平成19年11月16日大臣会見概要

平成19年11月16日
9時13分〜9時44分
文部科学省 記者会見室

大臣)

 本日の閣議は、特にご報告する案件はございません。総理が出張されており、官房長官が臨時代理ということです。私から、平成18年度スポーツ振興投票に係る収益の使途に関する報告書及び同報告書に付する文部科学大臣の意見について報告しました。あと外務大臣から、イラクとブータンに対する緊急資金協力について報告がありました。
 それから私から、「『渡海大臣と語ろう』−教育・科学技術談議−」について報告させて頂きます。資料はお手元にお配りをしています。福田内閣は国民との対話を重視するということで、従来から、色々なことを各閣僚が努力されているわけですが、私も資料のとおり計画させて頂きました。これは内閣の方針ですし、私自身が出向いて現場を見せて頂く、また色々懇談をさせて頂くことで、今後の文部科学行政に有意義であろうということで計画をしたものです。詳細は資料にありますが、現時点で開催が決定をしているのは2箇所です。まず1回目は11月25日(日曜日)、全国高等専門学校ロボットコンテスト(通称「ロボコン」)の全国大会が両国国技館で開催されるのに合わせて、参加学生との交流・対話を行いたいと思っております。2回目は12月8日(土曜日)、岡山県及び香川県の放課後子ども教室を訪問し、子どもとの交流や地元教育関係者との対話を予定しております。冒頭申し上げましたが、現場を見ることが大事ですし、また現場の意見を聞くという意味で、良い機会になればと期待をしているところです。感想とか報道各社からのご質問は、実施後に会見でお話ししたいと思っておりますが、今後の教育改革、また科学技術の施策を進めて行く上で、プラスになればと思っております。なお、今後の開催分につきましては、決まり次第、逐次お知らせをしたいと思っております。

記者)

 昨日発表された「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」の中で、いじめが6倍、約12万5千件に増大したことについて大臣のご所感と、それから文部科学省として何か施策などお考えか、お聞かせ下さい。

大臣)

 もう既に報道等で色々な意見が出ていますが、まずいじめの数が大幅に、6.2倍に増えたことについては、皆さんもご承知のとおり、今回は国立・私立学校も加え、また、調査方法を大幅に見直し、一方的、継続的、また深刻なといったような定義から、いじめを感じている子どもを中心にアンケートとか、聞き取り調査といった方法で実施しました。その結果、こういうことになりましたが、一概に6倍に増えたということだけで、物事をどうだこうだということにはならないと思います。ただ、調査方法も県によって少し差があるわけですし、それによって、数の捉え方も変わると思います。そういったことを、今後より詳細に分析し、従来に比べると実態把握は進んだと思うのですが、より今後の調査の参考になるようにしなければいけないと思います。それから、今回こういう形で実施した結果、これも方法によって差があるとは思いますが、学校並びに先生方が、より自分の学校の実態の把握が進んだのではないかと期待しております。これももう少し分析をしてみないといけないと思います。いずれにしましても、いじめというのは、どこでも起こる可能性があるわけですから、そういったことを踏まえて、従来も例えば24時間の電話相談やスクールカウンセラーの配置ということを実施しているわけですが、加えて、これは既に概算要求しておりますが、外部の専門家、これは大学の先生やお医者さん、警察のOBの方とかも加えたチームを設置・派遣をして、いじめ対策に当たるということも計画しております。更に、当然こういう調査を実施したわけですから、より良い方法といいますか、そういうものは不断に検討していかなければいけないと思っておりますから、まずはより詳細な分析をきちんと行う。また、来年度も実施するわけですから、こういう方法で良かったのかということも、専門家を入れた検討委員会を設置し、これはまだ決定はしておりませんが、検討して頂くということになろうかと思っております。

記者)

 昨日の参議院外交防衛委員会の証人喚問で守屋前防衛事務次官から、山田洋行の宴席に久間元防衛大臣と額賀財務大臣の両氏が出席したという発言がありましたが、これにつきまして大臣のご所感をお聞かせ下さい。

大臣)

 額賀財務大臣もきちんと会見で記憶にないと答えておられますよね。久間元防衛大臣も2、3年前のことだから記憶にないと。私はテレビでの情報しか知りません。そういうのを直接聞いたわけではありません。ただ、もしそういうことがあって、実際その会合は一体何だったのか、そして、そこでどういうことが話されたのかということでないと、例えば額賀財務大臣の場合は、守屋前防衛事務次官が言われているのは、元米国防総省の人が来られたから、ちょっと顔を出さないかということで出席したと。これは額賀財務大臣は記憶にないと言っているのですから、私は断定的に言えないわけですが、ということであれば、そういうことは、ひょっとして有り得るのかなと。しかし、それだけでどうのこうのということではないと思います。ただ、額賀財務大臣は現職閣僚でもありますから、今頃記者会見でお答えになっているのではないかと思います。そういうことで色々なことが明らかになるわけですから、感想と言われましても、私からどうのこうのということではないと思います。

