平成20年3月11日大臣会見概要

平成20年3月11日
9時37分〜9時53分
文部科学省 記者会見室

大臣)

 今日の閣議は通常の報告案件の他に、私から「子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画」の変更について説明申し上げました。これは「子どもの読書活動の推進に関する法律」に基づき、これまでの成果や課題等を検証し、地域における読書環境の格差の改善や、学校における新「学校図書館図書整備五カ年計画」に基づく学校図書館図書標準の達成、司書教諭の発令促進など、家庭、地域、学校における取組を記載した改定案を取りまとめたものでして、この計画に基づき、読書活動の推進を図るというものです。閣議後の閣僚懇談会で、公文書管理担当大臣から公文書管理の在り方について発言がありました。新しい法律ができるまでは廃棄をしないようにということですが、農林水産省あたりは膨大な資料が出るようでして、そういったものについてどう取り扱うか、少し交通整理をしなければいけないといったやりとりもありました。続きまして、総理から成長力強化の早期実施策について、経済財政政策担当大臣の下で現在取りまとめ中の新経済成長戦略の中で、中小企業の体質強化や雇用の改善、地域活性化につながる政策を中心に、成長力強化の早期実施策を4月早々にも取りまとめることとするという発言がありました。これを受けて、経済財政政策担当大臣と財務大臣から発言がありました。その後、公務員改革についてのやりとりも少しありまして、今後の取りまとめにあたって、できるだけ色々な意見が反映されるようにという話もあったところです。

記者)

 今日の午後に、スペースシャトルで「きぼう」の打ち上げがありまして、日本の有人宇宙施設の建設が始まったりしますが、ご所感をお願いします。

大臣)

 これはご案内のように、今日、日本時間の午後3時28分、現地時間では午前2時38分に、我が国の宇宙飛行士である土井さんが搭乗されまして、スペースシャトル「エンデバー」が打ち上げられる予定になっています。この中で、我が国初の有人宇宙施設である日本実験棟「きぼう」の国際宇宙ステーションへの組み立てがいよいよ開始されるということでして、この計画は我が国にとりましても、宇宙での滞在等も含めた有人宇宙技術の蓄積という意味、また宇宙環境利用の推進という意味で、新たな産業活動にも発展する可能性がありますし、様々な新しい科学的知見を創造する上でも非常に意義があると考えています。同時に、これは大変大事なことだと思うのですが、今理科離れといったことが言われる中で、この宇宙分野というものは、我が国の子どもたちに一番大きな夢を与えると。私はこの前も地元の会合で子どもたちに、今度土井さんが宇宙へ行くよと、皆も頑張れば宇宙へ行けるかもしれないという話をしたのですが、非常に子どもたちが夢を膨らませるといった意味でも、大きな意義があると思っております。その意味でも、今回のミッションが成功裏に終わるように願っているところです。なお、ご案内だと思いますが、5月には船内実験室、来春には船外プラットフォームが打ち上げ予定であり、今後とも、参加各極と協力しつつ、国際宇宙ステーション計画を着実に推進していきたいと考えています。
 あと一点、今、科学技術外交ということを我が国では申し上げております。これは新しい外交戦略の中でもしっかり書いてあるわけですが、この宇宙ステーションは各国の国際協力でできあがっているわけですから、そういったことに日本としても積極的に参加して我が国の持てる力を発揮することは、外交という意味においても意義があると考えているところです。

記者)

 冒頭お話がありました公務員改革について、骨抜きとか、色々表現されておりますが、この問題について大臣の現在のお考えをお伺いできますか。

大臣)

