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平成14年10月11日大臣会見の概要

平成14年10月11日
10時56分〜11時18分
文部科学省記者会見室

◎一般案件

国会(臨時会)の収集について(決定)
(内閣官房)
「構造改革特区推進本部の設置について」の一部改正について(決定)
(同上)
債務救済措置に関する日本国政府とキルギス共和国政府との間の書簡の交換について(決定)
(外務省)
文仁親王同妃両殿下のオランダ国御旅行について(了解)
(宮内庁・外務省)

クウェイト国駐箚特命全権大使樽井澄夫外2名に交付すべき信任状及び前任特命全権大使藤田 直外2名の解任状につき認証を仰ぐことについて(決定)
(外務省)
◎国会提出案件
平成13年度(出納整理期間を含む。)における予算使用の状況を国会及び国民に報告することについて
(財務省)
◎政令

自衛隊法の一部を改正する法律の一部の施行期日を定める政令(決定)
(防衛庁)
自衛隊法施行令及び日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法施行令の一部を改正する政令(決定)
(同上)
◎人事

◎配付

☆月例経済報告
(内閣府本府)


大臣)
 今日の閣議では、私から小柴昌俊氏と田中耕一氏のノーベル賞受賞について、「ノーベル賞受賞に対して心から敬意を表する。3年連続で日本人が受賞し、しかも同じ年にお二人が受賞ということで、国民に自信と希望を与える素晴らしい成果である。日本の研究者が高い研究水準を有することを世界に示すものであり、日本の研究者はもとより、日本全体にとって大きな発展につながることになろう。我が省としては、科学技術創造立国を目指して、世界の学術、科学技術の発展に積極的に貢献していくため、今後とも先端的、独創的な研究の推進に一層努めてまいりたい。」という趣旨の報告をいたしました。これに関連して、科学技術政策担当大臣からもお話がありました。
 その後、第3回構造改革特区推進本部が開かれました。そこで構造改革特区推進のためのプログラムが議題になりました。このプログラムに関して、別表1、2で各省庁が実施可能であるとする中身が示されておりますが、これについて各大臣からそれぞれお話がありました。私からも発言をしまして、文部科学省としては、地方公共団体から提案のあったものを実現するにはどうしたらよいかという観点から積極的に検討してきましたが、我が省の関係で、別表1にありますように特区において実施可能な特例措置は15件もあり、こうした特例措置の事例についてお話をしてきました。
 一つ目は「構造改革特区研究開発学校制度(仮称)」を創設することによって、授業を英語で実施したり、小中高一貫教育など多様な教育カリキュラムを認めるということ。二つ目は、幼稚園入園年齢制限の緩和、あるいは幼稚園の学級定員内での保育所児等の受入れなどの特例措置によって、幼稚園と保育所の一体的運用等を促進すること。三つ目の例としましては、大学設置認可に係る校地面積基準の緩和や専門職大学院の学校法人設立条件の緩和などにより、大学や大学院の設置等を促進すること。四つ目は、民間企業が国立大学等の試験研究施設を廉価に使用する際の要件の緩和、あるいは国立大学教員等の兼業規制緩和などの特例措置によって産学連携を促進すること、といった例を紹介しました。我が省は、できるだけ特区の特徴を生かして、それぞれの提案を実現できる方向で取り組んできていると思っております。
 その後、このプログラムは異論なく決定されました。最後に総理から、各地方公共団体からいろいろな提案が出されてくるが、前向きに努力をしてほしい、とのお話がございました。なお、株式会社化について、特に総理からのお話はございませんでした。

記者)
 特区の件についてまずお伺いします。別表2の事項は全国一律に実施ということですが、これまでは見直しの話が出ていてもなかなか踏み切れなかった部分もあるかと思うのです。今までできなかったことを実施するということについて、お伺いしたいのですが。

大臣)
 今までできなかったということですけれども、私どもとしてもいろいろと検討を積み重ねてきており、強い要望が出てくればそれについて取り組む用意をしてきました。それに合致する形での提案があったということもあります。また、今回の提案を見てみると、これは全国的に規制緩和した方がいいのではないかということで決断をしたという点ももちろんあります。私どもとしては、本来あるべき教育の機能というものが、これによってさらに良くなると確信を持てたものについて、内容を全国的に効果を及ぼすということで踏み切っているわけです。

記者)
 今回2人の日本人がノーベル賞を受賞されたことについて、先程の閣議報告にもございましたけれども、あらためて大臣の御感想をお聞かせください。また、今後文化功労者、文化勲章等の話も出てくるかと思うのですが、いかがでしょうか。

