平成19年9月11日大臣会見概要

平成19年9月11日
10時24分〜10時42分
参議院議員食堂

大臣)

 今日の閣議では、平成28年(2016年)第31回オリンピック競技大会の東京招致について、ご了解を頂きました。併せてご了解頂いた「政府による財政支援等の基本的な方針」については、考え方自体は大阪招致の際と同様で構わないが、同じことを書くにしても、ここまでしかやってはいけないという書き方をせずに、ここまではやるという書き方をしないといけないということで、大阪招致の際の文章から修正をしています。それから、財務大臣から平成20年度の概算要求額について集計ができたというご報告がありました。一般会計概算要求・要望総額は88兆9,208億円、財政投融資計画の要求総額は13兆9,328億円。いずれも大幅に査定をしなければいけないということをおっしゃっていました。それから、総務大臣から平成20年度の機構・定員等の要求について、肥大化を来さないよう対処して参りたいので、要求は要求として、宜しく協力を頂きたいということです。それから、渡辺国・地方行政改革担当大臣から独立行政法人の改革について、年内を目途に予定している整理合理化計画の策定に向け、基本計画に基づき各府省から提出された整理合理化案を精査している。その整理合理化案が基本方針に基づくものとなっているかを改めて精査してほしいという発言がありました。それから、甘利経済産業大臣、町村外務大臣から、各々、アジア太平洋経済協力(APEC(エイペック))会議の感触、感想についてのご発言がありました。

記者)

 今日の閣議で、2016年のオリンピックの候補として東京に招致することが了解され、政府として応援していくという形になったわけですが、他にシカゴであるとか、ドーハとかも有力とされている中、意気込みといいますか、抱負をお聞かせください。

大臣)

 今日閣議で了解を頂いた内容は、主要施設の整備に要する経費に占める国の負担割合は2分の1以内とするとか、新設する施設の将来にわたる管理・運営については地元の責任と負担を主体として行うとか、国庫補助負担率等国の財政措置は通常のものとするとか、色々あります。東京都は富裕団体ですから、補助率の特例を設ける必要はないと私は思いますが、オリンピックのために公共施設の充実はしなければなりませんから、予算の集中配分はある程度してあげなければなりません。その辺のことについて今日、関係閣僚のご協力をお願いしました。

記者)

 足立区の学力テストでの不正について、個人ではなくて区教育委員会がやっていることらしいのですが、これについてご所感をお願いします。

大臣)

 これは国が実施している学力テストではありません。東京都は独自の学力テストを実施しています。それについて、自分の行政区というのか、自分の学校を良く見せたいという思いがあるのでしょう。そのことの根底には、良い学校という評価を受けますと、予算配分とか、父兄の評価の上で得になると。特定の人があの学校が良いと思うのは止められないことですが、行政執行権を持っている者は、悪い成績だった学校はどういう原因があるのだろうと考えて、特に義務教育では、それをほぐしてあげる責任があるのであって、良いところだけ伸ばせばいいというわけではないと私は思います。これはある意味では、各区教育委員会の規範意識に関わるようなものですが、行政に携わる者は、義務教育では地域、所得にかかわらず、できるだけ同じような学力がつくように努力するというのが基本なのではないでしょうか。その原点を良く理解して実施して頂きたい。東京都が責任を持って実施しておられる学力テストの中で起こったことですから、国が色々立ち入ると、国家管理だとか、新聞に書かれても困りますから、その辺は地方自治の枠の中で、東京都がしっかりと見極めてもらいたいし、同時に東京都議会は、そういうものを見極める役割を果たす機関としてあるのではないでしょうか。

記者)

 テロ対策特別措置法の関連ですが、総理が給油活動の延長に職を賭すと。で、これが内閣総辞職も辞さぬというような受け止め方をされておりますが、大臣の受け止めとお考えをお願いします。

大臣)

 アメリカ同時多発テロから今日でちょうど6年ですよね。これは色々言われていますが、このテロに対する対応というのは、国連の議決によって国連加盟国がやっているということは、間違いのない事実だと私は思います。ですから、政権を預かっている限りは、財源の裏づけのない空手形を出せないとか、或いは、日本としては現実問題としては、日米安保によるメリットは取るが、そのためのコストは負担しないということで乗り切れれば一番良いのです。それを乗り切れるかどうかということが、やはり政権を預かっている者の名誉ある辛さというところだと思いますから、そこのところを国民の皆さんにできるだけ説明をしていかなければいけません。総理はそういう思いの中で、政権の最高責任者として、引き続きインド洋上の給油というものをやりとげたいという強い意思を言われたのではないでしょうか。総理の心の中は私にも分かりませんが。

記者)

 平沼赳夫氏の復党問題ですが、2005年の衆議院選挙で初当選した新人議員から、非常に反対する声が上がっていますが、大臣のお考えをお願いします。

大臣)

 これはどうなのでしょう。執行部において県連の意向を良く聞くと同時に、衆議院については、2005年の選挙以来、解散はなく、民意を聞いていないわけですから、その両方のバランスの中で考えないといけないことなのではないでしょうか。平沼先生とは、個人的には盟友であり、政治家という関係を超えた親しい友人なのですが、非常に心の温かい人です。発言については、今辛酸をなめている落選をした方々のことも考えてのことだと思います。その辺の色々な大きなバランスを考えて、執行部が対応すべきことなのではないでしょうか。一線にいる者が、色々口出しをすると、ややこしくなりますから。

記者)

 オリンピックの件ですが、これは過去の大阪や名古屋の時と同様の対応になっていると思うのですが、首都での開催でもあり、もう少し財政支援を増やそうというような議論はなかったのでしょうか。

大臣)

 財政支援については、先程お話ししたように、このための公共投資を、ある程度、オリンピックを開催するということを念頭に置いて行う、すなわち、例えば、東京が従来8の公共投資を受けているとして、オリンピックを念頭に置いて10の公共投資を行えば、財政支援ということになるのではないでしょうか。東京都は都道府県の中で随一の富裕団体ですから、補助率のかさ上げをオリンピックのためにするということは、他県の納税者の気持ちから言いますと、納税者は納得がいかないでしょう。ただ、オリンピックを開催するからには、公共事業は当然通常よりも多く必要になりますから、補助率のかさ上げをするのではなくて、公共投資の総量を増やしてあげるという観点は、是非、国土交通省中心に持ってもらいたいと思います。

記者)

 もうすぐ全国学力・学習状況調査の結果が公表されます。足立区は続けざまに色々な問題が起きているのですが、大臣として全国学力・学習状況調査に関して何かやり方をお考えでしょうか。

大臣)

 全国学力・学習状況調査は文部科学省が責任を持って実施したものですから、これの結果の使い方、運用については、足立区教育委員会の方々が、心配をしてフライングをしたような事態にならないようにやるということです。

記者)

 オリンピックについて、財政支援以外で大臣として支援できることを何かお考えでしょうか。

大臣)

 石原東京都知事からもお電話を頂きましたが、協力してやっていこうとお話ししました。日本の国際的地位の向上とか、国民に明るい話題を提供するとか、そういう招致がもたらす様々な波及効果もありますから、精神的なサポートを含めて、文部科学省としては当然努力をしていくということです。

記者)

 ライバルが多いようですが、開催の見通しは。

大臣)

 それは分かりません。来年、立候補都市の一次選考がありますが、その中には入るのではないかと私は考えています。再来年の開催都市決定まで、招致委員会の皆さんのご努力を期待したいし、文部科学省として何かお役に立つことがあれば、当然バックアップをします。

(了)

(大臣官房総務課広報室)