平成20年4月1日大臣会見概要

平成20年4月1日
9時56分〜10時22分
文部科学省 記者会見室

大臣)

 閣議が大変長引きまして、一つは、例の税制法案の、石油諸税に関する問題で、昨日の談話を含めて総理から発言がありまして、後で内容は簡単にご説明申し上げますが、その件で現在取られている対策等について、閣僚から閣僚懇談会で報告があったということ。それからもう一点、これも後で報告しますが、公務員制度改革の件について官房長官から、今日の閣僚懇談会で一応現在の法案で了承をして、明日から与党の手続きに入るという報告があり、それに関して一部閣僚から発言があったと。こういうやりとりがありまして遅くなりました。
 前置きが長くなりましたが、本日の閣議は通常の報告案件の中に、文部科学省関係で、昨日成立ました義務教育定数標準法施行令の一部を改正する政令についての報告がありました。また、外務大臣から平成20年版外交青書について、財務大臣、経済財政政策担当大臣等から平成20年度予算の成立に当たって、各々発言がありました。閣議後の閣僚懇談会では、先ほど言いましたように、総理大臣談話、これは昨日記者会見をされていますから皆さんもよくご存じのことですが、最大のポイントは、こうなって残念であるが、国民生活に影響が出ないように最大限対応をしていかなければいけないということでして、総理としては、この一般財源化ということで抜本的税制改正時にこの問題をどうするかという発言がありました。これもすでに昨日の記者会見で発言があったところですが、世界が環境対策で石油関係諸税を上げている状況の中で、我が国だけが下げるというのは如何なものかと。サミットの議長国としても、メッセージとして悪影響があるのではないかということ、また、2兆6,000億円、消費税約1パーセント分ですが、この財源について、もちろん歳出削減という努力は不断に行うわけですが、だとしても、これについてどういうふうに手当をするのかという問題、今後の地方の財政運営、道路建設に不断に対処していくために、政府としてはしっかりと対応していかなければいけないといった発言がありました。加えて、これまでの議論の中で色々明らかになったことをしっかり対応していく。まず無駄をなくす。また公益法人の改革も政治主導でやっていかなければいけないという発言がありました。これはまず、道路に関してということだと私は理解しました。その後、経済産業大臣、総務大臣、国土交通大臣、財務大臣等から現在取られている対策について説明がありました。少し紹介しますと、経済対策として、揮発油税は4月分で600億円位になるということでしたが、この対策本部を経済産業省の中に立ち上げて、事務次官が本部長として緊急対策をやると。当面は、ガソリンスタンド等について経営が苦しいところに対して金融の支援を行うというお話でした。0.4パーセントまでは自己資金でやって頂くが、それ以上については5パーセントまで利子補給をするとか、緊急に供給体制が逼迫しないような体制を取るとか、昨日ニュースでもやっていましたが、あちこちでガス欠を起こしますので、そういったことに対して、これはJAFにだと思いますが、指令を出して、万全の態勢を取るようにといったお話がありました。あとは増田大臣から、財務大臣と相談をしながらだが、地方に穴が開かないようにきっちりと対策をやっていくといった報告もなされたところです。また官房長官から、行政と密接な関係にある公益法人への支出の無駄の総点検について、これは既に事務次官等会議において二橋官房副長官から指示がありましたが、関係各省において大臣と事務次官が中心になってしっかり実施して欲しいという指示がありました。その後、公務員制度改革について、冒頭申し上げましたように、今まで閣僚懇談会や、公務員制度改革担当大臣とのバイの会談において、私も昨日お話をしましたが、色々と詰めてきたところだが、そろそろ結論を出さなければいけない時期になったと。ついては、基本的にこれはプログラム法、要は具体的な詳細の決まっていない部分もあるわけですが、そういった趣旨で党内の手続きに入ることを了承して頂きたいということでした。一部閣僚から、懸念の表明があったわけですが、基本的にプログラム法であることを前提として了承するという形になりました。なお、自分のことはしっかり言っておかなければいけないと思い、私からも発言をさせて頂きまして、私は当初の閣僚懇談会から、この公務員改革は単に公務員改革という問題だけではなくて、いわゆるまさに政治改革が伴わないと実をあげない、という主張をしていまして、党にかけるのであれば、そのことをメッセージとして付けて送って頂きたいと。要するに、政治改革もやらなければいけないという認識があることを、しっかりと確認して送って頂きたいということを、本日も加えて申し上げました。

