平成20年1月25日大臣会見概要

平成20年1月25日
9時32分〜9時46分
文部科学省 記者会見室

大臣)

 今日の閣議は、従来から話が出ております社会保障国民会議の設置を閣議決定しました。まだ正式に日程は決まっておりませんが、今のところ29日の夕方に第1回目を開くということでした。また、総務大臣から平成20年度地方団体の歳入歳出総額の見込額についてと、消費者物価について発言がございました。閣議後の閣僚懇談会では、金融担当大臣から新潟県燕・三条地域における中小企業者等との意見交換会について、これは国民対話だと思いますが、報告がございました。また、ダボス会議に総理、農林水産大臣、環境大臣、金融担当大臣が出席される関係で、各々の臨時代理が報告されました。

記者)

 杉並区立和田中学校で計画されていた「夜スペシャル」が昨日東京都教育委員会から容認され、26日から実施されることとなりましたが、このことについての大臣の所感をお聞かせ下さい。

大臣)

 先日の記者会見でもお答えしましたように、数点の懸念があったわけですが、その点について杉並区教育委員会から回答がなされて、都の教育委員会として、その懸念が一応クリアされたということです。都の教育委員会でも今後色々なことを見守っていかなければいけないことではありますが、一応法律的にも、また様々な懸念的にも大丈夫であろうという結論を出されたと承知しております。先日も申し上げましたが、各地域が色々な意味で積極的な取り組みをされることは、大いに歓迎すべきであろうと思います。しかし、色々な懸念も無いとは言えないわけですから、都の教育委員会が示された懸念が今後生じないように、よく見守って頂きたいと思います。もう一点大事な点は、やはり保護者が色々な不安を感じないということが大事であろうと思います。機会均等ということが損なわれていないか、また、色々な意味で、例えばハードルがあって参加ができない子どもが生じるというようなことがないように、しっかりやって頂きたいと思います。あえて所感と言われますと、信頼のある公教育を実現するということは福田内閣のお約束でもありますし、総理の所信表明でも出された方針ですから、公教育への信頼というものをしっかりと担保されるように、これは何も和田中学校だけのことではないと思いますが、こういうことが行われるということが、実は公教育が信頼できないからということではないように、頑張らなければいけないと思っております。

記者)

 今の件について、今後学校と塾の関わりの在り方について大臣はどのようにお考えになりますか。

大臣)

 今回は学校外活動ということで、和田中学校の地域支援本部が中心になってやられると聞いております。既に例えば放課後子ども教室等、そういった形では色々な試みもなされているわけですが、先ほど申し上げました原則に対する懸念が起こらないようにしなければいけない。一つは、機会均等が非常に大きく損なわれるということがあってはならないわけでありますし、二つ目は、公共の施設の利用に関して無原則に広げられるということがあってはいけないと思います。塾との関わりという意味においては、特に小・中学校は義務教育ですから、基本的には通常の学校教育でなされるべきことをするということが原則であろうと思いますし、文部科学省としては、そういった教育を実現することの責任を負っていると考えております。ただ、一定の水準以上に色々と試みがなされるということにおいて、塾が節度を守って、ノールールにならない範囲の中で協力され、また、先程も申し上げましたが、保護者の理解、また教育委員会等のしっかりとしたコントロールの下で行われることについては、良いのではないかなというのが率直な印象です。

記者)

 先日、中央教育審議会大学分科会の作業部会で、AO入試なり推薦入試に学力テストを利用したほうが良いのではないかという提案がありまして、これについて大臣もやった方が良いというお考えでしょうか。

大臣)

 AO入試や推薦入試といった形で入学される学生が4割くらいといった状況になっております。この学生の学力をどこで判断をしていくかということを考えたときに、やはり少しルールといいますか、しっかりと大学側が判断できる基準が要るのではないかということで、議論されていると思います。アメリカ等も、海外が全て正しいとは思いませんが、こういった入試の形態が多いようですし、全大学の団体がそういったものをしっかりとやっているということもあります。そういったことを参考にしながら、もう少し議論を待ちたいと思いますが、基本的には何らかの基準は必要であろうと私は考えております。

記者)

 関連ですが、作業部会は「高大接続テスト」というものを提言されておりますし、今の学習指導要領を含めた答申の最後に大学入試の改善ということが書いてありますが、高校までの教育の質保障の観点からは、大臣はどのようにお考えですか。

大臣)

 基本的にそのようなもの、そのようなものとあえて言わせて頂きますが、必要だろうと思っております。しかしながら、種類が少し違いますが高等学校卒業程度認定試験もありますし、それからセンター試験もありますから、そういったものとの関連を、どういうふうに整理していくのかということもあろうかと思っております。あとこの高大接続テストとセンター試験について、ある意味どこが違うのかということも、しっかりと議論していかなければいけないのだろうと。今私の理解では、センター試験というのは、少し難問とか奇問を排して、しかも複数機会を確保するといった意味で、従来の共通一次試験から改善されて今の形になっていると思っております。で、高大接続テストというのは、そういった意味では、ある種の到達度みたいなものを確認するという意味で実施すると。実施時期も、まだ決まっておりませんが、今考えられているのは少し早い時期ということもあるわけですし、複数機会というような議論もされているようですから、ここはもう少し議論を見てみたいと思いますが、いずれにしても、やはり何らかの基準というものを設ける必要があるのではないかと思います。

(了)

(大臣官房総務課広報室)