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平成19年1月19日大臣会見概要

平成19年1月19日
11時1分〜11時25分
文部科学省記者会見室

大臣)
 閣議と、その後の観光立国関係閣僚会議について申し上げます。閣議については特段の文部科学省関係の案件はございません。平成19年度税制改正の要綱について、財務大臣からご説明がありました。それから観光立国関係閣僚会議については、「観光立国推進基本計画を策定するので、関係各省においては、ぜひ協力をしてほしい」というお話でした。特段、大きな問題が決まったということはございません。

記者)
 学校週5日制についての現時点での大臣のお考えを伺えますか。

大臣)
 再生会議の提案ですか。新聞、あるいはテレビ等で次々と報道されますが、どこからああいう内容が出てくるのでしょうか。私たちのところにもまだ正式に来ておりません。委員の人たちと打ち合わせているのが、個別に抜けていっているのか、よく分かりません。私も第一次報告の最終案をよく見ていないので分からないのですが、そこに週5日制について書いてあるのですか。
 週5日制とゆとり教育について、一緒にして誤解があってはいけないので正確を期しておきたいのですが、ゆとり教育というのは、基礎的なことを教えた上でそれを実際に応用していくために、教室や教科書で教える以外の時間を取ろうというのが、総合学習的というのでしょうか。ゆとり教育という言葉はそもそもありませんので、総合的な学習の時間という形で時間を取っているということだと思います。これが、当初の狙いと違うように学校現場で運用されているというご批判がたくさんあると思います。そのことについては、運用を直して、必要な、当初考えていたような運用にしてもらわなければならないだろうという気持ちを持っております。
 それから、週5日制については、それによって授業時間が若干減ったと言われますが、当時の文部科学大臣経験者等に伺ってみると、週5日にする代わりに、夏休みの日数を減らすなどのやりとりが実はあったようです。同時に、一度に全て週5日にするのではなく、月一度であるとか隔週であるとかの、色々な経緯を経て今日に至っているわけです。ですから、もう少し勉強時間を増やした方が良いという国民、有権者の合意があれば、私はその方向で検討しなくてはいけないと思いますし、その辺の見極めが政治としてはしなくてはいけません。もし、週5日制を漸進的にはずして、元へ戻すという考えを採るのであれば、当然教員の実稼動の日数は増えますから、現在のままの給与総額では、教員にとって非常に不利になるから、いい教員を確保するという観点も考えて、やらなければいけないので、すぐに結論が出せることではないと思います。カリキュラムの組み方から何から、抜本的に変えないといけない話ですから。学力が低下してきたという問題意識をもって、勉強時間を増やしたいという教育再生会議のご提案は、政府として真摯に受け止めて、総理のご判断もいただきながら、国民にも少し問いかけてみて、答えを出すことだと思います。

記者)
 明日から大学入試センター試験が始まりますが、去年暮れに未履修の問題等があった中での実施ですが、どのようにお考えですか。

大臣)
 大体この時期は、雪が降ったり、天候が荒れます。できるだけ、受験生の人たちが平安な気持ちで試験を受けられる天候であってもらいたいし、もしも天候等の事情で開始が遅れたりする場合のために、省内で連絡網を確立しておりまして、私にもすぐ連絡が来るようになっておりますので、受験生に心配をかけないようにしたいと思います。もう一つ、昨年は、ヒアリングの機器がうまく動かなかったということもあるようですが、その辺も点検を十分やりまして、現時点では遺漏のない態勢の準備を整えています。と、いうのが現実の対応です。
 同時に、センター試験は、高等学校の全国の学力調査のような面も持っています。国民の税金で行っているので、単にセンター試験を行ったということで放置しておかずに、結果をよく見て、未履修の問題もありましたが、将来の高等学校のカリキュラムの編成等にも十分役立ててもらいたいと事務局に指示しました。また、センター試験を各大学にどういうふうに使っていただくか。一番極端な例で言うと、センター試験を参考にしながら、あとは面接と論文だけで選抜するような形を取れれば、未履修のような問題は起こって来ないだろうと思います。しかしセンター試験は、平均的なところを狙って行っているわけですから、偏差値が非常に高い大学では、センター試験ではその選考ができないという問題があります。全員が90何点くらいに固まってしまう等、色々な問題がありますが、私たちの希望としては、できるだけ大学当局にセンター試験の結果を、入学者選抜の大切な方途として使ってほしいと思います。強制することはできませんので。

記者)
 児童生徒の自殺にいじめの関わりが指摘されている事例の調査結果が出ましたが、今までの調査で0件とされていたのが、実は14件あったということが判明したようですが、大臣の所感をお願いします。

大臣)
 これは、池坊副大臣が本部長となっている「子どもを守り育てる体制づくり推進本部」にご説明をしてから公表することを考えていましたが、既に一部の報道がありましたので、推進本部を待たずに公表することを指示しました。
 従来の0件と言われていたものがどういうかたちで収集をされていたのかということですが、つまり、学校当局が市町村教育委員会に報告をし、市町村教育委員会が都道府県教育委員会に報告をし、都道府県教育委員会が文部科学省に報告をした数字を集計して、0件と言っていたと思います。いじめの問題について、私が大臣になってから自殺予告の手紙が来たり、北海道や福岡の件での教育委員会の対応などについて色々な批判が起こったりして、国会でも取り上げられ、報道各社が大変だという気持ちを持って報道してくれたことで、地方の教育委員会、あるいは学校当局者の意識も変わったということだと思います。そういう雰囲気の中で、もう一度調査をやり直した結果、文部科学省に従来と違う、特別な指示権や命令権が付与されたわけではありませんが、やはりいじめも関係があるのではないかというものについて、校長先生が市町村教育員会に、市町村教育委員会が都道府県教育委員会に報告された数字が変わってきた。そしてこちらも、一つの原因だけではなく、複合的な原因で自殺の動機はあるのですから、少しでもそういう事例があったときは、上部の教育委員会や文部科学省に報告をするようにとお願いした結果、そのような数字になったと思います。
 二つの問題があると思います。一つは、私としては是非もう少し都道府県教育委員会に対して、言ったことをきちんと実行してもらえる権限が欲しいということ。それからもう一つは、いじめというものは、非常に多種多様であるし、人が死に至る動機というのも多様なものですので、原因をなかなか一つに特定できないものであるだけに、学校現場で起こっていることについては、使命感をもって突っ込んでやっていく必要があるという反省材料でもあったということです。