記者)

 いじめの件数が12万件であったということで、もちろん色々調査方法が変わったという経緯は承知しているのですが、大臣の率直なご感想として、12万件という数字を聞いたときに、多いと感じるのか、それとも、まだまだあるという感じなのか、どちらでしょうか。

大臣)

 以前から調査の方法を変えたと説明を受けていましたから、そうなのかなというのが率直な感想です。ただ、例えばいじめが全然ないという学校が全体で45パーセントということに対しては、報道でもそんなことはないだろうという方が非常に多かったのですが、それは率直に言って私もそうだろうなと思います。先程も言いましたように、いつでもどこでもという可能性があるわけですから、多分そういうところはあるのかもしれませんが、もう少し詳細に分析してみないといけないと思っております。ただ単に、例えばアンケートを取るということと、聞き取り調査をしっかり実施したということで、あれだけ差が出る。これは大変難しいと思います。これが正直な実感です。私の推測ですが、要は、子どものその時の心理状態や、学校の先生の捉え方によって随分変わると思いますから、専門家も入れて、こういう場合にはこうだといったようなことを、マニュアルと言いますか、少しはっきりさせたやり方というのがあるのかもしれません。先生もある意味専門家ではありませんから、そういうことを含めてが検討課題だと思っております。

記者)

 今のお話で言うと、いじめ発見マニュアルを作るということですか。

大臣)

 マニュアルという言い方が良いのかというふうに申し上げましたが、要は、こういう反応が子どもに現れたときにはそれをいじめと捉える、というようなことです。いじめというのは早期発見、それから未然防止が大事です。起こる前に行う施策があって、起こってしまったときには早期に発見して早期に対処すると。それも先生だけではなくて、学校、それから地域、教育委員会、家庭が一緒になって対策を講じていかないといけません。子どもは常に学校にいるわけでもありませんから。そういった意味でも、やはり早期に子どもの変化みたいなものにきちんと気づいていかなければいけないということが大事だと思います。

記者)

 守屋前防衛事務次官の証人喚問を受けて総理が、そういう会合に出席することは政治家としてよくあることだという発言をされたのですが、大臣は閣僚として、そういうことはよくあるのですか。

大臣)

 総理がどういう意味でおっしゃったのか分かりませんが、やはり普通の人に比べたらあるのではないですか。私はあまりお酒を飲みませんので、夜の会合はあまりないのですが、政治家は交流範囲が広いですから、そういった意味で言えば、あるのではないですか。私はサラリーマンから政治家になりましたから、それを考えると、やはり色々な人とのお付き合いは多いわけですから。

記者)

 つまり、どういう方が出席してるかということを、後々確認できるような状態ではない場合もあると。

大臣)

 もちろんあります。例えば先輩の議員から誘われて出席したが、あまり細かく確認しないで帰った、ということは有り得るのではないですか。

記者)

 では今回出席してたのではないかと言われた額賀財務大臣と久間元防衛大臣の、そういう会合というものに、出席された部分は記憶にはないという発言は理解できるということですか。

大臣)

 今日も仲間と少し話したのは、3、4年ぐらい前の、複数というのを何人以上というのはなかなか難しいですが、例えば二人とか三人くらいまでの会合なら、あのとき、そういえばあったよなというのが分かっても、これが例えば十人以上ぐらいになると、そこに誰がいたかなんて言われても、確かに分からないということはあるねと。ですから、それはどういう会合であったか、どういう内容であったかということまで、しっかり覚えている会というのは、分かって行っているということだと思います。そういう意味で記憶にないということは、これは正直申し上げますが、私も十人くらいの規模の会合でも「そうですか、あそこにいらっしゃったんですか」なんていうのはありますね。

記者)

 いじめの関係で確認ですが、要するに、子どもたちに対する聞き方とか、その調査の方法を来年度また改めてリニューアルする、微調整してより精度を高めるようなことを検討をさせると、そういうことで宜しいわけですか。

大臣)

 工夫は必要だと思っております。これはまだ具体的にどうしようということは申し上げられませんが、調査の結果で、その必要があるのではないかと感じていますので、検討させたいと思っています。

記者)

 いじめの関連で、今年から新しい調査項目で、パソコンや携帯電話を使った誹謗中傷のいじめが4千9百件近くありました。こういった現代に特徴的な陰湿化したいじめというのは、多分数字に表れていない部分でもっとあるのではないかというところも指摘されているのですが、例えば日本でも、イギリスのようにガイドラインを作るとか、各学校に一人ネット担当の責任者を置くとか、今回の結果を受けて、何か改めてそういったことに対する取り組みをされるお考えはありますか。

