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平成18年12月26日大臣会見概要

平成18年12月26日
10時55分〜11時13分
参議院議員食堂

大臣)
 今日の閣議では、規制改革・民間開放推進会議の第3次答申についての決定がございました。それから、明年1月9日から防衛庁は防衛省に移行することになり、国際平和協力活動や周辺事態の対処等が、自衛隊の本来任務になるというご報告がありました。また、菅総務大臣から、完全失業率は4.0パーセントで前月に比べ0.1ポイント低下し、消費者物価東京区部の速報値は1年前に比べて0.3パーセント上昇しているということ、柳澤厚生労働大臣から、有効求人倍率(職業を求めている人一人に対する求人の数)は1.06であるというお話がありました。
 閣議の前に、再チャレンジ支援に関する関係閣僚による会合があり、私から、ニートというものの内容をかなり詰める必要があるのではないかと申し上げました。確かに、色々な仕事に就いたり、努力をしていてもうまくいかず、現在、することがないという立場の方もいらっしゃいますが、元々チャレンジする意図がない人たちも含まれていますので、国民の税金を使って対応する限りは、「ニート」と一括りにせずに、仕分けをきちんとしないと、納税者の理解を得にくいのではないかと思います。麻生外務大臣、尾身財務大臣などが私の言ったことに賛成されました。その後、塩崎官房長官から、仕分けをきちんとしていかないと、安倍内閣の言っている規範意識その他の面からも問題が出てくるというお話がありました。
 また、閣議の後には、多重債務者対策本部の立ち上げがありましたが、特段の話はありませんでした。

記者)
 今年最後の閣議後の会見ということなので、就任されてから3ヶ月間を振り返られての大臣の所感をお伺いできますか。

大臣)
 まあ、えらい目に遭っちゃったというのが率直なところです。教育基本法を国会に通して、関連法を整備することによって、安倍内閣の最優先課題と言われている教育再生を実行すればいいという気持ちで文部科学大臣の職をお引き受けしましたが、まず、北朝鮮での核実験があり、官邸に呼び出された頃から、どうも歯車が早く回ったりしたという感じですかね。しかし、文部科学省の職員も、私のやり方を理解して、随分努力をしてくれたし、予算も、安倍総理が各所で言っておられるように、教育再生が安倍内閣の最優先の課題ですから、教育関係の政策経費は4.4パーセントほど伸びました。これは、例年に比べて大変伸びたと思いますし、科学技術振興費についても、イノベーションという大きな波に乗って、それなりの予算が確保できました。予算というのはお金と一緒で、お金がないと生きていけませんが、お金があるから幸せになれるわけではありません。予算がなければ行政はできませんが、予算があるからといって良い行政ができるわけではないので、文部科学省の職員は国民の税金を預かっているという気持ちを持って、内閣の方針に則って一生懸命やってもらいたいと思っています。いじめの問題については、報道機関の皆さんが大変な協力をしてくれました。記事にはなりませんが、報道を見たり読んだりして、尊い命が救われたとか、いじめが止んだとかという例は、実はたくさんあると思います。私のところにも多くの手紙が来ております。報道機関各社のご協力に心から感謝を申し上げたいと思います。

記者)
 未履修問題の関係ですが、文部科学省の職員の方が出向中に、処分対象になる事由があって、その後、文部科学省に戻って来ている場合、法的に処分ができないということですが、その点に関して、どのようにお考えですか。

大臣)
 建前から言うと、法律の構成を侵すことは法治国家としてはできません。人事権はあくまで地方自治体にありますので、文部科学省の職員が出向中に地方吏員として失敗があったということであれば、地方自治体が処分相当ということをこちらへご連絡していただければ、こちらで事実関係を調査し、しかるべき処分をしなければならないと思います。この前の処分のときも、当時文部科学省の管理職であったけれども、現在は他省庁に移っている人については、こちらから他省庁の人事権者にしかるべくお願いをしたというのと、同じ構成になると思います。地方自治体へ出向していたから失敗しても放っておくというのではフェアではありませんので。しかし、地方自治体の人事権を侵さないようにしなければいけませんから、そのバランスの上に考えるということだと思います。

