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平成20年6月13日大臣会見概要

平成20年6月13日(金曜日)
9時43分〜10時8分
文部科学省 記者会見室

大臣)

 本日の閣議は、特に報告するものはありません。閣僚懇談会で町村官房長官から、政府の発信をする説明の仕方がわかりにくいものが多いので、国民に伝わるようにもう少しわかりやすく工夫をする必要があるという発言がありまして、少しやりとりがありました。多少長引いていたのはこのためです。町村官房長官、石破防衛大臣等が中心に意見を言われていましたが、今後どうすれば良いのかをよく検討して欲しいと総理から発言がありました。あとは今国会の延長の最大の理由になっていますASEAN(アセアン)の経済協力協定についての発言が甘利経済産業大臣からありました。今後日本が経済戦略を進めていく上で、非常に重要なことであるという主旨の発言でした。その他の報告を申し上げますと、「補給支援特措法に基づく実施計画の変更及びイラク人道復興支援特措法に基づく基本計画の変更」について、町村官房長官、石破防衛大臣及び外務大臣代理として町村官房長官から発言がありました。あとは白書等について各担当大臣から発言がありましたが特筆すべきものはありません。
 それから、私から報告することが一点あります。かねてより懸案になっていました学校耐震化の「地震防災対策特別措置法改正法」が去る6月11日に国会で成立しました。本日の閣議で、6月18日の公布・施行が決定されたわけです。これで耐震化の問題に一応の回答を出させて頂いたわけですが、私としましては、就任以来大変気になっていたことでしたので、今国会で成立したことは、大変喜んでいるというよりホッとしているという心境です。このことによって各学校施設の耐震化がより加速されることを期待しています。改正法の内容はすでにお配りしているようですが、その実施に向けて現場の支援、すなわち、態勢を取って頂くように都道府県知事、市町村長、都道府県及び市町村の教育委員会及び建築指導部局、加えて全国の建築士等の関係団体にも要請をすることとしています。言うまでもなく、学校施設というのは、子どもが一日の大半を過ごす場所ですし、また、緊急時、災害時には、地域住民の避難場所にもなるという非常に重要な施設ですので、当法律ができたことで耐震化が加速されることを期待しているところです。詳細については資料で御確認を頂きたいと思いますが、概略を申し上げますと、従来、「生活安心プロジェクト」で約1万棟の大規模地震によって倒壊等の危険性の高いものを5年間でやると申し上げていましたが、その対象施設について、従来は国庫的には2分の1、加えて地方財政措置があったわけですが、今回、補強事業において、この補助率を3分の2に嵩上げし、加えて地方財政措置も少し充実して頂くことで、地方負担が31.25パーセントであったものが、13.3パーセントまで軽減されるということです。地域、地方財政も厳しい折でありますが、この程度は何とか地方でも努力をして頂いて、学校施設の耐震化を最優先で進めて頂きたいと考えています。加えて、これは結果的に議員立法でやって頂きましたが、その協議の段階で、私立学校についても国及び地方公共団体は地震防災上の配慮をするとされています。政府といたしましても、この主旨を踏まえて必要な施策に積極的に取り組んでいきたいと考えています。なお、市町村の取組みの促進策として、これは国土交通省と連携の上ですが、都道府県による市町村への技術者の斡旋等を国が支援する、また、耐震化の補強設計等を請け負う設計者等の確保に向けた建築士の関係団体への要請を行うということを予定していまして、6月20日金曜日に冬柴国土交通大臣、それから私の両大臣出席の上、都道府県の教育委員会及び建築指導部局並びに建築士の関係団体に耐震化への要請を行う「キックオフ・ミーティング」を旧文部省庁舎6階の講堂で行う予定としています。冒頭にも申し上げましたが、これは長い間懸案になっていました。やっとここまで来られたという思いですが、このことによって、学校の安全、子どもたちの安全が、一日でも早く守られる状態になることを期待しています。

記者)

 今回、結果的に中国四川大地震が一つのきっかけになって、このような形で議員立法が進められたと思うのですが、このように実際に被害が出てしまってからでは遅いということが言われております。外国の地震があって初めてこうなったことについて、どのようにお受け止めでしょうか。

大臣)

 中国四川大地震が促進の一つのきっかけになったという事実は否定できないと思いますが、従来から、色々な可能性を検討していて時間がかかったわけであります。しかし、ここへ来て、これを進めていく上で一番大きかったのは、やはり、現場の状況を我が省の文教施設企画部のスタッフが、全国つぶさにヒアリングを行い、そして現状、従来のスキームでは、なかなかこの仕事は先へ進まないということを、実際、足で確認してきたことです。従来でも3分の1のものが、耐震化ということで2分の1に上げられたにもかかわらず、それでも進まないのは、やはり財政的な問題が一番大きい、補助率を上げないと進まないということを、我々としてはっきりと言えたことが一つ大きかったのではないかと感じています。

記者)

 教育振興基本計画の進捗状況について、昨日午後、お茶の水女子大学の郷学長が高等教育中心に意見書を提出されましたが、その辺を含めてお願いします。

大臣)

