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平成16年1月20日大臣会見の概要

平成16年1月20日
10時41分〜10時57分
文部科学省記者会見室

◎人事


◎配付
月例経済報告 (内閣府本府)


大臣)
 本日の閣議では、名古屋工業大学長の人事について御報告をさせていただきました。
 日本へのITER(イーター)(国際熱核融合実験炉)の誘致の要請のため14日から17日までの日程で韓国、ロシア、中国を訪問してまいりました。韓国においては呉(オ)科学技術部大臣、ロシアではルミャンチェフ原子力省大臣及びクルチャトフ研究所のベリホフ総裁、中国においては徐(シュ)科学技術大臣及び路(ル)中国科学院長と会談をいたしました。昨年12月の閣僚級会合で合意が得られなかったことを踏まえて、日本のITER(イーター)誘致に対する決意は揺るぎないものであること、ホスト国として建設・運転期間中にいかなる問題が発生しても責任を持ってきちんと対応するということを強調いたしました。そして、ITER(イーター)が日本に誘致された場合に、各国が十分にメリットを享受できる方策を講じること、特に韓国と中国に対しましては、ITER(イーター)が日本に立地されれば、アジアの科学技術の発展に大きなプラスとなることなどについて説明をしました。韓国からはかねてからITER(イーター)の日本誘致について支持をいただいております。韓国側からも技術的な質問事項がありましたので、誠意を持って対応いたします。日本のITER(イーター)に関する能力の高さ、六ヶ所サイトの優位性に対しても評価をいただいておりますので日本に対する支持は変わらないと思います。中国・ロシアからも、日本の取り組み、技術的な面については一定の評価をいただいたわけでありますが、中国からは地震に対する心配の指摘がございましたし、ロシアからは炉本体はカダラッシュに設置し、日本にはデータセンターを設置してはどうかという提案がありました。しかし、当方からは、仮に炉本体とデータセンターを分離する場合でも、機器輸送の観点から炉本体は日本に設置することが合理的であることを明確に申し上げました。いずれにしても各国からの支持が必要であることから、今回の私の訪問にとどまらず、2月初旬に専門家を派遣して具体的に丁寧に技術的説明をすることを含め、あらゆる機会をとらえて日本誘致への理解と支持を得るため最大限の努力をしていこうと思っております。

記者)

 今、ITER(イーター)の関係のお話がありましたけれども、大臣御自身の御感想と手ごたえについてお伺いします。

大臣)
 韓国の呉大臣は、IT関係等の専門家で起業家でもいらして、日本とは今までいろいろな事業を進めてきて信頼を裏切られたことはないということを言っておりました。ただ、フランス・EU側は、かなり積極的な攻勢にでておりまして、今週中にもフランスのエニュレ研究・新技術大臣が韓国を訪問して、フランスへのITER(イーター)誘致を要請するという情報も入っております。また、アメリカが、公式に日本を支持したことに対して、かなり反発しているという情報も入っております。このことは総理にも御報告をさせていただいきました。ロシア側が、炉本体はカダラッシュという提案をしたことからすると、かなりフランス寄りの姿勢がうかがえます。しかし、ITER(イーター)の提唱者と言われるクルチャトフ研究所のベリホフ総裁は、技術的な面において一万トン級の真空容器を輸送することが大きな課題となっており、これを船で運ぶことになれば、六ヶ所村でなければできないような話もしておられました。この話については、ぜひ、ベリホフ総裁からルミャンチェフ原子力省大臣へ伝えてもらいたいということを申し上げました。中国との関係では、特にアジアにITER(イーター)を誘致することの意義というものを、もっと理解してもらう必要があるのでないかと思います。中国の徐科学技術大臣は、中国の学者から六ヶ所村の周辺の地震の可能性が指摘されているということをおっしゃってました。しかし、日本側の調査だと六ヶ所村の周辺にはそうした活断層はないということですから、きちんと説明をすれば解ってもらえるのではないかと思っております。中国側にもっと理解をしていただくため川口外務大臣にも外交上からのお力添えをお願いいたしました。また、在中国日本国特命全権大使の阿南大使も中国の科学技術大臣とこの件について話合いをしてみたいと言っておりました。ロケットによる有人宇宙飛行を成功させた中国の科学技術力だから、いろいろな面で御協力いただけると思っております。現在、日・中・韓で局長級の科学技術関係の会議があるのですが、これを閣僚級の会議にしてはどうかというお話もありましたので、ぜひ、閣僚級会合に格上げして連携を強化していきたいと考えております。外交は、トップの人間同士の信頼関係が大事だといわれます。アジアの近隣の国である日・中・韓の科学技術関係の責任者ができるだけ頻繁に会って、意見交換をしながら信頼関係を築いていくことが非常に重要ではないかと、特に今回の訪問で痛感をいたしました。前回の閣僚級会合でフランス側を支持した国に日本へのITER(イーター)(イーター)誘致を支持してもらうのはなかなか大変なことでエネルギーのいることではありますが、しかし誠意を持って、なぜアジアにITER(イーター)(イーター)を誘致することが必要なのかもっと御理解をいただく努力をしなければいけないのではないかと思っております。日本側としては、このITER(イーター)(イーター)を誘致し、ホスト国としての役割をきちんと果たしていくため国を挙げての体制を持って臨んでいくということを説明させていただきました。メリットとしては、ITER(イーター)(イーター)機構への人材派遣にしても、日本側が5割近い経費を持てば5割近い人員を派遣できることになるでしょうから、日本側としてそれをアジアの他の参加国から受け入れるということも可能になってくるわけです。今後、サイトの建設段階で資材を運ぶという点においても、圧倒的に六ヶ所村が優位であるということも閣僚級会合等においてもっと強調されるべき点ではないかと思っております。技術的にきちんと説明することが大事であると同時に、外交的な面にも力を入れる必要になってきたという認識をさせられました。明日、核融合エネルギー推進議員連盟が開かれますが、関係閣僚会議も開いて日本の体制をもっと強化していく必要があると思っています。米国エネルギー省のエイブラハム長官から今のままで進展がなければ次の会合を開催しても意味がないという指摘もあったようですが、2月に開催される予定の閣僚級の国際会議までに進展を図れるように外交的にも努力をしていかなければいけないという思いでおります。

記者)

 ITER(イーター)関係で、専門家の派遣というのはどういうことですか。

大臣)
 例えば地震や環境廃棄物の対策はどうするのかなど技術的な質問に対して、文書での回答を1月末までに提出しますが、より具体的に説明するため各国に専門家を派遣するという方針でおります。

記者)

 派遣はいつ頃になりますでしょうか。

大臣)
 2月に入りましたら早い時期に派遣したいと考えております。

(了)


(大臣官房総務課広報室)

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