記者)

 改正義務標準法について、先程お話し頂きましたように、昨日成立しまして、今日新年度から施行の運びとなりましたが、施行にあたっての大臣のご所感を伺いたいと思います。

大臣)

 これはいわゆる日切れ法でして、国会にも昨日までに成立させて頂きたいとお願いしてきたわけですが、何とかぎりぎり間に合いまして、そういう意味では関係者の皆さんにまず感謝を申し上げたいと思います。これで地方が計画に公式に入れるわけですから、そういった意味で、良かったなと思っています。今回は1,000名増という加配ですが、それとプラスして、先日成立しました平成20年度予算の中には、7,000人の非常勤講師の配置も盛り込んでいます。それから加えて、全ての市町村である約1,800箇所に学校支援地域本部を設置するという新しい施策を通じて、また昨年の末以来努力している事務の軽減というのもあるわけですが、学校現場の負担をできるだけ軽くすることによって、従来から申し上げております、教員が児童生徒と向き合う時間を増やすという政策目的が前進させられると。これからも努力していきたいと思いますが、そういった意味で、私としては非常に喜んでいるところです。

記者)

 映画「靖国」について、東京の3館の映画館が上映中止を決めたようですが、嫌がらせが実際にあったり、トラブルを避けてということのようです。国会議員の上映会も開かれ、文化庁の所管の独法の助成を受けた映画でもありますが、これを東京の人が見られない可能性もあることについて、大臣はどう思われますか。

大臣)

 これはまず基本的なこととして、ある意味一般論とも言えますが、こういった作品の発表の機会が、そのような嫌がらせとか何らかの圧力によって、結果的にこういうことに至ったことは、大変残念ですし、これは上映会を要望された国会議員の代表の稲田さんも声明を出しておられますが、こういうことはあってはならないことだと思います。

記者)

 教科書検定に関する話ですが、集団自決の命令の部分などをめぐって争われた、いわゆる「岩波・大江訴訟」判決が、先月28日、大阪地裁でありまして、自決命令はなかったと主張していた原告が負けまして、その判決の中で、集団自決はなかったと主張していた梅沢さんという元隊長の陳述書についての信憑性が疑問であるという判断がありました。平成18年度の高等学校日本史教科書の検定で、その裁判における梅沢さんの陳述書を参考にしたという経緯もありまして、教科書執筆者の間では検定意見の結果を改めて求めるということと、訂正申請を早める、今年の夏場にも行いたいという動きが出ているのですが、この判決を含めて大臣のご所感をお伺いできればと思います。

大臣)

 判決の中身については司法が判断をされたことですから、私はコメントする立場にないと思いますし、コメントは差し控えたいと思います。それから、検定問題との関係ということですが、この裁判が提起をされたときにも随分、その議論がありました。裁判というのは手続きがあるわけですから、裁判を起こしたということと、それから今は判決を受けてのご質問でしたが、これは違うわけでして、そのことを理由にして検定をしたということではないと、私は理解をしています。

記者)

 映画「靖国」の関係ですが、近隣に迷惑をかけるために上映するのを止めたという、これはいわゆる、先日のプリンスホテルの関係にも非常に似たような状況が生まれていますよね。こういった状態において、文化庁が所管しているところが助成しているようなものについて、文化庁として、若しくは国として何らかの対処、例えば上映する機会を一般に提供するような場を設けるようなことというのは考えていらっしゃいますか。

大臣)

 今のところは正直考えていません。これは民間がご判断をされたことですから、我々としてはできるだけこういうことが起こらないで、そして国民の皆さんが、これだけ話題になったわけですから、逆の意味では見られる機会をもう一度、民間の映画館なりが考えて頂ければ有難いなとは思います。

記者)

 その件で言いますと、いわゆる国会議員から要望があった際に、文化庁が斡旋をして上映したわけですよね。それがある意味今回のこういう論争を呼んだ一因になったかと思うのですが、それでいきますと、文化庁の対応も問題があったのではないかと思いますが、如何でしょうか。

大臣)

 こういう要望があるということで、映画会社に連絡をしたと聞いています。で、最終的には映画会社の判断で、一部にそういうことをするということではということで、議員全員にご案内を出されたということでして、それを斡旋というのかどうかは、なかなか判断が難しいところだと思います。いずれにしましても、こういったことは非常に残念ですし、今後こういうことが起こらないために、何か我々がやることがあればやっていかなければいけないと考えています。

