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平成15年4月1日大臣会見の概要

平成15年4月1日
9時15分〜9時38分
文部科学省記者会見室

◎一般案件
平成15年度予算執行に関する手続等について(決定)
(財務省)
 「予備費の使用について」の一部改正について(決定)
(同上)
 自然再生基本方針について(決定)
(環境省)

◎国会提出案件
平成14年自衛隊員の営利企業への就職の承認に関する報告を国会に提出することについて(決定)
(防衛庁)
平成14年防衛庁と民間企業との間の人事交流に関する報告を国会に提出することについて(決定)
(同上)
参議院議員長妻昭(民主)提出北朝鮮のミサイルに関する質問に対する答弁書について 
(内閣官房)
衆議院議員江田憲司(無)提出イラクへの武力行使の正当性等に関する質問に対する答弁書について
(外務省)

◎政令
輸出貿易管理令の一部を改正する政令(決定)
(経済産業・財務省)
運輸施設整備事業団法施行令の一部を改正する政令(決定)
(国土交通省)
ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法施行令の一部を改正する政令(決定) 
(環境省)

◎人事

◎報告
平成14年度第3・四半期に締結された無償資金協力に係る取極について
(外務省)

◎配付

平成15年版外交青書
 
(外務省)

大臣)
 今日から新年度になりましたが、本年度もよろしくお願いたします。新年度第1回目の閣議でございますが、環境大臣から、「自然再生基本方針」について、外務大臣から、「平成15年度外交青書」について御発言がありました。
 財務大臣からは、平成15年度予算が成立したが、予算の運用については、先に成立した平成14年度補正予算と併せ、切れ目のない対応を図るため、各大臣の指導力を期待する、また用地取得済みの事業や、完成までの残工期の短い事業、民間投資の誘発が見込まれる事業等経済活性化効果の高い事業についてはできるだけ優先的に施行するなどして欲しい旨の御発言がありました。我が省でも、この趣旨に沿ってしっかりと対応していかなくてはならないと思っております。
 本日、私からお知らせすることがあります。今般、「義務教育費国庫負担法及び公立養護学校整備特別措置法の一部を改正する法律」が成立したところです。義務教育費国庫負担制度の根幹を守るという姿勢を貫くことができましたが、同時に地方の自由度を拡大するための制度の弾力的な運用は大変大事であるということからいろいろと研究してまいりました。今日、その内容について各都道府県教育委員会に通知することとしております。この制度の運用の歴史から見ますと、画期的なことだと思います。地方の自由度をできるだけ拡大して、より弾力的に運用してもらうということです。
 このうち学級編制の設定については、義務標準法で40人という学級編制の標準が定められていますけれども、これを、県内一律に定める一般的な基準につきましても、都道府県の判断で40人を下回る基準を設定できるということにいたしました。これまでは1、2年生など部分的なものについて自由度を認めてきたのですが、今回からはっきりと、例えば自分の県ではいろいろ考えた結果38人にする、36人にする、まあ、35、6人くらいまでのことを考えているのですが、そういう基準を設定できるということにしました。教育を重視する都道府県では、そういうふうにこの制度を活用していただくことができるようになります。
 また、国がメニューごとに定数を定める加配教職員については、それぞれ事由別に定数が決められていましたが、これからは、都道府県の判断により児童生徒の状況に応じて柔軟に活用できるように大括り化することといたしました。「外国人児童生徒多数在籍」などいろいろな加配要因がありますが、そういったものを「児童生徒支援」と大括りにして定数を決めることとし、各都道府県はその定数内において独自性を発揮し、児童生徒の状況に応じて活用することができるようになります。もちろん積算の基礎というのは参考になると思いますけれども、各地における教員定数の配置計画において自由度が増すということになると思います。
 こうした措置によって学級編制もかなり自由になり、教職員定数の配置もかなり弾力的にできるようになるということで、義務教育費国庫負担制度の根幹といいますか、国が最低保障するところはしっかり守りながら、その上でプラスしていくところについては、それぞれの都道府県が地域の独自性を発揮したり、児童生徒の状況をよく見て弾力的に運用してもらうことによって、地方分権の実が上がるということになると考えています。
 また、教員給与制度の自由度の拡大の観点から、へき地手当の支給割合について、各県の判断に委ねることといたします。へき地の状況もだんだん変わってきておりますので、その手当については、一定の範囲内でそれぞれの都道府県で判断して運用できるようにするということです。これらは本年度から施行することになります。
 もう一つ大きな改正を予定しておりますのが、これまで公立学校の教員給与については、国立学校の教員の給与を基準としていたわけですが、今国会に提出している国立大学法人法整備法案が成立しますと、その準拠する制度自体がなくなりますので、国立学校準拠制を廃止し、各都道府県において、教員の給与水準を主体的に定めていただくことになるわけです。その点でも、かなり自由度が増すことになります。
 昨年来の義務教育費国庫負担制度をめぐる議論においては、そもそも地方分権という観点から議論が起こってきたわけですが、教育の根幹をしっかりと実現していくためには、この制度が是非とも必要であるということで、われわれもこの制度の根幹を懸命に守ってきました。一方で、本当の意味で各地方公共団体が自主性を発揮できるような部分については、大いに制度を弾力化しようという姿勢で取り組んできたところです。その意味で、そうした弾力化を進めるための今回の通知の内容については、各地で大いに活用していただきたいと思っております。

