平成20年1月18日大臣会見概要

平成20年1月18日
9時51分〜10時8分
文部科学省 記者会見室

大臣)

 今日の閣議は、一般案件の後、経済財政政策担当大臣から平成20年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度について、及び、日本経済の進路と戦略−開かれた国、全員参加の成長、環境との共生−について発言があり、総理から日本経済の進路と戦略についてコメントがありました。その後、財務大臣から平成19年度補正予算及び平成20年度予算について、官房長官から今国会の内閣から提出する法律案等について発言がありました。法律案は78件、そのうち予算関連法案が33件、それから条約は11件、加えて現在検討中の法律案が13件、条約が9件とのことでした。今後多少追加変更も考えられますが、現在のところは以上です。なお文部科学省としては教職員の定数改善がありますから、義務教育定数標準法の改正、これは予算関連法案でして、その他3件の計4件の提出を予定しております。閣議後の閣僚懇談会では、防災担当大臣から「ぼうさいカフェinあたみ」という、16日に熱海市で行われた国民対話について報告がありました。また、以前から総理から民営化後の検証をきちんとやってほしいというご指摘がありまして、今日は総務大臣から、郵政民営化後の郵便局の状況について報告がありました。いずれにしましても、現在国民から寄せられている色々な問題点に対して、今後ともきっちりと対応していくようにという総理から指示があったところです。また、例の鯨の問題に関連して、日本とオーストラリアの外交関係は今非常に良いわけですから、損なわないようにやっていかなければいけないということと同時に、ああいう行動に対しては、ある意味毅然とした態度をとることも重要であろうという議論が、少し閣僚間で行われました。

記者)

 昨日、教育・科学技術談議の3回目として、福島県の小学校と高校を視察されましたが、ご感想をお願いします。

大臣)

 昨日、国民対話の一環で福島県郡山市へ参りまして、郡山市立橘小学校並びに県立安積高校を視察しました。橘小学校では特別支援学級並びに小学2年生の英語の授業を視察しました。特別支援学級については支援員を市が手当し、また英語教室については外国人指導助手を手当しているということで、積極的な取り組みをされており、頑張ってやっているところですから、うまく行われているというのが率直な印象です。特に英語教室では、昨日提出された中央教育審議会の答申でも、英語教育を小学校の高学年でということが書かれているわけですが、先方の先生方から、我が校はいつでもやる用意があるという発言も頂いたところです。子どもが非常に楽しみながらやっていると。こういうやり方をすれば自然に、コミュニケーション能力というか、英語に入っていけるなという率直な印象を受けました。次に参りました安積高校は、県下の中でも有数の進学校と聞いており、歴史も124年と言っておられました。同校はスーパーサイエンスハイスクールを昨年度まで5年間やってこられましたが、その成果を引き続いて県の事業として、理科教育といいますか、科学の問題について積極的にやられているということで、その現場を視察しました。主に、生徒に考えさせるやり方をやってこられたわけです。これは現場で聞いたことですが、初めは消極的だった生徒が、だんだん積極的になって、自らの疑問をどんどんと出すようになってくる。考えさせることによって質問も多くなってくる。そしてその質問も、先生がむしろ「あっ」と思うような質問も出てくるということを聞かせて頂きました。事実私も質問を受けたわけですが、生徒もカメラが入っていたせいもあり多少緊張していたと思いますが、それ以上に私の方が緊張しておりまして、大臣が高校のときの成績はどうだったんですかと聞かれて、瞬間的に答えにつまる感じもしました。私は、何でも疑問を持ち聞くことを恥ずかしがってはいけないという趣旨のことを申し上げたわけですが、そういった訓練を繰り返していくことによって、子どもたちの考える力というものが上がってくるということは、この授業を見て確信をしたところです。大変印象深い思いがしました。それと同時に、私が高校を離れてもう40数年経つわけですが、自分の高校時代はどんな勉強をしていたのかなということを思い出しました。当日の授業で、「ミラクルフルーツ」という果物の中に特別なタンパク質が含まれているということを知り、私も一緒に勉強させて頂いた、そんな思いでした。以前、都立白鳳高校一年生の数学の授業を視察したときも随分難しいことをやっているなという印象を持ったわけですが、学校を離れて数十年経つと、生きる力という意味で社会に対応する能力というのは育っているのかもしれませんが、学校へ行くたびに、そういえばこんなことをやったような気がするなと、そういう思いを非常に強くしたというのが正直な実感です。

記者)

 通常国会が本日から始まりますが、いわゆるねじれ国会、衆参逆転の中で、当国会での提出予定の法案については、どのような姿勢で臨まれるのでしょうか。

大臣)

 文部科学省の法案につきましては、与党内の手続きを今やっている最中です。野党の意見も、もう少し聞いてみなければいけないと思いますが、基本的に大きな対決になる法案ではないと理解しております。ひとつは教職員定数の改善ですが、民主党は行政改革推進法の第55条第3項を削除するという法律も出されていたわけですから、そういった議論は出てくると思いますが、非常に徹底的に対立をするという構図にはならないと、今のところは予想しているところです。あとは学校給食法、社会教育三法、原子力の法案ですが、それほど大きな対立法案になるとは思っておりません。おそらく一番大きな争点は、これは民主党もおっしゃっているわけですし、別に私の口から言っても構わないだろうと思いますが、道路特定財源の問題ではないかと言われておりますし、私もそう思います。

記者)

 今週末センター試験がありまして、大学入試のシーズンが始まりますが、一方で中学受験も首都圏で2日から始まることになっておりますが、昨今、中高一貫校が公立でも増えており、12歳からもうすでに選択を始めなければいけないというふうな、学校からみれば囲い込みなのですが、そういった現状についてどのようにお感じになりますでしょうか。

大臣)

 今の高校までの教育制度は6・3・3制というのが一つのモデルになっているわけですが、今は小中一貫、中高一貫、様々な形が行われております。義務教育と高校教育というのが今までの一つの仕切りであったと思いますが、初等教育と中等教育という仕切りの考え方も、一つあるのだろうと思っております。一方、高校の進学率が今97パーセントを超えている中で、これからどういった形を考えるかというところは、なお議論の要るところではないかと思います。私の率直な印象としては、色々な形が有り得て良いと思います。中高一貫教育というのは、私立は我々の時代からも随分ありました。ただ、その時代はまだ高校の進学率がもう少し低かったと思いますから、そういった意味では、社会的な背景も変わったのではないかなと思っておりますが、結局、どこまでを義務教育と考えるか、また、国や地方の、いわゆる公的なものの関わり方をどう考えるかという、大きな仕切りというものが要るのだろうと思います。今色々なところで議論は行われておりますが、そろそろそういった意味での、大きな議論を社会的に起こしていかなければいけない時期にきたのかなというのが率直な印象です。

記者)

 大学入試センター試験のあり方について、所見がありましたらお願いします。

大臣)

 今、私自身こう思うという考えを正直持っておりませんが、資料の盗難に伴って今年の試験問題の一部を差し替えるということがあったり、また、昨年一昨年と2年続いてリスニングテストでトラブルがあったりしましたので、今の私の立場としては、今年は何も起こらないで欲しいというのが率直な印象でして、制度そのものについては、申し訳ないのですが、今私としての所見というのは、あまり強く持っておりません。

(了)

(大臣官房総務課広報室)