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平成14年9月27日大臣会見の概要

平成14年9月27日
10時27分〜10時48分
文部科学省記者会見室

一般案件
   
公務員の給与改定に関する取扱いについて(決定)
  (総務・財務省)
平成12年三宅島噴火による東京都三宅村の区域に係る災害により被害を受けた中小企業者等及び医療関係施設の開設者に対する災害融資に関する特別措置の適用期間の延長について(決定)
  (財務・厚生労働・経済産業省)
   
国会提出案件
   
平成13年度郵便事業の損益計算等に関する報告書を国会に送付することについて(決定)
  (総務省)
平成13年度公正取引委員会年次報告書の国会送付について(決定)
  (公正取引委員会)
   
政令
   
沖縄県における駐留軍用地の返還に伴う特別措置に関する法律施行令の一部を改正する政令(決定)
  (防衛庁)
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律の施行期日を定める政令(決定)
  (公正取引委員会)
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律施行令の一部を改正する政令(決定)
  (同上)
教育公務員特例法施行令の一部を改正する政令(決定)
  (文部科学省)
水産業協同組合法施行令等の一部を改正する政令(決定)
  (農林水産省・金融庁)
特許法等の一部を改正する法律の一部の施行期日を定める政令(決定)
  (経済産業省)
   
人事
   
報告
   
平成14年度第1・四半期に締結された無償資金協力に係る取極について
  (外務省)
   
配付
   
平成14年警察白書
  (警察庁)
労働力調査報告
  (総務省)
消費者物価指数
  (同上)
家計調査報告
  (同上)

大臣)
 まず最初に給与関係閣僚会議がございまして、人事院勧告をどう取り扱うかという内容でした。人事院勧告をそのまま認めていくということで閣議にも報告され、そこで了解されたわけでございます。この取扱いに関しましては総務大臣、財務大臣、厚生労働大臣、経済担当大臣、そして私からも発言いたしまして、現在の厳しい財政状況と民間の動向等に鑑みて、人事院勧告を受け入れざるを得ないというのが全体のトーンでございました。
 それから2つ目に、日朝国交正常化交渉に関する関係閣僚会議の第1回会合が開かれました。そして拉致問題に関する関係閣僚会議専門幹事会で取りまとめられた「拉致問題への対処に関する基本方針」について報告がありました。日朝国交正常化交渉に関する関係閣僚会議及び同専門幹事会の下、関係省庁、関係機関は連携協力し、拉致問題を最優先課題としてその解決に全力を尽くすということでございます。
 その内容としては、事実関係の解明を速やかに進めるため、関係省庁・関係機関が連携協力して、北朝鮮に対する情報提供要求等、必要な措置をとるということが1点目でございます。2点目は被害者及びその家族に対する支援については、その意向を十分踏まえ、内閣官房参与を中心に、関係省庁・関係機関が連携協力して取り組むこと等でございます。
 この会合ではいろいろな意見が各大臣から出されました。冒頭には、外務大臣から、今回の首相の北朝鮮訪問でもたらされたいろいろな内容、あるいは意味について説明があり、その後、拉致問題に関して議論が集中したわけでございます。各大臣から、「これは日本の主権を侵すことであって、そのことを明確に、相手国にもまず悟らせるべき」ということや、「相手国がこれまでの体制を大きく変えたわけではない状況の中で、この問題がどのように解決されていくか、その姿勢を十分に見極めるべし」という御意見や、「合意文書の翻訳が両国で違うというようなことがないように」等、様々な御意見が出されたところですが、結論としては、先程申し上げましたような基本方針が一致して了解されたということでございます。
 この次に閣議がありました。一般案件の中で、先程の関係閣僚会議を受けまして、総務大臣から公務員の給与改定に関する取扱いについて発言がありました。ここで決まりました内容としましては、1つ目は、一般職の国家公務員の給与については人事院勧告どおり改定を行う。2つ目は、特別職の国家公務員の給与についてはおおむね一般職の給与改定に準じて改定を行う。3つ目は、これらの給与改定の実施については、新たな追加財政負担を要しないが、我が国の財政状況がますます深刻化していることを考慮すれば、財政改革を引き続き積極的に推進し、総人件費を極力抑制するとの基本方針を堅持する。そのために行政の合理化、能率化の推進、一層の新規増員の抑制及び定員削減の実施等の措置を講ずる。4つ目は、国家公務員の退職手当については民間企業退職金実態調査に基づき給与水準を見直すものとする。これが閣議決定の内容であります。
 その他、毎月ございますが労働力調査結果、有効求人倍率等について、それぞれ総務大臣及び厚生労働大臣から発言がございました。完全失業率は5.4パーセントで前月同率でございますが、完全失業者数は361万人で17ヶ月連続で前年同月の水準を上回っております。有効求人倍率につきましても0.54倍で前月と同水準であり、雇用失業情勢は大変厳しいということでございまして、厚生労働省としては、来春の高卒予定者に対する就職支援をはじめとして、諸施策に全力で取り組むことで、関係大臣の特段の理解、協力への依頼がございました。
 政令改正事項といたしましては、我が省関係で、教育公務員特例法施行令の一部を改正する政令があり、その内容は、先般、教育公務員特例法を改正いたしまして、その時に十年経験者研修を盛り込んだわけでございますが、今回の政令改正は、その十年経験者研修実施に関して必要な事項を定めるということであります。十年経験者研修といった場合に、在職期間をどう計算するかという計算方法、実施期間、十年経験者研修対象から除くもの等について定める技術的な政令でございますが、これも今回決定されました。
 その後、各大臣からそれぞれ海外出張の報告がございまして、総理のASEMの出張、石原大臣のシンガポール訪問、扇大臣の中国訪問等ございましたが、私からはトルコとスウェーデンへの訪問の内容について簡単に報告をしております。イスタンブールで16日から開催されたユネスコ文化大臣円卓会議では、松浦ユネスコ事務局長の要請を受けて会議の冒頭でキーノートスピーチを行いました。その中で、世界で最も進んでいるといわれる我が国の無形文化遺産保護の仕組みを紹介しつつ、文化の相互理解を深める上での無形文化遺産の役割の重要性や保護の必要性等について訴えました。トルコにおきましては、大統領、エジェビット首相、チャーラヤン文化大臣、ジェム新トルコ党党首、この方は前外務大臣でございまして、私のトルコ在任中の外務大臣であり、また昨年も外務大臣として日本を訪問された方でございますが、これらの方々と個別に会談を行いました。会談の中では、人的交流、文化交流、あるいは来年の日本におけるトルコ年の行事に関して、日本も協力し、トルコ側も精一杯良いものを持ってくるという話でありますとか、様々な意見交換を行ったわけでございます。またトルコの内政問題、経済問題、それから特にイラクの隣国でございますので、イラク問題等について首相とお話をしたわけですが、そのことについて簡単に報告をいたしました。
 スウェーデンでは、エステロス教育科学大臣と会談もし、またノーベル賞に深い関わりを持つスウェーデン王立科学アカデミーのカールソン会長、それからヴィクセル・カロリンスカ研究所、これはノーベル生理学賞及び医学賞について決める権限を持っている研究所でございますが、そこの所長等とそれぞれ会談をいたしまして、両国におきます研究の振興、あるいは特に最近進んでいる両国間の研究交流、協力の進展の在り方等につきまして意見を交わしました。

