平成19年10月26日大臣会見概要

平成19年10月26日
9時20分〜9時48分
文部科学省 記者会見室

大臣)

 本日の閣議は、一般案件、国会提出案件、政令、人事の報告がございました。特に変わったこともありませんでしたので、詳細は省略させて頂きます。文部科学省関連では、平成19年度の文化勲章受章者が決定され、また、文化功労者の決定につきましても了解されました。文化勲章受章者及び文化功労者の発令は、11月3日土曜日の予定でございます。また官房長官から、新型インフルエンザの対策について、必要なときに直ぐ立ち上げられるよう、内閣総理大臣を本部長とし、各大臣を構成員とする対策本部を設置できるようにしておくということで、説明がございました。あと大田経済財政政策担当大臣から、公共サービス改革基本方針の一部変更について報告がございました。これは市場化テストの対象事業を追加するということです。あと、総務大臣から消費者物価指数について、岸田国民生活担当大臣から平成18年度犯罪被害者等施策(犯罪被害者白書)について報告がありました。閣議後の閣僚懇談会で、総理大臣と官房長官から、国と地方が定期的に意見交換をするという発言がございました。あと国民対話を推進していこうということで、名称は「まるまる大臣と語る 希望と安心の国づくり」ということですが、第一回は明日、上川少子化対策、男女共同参画担当大臣がさいたま市で行うということで官房長官から発言がございました。なお私は、11月18日、ワークピア横浜で国民対話をやらせて頂きます。

記者)

 来年度予算の概算要求に盛り込まれた教員の定数増の計画について、24日の中央教育審議会(以下「中教審」)の部会でもお話が出ていましたが、財務省が否定的で、子どもの数に対してむしろ増えているというようなことも言っていますが、これについてのお考えをお願いします。

大臣)

 基本的には子どもの減少に対して減らす分があり、その上に立って、新たな増要求をしていると承知をしております。財務省の意見は、私はまだ直接聞いていませんが、間接的に聞こえて参りますし、事務方は色々と折衝をしているようですが、正直これからというのが、率直な私の実感でございます。教育基本法や教育関連三法の改正をしました。同時に、福田内閣の所信におきましても、子どもと向き合う時間を拡充・充実するということを、教育の大きな柱にしております。これらを前提にして、文部科学省として主張して参りたいと思っております。当然、財政当局との折衝がありますから、色々な論点があろうと思いますが、国会でもお答えしましたように、何故こういうことが必要なのかということを、しっかりと主張していくことによって、常々申し上げておりますように、日本の教育の現場で頑張っている先生方に支援をしていきたい。そのことが、子どもと向き合う時間を拡充するという、これは私はひとつの理念だと思っておりますが、そういった教育につながっていくと考えております。何にいたしましても、いよいよこれからというのが、正直な私の主観であります。

記者)

 先日結果が公表されました全国学力・学習状況調査の関係で、特に市町村を中心に、公表が委ねられている中で、自分たちの結果をどう活用するか、かなり悩んでいるところが多いと聞いております。大臣として、それぞれの市町村が市民に対してどのような形で伝える、若しくは伝えないべきだとお考えですか。

大臣)

 基本的には、このことが序列化や過度な競争につながらないようにということは、既に申し上げている通りです。その方針は、県や市町村には、今までも伝えておりますし、これからも、これが基本だということを申し上げなければいけないと思いますが、それぞれの市町村が設置者でもあり、一義的には責任を持って頂いて、そして、それぞれの市町村に合った対応をして頂かなければいけないだろうと思います。これは以前のことですが、裁判を起こされたということもありましたので、文部科学省としても相談を受ければ、きっちりと対応したいと思っております。基本は基本で、あとは市町村の判断ということで、あまり画一的に文部科学省から押し付けたりということではないとは思っております。繰り返しになりますが、序列化とか、過度な競争というものは避けて頂きたいというふうに申し上げるということだろうと思います。取り扱いについては、ご協力頂いて、これだけのことを実施したわけですから、それをどう生かしていくかということが一番大事ですし、そういったことで相談があれば、相談の内容でどうお答えするかは変わってくると思いますが、文部科学省としてもしっかりと対応していきたいと思っております。

記者)

