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平成20年6月17日大臣会見概要

平成20年6月17日(火曜日)
9時46分〜10時15分
文部科学省 記者会見室

大臣)

 本日の閣議は、「平成20年度中小企業者に関する国等の契約方針」について甘利経済産業大臣から、「G8司法・内務大臣会議の開催結果」について鳩山法務大臣及び国家公安委員会委員長から、「平成20年岩手・宮城内陸地震」について泉防災担当大臣から発言がありました。私と岸田科学技術政策担当大臣から「星出宇宙飛行士搭乗のスペースシャトルディスカバリー号」について、帰還したという発言をさせて頂きました。また、岸田科学技術政策担当大臣から、過日、沖縄で開催された「G8科学技術大臣会合の結果」について発言がありました。それから、今日の地球温暖化対策推進本部の閣僚会議を受けて鴨下環境大臣から「クールアース・デーの創設」について、毎年7月7日をクールアース・デーとする決定が行われたという報告もありました。また、渡辺金融担当大臣から「マレーシア・クアラルンプール出張」、高村外務大臣から「アフガニスタン支援国際会合(パリ会合)出席」についての発言もありました。なお、過日宇宙基本法が成立しましたが、本日、担当大臣として岸田国務大臣が就任をされることが決定をされまして、報告がございました。あと、閣僚懇談会においては、「中小企業金融の現状」について渡辺金融担当大臣から、また同じく、「中小企業金融の円滑化」について甘利経済産業大臣から発言がありまして、その後、総理から今回の地震の件について若干の言及がございました。早期に対応して頂いたということ、それから、引き続き行方不明になっておられる方の捜索について、また、今回は朝の8時44分、しかも土曜日ということでしたが、夜とか、そういう場合でもより緊急の対応が取れることも視野に置きながら対応してほしいといった主旨の発言がございました。
 私から一つ報告がありまして、いわゆるダビング10の早期実施に向けた環境整備の問題がありますが、暫定的な措置として政令の改正によって、ブルーレイディスク関係の録画機器、記録媒体について、私的録画補償金制度の対象に追加するということで経済産業省と我が省との間で合意をしましたので御報告をさせて頂きます。私的録画補償金制度の見直しは、今まで文化審議会で議論をされてきましたが、早期に合意が形成されるように引き続き努力をするということで、関係省庁として総務省、経済産業省、文部科学省の意見が一致しています。ダビング10の実施日の確定については、今後総務省の情報通信審議会の場で、さらに関係者間の話し合いが進められると考えているところですが、早期に解決するように期待をしています。

記者)

 報道によると、メーカー側のとりまとめを経済産業省が行ったという内容ですが、権利者側の文化審議会の折衝に対する反応はあるのですか。

大臣)

 はい、まだ必ずしも納得は頂けていないと思っています。今後、先ほど申し上げたように、合意形成の努力をしていくわけでありますが、このことですべて問題が解決したということではありません。あくまで暫定的となっているわけですが、私も詳しくは承知はしていませんが、何よりも、一つはやはり北京オリンピックというものが視野に入っていたと聞いています。それ以前に、少なくとも一定の解決というものをみなくてはいけない。そういう話し合いが行われたと聞いています。当の権利者の方々と話をしまして、そのような議論が行われた結果、少なくとも省庁間では現在このような形で調整が行われているということです。

記者)

 今回、ブルーレイディスクに限定した、暫定的な措置ということで合意した理由を、ございましたらもう少しお詳しくお願いいたします。

大臣)

 これは要するに、補償金制度の見直しについて関係者間の意見が完全に二つに分かれていたと承知をしていますが、その調整は現時点において、なかなかつかないと考えて頂くと良いと思います。従来、例えばDVDについてもこのような形は取られていたわけで、これについても色々意見がありました。今回、次世代のブルーレイディスクについての対応というものがまだ行われていなかったというところから、今回のような暫定的な措置が、一応調整の土俵に乗せられていると考えて頂いたら良いと思います。

記者)

 権利者団体の側は、ダビング10解禁に当たってはこの補償金問題の解決を訴えてきたわけですけども、これによってダビング10は本当に解禁できるというふうにお考えですか。

大臣)

 これは今後の調整ということになると思います。これも申し上げましたように、関係者間で今後より努力をして、話し合いが行われ、そして合意が形成されるように我々としても努力をしていきたい、と考えて頂いたら良いと思います。

記者)

