平成20年3月14日大臣会見概要

平成20年3月14日
8時45分〜8時57分
参議院 議員食堂

大臣)

 今日の閣議は通常の案件の他、経済産業大臣から「特定放射性廃棄物の最終処分に関する基本方針」及び「特定放射性廃棄物の最終処分に関する計画」の改定について、私と科学技術政策担当大臣から土井宇宙飛行士搭乗のスペースシャトル「エンデバー号」の打上げについて、厚生労働大臣から春闘情勢について、各々報告がありました。閣議後の閣僚懇談会は特に発言はありませんでしたが、閣僚の答弁時間をできるだけ短くするようにという、予算委員長からの注意が伝えられました。

記者)

 横浜市立大学で学位取得に際して、医学部長が学生らから謝礼を受け取ったということが判明しました。これについての大臣のご所感と、関連して、中央教育審審議会でも博士課程について議論を始め、学位取得の在り方について透明性を求める報告が出ているようですが、その学位取得のプロセス等の改善などについての大臣のお考えをお願いします。

大臣)

 今回の横浜市立大学の件は、文部科学省としては3月12日に大学より報告を受けています。詳細な事実関係は今横浜市立大学内のコンプライアンス推進委員会で調査をされていると聞いていますが、いずれにしましても、学位授与に関して金銭の授受が行われたことは大変問題であると考えています。皆さんもご案内のように、昨年12月に名古屋市立大学で同様のケースがありました。その発表以降、文部科学省としても、例えば国立大学協会教育・研究委員会、公立大学協会理事会、学校法人の運営等に関する協議会等、あらゆる機会を通じて、学位審査体制をしっかりと学内で確立するようにという指導もしてきたわけですが、なお、今回のことを受けまして、再度そのような趣旨を督励していきたいと思っています。
 一方、中央教育審議会でこの学位授与に関して既に議論がスタートしています。ご質問がありましたように透明性を上げていくとか、それから客観性を確保していくとか、こういったことが最大の問題になろうかと思いますが、この議論をより加速して頂きたいと、私からお願いをしたいと考えています。

記者)

 来年度の全国学力・学習状況調査の参加予定校が発表されました。私立がかなり減っているのですが、そのことについての受け止めをお願いします。

大臣)

 理由について、現時点では厳密な意味での把握をしている状況ではありません。ただ巷間、私立からしてみれば若干問題が易しかったのではないかということを言われていると聞いています。こういった点も含めて、今後もう少し細かく分析させて頂きたいと考えています。これは悉皆調査という趣旨からしましても、私立の場合は従来からも全部ということではなかなかなかったわけですが、より参加をして頂くように、今後ともお願いをしていきたいと考えているところです。

記者)

 昨日、スペースシャトルが宇宙ステーションとドッキングしました。土井宇宙飛行士の様子などをご覧になられての感想をお願いします。

大臣)

 率直に言いますと、大変元気で、楽しそうにというのは良い表現か分かりませんが、素晴らしい笑顔でメッセージを送ってきている、そんな印象を受けます。私も正直、宇宙から地球が見てみたいなと、そんな思いを持ちました。いよいよ今日は「きぼう」の船内保管室の取り付け作業をするわけですが、本領の発揮というところですから、頑張ってやって頂きたい。また、成功するものと確信しています。

記者)

 横浜市立大学の関係ですが、もう一回督励をするとおっしゃいましたが、何か通知とか、あるいは集めて何かお話するとかということですか。

大臣)

 今のところは通知を出そうと考えています。

記者)

 先日、靖国神社を巡る映画の関係で、国会議員の試写会があり、国会議員の方から政治問題化するテーマに対して文化庁が助成するのはおかしいのではないかという指摘があったのですが、それについてはどうでしょうか。

大臣)

 この問題について承知はしていますが、私は映画を見ていませんので、これをどう見るかということについてのコメントは、差し控えたいと思います。いずれにしましても、これは文化庁所管の独立行政法人日本芸術文化振興会において、専門家による手続きを経て選ばれたと聞いていまして、それに対して今、様々な意見が出ているということですから、そういった意見もお聞きしたいと思います。ただ、ひとつ言えますことは、この経緯は皆さんももうご存じだと思いますが、この経緯の中で、特定の議員だけにお見せすることは不適当ということで、映画配給会社が全員の国会議員ならということで、文化庁が会場をお世話したという経緯があります。その国会議員への案内状の中に、「協力 文化庁」というくだりがありまして、それがまるで推薦しているような印象を与えるということがあります。私は、それはそのように取られても仕方がない部分があると判断していまして、この件に関しましては、誤解を与えるようなことをしてはいけないということで、厳重に注意しました。

記者)

 文化庁に注意されたのですか。

大臣)

 文化庁にです、もちろん。

記者)

 その試写の斡旋をしたことについて、注意をしたと。問題ありと大臣はお考えだということですか。

大臣)

 いや、そうではありません。先ほども言いましたように、国会議員に配られました案内状の一番下に「協力 文化庁」と書いてありますので、何故こんなことを書いてあるのかと聞いたら、この趣旨は会場がないということで、試写会会場(東京国立近代美術館フィルムセンター)をお世話したということであると。ただ、この表現では文化庁は協力をして、この映画を推薦している、そういう誤解を与えかねない表現であるから、こういうことは注意してやって欲しいと厳重に言いました。

記者)

 それは政治問題化するテーマだからということで、一般的には助成していると、やはり推薦しているようなイメージを受けなくはないのですが。

大臣)

 あの表現では誤解を与えるという意味で注意をしました。推薦とかいう場合には、やはり公の名前を使うわけですから、はっきりとその意思があって、はっきりとそういう扱いにするべきだと思います。私は自分がこういう職におりますから、最近、文部科学大臣という名前を使うことには非常に慎重になっていて、気楽に受けるということをやっておりませんから。公の名前というのは、そういうものであろうと考えています。

記者)

 今日閣議決定されたと思うのですが、地方自治体が国立大学への寄付を大幅にしやすくなると。これは国立大学に対してどういうメリットがあると思われますか。

大臣)

 今まで、特に地方の活性化等で自治体が大学と一緒になって様々なことを協力してやっていく、一番顕著なものは産学連携ですが、こういうことをしようとしても、法令の規定がありまして、簡単に寄付ができないということが、地方でいっぱい起こっています。従来から特に学生の教育とか医療に関わる部分は駄目だったのですね。今回病院も入りましたが、そういうことによって、地方が具体的に何かやるときに、非常にやりやすくなるといいますか、そういったことに大いに寄与すると思います。総務大臣とも、従来から色々なお話をさせて頂いておりましたが、今回迅速に対応して頂きまして感謝しているところです。

(了)

(大臣官房総務課広報室)