記者)
 規制改革・民間開放推進会議の最終答申が出ましたが、教育委員会については盛り込まれませんでした。何度もお話いただいていますが、改めて大臣のご意見を聞かせてください。

大臣)
 盛り込まれなかったのではありません。盛り込まれてはいます。ただ、安倍内閣として、国会で教育基本法の審議をしてきて、規制改革・民間開放推進会議が考えている教育委員会についての内容は、否決された民主党案と同じでしょう。国会であれだけ議論をして、国会の意思が示されたことは重視してもらわなくてはいけないと私は思います。もちろん、未履修の問題、あるいはいじめの問題等で、教育委員会と国との関係が色々論じられたという背景もありますが、民主党が提出された、現在教育委員会が持っている権限を地方自治体の長に委譲するという案が国会で否決されたわけですから。このことの意味は非常に重いと思います。しかし理解に苦しむのは、民主党案には普通教育の最終責任は国にあると書いてあります。ところが、教育委員会の持っている権限を地方自治体の長に委ねると書いてあるわけですから、最終責任が国にあるという条項と、教育委員会の持っている権限を地方自治体の長に委ねるという間を、法律的にどのように担保して繋いでいくのかという議論が、ずっとありました。そういう、国権の最高機関の議論を踏まえて、教育委員会の規制緩和でやらなければいけない部分もたくさんあります。ですから、教育再生会議の議論やその他の国会審議の模様を踏まえて、立法措置をするというような表現になっていると思います。

記者)
 昨日、中央教育審議会委員の懇談会がありましたが、その席上で、教員免許の更新制について、中央教育審議会としては不適格教員の排除は別だという結論を出したので、尊重してほしいというような意見が何人かから出されましたが、そのあたりについて大臣に何かお考えはありますか。

大臣)
 「不適格」というのは、どういう意味で不適格なのか、きちんと詰めないといけません。ある人が不適格だと思っていても、他の人は適格だと思っていることもありますから。免許の更新というのは、何のためにあるのでしょうか。私も昨日、自動車免許の更新に行ってきましたが、視力がどうとか、事故がたくさんあったとか、あるいはある程度の年齢になって運転技術が悪いという場合、当然、免許は更新されないでしょう。駄目教師の定義ははっきりしないと、一律に教職員組合の人が発言したから、それがいいというわけでもありません。教師を次々辞めさせるために免許の更新制をやるわけではなく、児童のために、時代に合った知識をしっかり身につけて指導力のある人に免許を更新してもらうということだと思います。私は、基本的に、鞭だけ振るうことを決して良いことだとは思いません。今回、財務省に申し上げて、平成19年予算での2.76パーセントの教員優遇措置の縮減を止めてもらったのも、総合的に考えて、安心できる給与体系を作りたいと思っているからです。しかしその反面、それを当たり前のことだと思って、自分の資質を磨く努力をしないという人は、免許更新の際には当然条件に満たないのではないでしょうか。駄目教師だから免許を更新しないということではありません。免許更新の条件に合う人は更新されるというだけのことではないですか。

記者)
 先ほど、再チャレンジ支援に関して、ニートの内容を詰めなければいけないと仰ったのですが、これは、働く意思のあるニートと、そうではないニートを分けるべきだということですか。

大臣)
 ニートというのは、働く意思の問題だけではないでしょう。学校にも行かないということもですよね。チャレンジをしたけれども失敗をして、今新しい進路をなかなか見出せないという人については、何らかの支援をしたら良いと思います。国が、一度もチャレンジをしない人にするべきことは、チャレンジをするという意思を持つ人間を育てていくことだと思います。ニートという言葉で包含されている二つの意味合いを、しっかりと踏まえなければ、納税者の理解はなかなか得にくいのではないかという意見は、尾身財務大臣や麻生外務大臣からもありました。
 それでは皆さん、本年は色々お世話になりました。来年もまたどうぞよろしくお願いします。

(了)

(大臣官房総務課広報室)


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