平成19年11月27日大臣会見概要

平成19年11月27日
9時44分〜10時
文部科学省 記者会見室

大臣)

 今日の閣議は、税制調査会答申「抜本的な税制改革に向けた基本的考え方」について官房長官から、また環境基本計画の進捗状況の点検結果に関する中央環境審議会の報告について環境大臣から発言がありました。また第三次生物多様性国家戦略の決定について環境大臣、外務大臣、農林水産大臣、国土交通大臣から発言があり、私からも発言をいたしました。
 私の方から2点報告をさせて頂きます。
 1点目は、明日の夜から「第4回地球観測サミット」出席のため、南アフリカに出張いたします。閣僚会議が30日で、帰ってくるのは2日です。全体の行程が2泊5日という出張です。出張の目的等につきましては、お渡しした資料を参考にして頂きたいと思います。私はたまたま、第1回のワシントンでの当該サミット立ち上げのときに、当時の遠山大臣が出張できないということで、文部科学副大臣として出席しました。世界が一致協力して地球の変動の状態というものを、様々な方法を使って観測して、地球環境問題を解決していこうというもので、今回の会合でも、新たに「ケープタウン宣言」を採択する予定になっております。
 2点目は、先日の会見でご質疑を頂き、少し勉強させて欲しいと回答しておりました、京都大学の山中先生が樹立成功した「ヒト人工多能性幹細胞(iPS細胞)」の件です。その後、内閣府等とも打ち合わせをしまして、まず、科学技術・学術審議会ライフサイエンス委員会を、先生方との日程調整がなかなか大変なようですが、可能な限りできるだけ早急に開催して、研究の資金や国の支援のあり方について、どうすれば効率的・効果的に研究体制が組めるかといったようなことも含めて、議論をして頂きたいと思っております。同時に明日夕刻、総合科学技術会議が開催されますが、私からも、何らかの発言はさせて頂きたいと思っております。いずれにしましても、ゲノムのときのような、失敗とも言いませんが、せっかく日本で早く走っていて、それがアメリカに後で追い越されたというようなことも起こったわけですから、その轍を踏まないように、しっかりと研究体制をこれから整えていきたいと思っております。

記者)

 昨年の11月、山形県の高畠高校の女子生徒が自殺をした件で、山形県教育委員会(以下「県教委」)は、いじめはないと文部科学省に報告をしていたようですが、先週ご遺族が、携帯電話に残された遺書の一部を公開されて、再調査を依頼したいというようなお話を会見でなさっています。文部科学省としては、今後県教委に対して何らかの指導等を行うか、そういった方針を伺わせて下さい。

大臣)

 この件はちょうどいじめが大変問題になっていた去年の11月に起こった件で、当時、学校や県教委において、生徒や先生方に対して、聞き取りやアンケート、電話といった調査をした結果、いじめはなかったという報告を受けております。ただ、ご遺族の方々がそれには納得しておられなかったということで、今回、従来は公開されていなかった携帯電話のメールの中に残っていた遺書に、そういう記述があったということです。もしこれが、正確に事態が捉えられていなかったということであったとすれば、これはやはり大変遺憾なことだと思います。ただ、今後、専門家を入れてより詳しい調査を再度行うという報告も受けているところです。これは両者の捉え方が違っているということですから、ご遺族の意見や思いというものを再度誠実に受け止めて、そういった専門家を入れた調査、また、法務局の人権擁護委員会にも報告され、調査をされているようですから、そういったことも含めて、しっかりと適切に対応して欲しいと思っております。

記者)

 沖縄戦の教科書検定の問題で、本人が名前を出していますが、関東学院大学の林教授が意見書を出したようなのですが、一度著作を引用された方が、意見書を出されてるわけですが、どういった方々から意見を集めているとか、現在の進捗状況を教えて下さい。

大臣)

 従来より申し上げておりますように、教科用図書検定調査審議会というのは、検定審査が終わるまでは静かな環境でやって頂きたいということもお願いしたわけですが、林教授はご自分のお考えで、そういうふうにされたと承知をしております。先程申し上げましたように、検定審査が終わるまでは静かな環境でということですから、どういう方々に意見をお聞きしているか、また、今どういう状況であるかということについては、ご報告は差し控えたいと思っております。ただ、私も何度も透明度を上げたいと申し上げておりますから、結果が出た段階では、できる限り途中の経過なり、また、これはご本人のご了解も頂かなければいけないということになろうと思いますから、そういったことも含めて、今、ご質問があったような内容につきましても、透明度を上げるという意味において、ご報告できる部分は報告させて頂きたいと考えております。今言えることは、一部の偏ったご意見だけを取り上げるということではなくて、通常のご意見も参考にしながら、できるだけバランスの良いご意見をお聞きしている、ということです。

記者)

 経済財政諮問会議が昨日、平成20年度予算編成の基本方針を提唱しました。その中に、「国・地方の定数純減方針に則り」というような文言が入っており、教育については「定数の適正化」という表現になっておりますが、これについての受け止めをお願いします。

大臣)

 これは「経済財政改革の基本方針2007(以下「基本方針2007」)」の中で書かれていた表現と、基本的には大きく違っていないと思っております。文部科学省は会議には参加しておりませんので、各省協議を通じて、ある程度自分たちの意見というものをペーパーで提出するということもあったわけですが、基本的には基本方針2007から大きく動いているというふうには受け止めておりません。行政改革推進法との絡みというものを考えながら、これから年末の予算編成に向けて、私どもの主張というものをしっかりと行っていかなければいけないということですが、行政改革推進法の施行以降、昨年の教育基本法、それから今年の通常国会の教育三法、それから特別支援教育、こういったものの状況の変化というものもあるわけですから、そういったところをしっかりと主張させて頂いて、日頃から申し上げておりますように、教員が子どもと向き合える時間がしっかり取れるよう、これから頑張っていきたい。当然、先日報告した、教員の事務量をどうやって減らすかというようなことも、ひとつのテーマですが、そういった全体の中で、学校教育の質の向上を図っていきたいと思っております。

(了)

(大臣官房総務課広報室)