 ちょっと難しいかもしれませんが、何をもって序列化とみなしますでしょうか。例えば、文部科学省としては、都道府県の一覧も公表されていますが、それも人によっては序列化ではないかという見方もあると思うのですが。

大臣)

 例えば、個々の学校が特定をされて、学校間でランクが付けられるといったようなことは、序列化につながると思います。都道府県の結果の公表も序列化ではないかと言われれば、まさにその通りだというふうに思いますが、大きな単位であれば、その言葉上は序列化であっても、それが変な競争につながるということにはならないだろうと判断をしておりますから、そういった意味では、今回の発表の仕方は専門家検討会議でお決め頂いたことではありますが、我が県はどこにあるのかなということを、都道府県教育委員会なりで判断していく上で必要だという判断だったと思います。しかし、うちの地域ではどの学校が一番で、どこが二番で、どこが一番悪いんだといったようなことが起こりますと、これは今おっしゃったような、まさに序列化、まさにその競争ということにつながるのではないかと考えております。

記者)

 教科書検定ですが、訂正申請が今月中くらいにというふうに言われているのですが、見通しみたいなことは伺っていますか。

大臣)

 先日もお話ししましたが、教科書会社からの事務的な手続き上の相談はありました。今は、それに基づいて必要な資料をそろえたり、訂正の内容をどうするかを検討されているのだと思います。訂正申請が何時というのは、今の段階で申し上げられないわけですが、大事なことは、訂正申請が遅れてしまいますと、来年の教科書に間に合わないということになるわけですから、もうそんなに遠いことではないだろうと、これは私が一方的に勝手に判断していることです。

記者)

 各教科書会社から訂正申請が提出された場合、教科用図書検定調査審議会(以下「検定審議会」)を開いて、その訂正申請の可否などの判断がされるかと思うのですが、その判断の時期について、いつ頃を目処としておられるかはお決まりでしょうか。

大臣)

 それは年内ぐらいがぎりぎりかなと思います。

記者)

 年内というと、検定審議会を開いて、その上で大臣了承も年内にということですか。

大臣)

 文部科学省が結論を出すということが年内になると。ただ、これは検定審議会を開くわけですし、また、これも何度も国会でも答弁を申し上げておりますように、検定審議会をどういう手続きでやられるかということも、検定審議会でも検討して頂かないといけないことですから、そういうこと全てを考えますと、年内がぎりぎりかなと思います。それを前提に、そんなに遠い時期ではないのではないかということを先程申し上げました。

記者)

 今回検定審議会を開く場合、沖縄に詳しい方を入れるかどうかについては決めていないが、どういう人がいるかぐらいは調べているということでしたが、今の時点で、沖縄について詳しい人を入れる方向でお考えでしょうか。

大臣)

 これも従来から申し上げていることですが、検定審議会の委員の先生方にもご相談申し上げなければいけないと思っております。ただ、委員として新たに入れるか入れないかは、意見を聞くという方法もあるわけですから、いずれにしましても、これはあくまで私の一存で話をさせて頂きますが、今回このような状況を受けて、何もそういうことがなくて、従来と同じスタッフで、しかも新たなメンバーは入れなくても、色々な方々の意見を聞くということもないということはないのではないかなと。これは検定審議会の委員の先生方にお決め頂くことですが、そういうふうに想像をしております。

記者)

 メンバーに入れるか、或いは意見を聞くことは有り得るということですか。

大臣)

 可能性としては、当然、有り得ます。

記者)

 先日の中教審の部会で、いわゆる道徳の教科化と言われている話について、引き続き検討するという報告が盛り込まれたと思うのですが、このことについて大臣はどうお考えでしょうか。

大臣)

 道徳の教科化については先日の教育再生会議でも色々な意見が出ておりました。中教審でも結論が出たわけではありませんので、その推移を見守っていくということではないかと思います。いずれにしましても、私自身のこの問題に関する考えというのは、教科化するとかしないとか、言葉を徳育にするとか、そういうことには正直あまりこだわっておりません。要は、教えるべきことを、必要に応じてきちんと教えていく。その教えるべきことというのは、よく言われていますように、人間として基本的なこと、また、日本の社会の中で日本人として、これはあまり変な意味に取らないで頂きたいのですが、何も日本人だからといって何か、日の丸だ君が代だ、そんなことだけではなくて、人間として基本的なこと、日本の社会の中で生きていく中でのルールを教えていくと。そういうことは必要だと思いますから、それがどういう形で実施するのが良いかということについては、議論を見守りたいと思います。中教審なり教育再生会議というのは、あまりこちらからものを言わない方が良いと。そのために議論を頂いているわけですから。

