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平成19年2月23日大臣会見概要

平成19年2月23日
9時1分〜9時21分
文部科学省記者会見室

大臣)
 本日は閣議の前に、「美しい森林づくりのための関係閣僚による会合」があり、日本には木の文化があり京都議定書のこともあるので、間伐等を積極的に行って、美しい森の整備を皆で協力してやっていきましょうという申し合わせがありました。閣議については特段のことはありません。

記者)
 中央教育審議会での審議について、学校教育法と教育職員免許法についてはあらかた道筋が見えたところだと思いますが、地方教育行政法について、事務局側から大臣の是正勧告を入れてもいいのではと提案されたのに対して、現行の地方自治法でも、地方分権一括法以降の運行を適用すれば可能ではないかという意見も出ておりましたが、その辺について大臣のご見解をお願いします。

大臣)
 中央教育審議会の審議が、現在どういう話し合いでどの程度進んでいるかは、まだ詳しく聞いていないのですが、委員の皆さんで闊達にご議論いただいたらいいと思います。今の点について私の感想を言いますと、地方分権一括法が成立したときに、当時、地方教育行政法にあった文部大臣の措置要求の権限が一般法に移されました。地方自治法には勧告をするための条件として「著しく適正を欠き、かつ、明らかに公益を害していると認めるとき」と書いてあります。一方で、地方分権一括法以前の地方教育行政法の条文には、教育ということが入っていたと思います。有体に言えば、いじめや未履修などの問題が起きたときに、明らかに公益を害するかどうかは、具体的な行政の執行としては非常に判断が難しいと思います。平成11年に改正されましたが、この項目があるからと言って、今まで一度も発動していません。ひとつには非常に使い勝手が悪いということだと思います。それからもうひとつは、一括法には「要求」と書いてあります。是正要求をできますが、どういう形で是正をされるのかは、地方自治体の判断に委ねられると思います。未履修の問題であれば、「未履修の状態が不適切だから守ってほしい」というのではなく、「こういう形できちんと後処理をしてもらいたい」という要求と同時に一種の指示ができることが大切だと思います。具体的な指示の権限を伴わないと、要求を受けた結果どうするかは自治体の判断になってしまいます。もちろん内閣法制局などとこの辺のことは細かく詰めないといけませんが、中央教育審議会でもその辺を少し法理的に、細かく議論をしていただいたらいいと思います。中央教育審議会にお願いをしていますので、私はどちらがいいかということを今はまだ言う立場にありません。
 教育再生会議のご提案もそういうことだろうと思いますが、私が皆さんにお願いしたいし、担当の局長にも厳しく指示をしているのは、国家の教育への管理・介入とか、ましてや文部科学省の権限拡大とか、こういう受け止め方をする言動や説明振りは言語道断なので、してはいけないということです。皆さんにぜひ考えていただきたいのは、この国の主権はどこにあるかということです。この国の主権は憲法に明記されているとおり国民にあります。国は国民の意思に従って動かさなければいけません。当然、国会議員も、行政に携わる者も全員、その前提に立って仕事をしなければなりません。国民の意思は、選挙によって公正に選ばれた代表によって集約されることが憲法に書かれています。ですから、国会で決めた法律、あるいは国会で決めた法律の一部である政令、告示に従わない人がいた場合に、どうするかという問題です。しかも国民は、自分たちの日常の営々とした汗と脂の中から、地方税、国税を払っておられます。そのお金によって教育現場は動いています。ですから、国民のお金をお預かりし、国民の意思に従った法律どおりにされない場合は、国民の代わりにこれを正すための最後のルールが必要だということです。この教育再生会議の意見に対して、もし規制改革会議や地方6団体が反対を表明をしておられるなら、特に地方6団体の場合は国民が決めたものを守ったうえで主張されないと説得力がないと私は思います。
 地方分権の流れを止めてはいけないので事務局にもお話をしているのは、最終的には中央教育審議会のご意見を伺う中でやっていくわけですが、当事者にできるだけ権限を渡しなさいということです。校長の権限を拡大する。市町村教育委員会でやれることは市町村教育委員会に任せたらいい。都道府県教育委員会でできることは都道府県教育委員会にお願いしたらいい。例えば民間の経済活動も、自由競争原理と市場原理で動いているので、できるだけ官が介入しない方がいいのですが、国民が決めたルールに反した場合は、ラストリゾート(最後の手段)あるいは伝家の宝刀として公正取引委員会があります。公正取引委員会や検察が、「あなたは法律を守っていない。おかしいではないか」と仰るわけです。伝家の宝刀というのは抜いては駄目で、抜かないから伝家の宝刀なのですが、しかしそれがあるから、皆がきちんとルールを守るのです。そうでないと、未履修の問題について言えば、約90パーセントの学習指導要領どおり真面目にやっている人たちの立場をどう守るかという公平の論理があります。今まで一切問題がなかったのに、突然こんな話を教育再生会議が言うのはおかしい、と地方6団体が仰るなら、それはよくわかります。しかし、今までこういう問題があった、あるいは知事部局が所管している私立学校においてこういう問題があったということについて、まずはきちんとした説明をしていただくことが必要ではないでしょうか。地方分権の話とこのことはまったく違う問題だと私は思います。それが私の感想です。

