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平成16年9月27日大臣会見の概要  中山大臣会見(初)

平成16年9月27日
22時3分〜22時34分
文部科学省記者会見室

記者)
 今回、文部科学大臣に就任されての抱負についてお聞かせください。

大臣)
 今回、文部科学大臣を拝命したわけですけれども、私は、これまで様々な分野の国政の仕事をしてまいりましたが、一番大事なのは教育ではないかという考えを持っております。13年前に文部政務次官を務めさせていただきまして、その後、経済産業や厚生労働、環境関係の仕事など、いろいろな仕事をさせていただきました。日本の経済社会などいろいろなことを勉強させていただきましたけれども、その根底にあるものは教育ではないかということをつくづく感じております。そういう意味で、今回、文部科学大臣を拝命させていただいたということはありがたいことですし、やりがいもありますが、また、それだけに責任は重大であると認識しております。

記者)
 総理から、大臣就任に当たって何か具体的な指示があったんでしょうか。

大臣)
 総理からは、義務教育費国庫負担金など三位一体改革への対応、教育基本法改正についての与党間の協議の取りまとめ、「人間力向上」のための教育改革の更なる推進、教育分野における規制改革等の実現、若年者の自立・挑戦を支援するための実効性ある政策の推進、あるいは「科学技術創造立国」の実現に向けた重点的研究開発の実施と産学間連携などの推進、国民スポーツ担当大臣と協力したスポーツ振興施策の推進などについて指示がありました。その中でも特に言われましたのは、いわゆる三位一体改革の中での義務教育費国庫負担制度等については真剣に考えてほしいということと、教育基本法の改正について精力的に与党間の協議を取りまとめるよう努力してほしいということを言われました。

記者)
 教育基本法改正について、与党での協議も進んで、先週、文部科学省が法案作成に着手することについて了承を得られたと思うのですが、法案の提出の時期はいつ頃とお考えでしょうか。

大臣)
 愛国心についてや宗教教育など、まだまとまってない事柄以外は、法案作成の準備を進めてもいいということになっています。私としてはできるだけ早く提出できるようにしたいと思ってますけれども、そういった事柄の検討状況を見ながら歩調をあわせていかなければならないと思っています。できれば次期通常国会への提出ということを視野に入れて、与党と協議しながら検討してまいりたいと思っております。

記者)
 三位一体の改革との関連で、義務教育国庫負担制度が大きな焦点となっていますけれども、地方6団体からは段階的に地方に税源移譲すべきであるという提案があったわけで、総理からの指示も何かあったようですが、大臣としてはこの問題についてどのように取り組む所存でしょうか。

大臣)
 私も大蔵省主計局に勤務したこともありますから、国家財政の厳しさや大切さということもわかりますけれども、教育というものは財政論だけで割り切れるものではないんではないか、そういう意味で義務教育については他の項目と違うのではないかと考えております。やはり国民が等しく教育を受けることができるということが基本だろうと思っていますから、そういった観点から検討してもらいたい。要するに子どもたちへの教育が、日本の未来を決定しますから、これは何よりも増して一番大事なことだろうと思います。それを基本にすえた議論をこれから展開させてもらいたいと考えております。

記者)
 河村前大臣が8月に義務教育改革案を出しました。6・3制を弾力化したり教員免許の更新制などいくつかの改革案を出したのですが、これについて大臣はどのような対応をされるのでしょうか。

大臣)
 義務教育費国庫負担制度の問題との関連で、財政論だけではなくて教育論から義務教育について考えるべきものがあのではないかという前大臣のお考えにより、そういった検討をされたのだろうと思っています。非常に示唆にとんだ改革案だと思っていますし、この改革案をもとにしまして、広く国民の皆さん方と議論をするための出発点を示したいという河村前大臣のお考えがあったんではないかなと思っております。私としても河村プランを踏まえつつ、中央教育審議会等におきまして具体的な検討を進めていただきたいと考えているところでございます。

記者)
 いわゆる学力低下ということが言われて、これに対し学習指導要領が見直されております。学習指導要領を10年位に一度ということではなく、不断の見直しを行うというような方針も決まっておりますが、このようなことについてどのようにお考えですか。