 私は当初から、有識者懇談会の案の中で一番関心があり、なおかつ慎重に詰めて欲しいと思っている部分は、なかんずく、立法府と霞ヶ関の関係、それから政党と官僚の関係をどう改革していくのか。イギリスの議院内閣制の話がよく出されますが、一見似ているようで実は全然違う状況を考えれば、もう少し、どことどこの関係という意味でものを考えるときには、一方だけを言うのではなくて、例えば、立法府の現在の審議の在り方も含めてしっかりと決めていかないと、片側だけを変えてもなかなか現実には事はうまく運ばないだろうという印象を持っています。このことは行政改革担当大臣にも色々な議論がある度に申し上げていることでして、ここが正直まだクリアになっていないと考えています。当然これは公務員改革ですから、霞ヶ関側だけの議論が主体になっていますが、それは大いに考えなければいけないだろうと思っています。
 それから、人事のことは正直まだそれほどクリアになっているわけではないですね。巷間聞こえてくる話では、基本的には大臣が人事をし、それを人事庁がサポートをすると。その辺はもう少し、実際はどうなっているのか、むしろマスコミから読み取るようなところがありまして、ここはもう少し検証しなければ分からないところですが、それであれば、今やっていることとそれほど変わりがないといいますか、私はあえて言わせて頂いたら、もし縦割りの弊害ということを言われるのであれば、政治としてはむしろ自分たちの敗北宣言だと思わなければいけないと思っています。これは個人の意見として、あえて言わせて頂きますが、それをきっちりと調整し、そして内閣としてものを決定していくというのが政治の役割であると思っていますから、官僚がどうというより、そのことは我々政治家がやらなければいけないのだろうというのが、常々私が考えていることです。できているかどうかは別ですが。
 それから、採用のことも今聞こえているところによりますと、正直言いましてまだクリアではないですから、まだ議論のあるところだろうと思っています。優秀な人材が官僚として霞ヶ関に来て頂けるような制度にしなければいけないので、十分に留意して頂きたいということは、行政改革担当大臣にも色々なところで申し上げているところです。

記者)

 埼玉県川口市立川口高校の校長が脅迫罪で逮捕されました。この事件を受けて、大臣のご所感をお聞かせ下さい。

大臣)

 これはもう言うまでもなく、本来子どもたちの安全を守っていかなければいけない立場の先生が、このようなことで逮捕されることは言語道断です。しかも校長ということですから、尚更であるわけでして、これは言葉を待たなくて断言できると思っております。川口市教育委員会は昨日校長会を開催し、埼玉県教育委員会も近々開催すると聞いていますが、都道府県教育委員会を通じて、なお、こういうことが起こらないように、文部科学省からも、再発防止をしっかりやって頂きたいという通知を出したいと考えています。

記者)

 「きぼう」の関係ですが、先ほど大臣がおっしゃった科学技術外交ということですが、膨大な費用がかかるということで、具体的に一般の方に分かりやすく、これがどう活かされていくのか、その点を伺わせて下さい。

大臣)

 活かされるという意味では、先程も申し上げましたように、我が国がこの宇宙空間でやろうとしている色々な実験なりが、日本の科学技術の進歩に、非常に大きく貢献するであろうと思います。
 外交という意味では、例えば人類が全体で未知の世界へチャレンジしていくというのは、国を越えてそれぞれが持っている力を結集してやっていく、フロンティアを切り開いていくということになるわけでして、宇宙だけではなくて、例えば国際熱核融合実験炉(ITER(イーター))についても、我が国は主導的な役割を発揮しています。こういったことが、日本が世界で存在感を示すことにもなるわけですし、世界から信頼され、評価され、そして日本自身のプレゼンスを高めることが、経済的にも、また外交的にもプラスになると考えて、私は外交的な意味もあると申し上げました。それぞれの国が持っている科学技術力や経済力をもって協力することは、今後科学技術の分野においても、非常に大事なことであろうと考えています。

記者)

 文部科学行政と関係ないことで非常に恐縮ですが、新銀行東京の累積損失がだいぶ膨れあがってきているということが、今問題視されています。石原都知事の責任論という声も上がっているのですが、率直な大臣のご感想をお聞かせ下さい。

大臣)

 知事はああいう方ですからね、自分でお考えになると思いますよ。私がこれについてとやかく申し上げることではないと、お答えをさせて頂きたいと思います。

(了)

(大臣官房総務課広報室)