ここからサイトの主なメニューです
平成14年10月8日大臣会見の概要

平成14年10月8日
10時14分〜11時34分
文部科学省記者会見室

◎一般案件

スロヴェニア国特命全権大使ロベルト・バセイ外1名の接受について(決定)
(外務省)
カタル国駐箚特命全権大使城田安紀夫外2名に交付すべき信任状及び前任特命全権大使池田勝也外2名の解任状につき認証を仰ぐことについて(決定)
(同上)
◎政令

建築物における衛生的環境の確保に関する法律施行令の一部を改正する政令(決定)
(厚生労働省)
◎人事


大臣)
 閣僚懇の中で、我が省にも関連する特区に関する事柄が話題になりました。鴻池構造改革特区担当大臣から、「今週金曜日の閣議後に第3回の構造改革特区推進本部が開催され、構造改革特区推進のためのプログラムが決定される予定である。今、内閣官房と各省庁との間で事務的な調整をしているところだが、前向きに対応している省庁がある一方で、そうでもないところもある。11日の構造改革特区推進本部において、各大臣から特区においてどのような対応ができるのかについて簡単に発言してほしい。また、大臣は事務方に現在の調整状況を聞いて、特区で対応できないとしている事項で、特に地方公共団体の要望が強く、マスコミも注目している分野を中心に確認をして、特区で対応できないかよく検討するよう事務方に指示してほしい。」という発言がございました。これに続いて総理から、「特区というのは官から民へ、国から地方へという小泉内閣の構造改革をさらに加速させる一つの突破口となるものである。様々な理由で難しい分野があることは承知しているが、難しい分野こそ、全国的な対応に先駆けて構造改革特区として規制改革を実施するべきであり、各大臣自らが、自分の省の回答を改めて確認して、地方公共団体等の提案を可能な限り実現する方向でリーダーシップを発揮してほしい。」ということでございました。
 このような中で、個別に農林水産省に関する話がありまして、加えて厚生労働大臣と文部科学大臣に対して、是非そういう方向でやってほしいと特に言及されたわけでございます。
 この特区については、我が省は本当に可能な限りの対応をしておりまして、一部に報道されたような、提案の8割に対して難色を示しているといった事実はまったくありません。こういう事実をまず明らかにしたいと思います。今のところ、数え方にもよるのですけれども、提案の8割以上は対応可能ですし、さらに私のリーダーシップで、残りの2割弱につきましても、よく精査して対応できるものはできるだけやるように鋭意努力してもらっております。全体として見ますと、特区構想の中でも、現行制度の下でもできることを求めているものもあるし、憲法違反でできないことまで提出している例もあるというように、勉強不足な面もあるということを総務大臣自身もおっしゃっています。私どもが見たところ、数え方にもよりますが、全部で188事項ある中で、現行制度上実現可能なものが107件あります。それから、今後法改正によって全国的に対応しようとしているのが28件ありますし、特区として前向きに対応しようとしているのが21件でございます。その他のものについてもよく精査してみますと、本当にできないものは限られていますし、またそれらのできないというものについても、実質的に何を要望されているのかということを踏まえて緩和措置等を検討するようにと強く指導しているところであります。そのようなことで、多分11日にはしっかりした対応ができると思います。
 今のところ皆さんにお知らせできるものとして、例えばこういうものも考えております。一つ目は、構造改革特区研究開発学校制度(仮称)を創設しようということで、学習指導要領によらない弾力的な研究カリキュラムの実施をしたいという要望に対しまして、我が省としてはこれまで現行の研究開発学校制度を弾力化しようということで回答してきたところですが、現行の制度の期間が3年間に限定されているため、長期間にわたってカリキュラムの自由化、多様化を行いたいという地方公共団体の要望に応えられないという面もありますので、一律の期限を設けない新制度を創設することにしました。
 二つ目は、幼稚園と保育所の合同の教育保育活動を可能にする特例措置をとろうとしておりまして、特区においては満3歳に達する年度当初からの入園を可能とする幼稚園の就園年齢の緩和をするのに加えて、幼稚園と保育所の合同の教育保育活動、あるいは弾力的な教員配置を可能とする特例措置を設けることにしました。これによって、それぞれの市町村の現状に合わせて、幼稚園と保育園の活動が連携をとりやすくなっていくので、市民にとって非常に使いやすい制度になるのではないかと思っています。
 それから、国立大学教員の兼業促進のための特例措置も前向きにやっていこうということでございます。その他様々あるわけですが、詳しくは全部精査した後に発表することとしております。
 株式会社による学校の設置につきましては、何をねらいとしているのかをよく検討する必要があるわけです。学校法人になるのに資金面での準備が大変なので株式会社のままでやりたいというニーズが強いようでございますが、そのようなことであれば、会社そのものが学校教育活動をやるのはそぐわないとは思いますけれども、実質的に可能になるように緩和措置をとろうと考えております。株式会社による学校設置につきましては、学校教育に必要な公共性、安定性、それから教育研究の質の保証ということが困難であると考えられ、これは直接学生たちに影響を及ぼすものですし、これらの問題を克服する代替措置も想定し得ないので、特区とはいっても設置主体に株式会社を加えていくことは適当でないと考えております。ただ、総理の御指示も踏まえまして、学校教育への企業の参入を進めて学校教育を活性化させたいという地方公共団体の要望の趣旨をできるだけ実現するために、特区におきましては、一定の場合に学校法人の設立要件を大幅に緩和する措置を講ずることを検討したいと思っております。追ってその内容については申し上げますけれども、校地、校舎に関わる要件を緩和するということを指しておりますが、これによって株式会社が学校設置をということへの要望の実質的な対応ができると考えております。
 こうした事項も含めまして、総理の御指示を踏まえ更に検討を進めて、今週11日に決定される予定の構造改革特区推進プログラムに反映させていきたいと思っております。ただ、特区として挙がっているものの中には、公立小・中学校で授業料を徴収しよういうものもありましたが、これは憲法にも反するわけでございますし、単なる思いつきで要望されたのでは、というものも何件かございます。我が省としては、特区の構想について非常に前向きに対応しようと思っています。

