平成14年12月17日
◎国会提出案件
◎公布(法律)
◎政令
◎人事 ◎報告
◎配付
大臣) 閣議前に特殊法人等改革推進本部(第7回)が開催され、「道路関係四公団、国際拠点空港及び政策金融機関の改革について」の決定が行われました。 閣議では、総合規制改革会議の「規制改革の推進に関する第2次答申」に関して、関係3大臣から御発言がありました。また総務大臣から「平成14年版消防白書」について、そして「国家公務員の退職手当の改定方針」について、御発言がありました。 「平成15年度予算及び平成14年度補正予算編成日程」については、12月19日に経済見直し等についての臨時閣議、20日に平成15年度予算財務省原案及び平成14年度補正予算概算閣議、24日に平成15年度予算概算閣議との予定で、作業を進めるということであります。 私からは、ノーベル賞授賞式出席についての報告と、H−Aロケット4号機の打上げ成功について発言しました。 閣僚懇において「早期退職慣行の是正」について申合せがなされましたが、国家公務員の登用の仕方、「肩たたき」が早すぎるのをどうするか、給与をどうするかなど、かなり活発に意見が出されまして、私からも意見を申し上げました。 記者) 先週末に学力調査の結果が公表され、それに対する大臣のコメントとして「おおむね良好」ということですが、文科省の認識が甘いのではないかという意見もあります。大臣御自身がどのように結果を受け止めておられるのか、今一度お示しいただければということと、これに伴って学習指導要領の見直しを図られるかどうかをお伺いしたいのですが。 大臣) 今回の調査は、かなり多くの人数を対象として実施していますから、子どもたちの学力の実態がしっかりと把握できたと思います。その結果については、専門的な見地から設定された通過率から見ると「おおむね良好」ということであります。ただ、私としては、学力が向上していないことは確かではないかと思います。低下ということがはっきりしたのは、算数・数学と社会でした。全体でのべ23教科のうち、設定通過率を下回っていたものは、中学校3年生の英語、中学校1、2年生の理科の3教科でした。 今回の調査結果によって、課題が明確になるのと同時に、逆に、学力を向上していくためのヒントも出てきたのではないかと思います。教師がしっかりと宿題を出したり、補充学習をしたり、あるいは発展的な課題を取り入れた授業を行っているところほど、子どもたちの得点も高い傾向が見られました。子ども自身に基本的な生活習慣が身に付いている子どもほど得点が高いという傾向もありました。あるいは、授業で分からなかったところを教師に尋ねたり自分で調べたりする子どもたちほど点数が高い状況も見られるなど、指導の在り方についてのヒントになるような点がいろいろ出てきました。 膨大なデータを集計していただいて出た結果を御報告したものでございますが、私としては、今後更にしっかりした分析をしていただきたいと思っています。例えば、教科別に、何が原因で学力が低下したのか、何を直さなくてはいけないのかなど、対策も含めて十分検討していただきたい。これは中央教育審議会の教育課程の部会においても検討してもらうとともに、国立教育政策研究所においても、専門家たちにより教科別の詳しい分析や検討を行っていただきたい。それもあまり時間をかけないで、3か月間ぐらいで結論を出していただきたいと思っています。 今回の試験は今年の初めに行ったものでございますから、旧学習指導要領によるものです。新しい学習指導要領では、基礎・基本をしっかり学んだ上で、自分で考える力や自分で判断する力を付けていくことなどを目標としています。基礎・基本をきちんと身に付けることを定着させていく、そして、授業が分からないという子どもをできるだけなくしていく、そういう新しい学習指導要領のねらいについては、見直す必要はないと思っております。ただ、学校、教員や親も含めた関係者にお願いしたいのは、今年1月に出しました「学びのすすめ」で方向性をはっきり出しておりますので、これを実行に移していただきたいということです。 学習指導要領の在り方については、不断の見直しを行っていくわけでございますから、もちろん検討を続けるわけですけれども、今やるべきことは、十分分析をし、できるだけ早く対策について検討を行い、何か行うべきことがあれば行う、そして現場においては「学びのすすめ」をもとに指導を充実していただくことによって、この問題に対処していきたいと思っています。もちろん、子どもたちにとっては、学力だけではなく豊かな心を育成することも大事ですので、そのあたりもよく考えた上で指導に当たっていただく必要があると思います。 記者) 義務教育費国庫負担制度の案件ですが、一般財源化するうちの8分の7を実質国が負担するという方向で決着が図られる見通しだと聞きましたが、そのようになるのでしょうか。 大臣) 義務教育費国庫負担制度の見直しに伴う地方への財源措置につきましては、財務省、総務省、文部科学省の3省間で協議を行っています。明日18日に3大臣で予算編成に向けての事前折衝を行う予定でありまして、そこで結論を得ることになると思います。 