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平成20年7月11日大臣会見概要

平成20年7月11日(金曜日)
11時2分〜11時33分
文部科学省 記者会見室

大臣)

 本日の閣議ですが、我が省として、「義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律施行令の一部を改正する政令」の決定がありました。これは通常4年というのを変更するものであります。その後、増田総務大臣から「平成20年情報通信に関する現状報告」について、総理から「北海道洞爺湖サミット(以下、「サミット」という。)の報告」について、国家公安委員長から「サミット警備の終了」について、岸田科学技術担当大臣から「フィリピン訪問」について、渡辺金融・行政改革担当大臣から「韓国・ソウル出張」について、鳩山法務大臣から「ドイツ及びフランス訪問」について、私からは「カナダ及びメキシコ合衆国出張」について、甘利経済産業大臣から「サウジアラビア王国、クウェート国、イラク共和国及びブラジル連邦共和国訪問」について発言がありました。閣議終了後の閣僚懇談会で、総理からサミットについて全般的な報告が、高村外務大臣からカナダ・トロント大学格付け機関による今回のサミットの評価が78点Bプラスで、議長のリーダーシップについては85点Aということが報告されました。いずれにしても、色々な評価のあるところですが、総じて全体的な成果としては、得られたのではないかという報告でした。

記者)

 大分県の教員採用をめぐる汚職事件ですが、連日の報道などで組織的、継続的な不正であったことが明らかになっています。大臣の御所感をお願いします。

大臣)

 今お話がありましたように、組織的と言いますか、システム的、常態的というふうに報道されていますが、これはあってはならないことで、極めて遺憾なことであると思っています。昨日も大分県教育委員会から報告があったようですが、私どもとしてはまず、教員の採用等の在り方を十分に点検するとともに、関係職員の服務規律の維持を徹底し、何よりも保護者や住民の皆さんの信頼を損なうことのないように、これは大分県はもちろんでありますが実態の解明ということを、より進めて頂かなければいけないわけでして、昨日、7月10日付けをもって「教員の採用等における不正な行為の防止について」の局長通知を出させて頂きました。いずれにしても、採用にあたっては各都道府県教育委員会が中心になるわけですから、しっかりとこの採用の在り方というものを十分点検して頂いて、保護者、住民の信頼の確保に努めて頂きたいと考えています。さらに、来週17日には都道府県教育委員会連合会総会がありますから、その席でも、なお一層先ほど申し上げました趣旨を徹底させたいと考えています。

記者)

 文部科学省の汚職事件について、昨晩3人の懲戒免職という過去に類例のない厳しい処分が発表されました。このことについての大臣の御所感をお願いします。

大臣)

 調査報告については昨日事務方より報告をさせて頂いたとおりです。少し時間がかかったわけですが、調査がまとまりましたのであのような形で報告をさせて頂きました。この間、今回のことを我々のできる範囲で徹底的に調査しまして、あのような取りまとめ、また処分の決定というものを報告させて頂きました。このようなことが生じたことは、大変残念であり、遺憾なことでありまして、改めて国民の皆さんにお詫び申し上げますとともに、今後文部科学省として、このようなことが生じないように、我々としてもより一層、この様々な行政における公務員としての在り方といいますか、業務に対する態度というものについて、綱紀粛正をはかっていきたいと考えています。

記者)

 本日付け発令の人事でも、この事件に関連した人事があると思うのですが、今回の人事のねらいと申しますか、この事件に関連した文教施設企画部長の人事についての大臣のお考えをお聞かせください。

大臣)

 人事については、基本的には幅広く省内の人材を活用するという観点に立って行っています。今回の処分について言いますと、当然当事者の処分、それから管理責任、結果責任といった点についての処分をしたわけですが、今回の人事と、この管理責任、結果責任という意味においては、これは直接的な関係はないと考えて頂いて結構かと思います。やはり人材の有用な活用ということでありまして、特に結果責任においては、そのことをもって人事に影響するということには、私はならないと思っています。

記者)

 文教施設企画部長は歴代技術系の方でしたが、今回初めて事務系の方が就任されました。昨日の報告書でも狭い範囲での人事が事件の背景にあったのではないかということですが、その再発防止策の一環として、そのような人事がされたということでよろしいでしょうか。