記者)
 日朝の関係閣僚会議の件ですけれども、閣僚からいろいろと発言があったということは、北朝鮮に対しての反発というか、拉致問題を中心にかなり強い姿勢で臨むべきだというような意見が多いように受け取られます。官邸では国交正常化交渉を10月中にやりたいと言っているわけですが、それについて慎重にすべきだ等の発言はあったのでしょうか。また、大臣からはどのような発言をされたのでしょうか。

大臣)
 拉致問題につきましては各大臣とも非常に関心が高く、とにかく事実解明をきちんとしよう、それから被害者の御家族ともよく連携をとって、政府としてしっかり対応していこうという雰囲気が会議では支配的でありました。今般、内閣に中山内閣官房参与をキャップとする対策組織が作られまして、そこを中心にしながらこの問題に対応していくということであります。やはりその問題がしっかり解決されないと、国交正常化のための交渉に移るというのはなかなか難しい、国民感情から言っても難しいのではないかという雰囲気でございました。特に、最近のメディアの関心もそういうことに注がれているわけでございます。これは長年この問題に苦しんでおられた御家族の気持ちを察しますと、きちんと今のやるべき方向性でやっていくべきだということであります。他方で、そういう難しい体制下にある北朝鮮と、今後どのように日本としてつきあっていくかということについては、今回の総理訪問のもたらす大きなその影響といいますか、一つの転機というのを、どのように両国間の平和的な関係に結びつけていくかが大変大事だというような御発言もありました。
 私は今回は特に発言いたしませんでしたけれども、我が省といたしましても国交正常化に至りますといくつかの関連する問題がございます。それらへの対処につきましては、またその時にきちんと主張すべきものは主張してまいりたいと思っております。現下のこの大きな転換期に、まずもって拉致問題の事実解明という国民の大多数の意見、内閣としてもそれを重視していくという姿勢であることには変わりありません。

記者)
 9月30日に内閣改造の話が出ていて、今日が最後の会見になるかも知れないということが場合によってはあると思うので、一応、1年半近くなりますがこれまでを振り返っての感想をお伺いできれば。