大臣)
 今までは10年単位くらいで見直しを進めてきたわけですけれども、非常に変化の激しい時代で不断の見直しをしていくということは非常に大事なことだろうと考えております。

記者)
 長崎県佐世保市の事件のように、子どもが加害者になったり、あるいは児童虐待ということで子どもが被害者になる凶悪事件が相次いでおり、事件が起こるたびに何らかの対策を打ち出すんですけれども、なかなか有効な手立てを見出せないという状況にあると思うんですが、大臣はこの子どもの問題行動等も含めて、どのようにお考えでしょうか。

大臣)
 最近の子どもをめぐる諸問題は、事件に巻き込まれたり加害者になったりと非常に深刻な問題だと受け止めております。その背景にあります社会構造が極めて複雑になって、なかなか子どもたちが素直に成長しにくい時代になっているということもあるわけですが、しかし、だからといってそのままに放っておくわけにはいきません。なんといっても、これから日本を背負っていく子どもたちでございますから、学校だけではなく家庭あるいは地域全体で、子どもたちは、どの子もみんな自分の子どもだというような気持ちで見守るというような社会風潮を何とかして醸成していきたいと思っております。ああいった事件が起こるたびに私はずっと考え続けておりました。具体的にどういうことをしていくかということについて、これから皆さんと相談していきたいと思ってます。社会全体で、子どもたちを育てていこうということを基本に据えてやっていきたいと思っております。また、命の大切さといいますか、自分の命の中には、たくさんの人たちの血が流れているんだと、私はよく言うんです。ある人の計算によりますと、自分のおとうさん、おかあさん、じいちゃん、ばあちゃんなど家系を10代さかのぼりますと2千人の血が流れているという話です。そのうちの一人が欠けたとしても、今の自分はないわけですから、そういう意味で命というのは本当にかけがえのないものであり、自分の命も大事だけれども他の人の命も大事なんだということを、しっかり子どもたちに理解させ、また、他人の痛みを自分の痛みのように感じる、そういう子どもたちに育てるためにはどうしたらいいかということを、真剣に考えていかなければならないと思っております。

記者)
 今後、大学は、全入時代を迎え、大学を選ばなければ、入学定員と志願者数が一致するという時代が、当初の予測から2年程早まるということですが、こうしたことについて大臣はどうお考えでしょうか。

大臣)
 平成19年度には大学・短大の収容力が100パーセントになり全入時代が来るということは聞いておりますけれども、そのような状況の中において高等教育のあり方といったことを、真剣に考えていかないといけないと考えております。そういう時だからこそ財政的な支援も拡充するとか、あるいは高等教育の質の向上確保といったことに積極的に取り組んでいかなければならないと考えております。それぞれの大学が魅力ある大学になるために、互いに切磋琢磨するということが必要ではないかなと思っております。

記者)
 内閣府に科学技術担当大臣がおられ、また、総合科学技術会議もあり、文部科学省が科学技術を所管している。縦割りというか、科学技術に関する指令塔をどこがどう分担するのかということはいつも言われているのですけれども、各府省と総合科学技術会議との関係について、どのように大臣はお考えでしょうか。

大臣)
 総合科学技術会議というのが、日本の科学技術に関する全体的な戦略の方向性を考えるところであり、文部科学省はそういった戦略等に沿って様々な研究開発の実施を自ら行っていく役割を担い、具体的な政策を立案推進したり関係行政機関の事務の調整等を行う役割を担っているのではないかと思っております。

記者)
 ITER(イーター)(国際熱核融合実験炉)の誘致の件ですけれども、EUが独自に建設を進めるというような意向を表明するなど、新たな局面を迎えておりますがこのITER(イーター)誘致に対するお考えをお聞かせください。

大臣)
 何とか、日本に誘致したいです。私が聞いたところによりますと、EUのほうでも自分たちだけで建設するとの意向と違い、全体としてやっていこうという意見も出ているということですから、引き続きわが国への誘致について努力していきたいと思っております。

