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平成18年10月17日大臣会見概要

平成18年10月17日
9時16分〜9時44分
参議院議員食堂

大臣)
 本日の閣議については、文部科学省関係の案件はありません。官房長官から先般の人事院勧告について政府としては全面的に受け入れ実施することが、給与関係閣僚会議で決まったという報告が官房長官からありました。それを受けて、総務大臣からこの度の人事院勧告では、給与は据え置きということですので、これに伴う財政措置は必要ないとのお話がありました。
 私のほうから2点申し上げておきたいことがあります。1つめは、アメリカ政府が正式に北朝鮮における核実験実施を認める発表をしたことです。我が国は、都道府県及び防衛庁の協力のもと、粉塵その他の採取を行い、これを文部科学省において分析をしておりますが、今までのところ放射性物質は確認されておりません。特に防衛庁の協力を得て、比較的北朝鮮と緯度の近い日本海側の青森、秋田沖で粉塵を採取・分析しておりますが、ここにも放射性物質が含まれているという事実はありません。アメリカ政府がどこで粉塵その他の採取を行い判断をしたかということは、報道官の発表でも諜報上のことなので公表できないと言っておられます。主権は大気圏まで及ぶわけですから、他国の領空へ入って調査をするということは、日本の能力を超えています。従って、アメリカ政府の調査内容についても今のところ情報はありません。
 それから2点目は、大変残念なことですが、いじめによる自殺が北海道と福岡で起こった件についてです。従来いじめというのは、児童の間で行われ、その兆候を地域社会、家族、特に学校が、いち早く把握して、命を守ってあげるというのが本来の筋道だと思いますが、今回起こったことは、率直に言ってやや筋道から離れている、困ったことだと思います。特に北海道の事案では、いじめがあったことを訴えた手紙を残して自殺をしたということで、それまでにいじめの兆候が十分把握できなかったということも残念ですが、自殺の後、手紙があったという事実を、事実確認に時間がかかることは当然あると思いますが、いじめで困っている子どもの兆候を把握するべき学校、家庭、地域社会を束ねているといってもいい行政組織である教育委員会が長い間公表していなかったということは、非常に残念なことだと私は思います。福岡の事案は、私どもが聞いている範囲内では、児童によるいじめの引き金になったのが、児童を指導すべき教諭の言動であるとのことです。「やや軽率な」という報道がありましが、私は、教諭としての基本的な資質にやや問題があったのではと思います。子どもたち同士のいじめは昔からよくあることですが、それをいち早く見抜いて、ケアをして命を守ってやる、辛い立場を守ってやるべき人たちが、役割を十分果たせていないことは、誠に遺憾です。従って、昨日私から初等中等教育局長に次のような指示をいたしました。まずは地方教育行政法に基づいて、北海道と福岡の教育委員会に対して、文部科学省として、本件についての調査を実施します。具体的には、当該学校および関係者に教育委員会へ来ていただいて、文部科学省の立会いのもと、どういうことが現実にあったのかをしっかり調査します。次に、その結果を受けて、各都道府県および政令指定都市の教育委員会の責任者に、文部科学省にお越しいただきます。目的は3つありますが、1つめは、北海道と福岡での調査の結果を周知することです。2つめは、各都道府県、政令指定都市の教育委員会においても、今まで色々な事例があると思うので、困っている子どもの心のケアや子どものつらい立場を改善してあげることができた、というような事例を報告いただいて共有してもらうことです。3つめは、失敗は人間なのでありうることですが、大切なことは、失敗をしたことを隠さずに、みんなで知恵を絞って助け合って、一番困っている、いじめに遭っている子どもを助けてあげるんだという意識を共有してもらうことです。この3点についてお話をして、各地においてこういう残念なことを繰り返さないために、措置をできるだけ急ぐよう、指示をいたしました。いよいよ教育再生会議も始まりますが、教員の質や教育委員会の機能の問題等、安倍総理がおっしゃっている初等教育の改革について、やらなくてもいいという主張の方や政党もおられますが、こういう事例が次々と出てくることを考えますと、70歳以下の人は全員が戦後の教育を受けており、日本人としての毎日を送っているわけですから、戦後の教育の良いところは、十分評価をし維持していかなければいけないですが、ほころびの出ているところについては、国会においても教育基本法の審議等を通じて議論をしていかなければいけないと思っております。

記者)
 北海道と福岡の現場での調査ですが、非常に急を要する話だと思いますが、具体的にはいつ頃から実施されますか。

大臣)
 昨日、初等中等教育局に指示をしてありますから、大臣の指示はすぐ実行してもらわないと困るので、今日明日にでも着手すると思います。

記者)
 初等中等教育局の担当者が、現場に行って立ち入り調査をして、ご家族とのお話にも立ち会われるということですか。

大臣)
 地方教育行政法を理解しておられれば、お分かりになることだと思いますが、国会が決めた色々な法律で、義務教育について国と地方の役割分担があるわけです。文部科学省が調査をする権限を持っているのは、教育委員会なんです。学校の管理運営については、地方自治体におかれている教育委員会が責任を持っているわけです。地方の先生方については、任命権も地方の教育委員会が持っています。ですから、形式的には、法律に従って、教育委員会に対して文部科学省が調査をするということになります。しかし、教育委員会には当然その関係者もみんな来ていただくので、実質的にはご質問のとおり「文部科学省が」ということになると思います。

