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平成19年5月18日大臣会見概要

平成19年5月18日
9時16分〜9時37分
文部科学省記者会見室

大臣)
 今日の閣議は特段のことはございませんでした。国立大学法人広島大学の学長につきまして、現在同大学大学院医歯薬学総合研究科教授の浅原先生を学長に任命する閣議了解をいただきました。また総理から、今国会で成立しました統計法について、同法に基づき内閣府に設置される統計委員会に係る事務については、設置準備に係る対応を含め、大田内閣府特命大臣を担当といたします、というお話がありました。また官房長官から、タウンミーティングを全面的に変えて、簡素な形で開催することを原則とした「政策ライブトーク−言いたい、聞きたい、これからの日本−」と致します。この政策ライブトークを適切に実施するため、内閣官房副長官を議長とし、各府省の副大臣等をメンバーとする「政策ライブトーク推進会議」を開催しますのでご協力をお願いします、というお話がありました。

記者)
 昨日、衆議院教育再生特別委員会で可決しました教育関連3法について、ご所感をお願いいたします。

大臣)
 まだ本会議もありますし、また、参議院の審議が終わりませんと、当然、法案としては成立したことになりません。基本的には、緊張感をもって成立を期して頑張る、ということではないでしょうか。

記者)
 昨日総理が、教育予算の拡充というか充実ということをおっしゃっていましたが、この充実すべき点として、大臣はどの点が重要だと思っていらっしゃいますか。

大臣)
 総理も極めて言葉を選んで発言しており、必要な予算を確保するということを言っていますが、何が必要かというのは、年末の予算編成や概算要求基準、骨太の方針等で大きな議論になるでしょう。しかし、総理の気持ちを政策の上で金銭で表示していくのが予算ですから、総理としてどういう判断をされるかですね。
 私は、増やさなければいけないと思うのは、これは法律改正が伴うので非常に難しいことで、各校長会や参考人のお話でも出ていることですが、教師の多忙をどう緩和してあげるのかということです。それには理屈の上から3つの方法があります。
 1番目は、教師が児童と向き合わない仕事、つまり教師本来の仕事ではない事務的な仕事を外部へ出すということです。端的な例は、昔は定員内でおられた用務員や給食の人たちが、警備会社や外部発注になっているということです。
 2番目は、OBや地域の人たち、特に団塊の世代の人たちに謝金のようなものを少しでも出して、ボランティアとして中へ入ってきてもらい、教師の負担を軽減するということです。正攻法でしたら、行政改革推進法を改正し、教職員の人員の抑えられている枠を少しはずしながら、定数増を計るということです。これが一番大切なのではないのかと思います。
 3番目は、学校教育人材確保法によって一般の地方公務員より教師が恵まれていると言われていますが、教師の超過勤務の実態と、一般地方公務員の超過勤務に対して、どれだけの超過勤務手当てを実績としてつけてもらっているかを今かなり細かく調査しております。
 あとは、大学の在り方をどうするか、ということでしょう。整理をして大学の数を減らせば良いという考えと、地方の拠点としての大学の在り方、教育基本法にもあります大学の3つの目的(教育、研究、社会還元)の役割をどう考えていくのかです。教育分野で充実をするということがあるなら、これらの点ではないでしょうか。
 文部科学予算というのは三位一体の改革によって、義務教育費国庫負担金が地方へ6分の1渡り、そして、トータルとしての財源を地方に渡していますから、例えば、地方で交付税の算定基準であるシビルミニマムどおりの予算編成というのか、東京都のように単費でどんどん稼いでいるところはそのとおりやれば良いわけですが、基準財政需要で計算したところに対して、自前の税収が足らないところは、基準財政需要で計算をした差額を交付税として渡しているわけです。当然、地方の自治体は渡しているとおり予算編成をすべきですが、背に腹は変えられず米百俵の米をちょっと小出しに食べている場合は、地方の教育予算が薄くなります。その辺の問題を別にすれば、文部科学省としての予算は横ばいですが、科学関係の予算が増え教育関係の予算はかなり切り込まれていることをどう考えていくかは大切な視点でしょう。

記者)
 愛知県長久手町で立てこもりがまだ続いていまして、学校で授業ができないという状態になっいます。そもそもこの銃が国内で数万丁あるとも言われている現状について、国家公安委員長をされてたこともありますので、ご所感をお願いします。

