平成19年12月11日大臣会見概要

平成19年12月11日
9時38分〜10時55分
文部科学省 記者会見室

大臣)

 今日の閣議は、通常の報告案件がありまして、その後、上川男女共同参画担当大臣、冬柴国土交通大臣・観光立国担当大臣から海外出張の報告がありました。また、渡辺金融担当大臣から破綻金融機関の処理のために講じた措置の内容等に関する報告がありました。また、総務大臣からアスベスト対策に関する調査結果の報告がありました。これは文部科学省の使用実績調査においても一部の施設で、アスベスト含有の可能性がある吹付け材や、エレベーター昇降路について指摘がありまして、早速対応したいと考えております。また、若林農林水産大臣から第3回目の国民対話の報告がありました。閣議後の閣僚懇談会で、町村官房長官から独立行政法人改革について1月でも良いというような話が出ているが、これは拙速を避けるという意味で、できるだけ年末に向けて、今週にでも第2回目の閣僚交渉を行い、詰めるべきところは詰めて欲しいというお話がありました。

記者)

 杉並区立和田中学校で、塾の講師を呼んで、夜間授業を開くと。で、しかもそれは保護者の方からお金を集めて実施するということで、公立学校と塾との在り方というものが問われるというような指摘がされています。これについて大臣のご所感をお願いします。

大臣)

 その話は聞いています。来年度の概算要求で新事業として要求しています「学校支援地域本部(以下「支援本部」)」において、そのような取り組みがされるということです。第一義的には、公教育、特に義務教育の中学校において、しっかりとした教育が行われることが基本と考えております。で、こういった取り組みが支援本部で行われることは、地域におけるひとつの試みですから、そのこと自身、地域が色々と知恵を出されて実施しておられることですので、文部科学省がそれをいいとか、いけないとかということは差し控えたいと思います。今回の場合、今まで分かっている範囲では、学校の校長先生なりもきちんと中に入られて、カリキュラム等を考えられ、また教材等も一緒に作られるということで、本来の教育の責任者たる学校、また地方自治体等もきちんと関係した上での取り組みですから、そういった点では、その取り組みを見守っていきたいと思っております。ただ、夜に実施されるということもありますので、登下校の際とかは十分注意して頂きたいと思います。報道でも、色々な方々が様々な意見を出しておられます。これは賛否両論あるだろうなというのが率直な意見ですが、冒頭申し上げましたように、大事なことは、このことによっていわゆる本来の学校の役割、例えば信頼がなくなるとかということにならないように、やることはやって頂くということがあくまで基本だろうと思っております。

記者)

 費用負担の面で、払える家庭、あるいは払えない家庭という問題が出てくると思うのですが、この関係についてのお考えは如何でしょうか。

大臣)

 それは全く今おっしゃられた通りだと思います。そういった点も含めてトータルとして、支援本部や学校が判断されたことだと思います。ご指摘をされた、払えないところはどうするのかという問題、これは通常の塾でもあるわけですから、そういった面について今後支障が生じないように、見守っていかなければいけないと思います。

記者)

 通常の塾でもあるような差というものを助長するといったような考え方ではありませんか。

大臣)

 それはトータルで、方法をもう少し見てみないと、外形だけで判断するのは難しいと思います。例えば、放課後子ども教室は皆参加できるわけですが、ある程度費用負担をして頂くこともあるわけですから、一概にそのことだけをもって今回のことを判断することはできないのかなと思っております。

記者)

 規制改革会議が世界史の必修について、するべきではないという、何か意見をまとめているようですが、この件について大臣の意見を伺えますか。

大臣)