記者)
 H−2A(エイチ ツーエー)ロケットの打上げの再開の時期なんですけれども、いつ頃というような目処はあるのでしょうか。

大臣)
 ちょっと専門的になりますのでね、まだそこまでは勉強してないんですけれども、今後、対策の実施状況等を見ながら、具体的な打上げの再開時期というようなことについては判断していきたいと考えているところです。

記者)
 核燃料サイクルについての大臣の基本的な認識についてお聞かせください。

大臣)
 エネルギー資源に乏しいわが国ですから、長期的なエネルギーの安定的な供給という観点から、核燃料サイクルを進めていくことは絶対に必要であると考えております。そういった中で内閣府の原子力委員会において、原子力長期計画の改定作業が進められているわけですけれども、核燃料サイクルの政策の妥当性について、コスト面やセキュリティなどの観点からも検討をしており、文部科学省としても、原子力の研究開発に責任を持つ立場から原子力委員会の求めに応じて積極的に協力していきたいと思っております。

記者)
 株式会社やNPO法人による学校設置など、構造改革特区における教育分野に対する規制緩和の要望が根強いものがあるのですが、こうした教育の分野における規制緩和について、どのように取り組まれるのでしょうか。

大臣)
 これまで私も、自民党の行政改革本部の規制改革副委員長を務めておりまして、そういったことについても関わってきましたけれども、特区において株式会社やNPO法人が容易に学校法人を設立できるように、学校法人の設立要件を大幅に緩和するとともに教育の活性化を図るために、特別なニーズがある場合には、株式会社による学校の設置や、不登校の児童等への対応など特別な配慮を要する教育に一定の実績のあるNPO法人による学校設置を認めるなど、前向きに検討していると思っております。

記者)
 アテネオリンピックにおけるメダル総数が過去最高を記録するなど、スポーツを所管している文部科学省にとっていいニュースが続いているんですが、一方で今回、麻生総務大臣が国民スポーツ担当大臣に任命されましたけれども、スポーツ振興の取り組みについては、どのようなお考えがございますか。

大臣)
 アテネオリンピックやパラリンピックでの日本人選手の活躍には、本当にすばらしいものがあります。しばらく日本は経済的に低迷しておりましたけどれも、こういったスポーツの好成績というのは、日本人に元気といいますか、活力と希望を与えるものだと思います。麻生大臣が、国民スポーツ担当大臣を兼務されるということになりましたけれども、これはスポーツを日本国中でもっともっと普及振興していくため関係大臣と協力しながら総合的に推進するということでございます。スポーツを担当する文部科学大臣としては、これに積極的に協力をし、スポーツの一層の振興をはかるとともに競技力の向上等も含めて日本がスポーツ大国になるように努力していきたいと考えております。

記者)
 義務教育費国庫負担制度についてお伺いしたいのですが、総理からの「真剣に考えてほしい」という指示は、どのようなニュアンスでおっしゃったのでしょうか。いわゆる知事会が出してきた案で検討せよという意味なのかどうか、その辺を大臣はどのように受けとめたのかお聞かせください。

大臣)
 今年の9月に総理から、三位一体改革については内閣官房を中心として関係各大臣がお互いに協力し、政府一丸となって11月半ばを目処に全体像のとりまとめにあたるようにという指示があったと聞いておりまして、その関連で官房長官からも、地方の意見を真摯に受け止めて検討するようにという発言があったということを承知しています。今日の総理のご指示というのも、この一連の流れにそったものではないかと考えております。

記者)
 河村前大臣は、今の三位一体の改革について、財政論が優先していて、教育的観点からの議論が全くされていないということで、教育論から議論する場を設けて欲しいということを強く切望されていましたけれども、大臣もそのような要望をされるのでしょうか。

大臣)
 そのことについては、河村前大臣と同様といいますか、それ以上に教育というものを数字のつじつま合わせの対象として考えてもらいたくないということを切実に考えております。教育的観点から議論をさせていただくことを基本にすえてこの問題に取り組んで行きたいと思っております。