記者)

 その関連ですが、こういった実際に上映の機会が今全然ないという事態になってしまったことに関して、表現の自由などという部分で色々な方が意見があると思うのですが、大臣はこの事態に関して何か危惧されているようなことがあればお願いします。

大臣)

 今のご質問に的確にお答えできるか分かりませんが、瞬間的に思いましたのは、やはり今言われた表現の自由とか、それから色々な作品を作られている方の活動に何らかの制約が加わる、これは精神的な意味も含めて、そういったことが起こらないようにというふうに危惧をしているというのが、お答えになると思います。

記者)

 暫定税率の関係ですが、地方自治体から、教育とか社会保障にしわ寄せが行ってしまうという声が上がっています。で、その財源の性格を考えますと、これはかなり筋違いの議論だと思いますが、大臣はどのようにお考えですか。

大臣)

 基本的にはそうだと思います。特定財源の使い道というのは、基本的には決まっているわけですから。今も一部確かに国税である自動車重量税の2割は法律上も一般財源に初めから使っていると思いますから、そういうことを考えれば、これは細かい技術的なことですが、そこまで影響すると言えばそうかもしれません。自動車重量税も地方へ行っている分は、道路特定財源に初めから税法上もなっていますから、そういうことを考えれば、確かに一般財源化といっている部分の2,500億円についても「まちづくり交付金」とか、あと残りの1,800億円も、例えば環境とか電線の地中化とか、こういうことに限られているわけですから、ここから教育費が出されているということはありませんし、それから例えば、文教施設企画部が持っている学校耐震のための予算といったものも財源的にはここからは出ておりませんから、そう言った意味で、関係するということは論理上は有り得ないと思います。

記者)

 実際に知事とか、そういうことを言っている人が連日テレビに出ていますが、大臣として、教育がきちんと保障されるよう、地方自治体ですとか、政府内で何か行動をおとりになる予定はないですか。

大臣)

 そうですね、我々もそういうことは少し考えなければいけないと思っています。昨日まではとにかくそうならないように一生懸命、我々は努力をしてきたわけですから、早速、ダイレクトということではありませんので、経済産業省の対策等に比べると少し遅いかもしれませんが、そういう心配がないように、当然考えなければいけないと思います。

記者)

 基本的に政府内や総務省や経済産業省との何か調整ということでしょうか。

大臣)

 今考えられるところとしては、主に総務省ではないでしょうか。国のその財源がなくなった分が文部科学省にしわ寄せがくるとは、今のところ私は考えていませんから、そうしますと、例えば地方分で、いわゆる国の補助金の付かない部分で教育に使われている部分が、その地方の歳入が減る中での歳出のやりくりの中で影響を受けるということがあるのかもしれません。ここは断定はできませんが、今ご質問を頂いて、そういうことがあってはいけないので、そこはチェックしてみたいと思います。

記者)

 一部の報道で出ているのですが、獨協医科大学の科学研究費補助金(以下「科研費」)の関係で、応募資格停止の処分をまもなくするということで、以前も横浜市立大学の医学部長の件もあり、またしても大学の研究の関係で疑惑と言いますか、不信を呼ぶようなことが続いたという報道があるようなのですが、改めてその件についてご所感をお伺いしたいのですが。

大臣)

 何か残念な事件がいっぱい起こりますね。我々もそういったことが起こらないように、制度上改革できるところは、例えば内部のチェック態勢とかについて細かく指導し、また再発防止に努めています。それでもまた起こるというのは、大変残念なことだと思います。これはよく私も申し上げることですが、大学は第一義的に、本当にもっと自立して、しっかりと自浄作用をもって学校運営にあたって頂きたい。これが本当に正直な気持ちです。そうでありながら、科研費とかの問題がこうやって起こることについては、大変残念に思っています。なお、こういうことが起こらないように、横浜市立大学の例について言えば、例の寄付金の問題は今大学内部で検討委員会を設置して、自らしっかり検証もし、また再発防止策をやるということですから、それを今見守っているところですが、いずれにしても、起こりにくい仕組みみたいなものを、どうやれば作れるのかを、改革をやりながら、同時に我々としては、大学に対して、こういうことが起こる度にというとまたかということになるわけですが、大学自身が誠意をもってきっちりと対応するように、指導していきたいと思います。

(了)

(大臣官房総務課広報室)