令和4年度「幼児教育推進体制を活用した地域の幼児教育の質向上強化事業」の公募について

令和4年1月21日

このたび、令和4年度「幼児教育推進体制を活用した地域の幼児教育の質向上強化事業」に係る公募を開始しましたので、お知らせします。

1.事業の趣旨

 幼児期の教育は生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものであり、この時期に質の高い幼児教育が提供されることは極めて重要である。
幼児教育段階においては、幼稚園、保育所、認定こども園といった複数の施設類型が存在し、その多くが私立であるという現状がある。公私・施設類型の垣根を越えて、保育者の専門性の向上等の取組を一体的に推進するためには、地方公共団体における幼児教育を推進する体制(以下、幼児教育推進体制)の充実が必要である。
令和3年1月には、中央教育審議会答申「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して~全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現~」において、「地方公共団体において、幼児教育センターの設置や幼児教育アドバイザーの育成・配置等の幼児教育を推進する体制を構築し、持続可能なものとして充実することが期待される。このため、国においても、幼児教育を巡る様々な課題や地域の実情に応じた取組が可能となるよう、地方公共団体における幼児教育を推進する体制の充実・活用のために必要な支援を引き続き行うとともに、幼児教育アドバイザー活用の推進方策の検討や好事例の収集等が必要である。」とされ、幼児教育推進体制への関心や期待が高まっているところである。また、令和3年7月には、中央教育審議会初等中等教育分科会の下に「幼児教育と小学校教育の架け橋特別委員会」が設置され、幼児教育推進体制を含め、幼児教育の質的向上及び小学校との円滑な接続について議論されている。
現状において、地方公共団体における幼児教育推進体制については、各地域において幼児教育推進体制の構築、整備が図られてきたが、今後はそれらの知見も踏まえつつ、より地域の幼児教育に関する課題に的確に対応するための活用支援を強化する必要がある。
この交付金は、幼児教育の推進体制について一定の要件を満たす都道府県又は市(区)町村が、幼児教育アドバイザーの配置及びそれらを活用した研修支援や幼保小接続の推進等の事業を行う場合、その経費の一部を補助し、もって公私立幼稚園・保育所・認定こども園に対して一体的に域内全体の幼児教育の質の向上を図ることを目的とする。
 

2.事業の内容

1 幼児教育アドバイザーの配置・育成など、体制の充実
   幼児教育アドバイザーの配置、幼児教育アドバイザーの質の向上のための取組、新規の幼児教育アドバイザー育成を対象とする。また、幼保小接続の主導的な役割を果たすことを明確化する観点から、幼児教育アドバイザーのうち、幼保小接続担当を位置付けることが望ましい。なお、幼児教育アドバイザーは、公私立幼稚園・保育所・認定こども園に対して一体的に支援を行う観点から、以下の観点に留意して人選すること。
・公私立幼稚園・保育所・認定こども園に対して偏りなく支援が出来るよう、バランスの取れた人数及び経歴の構成になっているか。
・幼児教育施設の支援ニーズを踏まえた専門性を有しているか。
私立園に対しても円滑に支援出来るよう、関係団体からの理解や協力を得ているか。また、学校教育法施行規則等の改正により、幼稚園におけるスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの
役割が規定されたところであるが、これに関連して、幼児教育推進体制における保健、福祉等の専門職との効果的な連携に関する取組も対象とする。
※ 幼児教育アドバイザーとは、幼児教育の専門的な知見や豊富な実践経験を有し、域内の幼児教育施設等への訪問支援等を通じて、教育内容や指導方法、環境の改善等について助言等を行う者を指す。委嘱に当たっては、各地域において、幼児教育施設等における一定の職務経験や研修履歴等を踏まえて選考される必要があり、保育実践に関する専門性を有する者のほか、幼児教育施設における公衆衛生や危機管理、児童心理、特別支援教育、栄養管理等について専門性を有する者の活用も考えられる。
※幼保小接続担当アドバイザーとは、幼児教育アドバイザーのうち、主に幼保小接続カリキュラムの作成・活用等への支援、小学校教諭との合同研修の企画・実施等、幼保小接続に係る取組について中心的な役割を担う者を示す。