 これは私の率直な印象ですが、規制改革会議というのは、私の理解ではもともとは、官から民へという、これまでの官主導の社会を民主導の社会に切り替えていこうという発想の中で、また、非常に経済を活性化しようという発想の中で、経済的規制を必要以上にかけない。ただし社会的規制、特に安全がそうだと思いますが、そういった発想で作られたものだと理解しています。宮内さんだったと思います。で、ずっと色々なことをやってこられました。ただこの間、今回のレポートの説明を簡単に受けたのですが、正直、これは規制改革でやられることなのかなという内容も含まれているというのが、率直な印象です。例えば学習指導要領についての問題は、例えば教育再生会議もあるわけですから、そういうところで色々な意見が出てくるというのは良いと思います。色々なところで色々なことを言うのは良いのではないかと言ってしまえばそれまでですが、中央教育審議会で大変時間をかけ、長いこと議論して頂いた経緯もあります。また教育課程部会でより細かく色々と審議して頂いております。そういったものもあるわけですから、意見を言うことは、いけないとは言いません。これは自由だと思いますが、そういったところは、色々なところで色々なことが行われるということを、ただ単にそれだけをもって良いことだからというふうになるのでしょうか。そのところは大変疑問に思っております。

記者)

 先週、京都大学の山中先生が大臣にお会いになって、その場で全面的に支援をしましょうというふうにおっしゃっていましたが、具体的に細かいところはこれから詰めていくと思うのですが、国として最優先で早急にまずやらなければいけないことは何だとお考えですか。

大臣)

 そこのところは、少し全体を見ながら整理しなければいけないと正直思います。基礎研究から臨床までという流れをきちんと考えながら、オールジャパンの体制というものをどう組み上げていくかということになるかと思います。ただ、基礎研究の部分で言いますと、文部科学省がかかわる部分がほとんどですから、そういう意味では、この体制をまずどう取るか。これは20日の科学技術・学術審議会ライフサイエンス委員会でご議論をいただくと。もちろんその中には、先生のご意見・ご要望をしっかりとお伝えし、もう既に伝わっていると思いますが、オールジャパンの体制をどうやって作っていくかということも踏まえ、ご議論して頂きたいと思っております。私はお会いした実感として一番感じているのは、先生はあの時、今この瞬間にも実は新しい人がいると。それと何が成功の秘訣ですかとお聞きしたときに、運が良かったのですとおっしゃったのです。要は、可能性があるものをどんどんやっていく中から、あるとき突然生まれるという、私は素人ですからそれ以上は表現できませんが、そういうところがあるんだというふうに私は感じました。ですから、スピード感を持って物事を進めていくために、頂いているご要望のどれから手をつけていくか、また、どれが一番最初にやることかということも早く決めなければいけないという思いがします。当面は、今やっていらっしゃる作業に支障がないように、しっかりと、年末の予算も含めて、我々が頑張っていくということだと思います。

記者)

 教科書検定に関する件ですが、訂正申請を出した6社のうち、集団自決の背景をもっと詳しく書くような形で、訂正申請を出すことを検討している社があるようです。時間的な制約もあろうかと思うのですが、こういった動きに対してどう対処されるお考えですか。

大臣)

 今回は意見を聞くということでお願いをしております。ただし、新しく出された訂正申請に関しましては、通常の方法をきちんと守って審議しているという報告を聞いております。その中で再度、そういう動きがあるとするならば、それは教科用図書検定調査審議会(以下「検定審議会」)の委員の先生がご判断されることだと思います。いずれにしましても、何度も申し上げていますように、来年の春に間に合わせなければいけないということですから、そういったスケジュールを前提として審議をして頂きたいと、お願いをしております。

記者)

 その件で、検定審議会の意向を教科書会社に伝えてというのは、これは一種の誘導ではないかといった指摘もありますが、それについて如何でしょう。

大臣)

 これは一般論ですが、例えば記述の根拠を求める際に、全体の議論のある種の意見や考え方のようなものも含めて、検定審議会の要請によって教科書会社にお伝えするということは、通常の検定のときにもあると聞いております。しかし、これは指針として出すとか、そういうものではありません。検定審議会の判断に基づいて、こういうものを伝えるということはあると聞いております。前回の会見で質問があったものですから、私のほうで確認しました。

(了)

(大臣官房総務課広報室)