 遅くなりまして申し訳ないのですが、現在、関係府省間の調整が進んでおり、意見が出てくる状況になりました。お互いの意見を出して、意見の違うところについて相手の意見を聞いて、こちら側もこのように直しましょうといった折衝が続いていまして、そういった面では従来のただ単に質問を受けてそれを返していた状況から先へ進んだと考えて頂いて良いと思います。我々は、我々の意見をお出ししているわけですから、できるだけ向こうから多くの意見を頂いて、できるだけ早い時期に結論を得て行きたい。また、できるだけ早い時期に私と額賀財務大臣との間の意見調整を行いたいと今頑張っているところです。そして昨日、郷学長が来られました。昨日は中央教育審議会の大学分科会の部会(制度・教育部会)がありまして、分科会では現在、学士力、大学の学力の評価について議論をして頂いていますが、その中でも今後の大学はこうなければいけないといった議論もして頂いています。そういう立場から、従来からの意見等も含めて、分科会というよりも4名の方々の御意見ということで昨日お話を頂いたところです。一番大きなところは、教育とはまず投資があって、そして教育の成果というものが上がると。これは財務省の意見とはまったく逆の、反対のアプローチになるのかもしれませんが、そういうものですということをおっしゃっています。我々も投資目標というものを数値で掲げていますが、そのことの必要性について、郷学長をはじめ、安西慶應義塾長、金子東京大学大学院教育学研究科長、木村大学評価・学位授与機構長の4人でございますが、意見としてお持ち頂きました。具体的な日米の比較データもお持ち頂いたので、応援団として力強く聞かせて頂きました。ただ、我々がわかっていても、これは多くの人に御理解を頂かなければいけないことですから、我々への激励と共に、より皆様からもこういった事情を広く説明して頂きたいとお願いをさせて頂きます。

記者)

 学習指導要領の移行措置が今日の官報に告示されました。来年から授業時数が小学校でも増えますが、定数の手当について議論が続いている中で、まだ人的な手当がどうなるかわかっておりません。この関連というのは大臣はどのようにお考えでしょうか。

大臣)

 これは一言で言うと条件整備と言い切れると思います。一つは、指導要領の移行措置の中で指導内容や授業時数が増えたことによる現場の負担増に対してどのように手当をしていくか。また、教科書がまだ間に合わないわけですから、教材等をどうやって手当をしていくかということになると思います。ただいずれにしても、これからの概算要求、年末の予算等に直接絡むわけですから、その中でこの移行措置についても結果を出していかなければいけない。と同時に、一人一人の子どもたちと向き合う時間ということを従来から申し上げています。単なる指導要領だけではなくて、自立支援学級の問題であるとか、それ以外にも、去年は主幹教諭に手当をさせて頂いたわけですがこういった問題と、それから全面実施に伴う条件整備について、これは基本計画の中にも書かせて頂いていますから、これはもろにこの折衝の中で絡めるというように考えています。

記者)

 その基本計画の案で、円滑な実施のために教員2万5千人という表現がされています。実際学校現場としては、来年からすぐに授業が、特に小学校では増えてしまうので、その2万5千人が実現しない中で学校現場の負担だけが増える可能性がやはり残っていると思うのですが。

大臣)

 そこの議論が収束していません。我々は、今御質問を頂いたような主張をしていますが、一方財政側は、これぐらいは工夫をすれば頑張れるのではないかと言っています。それは、そんなに簡単なことではないというのが我々の主張ですが、これはお互いの主張がかみ合ってはいますがまだ決着していないことですから、明確に申し上げることは差し控えたいと思いますが、我々は今そういう考えを申し上げているということです。ただこれは、行政全般にわたって言えることです。教育関係は、単に行政とは言い切れないと思いますが、要は工夫できる部分はやはりしていかなければいけないわけですから、従来からも様々な議論をしています。事務量を減らすとか、負担軽減をするためにどうするか、そういったことも同時並行に考えながら、状況の整備を考えていかなければいけないと思っています。

記者)

 昨日、中国の万鋼(ワン・ガン)科学技術部長が訪問され、そこで四川大地震が話題になっていたようですが、どのようなお話をされたのかをお聞かせ頂ければと思います。

大臣)

 これは今日総理にもきちんとお伝えしましたが、万鋼部長より日本からの救援、支援に対する感謝の気持ちを表明されました。その後の話としては、4日間、現地にお入りになったという話もありました。どういう態勢でどういうことをやっているというブリーフもありました。中国では、色々な政府の統治機関が、今一丸となってやっているという話もありました。私からは、阪神・淡路大震災について、私の家族も被災民ですが、そういう貴重な経験があり、また、元々日本は災害の多い国なので防災と減災についての研究が大変進んでいる、これから先も色々な協力ができるでしょうとお話ししました。その防災と減災という中で、例えば、まだ傾斜地が少し不安定な状態にありますので、今後の二次災害を防ぐための共同調査や、建物の被害調査が今後の復興に役に立つこと等、色々な協力ができると。また、我が国はE−ディフェンスを活用し、今アメリカと共同研究等を既にやっていますから、御要請があればこういった協力の用意がありますという話を致しました。

(了)

  • 本概要は、発言内容を変更しない範囲で読み易く修正しています。

(大臣官房総務課広報室)