記者)
 今の特区の話ですが、株式会社化の話の中で、大学法人設立の要件を大幅に緩和するということは学校法人を設立してやるのが前提だという意味だと思います。しかし、大幅に緩和すると、学校法人になることと株式会社でやることとであまり違いがなくなるのではないか、また何故そこまでこだわらなければいけないのでしょうか。

大臣)
 学校法人を設立するということは、公共性を持っている学校を建てるための法人であるということで、特に資産的な面でかなり厳しいものがあります。そこを緩和しようということでございます。ただ、学校である以上は、学校としてのいろいろな質を担保するためのものは当然ながら必要となります。今回のものは、学校法人を作りやすくするということですが、これも今、検討に着手したところですので、考え方の大まかな方向性だけを今日はお話ししたわけであります。

記者)
 昨日、「新たな学生支援機関の在り方について」の中間取りまとめがなされましたが、これまでの育英奨学事業の運営について、実はかなり問題があったのではないかと思うのです。例えば滞納率が10パーセントに上がっています。これは日本育英会が催促をしていないのではないか、貸付するときの審査を含めて十分でなかったところがあるのではないのでしょうか。

大臣)
 日本育英会は、奨学金を通じて意欲ある学生が学べるようにということで長い伝統を持って進めてきた事業体であるわけです。おっしゃるように、貸したお金のごく一部ですけど返っていないという事態もあります。国民の税金を使っているわけですから、1割も返ってこないのは問題だと言われれば、それはそうだと思います。回収事業をさらにしっかりやっていくために、今回その一部を外部委託していくことや、債務保証制度を導入しようとか御議論いただいているところでございます。そのように、これまでの在り方についての反省の上に立って、良い提言がなされていると私は考えています。このようなことを通じて、日本の学生たちがその権利を行使してもらうと同時に、きちんと義務も果たしてもらうことによって、継続して学生支援の事業がうまくいくように、今回の提言を重視し尊重しながら制度改正をやれればと思っています。

記者)
 先程、特区の大幅緩和で検討を始めたということですが、できればもう一言、大幅緩和の具体的な内容について伺えればありがたいのですが。

大臣)
 先程も申し上げましたように、校地、校舎に関わる要件を緩和しようということでございまして、特区に限って、学校法人を設立しやすくするということです。なお、これについても一定の場合にということで、どういう場合にこれを認めていくかということについて現在検討を行っているところです。今までは校地、校舎というのは、全部自己所有でなくてはいけなかったのですが、この点が学校法人を作りにくいと言われていた一番の難点であろうかと思いますので、一定の場合にこれを緩和していこうと思っています。これに関してはまだ詰めるべきところもたくさんありますが、そういう方向でやっていきたいということであります。

記者)
 特区の議論の中では、例えば、特区の中で出てきた要望であっても全国一律の制度としてやるというものや、特区を足がかりに制度改正をするというものも考えられるのですが、この場合は、一つの枠内でしかやらないということですか。全体ではやらないのでしょうか。

大臣)
 特区だけではなくて全国的に対応していこうとしているものも28件あります。その中には、例えば、インターナショナルスクールの卒業生に対する高校、大学への入学機会を拡大していくことや、学位の種類・分野の変更を伴わない場合の大学の学部・学科設置等の届出制への移行などがありますが、これらについては今度の臨時国会において法改正をお願いしようということで、全国的に対応していこうというものもかなりございます。(了)

(大臣官房総務課広報室)

ページの先頭へ   文部科学省ホームページのトップへ