記者)
 調査される教育委員会は、県と道の単位ですか、それとも市や町の単位まで対象になりますか。

大臣)
 教育行政、地域に密着した教育を行うという意味で教育委員会は置かれていますから、両方になるでしょう。

記者)
 いじめの話ですが、文部科学省で把握しておられるのでは、平成10年度から7年間連続で、いじめによる自殺はない、ということだったと思うのですが、実際は何件かあり、未把握であったことについてどうお考えですか。

大臣)
 文部科学省としては、かつて、どこまで把握できるのかという批判があったので、通知文書の内容を改めて、自殺に至らない場合でも、うまく解決できた場合でも、いじめがあったということについては報告をするようにと各都道府県や政令指定都市の教育委員会に要請をしています。。ところが、ケースバイケースだと思いますが、うまく処理をして自殺がなかったという場合に、これで事成れりということで報告をしていなかったり、色々問題があっても、北海道の事例のように、直接の因果関係がないということで説明・報告をしていないのです。文部科学省が直接調査をするのであれば、「未把握」ということであると思いますが、ワンクッション入っていますから。今おっしゃったようなそしりを受けないように、今度教育委員会の担当者を呼んで会議を開く際にも、いじめはあったがうまく処理できたような案件についても、必ず報告をするように求めたいと思います。

記者)
 例年やっている全国の実態把握以外にあらためて緊急調査を行うということですか。

大臣)
 全国の調査をやるということは言っておりません。調査をするのは北海道と福岡になります。全国の教育委員会の責任者を集めた会議では、当然その両方の事例が説明されるでしょうし、うまく処理できた事例も全国から報告されるでしょう。そして先ほど質問があったように、実態把握の調査においてお願いしていることについて、十分な数値が上がってこないというようなことについて、数値にあがってこないのにこういう事案が北海道や福岡で次々に起こっているのだから、報告の方法に問題があるんじゃないかという議論も当然起こるでしょうね。それが結果的に、全国の実態をもう一度正確に調べ直し報告をしてもらうことにつながるのではないでしょうか。文部科学省が出て行って全国の教育委員会を調べるという意味での調査は、今のところは考えておりません。

記者)
 文書等で再度調査を行うこともないということですか。

大臣)
 まず、全国の教育委員会の責任者を呼び出した際に話をして、必要があれば再度文書を出しても良いとは思います。

記者)
 全国の教育委員会の責任者に集まってもらうのは、北海道と福岡の例を調査した後ということですか。

大臣)
 そうです。

記者)
 それはいつ頃になりそうですか。

大臣)
 来週はじめまでに。あまり事態を十分把握しないままに、国民の感情に配慮して早く実施して、失敗してしまってもいけないので、できるだけ迅速に、かつ慎重に実施します。

記者)
 そうしますと、47都道府県プラス政令指定都市ですので、70人近く文部科学省に集まるということですね。

大臣)
 そうです。

記者)
 北朝鮮の核実験について伺います。都道府県が行っている放射能調査以外に、国として核実験の有無を確認するような追加調査等を行う予定はないのでしょうか。

大臣)
 都道府県が行っている調査以外に調査は行っています。防衛庁のT4ジェット練習機を4機飛ばして、北朝鮮と緯度の比較的近い、日本海側の青森、秋田沖の上空の粉塵も採取しています。ただ、日本の現在の能力では、他国の主権の範囲の中へ入っていって調査をするということは、国際法上から言えば一種の主権の侵害で、交戦行為ですから、できません。

記者)
 2回目の核実験があるかもしれないという報道もありますが、粉塵の採取、モニタリングは継続されるのでしょうか。

大臣)
 通常、科学的には、実験が行われて一週間から十日以内で粉塵の飛来は終わります。ですから、調査担当者としては、第一回目の調査の役割は終わったと考えているのではないかと思いますが、追加的な実験が行われるという報道もありますし、今回の制裁措置について北朝鮮がどう反応するかということもありますし、政治的に体制を解くのは少し待てという指示を私から出してあります。

記者)
 いじめの件ですが、子どもの自殺というのは割と触発されて連鎖的に起こるという専門家もいらっしゃるのですが、今回の北海道の件があって福岡の件が連鎖的に起きたということはないでしょうか。

大臣)
 私は心理学者じゃないからわかりません。北海道の件は一年以上前に自殺行為はあったわけです。それを教育委員会が調査していたというが、結論が出るのに非常に時間がかかるという名目を立てて、いじめを訴えた手紙を公表しなかったということです。横須賀では、お母さんに叱られて自殺したとかいう件がありました。そういう連鎖的なことも心理学者に聞けばあるのかもしれません。
 文部科学省としては、靴の上から足を掻いているような感があるので、教育委員会を調査することによって、実質的には当事者を調査して、可及的速やかに、手が打てるようにしたいというのが、私の気持ちです。

記者)
 大臣が今回、緊急に指示をなさって、こういった調査が行われるというような早い対応をとられているように思うのですが、文部科学省全体としてみたときに、どうして北海道の件が起こった直後に、こういった対応がとられなかったのかという、腰の上げ方の遅さみたいなものは、大臣としてはお感じにならないでしょうか。

大臣)
 福岡の件は、児童と常に接している現場の人の問題が引き金になっているわけで、北海道の件は、教育行政の責任者の対応のまだるっこさに起因しているわけですから、文部科学省として対応が遅いとは思いません。初等中等教育局では北海道の件の際にも、連絡を取って情報を収集したり、色々な対応をしていると思います。

(了)

(大臣官房総務課広報室)

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