大臣)
 外国がこうだったからということを、とかく報道機関は直ぐ記事に書きたがりますし、国会の質問でもありますが、諸外国と比べると日本は非常に安全な国なんですよ。安全であるから、ああいうことが起こると大変な国民的な関心事になってしまいます。一般の人の手にある拳銃の数は非常に少ないわけですが、警察としてもっと力を入れて徹底的に取り締まってもらいたいと思います。拳銃の使用が、率直に言って、長崎市長の件も含めて、ここのところ多すぎますね。ですから、警察に奮起を促したいのと同時に、どこにでもそういう人がいると言ってしまえばそれまでですが、日本人全体として、かつて外国人が抱いていた、穏やかな、礼儀正しい日本人を作っていかねばならないわけです。それには長い時間がかかりますが、教育という観点から、かつて日本人が持っていた、やさしい、穏やかな、調和をしていく、そして勤勉で人の気持ちを汲み取って、自分の気持ちだけで騒がない人間を作っていかないと仕方がないと思います。昨日の国会質問でも、まず格差を直さないと教育再生ができないということを民主党の議員が言ってました。そういう面があることは否定できませんが、市場経済、自由競争の原理を使っている限りは、その結果というのは必ず出てきますからね。結果の不平等を避けようとして、社会主義とか計画経済を使っている国で、発展をして国民を幸せにしている国というのは一国もないというのは、歴史の証明なんですよ。ただし、結果の不平等が出てきたときに、それを嫌な形で社会に蔓延させないというのは、最後は人間の力だと私は思います。安倍総理もそういうことを考えているから、小泉前総理の後を受けたからこそ、教育の再生ということを言ってるんだと思いますよ。

記者)
 今朝、官邸で医師確保対策に関する政府・与党協議会があったかと思いますが、そこで大臣のご発言がありましたら、教えて頂きたいのですが。

大臣)
 私が発言したのは2点です。今日の協議会は20分しかなく、主に厚生労働省と文部科学省が作ったペーパーについて、官房長官が項目だけ話し、後は10人ほど意見の交換がありました。私が申し上げたのは、少子化という現象が現実面に起こっている限りは、先程の自由競争、市場原理の話ではありませんが、どうしても産科と小児科の需要は減ります。産科は異常分娩以外は、病気ではないので診療報酬では措置されませんが、検診その他は診療報酬の対象になっています。医師が足りないとか、産科がどうとか小児科がどうとか言われますと、とかく補助金とか交付金を手当てしがちですが、小児科と産科の診療報酬上の評価を少し引き上げてやらないと、トータルの収入が少ないと、人が来ないのではないかということが1点です。
 それからもうひとつは、厚生労働省と文部科学省との共通の責任ですが、今、医師として開業するには、6年間終わって、国家試験を受けて、臨床研修を経るわけです。従来はその臨床研修を医局の中でやっていましたが、臨床研修を自由化して、どこででも臨床研修できるという状況になっていますから、それに対して、ある程度のフリンジ・ベネフィットを含めて待遇が良く、特色のあるところで研修を受けたいという流れが出てきているわけです。そうしますと医局で臨床研修医として残っていた人が流出し、病院の医局は人手が足りなくなりますから、今度は、6年間終わって医師の資格を取り、既に臨床研修も終了し技能があり、系列の地方病院へ派遣していた大学院生を医局が引き上げているのです。これが地方病院の医師不足の大きな原因なんです。ですから、国会でもこの点は野党からよく質問がありますが、大学病院としては、結局隠れた労働力として、この臨床研修医を安価に使っていたことができなくなっているのです。そこを埋めるのであれば、それだけの予算措置をしないと、もう大学の運営費交付金の枠の中だけできちんと埋めていけと言われると、なかなか大変だと、そうははっきりは言いませんでしたが、予算上の措置が必要ではないかということを言っておきました。

記者)
 集団的自衛権について、与党内でも意見が割れているようですが、大臣のご見解を伺えますか。

大臣)
 集団的自衛権については、ちょっと閣僚の立場としては、直接私の所管の問題じゃないから、与党の政治家というか、大臣の場を離れれば私の持論を色々申し上げます。今までのご質問のような、発言があったかとか、子どもの教育に関係してくるような拳銃の例とかというのは、私の仕事に関係ありますから、答えているわけです。

記者)
 福島の高校生の事件については、まだ何とも、学校が何ができたのかとかはまだ分からないかもしれませんが、もしご所感がありましたら。

大臣)
 事実関係を良く把握してみないと分かりませんね。昨日の安倍総理の答弁をなぞれば、マスコミ報道で質問をされても、マスコミ報道というのは、よく間違っていることがあると。だから今の報道が、正しいかどうか分かりませんが、報道通りだと、言動についてもね、通常の理解や、筋道が分からないような発言をしていますから、学校の問題なのかどうなのかも含めて、少し事実関係が分からないと、軽々にコメントしないほうが良いのではないでしょうか。特にかなり特異な事件で、あってはならないことですから。

記者)
 立てこもりの事件ですが、近くに学校があるということですが、教育委員会は何も対策をしないとかいった場合は、今教育関連3法で審議されている児童生徒の身体の自由にかかわっているということで、是正の指示や勧告ということを文部科学大臣が発動するということが、教育関連3法が成立すれば有り得るのでしょうか。

大臣)
 それは、現状の状況や、学校とどれくらい距離が離れてるとか、持っているピストルの発射の射程距離とか、色々なことが拘ってくると思います。ですから、国会で答弁しているようにケースバイケースで、予めその事態を想定することは難しいという答弁をしているのは、そういうことだと思います。

記者)
 とりあえず今休校にしているというのは当然の措置だと。

大臣)
 教育委員会として、あるいは学校長としては、正しい判断でしょうね。

(了)

(大臣官房総務課広報室)


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