大臣)

 それも検討する必要があると思います。昨日の参議院文教科学委員会で義家議員がこんなのがありますよと見せてくれました。これは今の時代の新たな社会問題という捉え方をしなければいけないと思います。これは内閣府の担当ですが、自殺サイトというのがこの間から問題になっておりまして、岸田国民生活担当大臣が色々な方策を考えております。子どもの場合は、今考えられる一つの方法というのは、フィルタリングをきちんとかけてもらうということなのですが、これも昨日、義家議員が言っていたことですが、ある学校で、授業中に携帯電話のベルが鳴ったらいけないということで、先生に預けることになっているにもかかわらず、その学校へ行ったら、昼休みに私を携帯のカメラで皆で撮ると。預けているはずの携帯が何であるんだという感じだそうですから、そういったこともありますから、どういう対策が良いのかというのは、一つはフィルタリングであろうと思いますが、今後早急に検討していかなければいけない課題だと思います。フィルタリングも少し議論したのですが、すぐ新しいものが出てきますから、なかなか簡単なことではないのです。そうしますと、やはり持つ側の規制をどうやってかけられるかでしょう。これは学校で色々な対策を講じてもらうということも一つでしょうし、保護者のご理解も頂かなければいけないということもあろうと思いますが、このいわゆる、ネットを使った色々な社会問題に対して、学校教育の世界、子どもの世界においては、こういうことをやらなければいけないということを、しっかりと対策を講じなければいけないと思っています。

記者)

 いじめの関係で、先程、専門家の検討委員会、まだ決まってはいないが、というお話がありましたが、具体的にはどの位まで決まっているのでしょうか。

大臣)

 まだ正直、何も決まっていません。ただ、年内くらいには、もう少し細かく分析して欲しいと指示しております。それを来年に活かすということになったら、年明けてからの検討では間に合いませんから、分かりませんが、年内くらいにはやって欲しいということは伝えています。改善していく努力というのは、常にやっていかなければいけないというのが私の基本的な姿勢ですから、やれることはできるだけスピード感をもってやりたいと思っております。全体のスケジュールとしては、こんなことになるのかなくらいのことは早急に決めなければいけないと思っております。

記者)

 福岡県の学校法人都築総合学園の総長が、女性職員への強制わいせつ容疑で逮捕されました。それに対するご所感と、文部科学省として何か対応をされるのか、教えて下さい。

大臣)

 これはどうしようもないねというのが正直な実感です。詳細は今問い合わせているところです。報道では本人は否定しているということですから、問い合わせの結果を見ないと分かりませんが、仮に報道が事実であれば、これはけしからん、というのが率直な感想です。もうひとつ感じたのは、何故もっと早く分からなかったのか、表に出て来なかったのかということです。

記者)

 文部科学省の所管という話ではないのですが、横田めぐみさんが北朝鮮に拉致されてから昨日で30年経ちました。閣僚としてどういうふうにお感じになられましたか。

大臣)

 昨日報道でご両親のインタビューを聞かせて頂きましたが、大変辛かっただろうなと思います。こういうことはあってはいけないことであります。私は一つ自分の中にも、反省しなければいけない点があると思っています。というのは、有本恵子さんは神戸の方なのですね。これこそ記憶でしか言えないのですが、もう15年以上前だと思いますが、ご両親とお会いしたことがあるのです。そこで拉致のことを聞きまして、私の出来る範囲でということで、私なりには誠意を持って動いたつもりなのですが、何分、国交はない、情報が入らないという状況の中で、問題解決に至らなかったというか、中途半端なところで終わってしまった。この問題になったときに、あのときにもっと何かできなかったのかなというのが、いつも引っかかっているのです。小泉元総理が5年前の9月17日に訪朝されて、ああいうことが分かって、そこからある意味のスタートが開いたと。で、ここまで色々やってきて、今こういう状況です。福田総理も、私の時代に解決したいとはっきり言われているわけです。私はやはり、はっきりしたメッセージを出すことと、常に交渉の窓口を閉ざさないという両面が必要だと思っております。これは私の政治家としての考えです。とにかく解決することが大事ですから、解決するために何をやればいいかということは、相手のあることですから、時々の情勢によって変わると思います。よく対話と圧力ということが言われますが、圧力だけかけていればそれでいいというものでもないだろうし、かといって、話し合えばそれで解決するという問題でもない。ですから、そこのところは状況を見極めながら、粘り強く、毅然とした態度で交渉していくことが大事なのではないですか。同時に、アメリカを含め、北朝鮮と関係の深い国の協力というものを常に取り付けながらやっていくということであろうと思います。

(了)

(大臣官房総務課広報室)