジタル化が、今、注目を集めていますが、遠隔授業では、原則、児童生徒の側に教員が必要という形になっております。これを変えた方がいいという意見もありますが、大臣のお考えをお願いします。

大臣)
 どこでそういう意見があるんだろう。一般的に。

記者)
 一般的にです。

大臣)
 学校教育は単なる知識の伝達ではなくて、対面・集団での学びにより、リアルな体験を通じて思考力・判断力・表現力などや学びに向かう力・人間性を育成する必要性があると思っております。その重要性を踏まえた上で、学びを保障し充実する手段として、義務教育段階・高等学校段階といった発達の段階に応じて、教師が対面指導と遠隔・オンライン教育のそれぞれの特性を活かしたハイブリット型の教育を実施していくことが重要と考えています。義務教育段階については、1人1台端末の整備等により、例えば、病気療養ですとか不登校の児童生徒に対するオンライン教育を活用した学びの機会をより一層充実させていくことを考えておりますが、子供一人一人に対し適切に指導を行うためには受信側に教師がいることが必要であり、教師が同席しない遠隔・オンラインでの指導をもって、対面での授業に代替できるということは現段階では考えておりません。

記者)
 昨日ですね、大学入学共通テストの出願が締め切られまして、昨年度の同時期と比べて、まだ、途中と言いますか、昨日段階ですけれども、18歳人口が減っているにも関わらず、現役生がほぼ横ばいの44万555人でした。そこそこ人気があるのかなというふうにも思えるんですけれども、これまで、あの、大臣のご決断で記述式や英語の民間検定試験のですね、導入を一旦取りやめたということもありました。紆余曲折もありましたけど、この滑り出しの数字というのをどう見てらっしゃるのかを教えてください。

大臣)
 今年度の大学入学共通テストにつきましては、9月28日から昨日まで出願を受け付けたところでありまして、大学入試センターからの発表の通り、今年度の出願総数は、出願受付最終日である昨日17時の時点で514,621人となっておりまして、昨年度の同時点での530,917人と比べて、約1.6万人少なくなっていますが、出願受付最終日の出願総数は、年度ごとに大きく変動しており、志願者数確定後に、入試センターにおいて増減の分析をされるものと思っております。なお、昨日付の消印まで受け付けるため、これも含めた出願総数については、来週改めてセンターから発表があると思っています。今ご指摘のように、18歳人口が減少しているにも関わらずそれなりに出願者数があったということは、例えば、新たに始めた修学支援制度などが、大学入学を、今まで、もしかすると諦めていたそういった生徒たちにですね、チャレンジをする機会を与えているのかなということも期待をしているところでございまして、今後、数字が確定した段階でよく分析をしてみたいなと思っております。

記者)
 先ほどNHKさんが伺った、その遠隔授業の関係なんですけれども、一般論というお話もありましたけれども、先日の河野大臣や平井大臣の会見ではですね、お二方は、そういった教員が同席しない形の遠隔授業もあってもいいのではないかというようにおっしゃっておられるんですが、今後、大臣間での協議がどうなるかというのは分かりませんけれども、萩生田大臣としてはですね、その点は、その、対面が原則として一定程度認めるというのはありなのか。それとも、そういったことはやはり認めるべきではないというふうに考えていらっしゃるのか、義務教育段階でですね、認めるべきではないと考えておられるのか。その辺りどうなんでしょうか。

大臣)
 まず、3者の会合で何かを取り決めたりですね、決定したことはないということは、前回ご報告したとおりでございまして。キックオフの会合で、今後そういったことを色々意見交換して議論していこうということになりました。それで、私から申し上げたのは、確かに1人1台端末、GIGAスクールがきちんとですね、起動し始めた後の授業の在り方というのは色々考えていかなきゃならないし、色々チャレンジしていかなきゃならないけれど、まだ、現に1人1台端末が整備されていないし、それが、我々がですね、机上で思っているように、リアルタイムで様々なことが、これもできるあれもできるこれもできると思っていますけれど、それが、例えば、自治体のサーバーの容量などによってできないとか、あるいは不具合が生じるとか、生じた場合にどうやってそれをフォローするのかというようなことについては、まだまだ研究しなきゃならないことがあるので、まず、来年3月の整備まで、まずやらせてもらいたいと。その後、様々な実験授業などをしながら、良いものは積極的に取り入れていきたいということを申し上げています。例えばですね、全国一斉に、同じテーマでオンラインで勉強するなんてことは可能になってくると思うので、その場合にはですね、その受け手が、必ずしも先生がいるかいないかということが、いなくてもいい授業ができる中身というのももしかしたらあるかもしれない。それを今の段階から、絶対だめだとか、絶対必要だとか、絶対要らないとか、そういうことを決める段階ではないんじゃないかということを、私、二人の大臣に申し上げて、それは理解していただいたと思っています。ですから、別に抵抗をするつもりも全くありませんし、いいツールが出来上がった時にそれを有効に活用していい授業ができる、その中で今考えている、今の既存のルールに縛られなくても、ちゃんとできるものっていうのはあったとすれば、そこはチャレンジをしていけばいいことだと思っていまして。そこはあの、現場に、しっかり見ながら柔軟にやりたいということも申し上げました。それをもって、もしかすると期待値のお話をされているのだと思いますが、そういう行き違いがないように対面で3人で話しをしたつもりでおりますので、今後もきちんと話合いをして意思疎通を図っていきたいなと思っています。私は、オンラインがつながるのですから、できることをやるなという必要はないと思うのです。色々やってみる必要はあると思うのですけど、しかしですね、最初からその規制を外してですね、例えば、一番心配していますのは、学校に来なくてもいいという世の中を作ってはいけないと。オンラインの授業というのは、あくまで授業の一部を代替するのであって、それをもって学校教育が完結するわけじゃないということを強調させていただいております。すなわち、対面や集団で、いつも申し上げているように、学校の中で色んなことを学びながら子供たちは育っていくわけですから、オンラインの授業だけができたから、それをもって学校へ行ったよねということを代替する乱暴な代替策は、現段階では考えてほしくないということを、お二人の大臣にも伝えたところでござまして、そこは丁寧にいきたいなと思っています。