記者)
 義務教育費国庫負担制度の見直しに伴う地方の自由度の拡大に関してですが、学級編制については、国庫負担は40人学級での算定ということですね。第7次定数改善計画では、少人数指導やチームティーチングの場合には教員の加配を認めるが、少人数学級編制に運用するのは認めないという基本姿勢がある中で、それらを認めて欲しいという要望も強いかと思うのですが、第8次定数改善計画においてそのあたりを見直しするということについて、大臣としてはどうお考えでしょうか。

大臣)
 第7次定数改善計画は、しっかりと推進しております。国としては40人という標準のもとに定数を算定しますが、計画期間中に、少人数指導等を実施するため26,900人の定数を改善する予定です。この計画については、しっかりとそういう形で実施していきたいと思っています。今回の措置は、それに加えて各都道府県の判断で学級編制を一層弾力化できるようにするというもので、それは自らの負担において実施できるということです。第7次計画後の将来のことについては、まだ論じる段階ではないと思いますが、教育振興基本計画などを論じる際には、私は個人としては、そのようなことも大いに議論してもらいたいと思っています。詳しくは後で担当課から説明いたします。

記者)
 京都府教育委員会が指導力不足の教員を分限免職処分にしたということです。教員の適格性の認定に関しての文部科学省の方針に従い、各都道府県教育委員会で制度化が進んでいく中で、指導力不足教員の認定をして研修を受けた教員が分限免職処分となったのは初めてということですが、それについてはいかがでしょうか。

大臣)
 この件については、まだ詳しく報告を受けていないのですが、指導力不足の教員に対して研修などを実施したけれども改善の余地がないと判断されたということでしょうか。一昨年7月の法改正により、児童生徒への指導が不適切な市町村立小・中学校の教員については、そのまま放置するのではなく、指導や研修等を行った上で、それでもなお子どもや学校にとって問題ということであれば、分限免職に至らなくても、都道府県の他の職に転職させることができる道を開いたわけであります。今回の京都府教育委員会の決定は、研修を行ったけれども改善が見られないということで分限免職処分としたということだと思います。指導が不適切な教員について、きちんと判断をし、きちんと処分をしていくということは、学校に対する国民の信頼を確保する上で大変大事だと思っています。おそらく十分に判断された上で決定されたものだと思います。まだ詳細はわかりませんが、学校の教員は、公務員であるからといって、いったん職を得たらどんな状況であってもそのままというのは良くないので、そういう意味で、今回のように、しっかりした見地から評価、判断がなされていくということは当然であり、私は評価したいと思っています。

記者)
 サッカーくじtoto(トト)のコンビニエンスストアでの販売の件ですが、以前にtoto(トト)の売り上げが落ちたときに伺った際にも、大臣は慎重な姿勢を示しておられましたし、国会審議でも、コンビニエンスストアでの販売については、非常に慎重にあるべきだということだったと思います。今回、中央教育審議会のスポーツ・青少年分科会でそれを了承したわけですが、今後どうされていくのでしょうか。

大臣)
 中央教育審議会でもご議論いただいて、コンビニエンスストアについても販売場所の対象とするということについての合意がなされたと報告を受けています。スポーツ振興くじが他のくじとは違うのは、国民の御協力によってスポーツを振興していくという目的が非常に大きいことだと思います。今、日本を明るく元気にする力を持っているスポーツの振興のために使われるということが、国民に次第に理解され、行き渡ってきたのではないかなと思います。その意味で、国民の賛同もいただけるのではないかと思っています。今後の具体的なことについては、日本体育・学校健康センターとよく協議しながら検討していくということになります。

記者)
 昨日、大島農林水産大臣が辞任しましたが、ああいう形で辞められたことに対する御感想と、結局は派閥のバランスで亀井善之氏に決まったという経緯があったようですが、この人事についての御感想を伺いたいと思います。

