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平成18年9月15日大臣会見概要

平成18年9月15日
10時59分〜11時13分
文部科学省記者会見室

大臣)
 本日の閣議で、文部科学省関係の案件は特にございませんでした。しかし、この機会に私より2点ご報告したいと存じます。
 第1点目は、ただいま開催されております文化審議会文化財分科会におきまして、世界文化遺産特別委員会の設置が決定されました。すでに皆様には資料をお配りしておりますが、我が国の世界遺産暫定一覧表、いわゆる暫定リストへの記載物件としては、平成13年に3件を追加して以来、新たな追加はいたしておりません。その後、紀伊山地の霊場と参詣道が、世界遺産登録され、現在我が国の暫定一覧表記載物件は4件のみとなっております。さらにこの4件のうち、石見銀山が推薦中でありまして、昨日14日に平泉の推薦を決定したところでございます。
 このため私といたしましては、今後の世界遺産の推薦の在り方を検討するとともに、登録獲得に向けた戦略的対応が可能となるようなリストの拡充が必要と考えまして、暫定リストへの追加に向けた積極的な取組を指示したところでございます。今後、地方自治体からの提案をもとに、本日設置されました特別委員会における審査の上で、暫定リストに追加する世界遺産の候補を選定してまいりたいと存じます。世界遺産登録は、我が国の文化遺産の国際的な価値が高まるとともに、地域における文化財保護の取組が格段に充実するという点で、大変意義があるものと考えております。今後さらに日本からの推薦登録を推進してまいりたいと考えております。
 次に、13日に独立行政法人理化学研究所が実施しております共同研究の中で、外部の共同研究への参加者の自宅パソコンから、個人情報を含む研究情報が漏洩したことが判明いたしました。誠に遺憾なことであります。すでに数次にわたり指示してきたところでございますが、改めて直ちに、再発を防ぐように指示をし、昨日14日付けで「情報漏えい防止の徹底について」という通知を関係機関へ発出させていただいたところでございます。
 内容といたしましては、情報管理の徹底を改めて確認するとともに、個々の職員に対し、情報の無断持ち出しをしないこと、パソコンへのファイル交換ソフトのインストールをしないこと、さらには共同研究等についても、情報管理の徹底を図ること、これらを確認するように、関係機関にお願いしたところでございます。また、理化学研究所に対しましては、データプロテクトの強化策をはじめとした今後の対策を早急にとりまとめ、報告するよう指示を出したところでありまして、このようなことが二度と起こらないよう、指導していく所存であります。
 国民の方々から、信頼される行政を進めていくためには、情報の漏洩はあってはならないことでありまして、今後、関係機関の情報管理の在り方について、措置状況についての報告を受けるとともに、あらゆる機会を通じまして、関係機関への注意喚起等、再発防止のための取組を進めてまいりたいと存じます。

記者)
 先般発表になりました、生徒指導上の諸問題の現状の調査結果で、2005年度に公立小学校で児童が起こした暴力行為の件数が、97年度以降過去最多になりました。特に教師への暴力が前年度より38パーセント増加していることなどもわかっていますが、これに対して大臣のお考えをお聞かせいただけますでしょうか。

大臣)
 子どもによる暴力行為が低年齢化するといいますか、特に小学生による、小学校内における暴力行為が増加しているという状況は、誠に憂慮すべきものだと思っております。また、本来尊敬する対象であるべき教師に対して暴力をふるうというような今日の事象は、誠に憂慮されることだと思っております。
 これに対する対策としては、私は、学校そして社会、家庭がそれぞれの役割を的確に果たしながら、子どもの教育に携わっていくということによってしか、この校内暴力を始めとした暴力行為を根絶することはできないと思っております。とりわけ家庭の教育力、そしてそれを支援する社会、学校における教育の充実ということを、私どもとしてもしっかりと取り組んでいかなければならないと思っております。
 文部科学省といたしましては、「情動の科学的解明と教育等への応用に関する調査研究会議」におきまして、児童生徒による暴力行為について、すみやかに議論を行っていただくことになっております。来年度の概算要求でも、問題行動への対応について必要な経費を盛り込むなど、児童生徒の問題行動への対応を充実するため、様々な観点からの取組を推進してまいりたいと考えております。