記者)

 中教審で今回の学習指導要領の改訂で知徳体の充実ということをうたっており、知について授業時間を増やすと。体育についても授業時間を増やすと。徳のところだけ充実策が図られていないということだと思うのですが、それについてはどうお考えでしょうか。

大臣)

 中教審としては、まだ少し議論が必要という判断なのではないでしょうか。

記者)

 今話題になっています亀田家のボクシングの件ですが、以前大臣も、教育上スポーツマンシップというところを大事にして欲しいと発言されたと思うのですが、先程の協栄ジムでの会見で、父親である史郎氏が引退、それから一番上のお兄さんである興毅選手が3ヶ月間の出場自粛というようなことで、ボクシング界が不本意な形で世間から注目を浴びてしまっているのですが、そのことについて、改めてご意見をお願いします。

大臣)

 私も家を出る前にテレビで見ましたが、結局お父さんは出席をなさらず、興毅選手がきっちりと謝罪をされたのですね。それは一歩進歩だと思います。私の考えについては、基本は何も変わっていません。スポーツというのは、やはりフェアでなければいけないわけですから、先般の試合のようなことが起こったということは、大変残念なことですし、JBCの方で既にもう処分が決まっていると聞いております。それが今回の謝罪で変わるのかどうかは正直分かりません。チャンスが与えられることはあってもいいのではないかとも思いますが、まだ若いわけでありますし、謝罪と、それから処分をしっかり受け止めて、やり直して欲しいというのが正直な気持ちです。

記者)

 当の本人である大毅選手は今日の会見に臨んでいないのですが、改めてきちんと謝罪をするべきだとお考えでしょうか。

大臣)

 それはやはりご本人も謝罪をされるべきだと思います。

記者)

 伝統と教育、道徳に含めて、少し違う観点から伺いたいのですが、今子どもたちの目から見ると、比内地鶏の話、それから赤福の話、いわゆる伝統といわれるものをやっている大人たちが、いい加減なことをやっていたことが次々と明らかになっています。いわゆる教育の立場に立たれる大臣として、その状況をどうご覧になっているか、子どもたちにどう説明するか、伺わせて下さい。

大臣)

 まず、こういう状況がたくさん生じているということは大変残念ですね。「子どもは、大人の背中を見て育つ」という言葉もあるように、範を示すべき大人の世界でそういうことが起こっていると、子どもにいくら「ルールを守れよ」とか、「きちんとこうしなければいけないよ」と言っても、なかなか言うことを聞かないと思います。教育という立場に立って言えば、学校の現場でまず第一に先生が尊敬されるような存在になって頂きたい。少なくとも私の経験では、先生に逆らったりしていましたし、そんなに出来のいい生徒ではなかったのですが、先生はいい意味で怖かったし、上下関係といいますか、教えてもらう人と教える人というのが、はっきりしていたような気がします。そういった意味で、ただ単に先生がそういう存在になれるようにということではなくて、頑張ろうとしている先生を支援していかなければいけないと申し上げているわけで、そういった環境が学校の現場で出てくるように、文部科学省としては頑張っていかなければいけないのだろうと思います。

記者)

 先日の教育再生会議で、大臣の挨拶の中でもバウチャーという言葉が入っていたことを受けて、伊吹前大臣に比べるとバウチャーに対して随分柔軟な姿勢と感じ取った委員もいたようですが、先日お聞きしたときには、義務教育段階ではあまり適当ではないのではないかというご意見でした。特にその後、変化があったのでしょうか。

大臣)

 いえ、別に変化はありません。同じ事を言ったつもりです。受け取る側の問題と思いますが、例えが悪かったのかもしれません。「義務教育段階においては、機会均等ということが確保されないと、やはりバウチャーは難しいですねと言ったら、新聞にはバウチャー無用論と書かれた」という話をしたら、渡辺委員が多分、積極的と取ったのか、そこは私は聞いていませんから分かりません。バウチャー制度そのものは別に否定していないが、やはり義務教育には無理ですよね、のような話を少ししたのです。

(了)

(大臣官房総務課広報室)