大臣)
 今週の火曜日、水曜日と引き続いたノーベル賞受賞のニュースは本当に嬉しく、素晴らしいことだと思います。3年連続で日本人が受賞されたこと、同じ年に2人の日本人が受賞されたこと、若手の研究者で、企業に勤めておられる方が受賞されたということなど、日本で初めてということが多かったわけです。研究内容はニュートリノ天文学という新しい研究分野の開拓であり、また、バイオテクノロジーの微小研究を可能にする基礎の部分であり、いずれも世界の学問や技術を高めることに大変貢献があった研究で、素晴らしいことだと思います。また同時に、カミオカンデの装置によってニュートリノの実在がつきとめられたケースにおきましても、日本の企業の浜松ホトニクスの大変な貢献による優れた技が結晶した装置があったからでありますし、田中耕一さんも、理論面と技術とを結びつけたという点で、島津製作所の研究環境もよかったのだと思いますし、日本企業の持つ底力が発揮された良い例だと思っております。
 両件とも、日本にとって理論面で素晴らしい頭脳を持っているということ、同時にそれを実現するための技も優れているということで、ものづくりの大切さ、あるいはものづくりの効果という面についても確信の持てる、そういう良い受賞内容だったと思います。私はその意味で、今回の日本の2人に光を当てていただいたノーベル賞自体の哲学、あるいは考え方を大いに賞揚したいし、それは素晴らしい考え方だと思います。特に、分析機器の開発は最先端の研究を可能にする非常に大事な分野なのですけれども、時に最先端の研究分野の成果だけに目が行きがちであるわけですが、その基礎を作った人に注目したということは大変素晴らしいことだと思った次第であります。それが率直な感想です。
 今週は株価が低迷どころか大変な下落をしましたが、一方で、知の世紀を担うに足りる日本の研究者たちが世界の知の地平をさらに高める、そういう成果を得られたということでありまして、本当に素晴らしいことだったと思います。表現する仕方はいろいろあると思いますけれども「本当に良かった」、一言で言えばそういうことであります。
 今日は、お昼に総理官邸で2人の受賞者、大学関係者、そして島津製作所の方にお目にかかれますので、その際に大いにお祝いをしたいと思っております。

記者)
 ノーベル賞の関係ですが、田中さんについて一つだけ伺いします。我々もそうですが、文部科学省もノーマークの人だったと思うのです。企業の研究者なのですが、科学技術を担当している省として、タンパク3000プロジェクトにも関わるような先生を事前に候補者として把握できなかった。そういう優秀な方がノーマークだったということについて、情報の収集に関する課題等、今後何か検討されるような予定はありますでしょうか。

大臣)
 私はその意味でもすごいことだと思うのです。誰も予想しなかった、御本人も予想していなかったのです。これまでのノーベル賞の在り方から言えば、分析機器という基盤技術のような面になかなか光が当たりにくかったわけです。したがって予想されなかったということになるのですけれども、そこに光を当てたということで、むしろノーベル化学賞の持つ審査、情報収集の素晴らしさを賛えたいと思います。
 我々としては、今回の経験をもとに、若い研究者たちがのびのびと研究できるような環境を整えること、そして、年功序列の考え方で評価するのではなく、素晴らしいものは素晴らしいといえる、そういう研究風土を是非作っていかなくてはならないと思います。これは心の持ち方を変えれば今日からでも実現できることですので、優れた成果を出した時にはみんなでバックアップしよう、あるいは力を持つ人がもっと活躍しやすいようにしよう、そのような気持ちを持っていただければいいと思います。研究費用の面など様々な環境を整えていくことが、日本の将来に夢を与えてくれることにつながるのではないかという思いがします。
 文化勲章、文化功労者の関係で御質問がございましたけれども、これは、過去の例を見ますと、ノーベル賞をとられた方は文化功労者、それから文化勲章を差し上げておりますので、この点につきまして調査、審議を行っていただくための文化功労者選考分科会を緊急に開催したいと思っております。

記者)
 特区に関してですが、株式会社の学校経営ということがあります。改めて、株式会社の学校経営については、文部科学省が何故譲れなかったという点について伺いたいのですが。

大臣)
 株式会社というのは、利益、営利を目的とした活動を行う法人です。学校はそこに学ぶ人たちに必要な知識・技術、あるいは高度の知見といったものを学習してもらう場所でありまして、目的、性格がまず違うわけです。それと株式会社について御提案がありましたけれども、学校法人を作る際にいろいろな条件があって、例えば校地を持ってないといけない、あるいは校舎も自前で持たなければならない、これは安定した学校の経営を継続していくためにはやむを得ない条件だと思いますけれども、そういったことのために学校法人が作りにくいということがあったと聞いております。それならば、特区においては、学校法人を作る場合にその設立条件を大幅に緩和していくことで対応できるわけです。そういうことで私どもは、実質的に御提案のようなことを受け入れられるようにしようと、今回そういう回答をしたわけです。収益を求めるということでないのであれば、学校法人でも今いろいろなことができるわけですから、大いにやっていただいたらいいと思いますし、学校経営の中に民間的な経営のやり方を取り入れることもできるわけでございます。
 今後どういうことが各地から提示されるか分かりませんけれども、常に前向きに考えながら、しかし学校教育といったものの持つ基本的な機能なり役割というものが本当に果たされるのかどうか、教育行政について責任を持つものとしては、その観点から見なくてはいけません。つまり、特区は、日本の経済を活性化するための特区とされているわけであります。そうであるとすれば、教育に関する問題を経済論理だけで考えてよいのか、ということが言えると思います。そのあたりのバランスをどう考えていくかということで、我々も十分に検討した結果が、今のところの結論であるわけです。

記者)
 専門職大学院についての特区での規制緩和措置についてですが、これは特区だけに留めるのでしょうか。今後全国的な規制緩和につなげていくというお考えはあるのでしょうか。

大臣)
 今のところ特区だけです。高度の職業人を養成するというのは時代の要請だと思います。特に都市部で専門職大学院を作りたいという要望も高いわけですし、それらに応えていくには、やはり特区のようなところで手が挙がってきたら、それは特例的に規制緩和することは可能ではないかと思っております。

(了)


(大臣官房総務課広報室)

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