大臣)
 大島前大臣は大変立派な政治家だと思っております。我が省の先輩でもございますが、国対委員長もなされたということから、これから審議という重要法案も抱えている中で、御自身でお考えになって決断されたものだと思います。その後の人事につきましては、私が申し上げるということではないと思いますが、適任者が選ばれたというように思います。

記者)
 義務教育費国庫負担を減らした中で、少人数学級にしていいとか給与も自由にしていいということになりますと、余裕がある自治体とそうでない自治体で、受けられる教育の質に差が出るのではないかという心配がありますが、どういうふうにお考えですか。

大臣)
 それは、私は考え方を少し変えていかなければいけないと思います。これまでは全国一律でということで、国としての最低の保障以上に何かやりたいところも基本的にはあまり認められないということだったのですが、むしろプラスアルファの分は認めていった方が活性化につながるのではないかと考えております。したがって、県財政の中で教育に重点を置いていこうという知事が出てこられたら、それは大いにやっていただければ良いと思います。そういうのを見て、周辺の県で、自分たちのところでも次の選挙では教育に熱心な知事を選ぼうということになってくるかもしれません。良いものを抑えると全体が伸びないと思います。ですから、意欲的なところは大いにやりやすいようにしていく、一方で、全国の教育水準の確保という観点から、国としての最低保障はしっかりと行っていく、そういう姿勢でやろうとしているのが今回の改正です。

記者)
 義務養育費国庫負担が減らないときにこの改正がなされたらプラスアルファが出てくるかなということはあると思いますが、マイナスアルファになることはないでしょうか。

大臣)
 義務教育費国庫負担については、見直すことにしたのは、負担対象経費のうち共済費長期給付と公務災害補償に要する経費を国庫負担の対象外としただけであり、その他には全く影響しません。一人一人の教員には全く関係がありませんし、それらの経費にかかる財源についても各都道府県に対して100パーセント手当されているわけですので、なんら変わりません。水道の蛇口が違うだけで、ボールに一杯になる水の量は変わらないわけですから。国民の税金で教員の給与費がまかなわれるという点で全く変わりません。ですから、今回義務教育費に関する国の手当が減ったとは思っておりません。

事務方)
 補足しますと、本年度は第7次定数改善計画の3年目に当たり、その計画通りに進めると全国で5,380人の教職員定数を増やすことになります。このように最低保障の水準は着実に高まっています。決して減っているということではありません。

記者)
 インターナショナルスクールを設置している法人が特定公益増進法人となれるようにするようですが、アジア系の外国人学校が対象外ということのようですが。

大臣)
 今回の税制改正については、大学入学資格の件とは全く観点が違うわけです。昨年来、政府の対日投資会議、総合規制改革推進会議、日本経団連の提言等におきまして、対日投資を促進する上で、外国人子女教育の充実が外国人の生活面の環境整備の観点から重要であり、海外からの人材流入の不可欠なインフラとしてこれに対する支援策を講じる必要があるという観点から、昨年、平成15年度の税制改正要望として、一定のインターナショナルスクールを設置する法人を特定公益増進法人にすることを、経済産業省とともに財務省に提出し、その後、与党内の調整を経て政府として決定されたところです。したがって、税制改正の観点から取り上げられ検討されたわけでして、大学入試資格の問題とは別個の問題と考えております。今回対象となるのは、学校法人ないし準学校法人の設置する各種学校であって、国際的な認証機関の認定を受けているものについてのみ認めるということです。海外から幅広い人材を受け入れていくための環境整備という今回の税制改正の目的を踏まえれば、当該教育施設の提供する教育が一定水準にあることが求められるということで、このような要件を定めたものです。当初から政府としてもそういう観点で考えてきておりますので、なんら矛盾はありません。

記者)
 大学受験資格が必要な子どもたちという観点ではなく、短期滞在者の子どもたちに対してのものだということですね。

大臣)
 特定公益増進法人の対象拡大という税制の問題と大学入学資格の問題とは別の問題です。

記者)
 問題は別ですけれども、結果的に各種学校の選び方が、大学受験資格のときに議論されたものと似た判断基準になっているようなのですが、これをまた差別だと感じる人はいませんでしょうか。

大臣)
 それは制度の性質が違うと思います。大学入学資格の問題も、プラスアルファでどこまで認めるかということだと思っています。日本の子どもたちも、各種学校等を卒業しただけでは大学入学資格検定に合格しなければ大学を受験できないわけですから、その日本の子どもたちの要件よりもどこまで有利にするかということです。

(了)


(大臣官房総務課広報室)

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