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平成19年4月17日大臣会見概要

平成19年4月17日
9時14分〜9時27分
参議院議員食堂

大臣)
 今日の閣議は、日伯交流年及び日伯移住100周年で、コインを出すという閣議了解がありました。それ以外は特段のことはありません。文部科学省関係では、「独立行政法人日本原子力研究開発機構法の一部を改正する法律」の公布の手続きがありました。

記者)
 国立大学法人運営費交付金について、教育再生会議あるいは経済財政諮問会議で議論が進んでいますが、平成20年度予算の編成に向けた大臣の基本的な方針を教えていただけますか。

大臣)
 その前に、経済財政諮問会議と教育再生会議に対して、何を考えて言っておられるのか、実態がどの程度まで把握して言っておられるのかを聞いてみないといけないと思っています。教育再生会議は予算を増やすお考えのようですし、経済財政諮問会議は運営費交付金を少し減らして、今4,500億円ある競争的研究資金を積み増しするようなお考えのようですから、何を意図しておられるかを聞いてみる必要があるのではないかと思います。国立大学法人の運営費交付金と私立大学の私学助成費は、だいたい同じ性格のものですから、やるのであれば両方同じ考えでやらないといけないと思います。これは地方財政とよく似ています。地方自治という建前で、地方の予算については地方に決定権を与えています。ただ、全国民が同じように最低限のシビルミニマムを受けるために、基準財政需要というものがあり、例えば地方公務員の超勤は月何時間等を決めて必要なお金を積み上げていますが、自主財源だけでは足りない部分を交付税で渡しているわけです。この交付税が運営費交付金や私学助成金にあたるのでしょう。交付税でどういう地方財政の内容を組むのかは首長の自主的判断であると同時に、議会が承認するというのが地方自治の在り方ですから、必ずしも基準財政需要の内容どおりに組んでいるかどうかは分からないという部分があります。それと同じように、大学の自主性を尊重しようということで、国立大学法人にしたわけですから、使い方のいちいちについて、文部科学省としては、もう一度昔のように箸の上げ下ろしについて発言することはやぶさかではありませんが、ちょっと流れが逆転するのではないかなということはあります。それから、地方自治の場合は、行政サービスの受け手という住民は動けないのですが、大学の場合は、学生がたくさん志望するか志望しないか、つまり、その大学の値打ちによって、大いに違ってきます。大学の交付金は、その学生の数に応じて配分されている部分がありますから、大学の評価というのは、巧まずしてなされているということを良く理解してもらわないといけないと思います。大学の交付金というお話の中で、選択と集中、あるいは効率化という基準をどこに置くかということは非常に大切なことであり、会社で言えば損益計算書の利益が積み上がるような技術開発や、新規事業の研究は効率的で、ローマの歴史の勉強や、中国をずっと支配してきた民族がどのように変わってきたかというような研究は非効率だという考えは、私はしません。そういうことがよく分かっているからこそ、実はイノベーションよりもはるかに大きな外交交渉上のメリットを取る筋をつける人が出てくるかもしれませんから。これは、非常に難しい問題が含んでいるのではないでしょうか。安倍内閣として、教育再生を最優先の課題とする限りは、大学というものは、突然大学生が生まれるわけではなく、人間が生まれた後、家庭のしつけを経て、幼稚園や保育園から小中高校と行くわけですから、その辺りの教育も含めて、どう予算上の配慮もしていくかということを、考えなければならないのではないでしょうか。安倍内閣としては概算要求をするのは今年の暮れが初めてですから、今年の暮れに総理がどういうご判断をされるか、そのひとつの材料として教育再生会議や経済財政諮問会議の発言を参考にするということではないでしょうか。

記者)
 専修大学北上高校が、学費免除等、日本学生野球憲章に違反して、結局解散ということになったのですが、それについて大臣の所感をお願いします。

大臣)
 私自身の考えは、野球の才能を伸ばすということは悪いことではないとは思いますが、各地から学生をスカウトして強いチームを作るというやり方は、本来の学生スポーツ、アマチュアスポーツに本当にいいのかなという気がします。特待生になった子どもに罪はないという意見もありますが、同時に、特待生になることは子どもも保護者も知っておられるわけです。特に保護者のお立場からすると、子どもの才能を伸ばしてやりたいというお気持ちは分からないわけではないですが、親元を離れて、野球の上手な人たちだけを特定の学校地域に集めるという在り方そのものを、考えなければいけないのではないかと思います。

記者)
 解散ということで子ども達に影響が出てきていますが、文部科学省として何かアクションというものは有り得るのでしょうか。

大臣)
 単に野球だけのことではありません。率直に言えば、特に私立の場合は何処へ行っても良いわけです。そういう議論に入る前に、安倍流に言えば、学校や両親の規範で解決していかないといけないと思います。文部科学省がそこへ口を出すことはどうかと思います。私は本来のアマチュアスポーツの在り方からすると、あまり適切なことではないという気がします。

記者)
 特待生制度というのは野球以外では結構幅広くあるようですけど、それ自体もあまり良くないというお考えでしょうか。

大臣)
 ずっと昔から特待生制度は、学校成績など色々ありましたよね。だから特待生制度そのものがいけないということではないと思います。アマチュアスポーツというのは、そのスポーツ行為に対して対価を与えないということによって成り立っているわけです。

記者)
 全国学力・学習状況調査ですが、昨日、京都で差し止めの仮処分申請がされてます。それに対してご所感をお願いしたいのですが。

大臣)
 全国・学習状況調査は、別に教育委員会として参加しなくても良いという権利はあるわけですから、地方自治の考えから、それは教育委員会におっしゃって頂かないと困ります。それについて文部科学省がいちいち発言したら、また教育の国家統制ということになるのではないですか。犬山市教育委員会は参加しないわけですから。

(了)

(大臣官房総務課広報室)


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