大臣)

 そういう意味においては、関係があると考えて頂いて結構かと思います。幅広い人事を行う、しかも狭い範囲の硬直的な人事ということが一つの原因だと我々も分析をさせて頂いています。そのようなことにならないように、幅広い知識がある布村審議官にその職にあたって頂くことに、決定させて頂きました。

記者)

 大分県の汚職事件関係ですが、大分県に限らず、全国的に教員採用試験の透明度が問題になっていますが、文部科学省から直接ではないにしろ、通知なり何かしらの方法で今後改善を促していくことはいかがでしょうか。

大臣)

 先ほども申し上げたように、昨日各都道府県教育委員会等に対して通知を出しました。これは採用試験等の在り方について点検をしろという通知ですから、そういった点を踏まえて、各都道府県で適切に対応して頂けると思っています。しかしながら、今御指摘がありました透明性というのは、非常に大きなポイントだと私も考えていますから、そういった点で不十分であれば、当然指導することも今後念頭に置いて、当面は各都道府県の在り方に対する点検というものを見ていきたいと思っています。

記者)

 今までの助言というスタイルではなく、指導という形にしていくということですか。

大臣)

 それも必要に応じてとお考え頂いたら良いと思います。これだけのことが起こっているわけですから、これは私の考えですが、大分県で起こったことということでは済まないと思います。各都道府県は頑張って頂いていると思いますが、やはり今、保護者そして国民の皆さんが教育委員会の人事に対して色々な疑問を持たれているということは否めないと思います。そういったことから、これまできちんとやっているところも、やはりもう一度それぞれが信頼を確保して頂く必要がある。信頼というのはお互いの問題ですから、我々はこういうことできちんとやっていますと、それぞれが行動をとって頂くことが大事ではないでしょうか。これは誤解しないで頂きたいと思いますが、各都道府県で同じようなことがいくつも起こっているということではありません。やはり、こういうことが起こったわけですから、それぞれ自らが、きちんとやっているところは問題がないわけですから、しっかりと説明して、目に見える形で示して頂くことが大事ではないかと私は考えています。

記者)

 通知というのは、回答は求めていないのですか。

大臣)

 報告を求めることになる予定です。求めようと思っています。

記者)

 大分県教育委員会が何も対策を講じなかった場合に、文部科学省が国として是正の要求なり指示をすることを、今後検討する考えはありますか。

大臣)

 それはしっかり指導していきたいと思います。地方分権との関係で言いますと、ここのところはいつも、非常に悩ましい部分なのですね。例えば義務教育において学習指導要領や義務標準法の、ある意味機会均等を維持するための基本的なルールというのは、国家が責任をもって作成し、通知・告示をしています。しかし、それぞれの教育行政は御案内のように、設置者にゆだねられている部分が非常に多いわけです。教職員に関して言うならば、これは今議論になっているところですが、義務教育においては政令指定都市とかありますが、都道府県が中心に採用を行うことが原則になっています。このルールをどうしていくかは、まさに今、議論の最中でありますが、基本は都道府県であれ、市町村であれ、地方にゆだねる形になっていることは事実です。そういう中で、地方がやはり自主性をもって、やって頂くことも非常に大事ではありますが、同時に、地方で適正にやられていない場合にどうするかについては、やはり国が一定の責任を果たして行かなければいけない。しかしそれは、地方の自主性に介入するという形にならない形で、やるべきことをきっちりやって頂くための指導をしていくことになると思います。ですから、今の御質問の趣旨にお答えするとなれば、それは状況に応じて適切な処置を、我々は考えていかなければいけないということと思います。

記者)

 学習指導要領解説への竹島記述の問題について、先日のサミットのときに首相会談もありましたが、その検討状況はどうなっているのでしょうか。

大臣)

 昨日事務次官もこの質問にお答えしたようですが、それ以上のこともまだありません。いずれにしても、学習指導要領の説明会は14日になりますから、それまでに最終的な判断はしなければいけないと思っています。

記者)

 大臣の領土問題の教育に関する考え方をお聞かせください。

大臣)