記者)
 昨日、中核市の教育長会議の方々から、教職員人事権の市町村への早期移譲を求める報告書が出されましたが、教育再生会議においても、地方教育行政法の早期改正が求められているようですが、現時点での教育委員会改革についての大臣のお考えを教えていただけますか。

大臣)
 教育再生会議のご提案については、実は私は報道を通じてしか、知りません。24日に総会があるのでしょうから、その会議には私も出席しなくてはいけませんので、その前には私に説明をしていただけるのではないかと思います。報道によると、教育再生会議は中核市とは言わず、市町村にと言っていると思います。人事権には色々あって、人事異動権と、その前提になる異動の上申権と、勤務評定権のようなものから成り立っているのではないでしょうか。ですから現在でも、評定をする権限は、第一義的には校長にあります。そして、政令市は別ですが、それを市町村の教育委員会が受けて、上申をして、都道府県の教育委員会が発令をするということです。私は、最終的な人事発令権は都道府県に残しておく必要がある地域と、中核市や政令市のような地域では、かなり差があると思います。一律には議論できません。例えば小さな、一島一村一学校という小学校に人事異動権を渡してしまったら、学校が一つだから動きが取れません。東京都内でも、奥多摩にいる先生が都内に来て、都内から離島に行く先生もいて、というようなことがあって、教師のやる気が出てくるという面もあります。ですから、中核市ではその方が良いのかもしれませんが、中核市以外のところの先生はほとんど異動ができないということになっても困ります。これも新聞報道でしか見ていませんが、小さな市町村については、必ずしも教育委員会を設置する必要がなく、いくつかで連合体のような教育委員会を作ってもいいような提言もしていらっしゃるように書いてあります。そういうことをすべて抱合的、総合的に考えないといけませんので、どこか一部だけを、こうした方がいい、ああした方がいいというだけでは、現実はうまく動かないのではないかという気がします。ですから、ご提言は決して駄目だというわけではなく、これもひとつの提言として受け止め、政令市は政令市で、今のようなやり方を既にとっているわけですから、それ以外の市町村、特に離島や小さな市町村、山村などの小学校、中学校の先生方の異動のことも考えながら、最終的に判断をしていくことで、人事権だけの問題ではなく、教育委員会そのものの規制緩和の問題も一緒に考えないといけないのではないでしょうか。

記者)
 中央教育審議会の答申で既に一昨年、当面中核市に職員の人事権を移譲してということが答申されていますが、その点についても見直すべきだとお考えですか。

大臣)
 教育再生会議でも色々な意見があり、例えば教員免許についても中央教育審議会が言ったことと若干違いますから。教育再生会議の提言どおり行うわけではありません。総理がどうそれを判断されるかということでしょうから。それを踏まえて、今のようなことも考えるということです。ですから、単に人事権だけの問題として考えるのは、ちょっと難しいと思います。

記者)
 来週からいよいよ通常国会が始まります。重要法案がたくさんあるかと思いますが、とりわけ今もお話になられた地方教育行政法や教員免許法、それから学校教育法。これらについて、優先順位をどうつけるか総理とお話になりましたか。

大臣)
 いや、今週なかなか時間が取れませんでした。もちろん国会が始まる前にお話ししなければいけませんから、来週には必ず総理とお話しします。5分や10分閣議の後で話すべきことではありませんので、各党の動向や党内の状況、民主党さん含め、どうお考えになっているのかというような状況。例えば教育委員会のことについて言えば、民主党案を国権の最高機関である国会で否決したという事実がありますから、民主党案の中に書いてあることを、今度は政府が、一部良いからと言って提案をするということは、国会と行政府との関係で非常に難しい問題が起こってきますから、そういうことも細やかに、一度総理と、2、30分ゆっくり話をしたいと思っています。もちろん25日から国会が始まりますから、それまでにきちんと、お互いの腹だけは合わせておきたいと思います。施政方針演説のこともありますしね。法案の提出については、非常に運がいいというと表現が適切ではありませんが、今お挙げになった3つの法案は、予算非関連法案です。人材確保法なんかが出てくると予算関連法案になりますが、人材確保法は去年の暮れに蹴飛ばしてしまったものだから、少し法案作成まで時間の余裕があります。ただ参議院選挙もあり、国会の会期が極めて限られていますので、そういうことにも目配りをして、今仰った、優先順位というようなことも考えないといけないと思います。

記者)
 先ほど大臣が仰った、もう少し教育委員会に対して言ったことをしてもらえる権限、これは以前から仰っていますが、地方分権一括法で措置要求権がなくなったものをまた元に戻そうというお考えはあるのですか。

大臣)
 これは、関係省庁と関係団体との協議も必要でしょうから、今のところ、私がどう考えているかということより、内閣がどう判断するかを念頭におかないといけませんから、悩ましいところです。

(了)

(大臣官房総務課広報室)


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