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平成19年5月22日大臣会見概要

平成19年5月22日
9時28分〜9時39分
文部科学省記者会見室

大臣)
 今日の閣議は、法務大臣から裁判員制度について、法律が公布されて3年目を迎え、2年後から裁判員制度が実施されますので、広報について、各省庁協力よろしくお願いします、とのご発言がありました。あとは海外出張について各大臣よりお話がありました。

記者)
 教育再生会議で、小・中・高校の土曜日の活用が議論されているようですが、大臣のご所感を伺いたいのですが。

大臣)
 大企業のように恵まれているところはともかく、一般のところは土曜日も働いている人たちが多いため、世論調査をしますと、土曜日も子どもを学校で預かってくれるほうが良いので土曜日も授業をしてほしいという希望は多いことは確かですが、週休二日制の人の立場からしますと、土曜日は親子のふれあいの時間でもあるわけです。教育再生会議は、家族の再生を言っておられますが、一方で、授業時間を増やせということも言っておられます。色々なことを言いますと、どこかで辻褄が合わなくなってきますね。一般の世論の雰囲気からしますと、学力の点も考えて授業時間数を増やすということは、一つの選択肢でしょう。しかしその場合に、夏休みの日数を調整するやり方と、土曜日を調整するやり方と、二通りあります。特に体験学習とか、武蔵野市が実施している町の学校と田舎の学校との交流とかは夏休みのほうが良いですよね。昨日も山谷首相補佐官が来られて色々お話をしましたが、土曜日を活用することになりますと、活用の仕方にもよりますが、教師の給与をどう考えるかという問題が出てきます。行政というのは、全体の連立方程式の上にありますから、土曜日を活用したらいいということだけではなく、その勤務時間数に見合う予算措置等をきちんとしなければならないということも併せて言ってもらわないと、文部科学大臣に「つけ」だけ回して会議をされたら困ります、ということは申し上げました。

記者)
 国立大学法人の運営費交付金について、昨日財務省が、科学研究費補助金等の実績に基づいて配分し直すと、減額される大学が多く、理系の強い大学が増額されるという試算が出ましたが、法人化して色々大変な中で、科学技術だけを見て運営費交付金に差が出るということについて、大臣はどのようにお考えでしょうか。

大臣)
 財務省は予算を減らしたいから、色々な事を言うのは結構ですが、そういうわけにはいきませんね。総合科学技術会議でも私は申し上げましたが、すぐ産業化ができるものや、すぐにビジネスに結びつくものが効率的だと言って、そこにお金を配分するということをしますと、すぐにビジネスに結びつくものを生み出す頭脳はどこから来ているかと言えば、それは幼稚園から初等教育、中等教育を経て、科学的マインドのある人が大学に進学をし、まず基礎を学び、その上で応用の技術開発に取り組むわけでしょ。今、技術開発に取り組める頭脳を持っている人たちが申請した件数だけで予算を配分してしまったら、その技術開発とか産業化の応用に結びつくような研究をする、将来の人材を養う基礎に予算が回らなくなってしまいます。ましてや、初等中等の予算を毎年毎年減らして、応用をやりたいと手をあげた人たちだけにお金を渡してしまうと、新たに応用をやれる人材が日本にいなくなってしまいます。そういうのをキリギリス的発想というのです。目先の財政資金を減らしたいとか目先のお金を儲けたいということだけで教育の資金を配分するという発想は、私は非常に危険だと思います。競争的資金を増やして国立大学法人の運営費交付金を減らすという発想や、科学技術振興費を増やして教育費を減らすという発想、初等中等教育の予算がだんだん減ってきているという現状も、そうです。国会が認めた教育基本法にも、大学の目的というのがあって、新たな研究開発と同時に教育ということが明記されており、また、社会還元ということは国会の意思として明記されています。社会還元をどう理解するかは色々立場がありますが、地方の大学や教員の養成をしている人たちは応用技術開発の論文は書かないかも知れませんが、国家に有為な人材を供給するためには非常に良い仕事をしています。とにかく、儲け仕事と目先の損得だけでお金を出すというのは、米百俵の精神に反するのではないかと思います。ここは、これから年末にかけて大きな議論のあるところですね。

(了)

(大臣官房総務課広報室)


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