 領土は国家の基本でありますから、教育現場でしっかりと、そのことを指導していかなければいけない、教えていかなければいけないと従来お答えしていますし、今もその考えは変わっていません。

記者)

 鳥取県情報公開審議会が学力調査の結果について、学校別や市町村別の結果を開示せよという答申を出しました。昨日、鳥取県教育委員会に対して、文部科学省として、実施要領の趣旨を理解して欲しいということをおっしゃったようですが、大臣はこの問題についてどのようにお考えですか。

大臣)

 昨日、事務次官がお答えをしていると思いますが、実施要領は皆さんに御案内のとおり、各教育委員会等へそのことを基本的に御説明し参加・協力をして頂いているというのが大前提であります。そういう中で、今回このようなことが起こったわけですが、我々としてはやはり、当初の実施要領について説明をさせて頂いた、またこの全国学力・学習状況調査の趣旨や意図に鑑み、文部科学省が参加・協力をお願いした実施要領に沿って、鳥取県教育委員会においても対応をして頂きたいと申し上げていますし、私もそのようにお願いしたいと考えています。

記者)

 先ほど地方の自主性の話がありましたが、これは地方の条例に基づいて、地方の審議会がそのような答申を出しています。それの尊重と実施要領の尊重の関係は、どのようにあるべきだとお考えですか。

大臣)

 最終的には、地方が自主的に判断をされるということにならざるを得ないかと思います。仕組みの中では。ただし、我々としてはできるだけ、全国学力・学習状況調査の趣旨を理解して頂き、文部科学省の実施要領にありますような方法で、この情報を扱って頂きたいと思います。

記者)

 地方が勝手に情報を出す出さないを決めているのではなくて、情報について国民が、情報公開条例に基づいて出して欲しいというものに対して応対するということなので、教育委員会に対して理解を求めるというのはわかるのですが、そういうものを請求するかどうかを、国民にまで、国がすべてに強制もしくはお願いするのか、ここに一つの疑問があります。また、そもそもあのような採点、集計の仕方、児童生徒への出し方をやれば、必ずその情報は、最終的にはランキング付けや文部科学省がいちばん良くないと言っている過度な競争に結びつく可能性を内包している問題だと思うのですが、そういうリスクを背負ってまで悉皆でやる意味が本当にあるのかどうか、もう一度お伺いしたいのですが。

大臣)

 先ほどもお答えしたように、強制はできないのだと思います。これは、ルールがそういうものであると思います。ですから、我々としては我々が意図したような形で御理解し参加して頂いたという前提でお願いをしていると御理解頂きたいと思います。条例や法令に対してということになれば、今おっしゃったように強制力は残念ながらないというのが実態だと思います。その上で、今の御質問ですが、これをどのように考えていくかは、私はこの問題が起こったときに、これと同種の問題がどの程度起こりうるのかを担当部局に確認しましたが、今、情報公開請求は埼玉県や大阪府などで一部起こっているようですが、全体の範囲として言うならば、鳥取県の条例は、これは当然、条例としてお決めになったことですから、条例がどうのこうのという意図は全くありませんが、非常に特殊な例であるということからすれば、他に請求のあった例がないわけではありませんが、このこと一つをもって、全体を今の段階で一から考え直すということではまだないのではないかというのが、現在の率直な私の気持ちです。

記者)

 昨日も事務次官に同じようなことをお伺いしたのですが、原則、参加するか否かは市町村教育委員会の判断になると思います。都道府県としては、あまりここに主体的な判断を差し挟まれない中で、鳥取県に対して、その前提で参加しているのだから、それを尊重してほしいというのは、非常に理不尽な要求のように感じるのですが、それはどのようにお考えですか。

大臣)

 理不尽と言われましたが、とにかくこの命令に従えと言っているわけではありませんから、お願いをさせて頂いているわけですから、そこまでおっしゃらなくても良いのではないかなという気はしますが、いずれにしても、我々はやはりこの調査の趣旨、我々が意図しているものをよく説明して、県の御理解を頂くようにしたいと考えています。

記者)

 東京大学医科学研究所における検体の不適正な取り扱いについて報道が朝ありましたが、報告を受けておられる内容と所感をお聞かせください。

大臣)