 デジタル放送を録画することについては、今後も補償金の対象とするのかどうか、メーカー側と権利者団体の間でかなり意見が分かれていましたが、2011年以降も補償金制度が続くのかどうか、その点はどのように考えていらっしゃいますか。

大臣)

 これも、これからの話し合いで決定されると考えて頂いたら良いと思います。そのことが今、はっきり決まれば、こういう形の合意にはならなかったと思います。

記者)

 政令の改正は何日付けでしょうか。

大臣)

 関係者と一応調整を行いますから、これからです。

記者)

 ブルーレイディスクは我々の普通の認識としてはDVDと同様ですから、当然、補償金の対象になると思うのですが、それでもダビング10の解禁に向けて調整するということは、結局、権利者団体側が押し切られたという形ではないのでしょうか。

大臣)

 これは今の私の考えで、詰めて申し上げているわけではありませんが、いわゆるデジタルという新しい手法の媒体と、従来のアナログのものを一体として考えるということは適当でないと思います。そこのところを今どうやって整理をしていくか、2011年までの間にそういう作業がやはり残っていると思います。一方、ではそれは一気に解決するかということもあるわけですが、他方、北京オリンピックという世界の大きなスポーツイベントもあるわけですから、それに対して、ユーザー側のニーズを踏まえた上で、結果的に現時点において、このような調整が行われていると御理解を頂いたら良いと思います。私も初めてこの話を聞きましたとき、今の御質問と同じような趣旨の疑問を持ちました。ただ、これはやはり新しい技術ですから、そういったところが一つの焦点になっているのではないかと思います。

記者)

 普通のユーザーからしてみると、権利者やメーカーとの細かい話し合いというよりも、いつダビング10が始まるのかが一番関心のあるところと思うのですが、大臣としては、オリンピックがもうすぐ目の前に控えて、開始の時期にはどうあるべきかということと、今の時点でこういう形で決着したということの受け止めをもう一度お願いします。

大臣)

 これは今もお話ししたとおりでして、例えば大型ディスプレイが波及的に日本の社会で広がったのは、やはりワールドカップのニーズというのが非常に大きかったと思います。あの時期に非常に増えたわけです。そういったことと同じで、今回やはり感動的な場面をできるだけ鮮明な画像で残したいといったニーズが多くあると言われていますし、そういったことによって、自ずと時期が決まってくるでしょうし、また、だからこそこの段階で暫定的な措置が今回図られたのだと思います。

記者)

 今までダビング10の解禁に向けて、この問題の決着と言われてきたのですが、暫定的にせよ、こういう形になりますと、次は2011年までに決着しなくてはいけないということになるのでしょうか。それとも、その前に、ここまでにというタイムリミットはあるのでしょうか。

大臣)

 次は2011年、地上放送の完全デジタル化というのが、一つのポイントになると思います。著作権という観点からしますと、iPodを含めて新たな利用手段というものがユーザーの側に色々と出てきているわけですから、今後どういうやり方でやっていくのか。グローバルスタンダードがはっきりしていれば我が国もそれに合わせてということに間違いなくなっていくと思うのですが、どうもヨーロッパとアメリカとでかなり差があるようですから、そういう中で我が国として今後どのようにやっていくのかというところです。今回はお互いの意見が離れたままこういう形になっていますから、一度ここでクールダウンして、その時期までに、お互いの話し合いをしっかりやる必要があるのではないかと私は考えています。

記者)

 先週土曜日の岩手・宮城内陸地震で、学校でも被害が出ていたようですが、学校の耐震化について、大臣としての御所感をお願いします。

大臣)

 すでに、担当局から被害状況等は逐次御報告していると思います。まず何よりも、まさにこのような地震というのは、我が国にとっていつどこで起こるかわからないということを改めて痛感しました。そのことを再認識したというのが率直な印象です。我が省として一番気になるのが学校施設ですが、幸いと言いますか、現在までのところ完全に倒壊した施設はないようですし、震度6強を記録した地域で従来から地震による倒壊の危険性が高いと言われていましたIs値0.3未満の施設もなかったと報告を受けているところです。ただ、天井の仕上げ材がはがれるとか、壁に亀裂が入るとか、ガラスの破損といった被害はかなり出ているようで、今わかっているところで292施設あると聞いています。まずやらなければいけないことは、子どもたちが一日も早く学校に戻れるように、今後、応急危険度判定をきっちりとやって、もう既に現地に職員が入っているわけですが、地方自治体と共同して行って、そして復旧しなければいけないところは一日も早く復旧し、子どもたちが勉強できるようにすることが大事だと思っています。同時に、既に御案内のように、去る6月11日に「地震防災対策特別措置法改正法」が成立しています。懸案でした補助率を上げて、耐震化を促進するため、できるだけ早く各自治体に対応をして頂けるように、今月20日に都道府県教育委員会、また、実際に仕事にあたって頂く建築関係の様々な団体等にお願いすることとしていますが、こういうことを通じて、子どもたちが一日の大半を過ごす場所であり、避難施設にもなる学校施設の耐震化が促進をされるよう、より一層努力していきたいと思っています。