記者)
 今、一般法と特別法の話をされましたが、現在まさに地方教育行政法と特別法の議論をされているわけですが、そうしますと他の行政の分野においても、やはり著しく公益を害する等の話が、当然出てくると思います。大臣のお考えだと教育は他の行政の分野とは異なるから、特別法にそういう規定が必要だということですか。

大臣)
 そう思います。義務教育という、特に義務を課している分野を所管しているわけですから。すべての保護者は、少なくとも義務教育の間は、子どもを学校に通わさなければならないと決まっていますので、一般の、国民の意思によって選択の自由がある分野とは違うと思います。
 ただ、ご質問があったから答えてはいますが、私はまだどちらに決めていると言える立場ではありません。これは間違いの無いように言っておきたいと思います。中央教育審議会に審議をお願いをしている立場ですから。私の所管ではない教育再生会議と規制改革会議、また、知事会などが色々仰っていることについてコメントを求められたから答えているだけです。

記者)
 2月25日の午前中に中央教育審議会の総会が予定されていますが、何かしら方向性が打ち出される予定ですか。

大臣)
 まだ、とてもそこまで審議は進んでいないと思いますが、詳しく聞いていません。

担当者)
 経過報告のために、総会を予定しています。

記者)
 先ほど、法改正の方向性について、国の権限の拡大ではないと仰いましたが、検討内容に教育長の任命への国の関与というのが入っていますが、これは人事権のことですので、権限拡大ではないかと思うのですが。

大臣)
 その点も含めてね、中央教育審議会で議論していただけたらいいと思います。例えば、地方教育行政法に是正や指示を盛り込むということも、見方によっては権限の強化です。国民の意思として国会で決めた法律を、地方自治体もしくは教育委員会が守ることを担保できない場合には、どういう形で担保させられるかというと、それは予算の配分権か、人事権の行使か、法律上の指示命令かの3つしかありません。法律上の指示命令は、まさに直接的なもので、あとの2つは間接的な牽制になります。間違ったことをしたら予算をもらえないとか、人事上不利になるとか、行政というのはそういうもので動いています。ただ、平成11年の地方分権一括法成立前も含めて、地方が決定したものについて、文部科学省がノーと言ったケースはないのではないでしょうか。よほどのことが無い限り、そういうこと有り得ないと私は思います。しかし仕組みとして、国会で決めたことだけは守る手立てを作っておいた方がいいと一般論としては思います。手立てについては、承認権のようなものが適当か不適当かも含めて、中央教育審議会に委ねているという理解で結構だと思います。

記者)
 先日、3法の改正について国民の意見を募集されたのですが、いわゆる行政手続法で定められているパブリックコメント(意見公募手続)の場合は、期間は30日以上と定められていますが、今回は一週間となっています。タイムリミットの関係もあると思いますが、行政手続法に則ったパブリックコメントではなく意見募集とされたことについてお聞かせください。

担当者)
 パブリックコメントというより、関係団体からヒアリングもしますし、それと併せて一般の方々からも意見を聞くという、審議会における議論のひとつのプロセスです。

記者)
 「赤ちゃんポスト」についてお聞きします。親が育てられない新生児を匿名でも受け入れる「赤ちゃんポスト」について、熊本の病院が設置しようとしていまして、昨日、厚生労働省が違法ではないという見解を示し、熊本市もこれを認めて、全国初めて設置される見込みですが、大臣はこの「赤ちゃんポスト」について、どうお考えですか。

大臣)
 所管外のことですから、政治家として個人的な意見を言うのは不適切だと思います。有体に言えば、大変な親御さんもいらっしゃると思いますが、できるだけそういうことにならないように皆が努力をするというのが筋ではないですか。

(了)

(大臣官房総務課広報室)


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