記者)
 そうしますと、やはりそういった場を求めていくということですね。

大臣)
 そうです。

記者)
 地方6団体からの提案について、今、大臣がおっしゃったように数字合わせであるという批判がありますけれども、大臣ご自身の評価というものはいかがでしょうか。

大臣)
 地方6団体が真剣に議論された提案であり、それは尊重すべきだと思ってますし、地域が子どもたちの教育に責任を持つことは大事でございますけれども、しかし義務教育というものについては、やはり日本全体のことも考えなければいけませんし、ただ財政的な面からだけで検討したために、地域格差ができるようなことはあってはいけないと思ってます。やはり義務教育を含めて、基本的なところは国がしっかりおさえていくべきじゃないかという考えを持っております。

記者)
 以前、文部政務次官でいらっしゃって、13年ぶりに戻られて、文部科学省に対する印象と、文教行政と科学技術行政をどのように見ていらっしゃるのかということをお聞かせください。

大臣)
 政務次官を辞めるにあたって、文部省に権威は必要だけれども、権威主義的になってはいけないということと、もう一つは、文部省こそ、まず一番最初にインテリジェントビルに建て替えるべきではないかということを言いました。現在、ここに一時間借りしてますけども、そういう意味ではあと数年して、文部科学省も新しい庁舎に入居することを楽しみにしています。また、この13年間の間に、日本のいろんな社会情勢も変わり、その中で文部科学省も相当苦労したと思っております。そういう意味で文部科学省も柔軟に対処できる役所に生まれ変わりつつあるんじゃないかなと感じております。

記者)
 プライベートのお話で申し訳ないのですが、奥様が内閣官房参与として拉致問題等で大変ご苦労されておりますが、今回、大臣が入閣され、ご夫妻そろって小泉内閣を支える立場になったと思いますけども、そういったことについて、奥様とどういった話をなさったのかということを、もし差し支えなければお聞かせください。

大臣)
 まだ、あまり話をする時間がないんです。帰っていろいろな話をしたいなと思っていますけれども。「よかったわね」ということと、「今、文部科学行政は非常に大事な時だと思うし、やりがいがあるのではないか」といメールが入っておりました。夫婦共に、お国のために働けるというのは、大変幸せなことだと考えております。

記者)
 メールというのは、それは携帯のメールですか。

大臣)
 そうです。携帯のメールです。ボタンをうまく押せないのですが、携帯のメールでやりとりをしています。ウズベキスタンにいる時からやっていましたものですから。

記者)
 義務教育費国庫負担金制度について、総理や官房長官から指示があり、11月末までに取りまとめるという政府の方針がある一方で、河村前大臣は3大臣合意により平成18年度末までに所要の検討をすることであると主張しております。義務教育費国庫負担金について11月末までに取りまとめるのかどうかも含めて、文部科学省としては非常に厳しい状況にあると思うのですが、決意についてお聞かせください。

大臣)
 今日の閣議の時に、同僚議員から「非常に大変だ」と言われました。小泉内閣の構造改革の一環として、三位一体改革があり、3兆円を地方に税源移譲するというものですから、全体の流れの中で三位一体改革自体に反対はしませんが、どのような補助金を削減して地方に税源移譲するかについて、何が大事であるかといったことや、何を国でしなければいけないのかといったことや、これは地方に移管してもいいのではないかといった根本的な議論をしてもらいたいということです。義務教育費国庫負担金について、中学校の分の8,500億円を税源移譲するという提案ですが、やはり小学校を含めた義務教育全体として考えなければなりません。そこに金額の大きいものがあるのでと、つじつまあわせ、数字合わせで安易に考えられては困ります。教育というものを、もっと真剣に考えてもらいたい。そういう観点から私はがんばって行きたいと思っております。

記者)
 この件に関して、麻生総務大臣のほうから何かお話はありましたでしょうか。

大臣)
 ありません。

記者)
 今の件の確認なんですけども、大臣はこの義務教育費国庫負担制度については堅持すべきという立場ということでよろしいでしょうか。

大臣)
 はい。

(了)


(大臣官房総務課広報室)

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