記者)
 先般大臣もご視察されていますが、高松塚古墳の壁画「飛鳥美人」に、新たにカビと見られるしみが見つかりました。これに関しまして大臣のお考えをお伺いできますでしょうか。

大臣)
 私も過日、高松塚古墳、キトラ古墳の視察をさせていただきました。壁画等への影響を避けるために、短時間で、かつ取合部の盗掘口から中を見るという状況でございますから、そういったしみ等についての確認はできませんでしたが、文化庁が今回発表しました写真と以前に撮った写真との照合によりまして、カビと思われる劣化が指摘されているところでございます。
 私が視察をさせていただいたときの状況は、カビ等の対策について、温度管理及び入出者の管理等において、最大限の配慮がされているという印象を受けました。しかしながら、こういったカビ等による状況が進行しているということであれば、さらに最大限の努力をすべきだと思っております。いずれにいたしましても、その状況をしっかり把握し、カビ等の除去にもてる知見をいかして、対策を講じていくことが必要だと考えております。

記者)
 安倍官房長官が、政権構想において国公立大学の9月入学制を挙げていまして、4月から9月までの間は社会奉仕活動を義務付けるということも言っています。これについては色々な意見があるようですが、大臣としては9月入学についてはどのようにお考えでしょうか。

大臣)
 安倍官房長官がおっしゃっております9月入学についてですが、現行制度では大学の学年の始期は省令で定められておりますから、変えることは可能でございますが、変えるにつきましては、国民的な議論と変えることによるメリット、デメリットの検証が必要だと思うわけでございます。そのメリット、デメリットをしっかり検証する中で、決定されるものだと思っております。
 また、官房長官がおっしゃっております、社会奉仕の精神を育む、あるいは人間性を育む教育をすべきだという点については、私も共感をするところでございます。そのための期間として、大学の入学時期を4月から9月に移されるというお考えだと思います。そういったお考えはひとつの考え方として、先ほど申し上げたようなメリット、デメリットをしっかり踏まえて検討していけばよろしいことだと思っております。

記者)
 関連しまして安倍官房長官が、総理直属の教育改革の議論をするための組織を考えていると発言されました。これについては、中央教育審議会が形骸化してしまうのではないかという見方もありますが、大臣の感想、お考えをお伺いします。

大臣)
 中央教育審議会は、文部科学大臣の諮問機関として今後とも必要な機関だと思っております。内閣が、内閣としての考え方をもって、国民的な議論を喚起する中で取り組んでいくという、その考え自体には私は異論はございません。教育に対して多くの方々に興味をもっていただいて、議論に参加していただくということは、私は大変好ましいことだと思っております。教育は国民の皆さんと身近なところで、密接に関係しているものでございますので、教育に対して多くの方々に関心をもって議論をしていただくことは、歓迎すべきことだと思います。その中で、国民の皆さんが求める教育の在り方について、しっかりと描き出し、その具体的な取組については、中央教育審議会の専門的な部会等の組織を通じて、対応するということは、ひとつの方法だと思っています。

記者)
 総理直属の会議を作るということについては、中央教育審議会の審議は時間がかかりすぎるという事情があるようですが、その点について大臣のお考えはありますか。

大臣)
 教育は非常に大きな影響を持ちますので、その制度的な議論は、拙速は慎むべきと思います。しかしながら、遅滞なくやるべきことは、やるべきだと思いますので、時間がかかりすぎるというご批判があれば、それに対応する必要はあると思っております。国民の皆様の求める教育の方向性をしっかりと議論していただくということは、私は良いことだと思っておりますし、その議論の結果に具体に対応するについては、迅速に対応すべきものは迅速に対応していくべきだと思います。ただ、すべてが迅速にできるわけではございませんので、そういった対応はそれぞれの具体的な事例によると思います。

(了)

(大臣官房総務課広報室)

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