記者) 学習指導要領の見直しについては、今回の学力テストの結果を受けて右往左往する必要性はないと考えておられる、という理解でよろしいのでしょうか。 大臣) 新学習指導要領についてはそういうことです。 記者) 不断に行っている学習指導要領の見直しの中で、今回の結果も教訓として考えていこうということでしょうか。 大臣) 今回の調査結果や、新学習指導要領によって教育が行われてきた2学期間の各学校現場の状況を十分にとらえて、総合的な観点から考えなくては良い対応はできないのではないかと思います。その意味で、専門家による分析や研究をしっかりと行い、3か月ぐらいの間にはその結果を出していただいて、対応すべきものが出てくれば対応したいと思います。ただ、学習指導要領の基本的な方向について、今すぐに何らかの対応をする必要はないのではないかと思っています。 記者) 3か月間というのは、新学期までに準備をするということでしょうか。 大臣) その分析結果を受けて新学期からすぐに何かを行うというのは、なかなか難しいと思います。ただ、こういう課題が出てきたことについて、それぐらいのテンポで考えていくということです。しかし、先ほどおっしゃったように、右から左へ直ちに大きく変えるような事態ではないと思っています。 記者) おおむね良好、しかし厳しく受け止めなければいけない面もあるということですけども、おおむね良好でしたら厳しく受け止める必要はないのではないかというように、この文部科学省の説明というのは非常に分かりづらい表現であると思うのですが、それについては大臣はどのように思いますか。 大臣) 専門家から見ると、設定した通過率に照らしておおむね良好ということなのだと思います。しかし、課題が出てきていることは確かですし、私としては学力が向上したとは言えないととらえているわけです。 記者) その設定通過率の設定の在り方も、恣意的にとは思いませんが、従来の通過率よりも低いものがあるのではないかというように、若干その定め方が不透明であったと思うのですが。 大臣) 通過率については、専門家がきちんとした研究を行い設定しているものですが、そういった声も含めて、今回の結果について謙虚に分析をしてもらいたいと思っています。こういう機会に、将来の調査の在り方なども含めてよく分析し、対策についても考える必要があると思っています。 記者) 大臣のお考えとしては、目標は学力向上であって、今回の現状維持という結果にはまだまだ不満が残るということでしょうか。 大臣) そう単純な言い方をされても困るのですが、今まで申し上げているように課題がいろいろ出てきているので、それに対してしっかり取り組みたい。そして、新学習指導要領でねらいとしている方向に向けて、みんなで一生懸命努力しなくてはいけない、という認識です。新学習指導要領が実施されてまだ2学期しか経っておりませんし、調査の実施はその前の話でありますから、新学習指導要領になってそれで更に学力が低下するということは絶対にあってはならないと考えています。ですから、学力を低下させないようにするだけでなく、むしろ本当の意味での確かな学力を付けていく必要があるわけです。そういうことを進めながら、過年度との比較においても学力が落ちることのないようにしていかなければならないと考えています。 記者) 先ほどの御発言についての確認ですが、将来の調査の在り方も含めてということでしたが、これは設定通過率の設定の仕方も含めてという趣旨でしょうか。 大臣) そういうことも検討の対象になるかも知れませんし、どれぐらいの規模の調査とするか、どのようにサンプルをとっていくかという調査の在り方も含めて議論してもらいたいと思っています。これはまだ私の個人的な考えですが。 記者) 福岡県内の私立高校が、校舎等を競売にかけることになったのですが、これについてどのように思いますか。 大臣) そのことについては詳細には報告を受けておりませんが、学校法人は何のために作られたかと言えば、子どもたちに良い教育をするためでありますので、そこのところで対応を誤らないようにしてもらいたいというのが感想です。 記者) 今日、私立大学への補助に関する行政評価・監視の勧告があったそうですけど。 大臣) これについては、中身を詳細に読んで、必要な点はきちんと改善しますということで、総務大臣にお話ししたところです。ただ、貸借対照表上の収入超過額は必ずしも学校法人の余剰資金を示しているものでなく、将来の教育研究の充実に必要な資金が基本金に組み入れられず収入超過額に含まれている場合もあったりします。私立大学等経常費補助金の算定については、状況に応じて減額調整をするなどの手続に則ってなされているものですので、収入超過額が多いというだけですぐに補助金を止めるべきということにはならないと思います。しかし、総務省の勧告を踏まえ、多額の収入超過額を計上している学校法人に対しては、適切に基本金の組入れを行うよう指導した上で、一般補助を更に減額調整することについて検討したいと思っています。(了) (大臣官房総務課広報室)
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