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平成19年1月26日大臣会見概要

平成19年1月26日
9時41分〜9時54分
参議院議員食堂

大臣)
 今日の閣議についてご報告をいたします。安倍総理大臣、麻生外務大臣、尾身財務大臣、大田内閣府特命大臣の演説案についての閣議決定がありました。文部科学省関係は特にございません。その後、郵政民営化推進本部があり、本年10月の民営化に向けて、内閣総理大臣および総務大臣は日本郵政株式会社に対し、金融2社の株式の上場を早期に実施するための具体策を検討すること、郵政株式会社の自社株の早期上場および政府による処分を可能とするための準備を急ぐこと等の指示を行いたいということで、その決定がされました。

記者)
 国会が召集されましたが、昨日安倍総理から改めて、「教育再生国会」という発言がありましたが、大臣の本国会に向けた所信をお伺いできればと思います。

大臣)
 内閣は一体としてやらなければなりませんし、安倍総理の教育にかける強い気持ちは、昨日の「教育再生国会」というお言葉にもありますが、一昨日の教育再生会議で、自らこの国会中に3本の法律を出したいという意向を表明されました。中央教育審議会にある程度のご意見を伺いながら今通常国会に出していくのは、時間的にも大変な作業になると思いますが、内閣一体となって、ともかく法案を提出できるように頑張りたいと思い、昨日、教育法制度整備推進本部を立ち上げました。まず、予算について粛々とご審議いただき、その後、どういう形でこの3法が審議されるのかについては、国会、院の構成としてお考えになることですが、文教科学委員会等で審議することになると思いますので、地方統一選挙、参議院選挙等のスケジュールの中で、緊張感をもってやっていきたいと思います。

記者)
 東京都で公立小学校の2副校長が降任勧告を受けたということ、また、大阪府八尾市の市立中学校でいじめへの対応を誤った校長が指導力不足の認定を受けたということがありましたが、本来リーダーシップを発揮して教員を牽引すべき立場の校長や副校長が、そのような形になってしまうことに関して、お考えをお聞かせください。

大臣)
 基本的には、学校現場に対しては文部科学省に人事権がありませんので、各教育委員会の色々なお考えによってやっておられることだと思います。具体的にその事案についての深いやりとりまで知っているわけではありませんので、一般論として言えば、校長というのは、それなりの人事評価を経て校長になっておられるので、降格しなければならないということは、人事権を持っている教育委員会の失敗でもあるので、よく考えてもらいたいと思います。いじめや学校現場が荒れている場合の出席停止制度の活用等は、教育再生会議で色々ご意見が出ておりますが、現行法でもできないことではありません。ところが、なぜこの制度がきちんと活用されないかというと、あまり強く指導し過ぎると、教師として学校現場としての努力よりも、出席停止制度へ逃げ込んでしまうので子どもがかわいそうだということ。また逆に、出席停止にしようとした場合に、地方議会も含めた地域社会や教育委員会が当該学校や校長をバックアップする雰囲気がないと、孤立してしまいます。ですから、今仰ったような事例も、校長先生や教頭先生だけに責任を負わせるのではなく、教育委員会も自らの指導が良かったかどうかも含めて、少し考えていただきたいと思います。

記者)
 教育再生会議で、体罰の範囲等についての昭和23年の法務庁通達を見直すということが報告に出ています。「法務庁」はいわば内閣法制局の前身になり、通達の中身自体は文部科学省の所管になっていますが、見直し作業は、法務省や内閣法制局とどのように連携されるのでしょうか。

大臣)
 文部科学省がその通達の中で、例えば体罰というのは具体的にどの範囲のものをいうのかについて、内閣法制局や法務省の人権擁護局などとすり合わせをすることになるのではないかと思います。

記者)
 文部科学省でまず案を作った上ですり合わせをされるということですか。

大臣)
 まあそうなると思います。まだ担当部局から具体的な話を聞いておりませんが、どう変えるのか、あるいは変えずに今のまま残しておくのはどこなのか、色々あると思います。

記者)
 学校給食について、全国で22億円もの給食費の未払いがあることが文部科学省の調査で分かりましたが、今後、文部科学省としてはどのように対応していくのですか。

大臣)
 生活保護所帯の扱いの問題、生活保護費の申請をしていないが生活の困窮を理由に払えない人、あるいは十分払える所得があるのに払わない人等、内容は様々です。ですから、先ほどの校長や副校長の降格の問題もありますが、教育委員会には、なかなか大変なことと思いますが、未払いの子どもを抱えている学校をサポートしていただき、きめ細かな対応をしていただきたいと思います。下手に突っ込むと、プライバシーの問題等もありますので。要するに、教育委員会事務局がしっかりとした対応をしているところと、そうではないところではかなり差が出てくると思います。北海道と沖縄の未払いの割合が高いというのは、地域的な諸問題があるのかどうか。こういったことも含めて対応していただかないといけないと思います。文部科学省においても、学校給食についてはスポーツ・青少年局が所管しておりますが、初等中等教育局ともよく相談をして対応を考えるように指示をしました。

記者)
 教員の勤務実態が無い等の理由で、株式会社立大学であるLEC東京リーガルマインド大学に対して初の改善勧告が出ました。規制改革の一環として、民間企業の参入を認めたわけですが、そういう流れに対してお考えを聞かせてください。

大臣)
 当時のことを私はよく存じませんが、当時はマスコミ論調も、非効率を是正するためには市場原理の導入が良いという一色だったのでないですか。ですから何事も、良いことと悪いことは表裏一体です。本当は私は、民間教育に株式会社は参入せず、しかし効率化原則はしっかりと持って対応するのが良いと思います。効率化原則が十分透徹していないとき、効率化原則を一番進めやすいのは、市場原理や自由競争というシステムです。そのシステムを今回導入したところ、儲けなくてはいけないということのために、規範意識が低下し、本来守るべきことが守られなかったということです。構造改革特区として株式会社が大学を設置する場合は、基準をきちんと守っていただきたい。利潤のために基準をはずれるということは、認められないことです。今後は、やや抑制的に行うべきだと思っております。

記者)
 LEC東京リーガルマインド大学の問題を株式会社立大学一般に拡大して適用し、株式会社立大学が駄目なんだというふうにしていいのでしょうか。

大臣)
 一般に適用してしまうことについては、慎重であるべきだと思います。ただ、やはり株式会社というのは利潤を上げることによって成り立つのですから、審査などについては特に念を入れて行うべきだと思います。

記者)
 ただ最近は学校法人立の大学でも、教育の質の低下や、経営が放漫で学生に迷惑がかかっている例がいくつか出ております。そういう中で、株式会社立の大学と学校法人立の大学で経営の規律に本質的な違いがあるのでしょうか。

大臣)
 学校法人立の大学についても、基準が守られていない等については、まったく株式会社立大学と同じ対応をしなくてはいけないと思います。

(了)

(大臣官房総務課広報室)


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