記者)

 昨日、中央教育審議会の初等中等教育分科会に対して、学校の適正配置の具体的検討の要請を出しましたが、これについての大臣のお考えをお願いします。

大臣)

 昨日、小・中学校の設置・運営の在り方、加えて、学校段階間の連携・接続等、あとは不登校児童生徒への支援ということの審議をお願いしました。来年の夏ぐらいまでにお願いしたいとしていますが、「小・中学校の設置・運営の在り方等に関する作業部会」が設置されまして、これにつきましては年内ぐらいを目処に結論を出して頂きたいと思っています。今御質問のありました、設置・運営の在り方、これは学校の適正配置も当然含むわけですが、これはむしろ私の方から強くお願いをしまして、従来、昭和31年にある程度の意見も出されていますが、大分時間も経っています。その後、統廃合等も進んでいますし学校数が増えているところもあります。そのような現在の状況を踏まえて、やはり今後の学校規模の在り方などをもう一度しっかりと見直してみたらどうかと考えています。昭和31年といいますと一クラス50人ぐらいの時代だと思いますから、少人数学級等の今の進行状況も踏まえて、教育的意義からして、どのような学校規模が望ましいかといったことをもう一度しっかりと議論をして頂きたいとお願いしました。よく財政の側からは無駄だとか言われるのですが、そういうつもりはありません。我々はやはり、子どもたちがある程度の集団生活をしてその中で大きな教育効果というものがあるのではないか、昨今様々な事件が起こっていることを考えても、やはり集団生活に対して、現在の子どもたちが本当にうまく、その能力をつけているのかという疑問もあります。これは規模だけの問題ではありませんが、子どもたちが小・中学校の教育段階で、どういった学校の在り方または運営の仕方で教育されるのが一番良いのかを一度中央教育審議会でしっかり議論して頂きたいとお願いしました。

記者)

 先ほど御報告頂きました、宇宙開発担当大臣が岸田国務大臣に決まったことの受け止めと、今後の宇宙戦略に文部科学省としてどう関わっていくのかについてお願いします。

大臣)

 今回、宇宙基本法(以下、「基本法」という。)が成立しまして、宇宙戦略本部(以下、「戦略本部」という。)を内閣官房長官の元に、そして一年間目途で内閣府に移し総合的に宇宙戦略を作っていくということで、岸田科学技術政策担当大臣の下に置かれたと思います。それが一番良いと私も思っています。戦略本部では、日本の国全体の宇宙戦略を、これは総合科学技術会議も同じですが、省庁横断的に立てていく役割をされるということです。それぞれ各分野がどういう役割を果たすのか、そして実施体制をどういう形に作り上げていくかはこれからのことです。この基本法はいわゆるプログラム法ですから、その中で我が省がどういう役割を果たしていくかということでしょう。基本的には我が省は科学技術庁の時代から宇宙航空研究開発機構を実施機関として監督・指導してきた立場にあるわけですから、今までの経験、実績はきっちりと果たせると考えています。実施機関を骨太にして一緒にしてしまえという考えもありますから、そういった考えも含めて、全体的にどういう体制にするかという議論になるかと思いますが、私の今の感じとしては、戦略本部で、戦略策定を含む全体の調整を行うという前提に立って、それぞれの実施機関がしっかりと役割を果たしていくという形が一番良いのではないかと思っています。こう言うと、すぐ省庁縦割りと言われますが、縦割りにならないように戦略本部を作るわけです。また、内閣府がすべて束ねて何でもかんでもやるというと本当に巨大官庁になります。今の御質問にお答えをすると、我が省は引き続き実施部門のかなりの部分を引き受けていくことになると思います。

(了)

  • 本概要は、発言内容を変更しない範囲で読み易く修正しています。

(大臣官房総務課広報室)