令和4年度「南極地域観測事業 基本観測(海洋物理・化学)」採択課題の決定について

令和4年5月10日

このたび、「令和4年度南極地域観測事業 基本観測(海洋物理・化学)」について公募を実施し、所要の審査を経て採択課題を決定しましたので、お知らせします。

1. 事業の趣旨

世界の三大洋と接する南極海(南大洋)では、南極大陸を取り巻き、巨大な流量を誇る南極周極流が、海洋深層循環により三大洋と熱や物質を交換することで地球環境と密接に関わっています。また、南極大陸付近の海水が沈降することで形成される南極深層水も三大洋をめぐる海洋深層循環を駆動することから、地球の気候に大きな影響を及ぼすものと考えられています。そのため、南極海の底層域の水温・塩分等の変化を把握し、その要因を解明することは、地球規模の気候変化に影響を及ぼす海洋深層循環の駆動力を予測する上で極めて重要です。
近年、3,000m以深の海洋深層で水温が上昇している可能性が高いという新見解が提唱され、それによれば、最も大きな温暖化は南極海で起こっているとされています。しかしながら、国際的に見ると、南極海、特に東南極沿岸域(南大洋インド洋区)については、観測頻度が低く物理・化学データが不足しているため、海洋深層循環の駆動力の変化に関する検証が十分に行えていません。
このため、本事業は、南極地域観測第Ⅹ期6か年計画(令和3年11月30日 南極地域観測統合推進本部)に基づき、氷縁付近を含む観測点での南極底層水観測を長期継続し、水深3,000m以深に及ぶ水温・塩分の動態を監視するとともに、その調査研究結果(データ)を国内外の関係機関の利用に供することを目的とするものです。

2. 決定までの経緯

 公募期間:令和4年3月4日(金曜日)~令和4年3月29日(火曜日)
 応募件数:1件

3. 決定した採択課題

南極地域観測統合推進本部 観測・設営計画委員会委員(別紙1)による審査を踏まえて、採択課題(別紙2)を決定しました。
(別紙1)南極地域観測統合推進本部観測・設営計画委員会委員名簿(PDF:141KB)
(別紙2)決定した採択課題(PDF:57KB)