大臣)
 今日は閣議でも閣僚懇談会でもそういう話は全く出ませんでしたので、なんとも予想がつかないわけでございますが、私としては首を洗って待っているという心境でございます。
 1年半近くを振り返りますと、私としましては、着任した時に大きな教育改革の潮流を引き継いで激流の中に身を投じたという感じでございましたが、いまだにその激流の中にいるという感じでございます。教育改革というだけではなくて、日本全体が構造改革という大きな試練、あるいは目標に直面しているわけでございます。その中で舵取りをしていくことになって、なかなかやりがいのある仕事、課題が次々にあったという気持ちであります。
 それから予想しないようないろいろな出来事が、池田小の事件をはじめとしまして次々におきまして、最後のあたりは帝京大学の問題などもありましたが、それぞれについて最善の努力をしてきたというつもりでおります。また、そういうような話題だけではなくて、H−2Aロケットの成功でありますとか、ワールドカップサッカー大会が私の在任期間中に開催される等、なかなか得難い経験もさせていただいたと思っております。
 その他、閣僚としましては、政府特別代表としてペルーの大統領就任式に行ったりと、いろいろな経験をさせてもらいました。
 要するに、我が省の守備範囲が極めて広範囲にわたっていること、そして未来について考える時に、我が省のいろいろな政策というものは国民の皆様に希望を与え得る、そういう使命を持っていると思っておりまして、私といたしましては、そういう役割の重要性に鑑みて、できるだけのことをしようということでやってきました。しかし、教育、あるいは科学技術、文化、スポーツ、いずれもいろいろな施策の成果が出るのは今日明日ではないわけでございまして、まさに21世紀を生き抜く日本人をたくましく育てていく、そのためにどうしたらいいかというのが、ずっと念頭を離れないで今日まで来ているところであります。その意味で、視野を広く、志を高くして、教育行政ないし文部科学省の行政というのはやっていかなくてはならない、大臣自身がそういう姿勢を示すことで省員もよく協力してくれていると思っております。個人としては、いかようになろうとも、それぞれの立場で最善をつくしてもらいたいと思いますし、私自身もそういうふうにして生きていきたいと思っております。

記者)
 留任ではないかと自分では思っているということはありませんか。

大臣)
 いいえ、本当に首を洗って待っているわけでございますが、どういうふうになりますか。

記者)
 教育改革をめぐる学校現場の反応についてお尋ねしたいのですが、先日の学会で中学校の教師6千人の調査を研究者が発表したところ、9割の校長、教師が、今の改革は学校の現場の状況を踏まえていないのではないか、また、対策のスピードが早過ぎてついていけないというアンケートも、それぞれイエスと答えています。これを大臣はどのようにお考えになって、またどのようにしていけばいいとお考えでしょうか。

大臣)
 私も詳しく読んでいるわけでございませんけれども、その調査は国立教育政策研究所の方がおやりになったようですが、研究所としての調査ではなく研究者個人として科研費を受けて行われた研究でのようですね。今、二つの話ございました。現場の意見をもっと聞くようにということのようですが、この点については新指導要領の基本的な考え方の検討に当たりましては、教育課程審議会等において学校関係者、PTA関係者、あるいは企業、マスコミ関係者、文化関係者などから幅広い御審議をいただいておりますし、公聴会あるいは教職員団体等学校関係者からも意見をいただいて、あるいはパブリックコメントの形で意見もいただいてきているところであります。
 また学習指導要領の改訂は、皆さん御存知のように、今年の3月に決めて4月から始めたというお話ではございません、長い時間をかけてやっているわけで、平成10年の告示以来、今年4月の実施に至りますまで、その趣旨の普及、あるいは移行措置ということで、私は行政としては手抜かりなくやってきていると思っております。そして今後も、私としては、新しい学習指導要領のねらいである確かな学力の向上ということについて、しっかり取り組んでいきたいと思っております。そういうことで、現場の意見をいろいろ聞いているわけでございまして、ペースが速すぎるという問題についても、それなりの段階を踏んできちっと対応してきております。
 ただ、調査時期が、今年の3月の、新指導要領が前面実施に移される直前で、まさに教師達が新しい改革に向けていろいろ苦労をして勉強している時ですよね。また、私も過去様々な調査を経験したことがございますが、質問の仕方によって答え方も変わり、例えば「それは現場の意見を聞いた方がよろしいですよね」と聞けば、「それはそうです」というふうに答えるに違いありませんね。また、できればあまり新しいことに挑戦するよりは従来のままの方が楽であるというのが人間でございまして、改革についての意見というのも質問の取り方もいろいろあろうかと思います。しかし、それは研究者の質問の仕方の自由でございますから、私から批判することではございません。
 行政としては、先程申し上げたような手順を踏み、かつ今日の私どものねらいとしておりますものは、21世紀を生き抜いて行く子どもたちを育てるという面で、これはしっかりした目標なり、それを具体化した施策を総合化しつつ、進めておりますので、その趣旨を是非とも御理解いただきたいと思います。また、私どもとしても、さらにそういうことを広く、関係者だけではなく、国民の皆様にもPRしていかなければいけないと、その話を聞いて思ったところでございます。(了)


(大臣官房総務課広報室)

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