 報告は今朝聞いたのですが、7月8日、9日と東京大学から中間的な報告があったようです。その前は5月の連休頃に、そのようなことが実は言われているという報告があったと聞いていますから、中間報告ということです。まだ確かなところは承知していません。ただ、今朝報告を受けたところによると、御本人がそのような意識があったかどうか明らかでないという報告ですから、5月の連休頃から考えますと2ヶ月経っていますから、東京大学ももう少ししっかりと調査して欲しいというのが率直な印象です。こういった研究の場でこういったことが起きていることに対する事実関係が、少なくとも私には明らかになっていませんから、その前提で申し上げますと、いまだにはっきりしていないというのは極めて遺憾であります。早急に東京大学としてもしっかりとより詳しく調査をして、報告をさせたいと考えています。

記者)

 学習指導要領解説への竹島記述の問題ですが、日韓首脳の話題に触れるぐらいの世間の注目を浴びています。14日の中学校学習指導要領中央説明会で資料が配られるから、それまで待てというのは、冷たい感じがするのですが、その前の段階で国民に対し、こういう結論になりましたというのを説明して頂ける場面というのはお考え頂くことはできるのでしょうか。

大臣)

 私から申し上げますと、まだ結論が出ていないのです。その出てない段階で、ぎりぎりいつできるかも含めて、まだお答えできる段階ではないというふうに思います。冒頭御質問がありましたが、実はそういう報道があり、それからお互いが話し合いをされたということは間接的に私は聞いていますが、その具体的な、詳しい内容はまだ本当に知りません。これは最後にきっちりと話をしないと、やはり決定できないことですから、今その何かお答えをするという段階ではないということは御理解頂きたいと思います。今そういう御要望があったことはもちろん真摯に受け止めたいと思いますが、今の段階で何かお約束できるかはまだお答えできないということは、御理解頂きたいと思います。

記者)

 首相のお考えを大臣がお伺いするのは、だいたいいつくらい、そういうのはまだわからないのでしょうか。

大臣)

 それはまだ時間がありますから。それと総理がサミットから帰ってこられたのが一昨日の夜中ですか、今朝もお顔は拝見しましたが、まだちょっと。これは総理も交えた総合的な判断に最後はなるのでしょうから、私の考えはもちろん持っていますが。今の段階では、先ほど申し上げたようにお答えするのが私としては適当であろうと思います。

記者)

 総合的判断というのは外交的な配慮が含まれているという意味でしょうか。

大臣)

 それも含めて総合的判断ではないですかね。私は当然、教育の長として今、先ほどの質問にお答えさせて頂いたわけですから。

記者)

 痴漢で懲戒免職となった東京都立高校の副校長が、東京都の人事委員会の裁決で停職処分に軽減されたという話がありましたが、それについて大臣のお考えをお聞かせください。

大臣)

 報道でしかまだ知らないのですが、少なくとも報道で見る限りにおいては、よくわからない話ですね。報道されている内容で、もし、その軽微であったからという理由で、そういうことになったとしたら、それは少しおかしいのではないかと思います。これもやはり、事実をもう少し聞かないと正確にはお答えできませんが。いずれにしても、都の人事委員会と教育委員会が、それぞれの権限と責任に基づいて判断されたことですから、基本的にその事実について私はそれ以上知りませんから、どうのこうの申し上げることも適当ではないというふうに思います。

記者)

 大分県の汚職事件関係ですが、まだこれから先の話で一義的には大分県教育委員会の話なのですが、今回の事件で、不正な行為によって採用された教員、あるいは、逆に不正行為によって不合格となった人たちに対する処遇について、大臣のお考えは。

大臣)

 処遇は、一義的には大分県教育委員会でお決めになることであろうと思います。適正に処理されるように望んでいます。これだけの事件になっているわけですから、厳正に処理されると私は期待しています。また、何よりもこういうときに大事なことは、きっちりと責任者自らが説明責任を果たして頂くことであろうと思います。

(了)

  • 本概要は、発言内容を変更しない範囲で読み易く修正しています。

(大臣官房総務課広報室)