記者)
 兵庫県の教育委員会が、2022年度の県立高校新入生に自費でタブレットの購入を求めることを決めたとの報道がありました。これではタブレットを買えない子供たちとの格差が広がるほか、保護者の負担も増えると思います。で、兵庫県の教育委員会に伺ったところ、買えない子供には奨学金という形でお金を貸す形でやるということなんですけれども。菅内閣は、デジタル化推進されていますが、ええその、高校について、文科省として、1人1台端末だとかそういった話、出ていませんけれども、今後、高校についても1人1台端末を拡大していく気があるのか、それとも、引き続き、各設置者にある種投げていくのか、どちらなんでしょうということを聞きたいんですけれども。

大臣)
 まず、兵庫県の判断は、設置者である兵庫県の独自の判断だと思いますので、コメントは避けたいと思います。その上で、せっかく小中1人1台端末の環境を作って、高校ではそれがつながらないというのではならないと思っていまして。私は、高校の授業でもですね、1人1台端末の環境というのは整えていくべきだと思います。例えば、今、ご指摘のあった公立高校については、知財措置で今までも応援をしてきていますから、それを有効に活用して、各自治体・都道府県がですね、公立学校の整備というのをやっていくことも一つの案だと思いますし、私立などは、おっしゃるように入学時にですね、必要な学校備品として購入を求めている実態もございます。ただ、経済的に困難なご家庭のお子さんが公立の学校に行くのにですね、学校で求められた端末を持てないことで、授業に参加できないとか、あるいは家に持って帰ることができないようなことは望ましいことではないと思っていますので、そこは、国としても、丁寧な支援策を講じていきたいなと思っているところです。ただですね、全然検討していないじゃないかというふうに言われたのですがそうじゃなくて、検討しているのですけれど、例えば、中学生までの1人1台というのは、ある程度スペックが決まっていまして、それで、みんなに渡して、みんなが同じことをやれば大体そこで包含されるのですけれど、高校生になりますとね、やっぱり、誤解を恐れず申し上げますけれど、例えば、進学校ですとか、普通科の学校あるいは職業科の学校などは、扱うパソコンなどのスペックがものすごく違うんですよ。ですから、そういう意味では、単一の単価で上限を決めて、これに補助するからこれを買ってくれと言ってもですね、例えば、工業系の学校で図面などを引かなきゃならないような学校に、そのレベルのパソコンを買ったところで全然授業で活用できませんから。それだったら、逆に、ちゃんと1教室分だけはいいものを用意してあげたほうが、子供たち、高校生の教育上はいいものがあるんじゃないかと思っていますので、そこは今、現場の皆さんとも色んな話をしながらですね、支援をしていく、整備をしていくという意思は明確に持っています。ただ、その整備の仕方、義務教育が終わりますので、高校以上ですから、これは、学校の設置者とあるいは公立学校だったら都道府県、また、私立の皆さんともよく話合いをしながらですね、その学校学校に合ったもので、国としてどういう応援ができるのかっていうのは、丁寧に検討してまいりたいなと思っています。

記者)
 すみません、ちょっと追加なんですけれども。その、大体、その検討の結論の目処というのはいつ頃になるんでしょうか。

大臣)
 来年度ですね、できる限り応援をしたいという思いを持って概算要求の時にも話合いをしてきたのですけれど、今申し上げたような実態というのが明らかになってきました。すなわち、学校群によって、求めるパソコンの容量ですとか中身が全然違うものですから、そこを、来年度はですね、1回整理をしてみたいなと思っています。

(了)

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