2-1 研修支援・巡回訪問、幼保小接続の推進など、体制の活用
 幼稚園教諭、保育士、保育教諭等の専門性の向上、研修・巡回訪問の充実(保健、福祉等の専門職を含む)、幼保小接続の推進、公開保育等(施設関係者評価加算(1号)に関連する公開保育等を含む)の実施支援、幼稚園の人材確保支援に向けた教諭等の働き方改革・負担軽減等を目的とした園内外の研修支援、園内研修の実施など各園の中核となるミドルリーダーの育成、接続カリキュラムの作成・活用等、体制を活用した取組を対象とする。また、本事業は公私立幼稚園・保育所・認定こども園に対して一体的に支援を行うことを目的としていることから、研修支援に当たっては全ての施設を対象とすることが望ましい。特定の施設類型からの訪問支援要請や研修参加が少ない場合は、本事業の取組を積極的に活用してもらえるよう、幼児教育施設に対する周知の徹底、関係者が一堂に会して幼児教育の理解を深めるための会議の開催、関係団体への協力要請、個々の幼児教育施設に対する支援ニーズの掘り起こしなど、地域の実情を踏まえた創意工夫を行うこと。また、地域の実情に応じて、幼稚園の人材確保支援に向けた取組(教諭等の離職防止・定着促進又は再就職支援を目的とした研修等)を検討又は実施をすることや幼稚園教諭、保育士、保育教諭等のキャリアアップに向けた取組(幼稚園教諭免許状の上進のための免許法認定講習等の開設・実施等)を行うなど、同様の取組を実施する域内の関係団体等と連携を図ることが望ましい。
なお、コロナ禍において実習に制約のあった内定者等学生への支援について本体制を活用することも考えられる。(内定者へ幼児教育アドバイザーによる指導助言を含む実習機会の確保等)
 
2-2 人材育成方針の更新(作成等)・活用
 幼稚園教諭、保育士、保育教諭に必要な資質・能力や、それに基づくキャリアステージに応じた人材育成の内容・方法を明確化するガイドライン等、人材育成方針を更新(作成等)し、活用する取組を対象とする。

3 都道府県・市(区)町村の連携を含めた域内全体の質向上を図るための仕組み作り
 本事業が、域内全体の支援を行うことを目的としていることを踏まえ、特定の地域に偏ることなく、都道府県・市(区)町村の連携を含めた域内全体の質向上を図るための仕組み作りに関する取組を対象とする。
1,2の取組を実施するに当たっては、域内全体を対象とする必要があるが、域内全体に取組を広げる前提で、特定地域において重点的に取組を実施することは妨げない。また、取組の低調な地域に対しては、取組が広がるよう、地域の実情を踏まえた創意工夫を行うことが望ましい。都道府県の場合は、上記1,2の取組を実施するに当たっての市(区)町村との連携・協力について検討し、都道府県と市(区)町村の幼児教育アドバイザーの連携、行政関係者、園長会、関係団体等による関係者協議会を開催するなどが考えられる。
市(区)町村の場合は、行政関係者、園長会、関係団体等による関係者協議会を開催する際に、本事業の取組や成果を積極的に都道府県等にも発信することが考えられる。

3.  実施条件

 本事業は公私立幼稚園・保育所・認定こども園に対して一体的に域内全体の幼児教育の質の向上を図ることを目的としているため、幼児教育アドバイザーの活用強化の前提となる、地方公共団体における幼児教育推進体制の構築のための取組が進んでいる都道府県又は市(区)町村を対象とする。このため、教育支援体制整備事業費交付金交付(幼児教育推進体制を活用した地域の幼児教育の質向上強化事業)要綱(以下、交付要綱という。)第2条に基づき、交付対象事業者は、原則として交付対象事業開始時に以下の1又は2の要件のいずれか及び3の要件を満たしていること。

幼児教育推進体制関係事業に初めて申請・実施する場合に限り、事業開始時に1,2の要件を満たさない場合であっても、実施にあたっての計画や体制等検討の状況を考慮した上で本要件をみたしているものとみなすことができる。

なお、1と2の要件をいずれも満たしている都道府県・市(区)町村が、採択に係る審査において優先されることに留意すること。

1 幼稚園、保育所、認定こども園の教育・保育内容面に係る事務に関して、担当部局を一元化している、又は特定の部局又は組織で原則として一元的に実施していること

 教育・保育内容面に係る事務とは、主に幼稚園教諭、保育士、保育教諭の研修を想定している。ただし、保育士を対象としたキャリアアップ研修についてはこの限りではない。研修の運営が複数部局に分かれていたとしても、一元的な実施の主体となる部局又は組織が研修内容面の企画立案に携わること。(規則・要綱等で一元的な取組の継続性が担保されることが望ましい)。

2 幼児教育センターを設置していること

幼児教育センターとしての独立した建物や場所が存在する必要はないが、幼児教育センターとして規則・要綱等で位置付けられた組織・人員が必要であり、幼児教育センターを設置していることを域内の幼児教育施設等に対して示していることが必要。なお、継続性の担保のない単なる関係部局による部署間連携をもって幼児教育センター機能としている場合は、本事業の要件を満たさないため留意すること。
 

※ 幼児教育センターとは、都道府県等が広域に、幼児教育の内容・指導方法等に関する調査研究、幼稚園教諭・保育士・保育教諭や幼児教育アドバイザーに対する研修(幼児教育アドバイザー候補者の育成を含む)や相談業務、市(区)町村や幼児教育施設に対する指導・助言・情報提供等の施策を総合的に実施するための拠点を指す。

3  小学校指導担当課との連携体制確保

幼保小接続の観点から、小学校指導担当課との必要な連携体制を確保していること。なお、ここで言う幼保小接続とは、幼稚園、保育所、認定こども園における教育と小学校教育との接続を指す。

4.交付対象期間、事業規模、採択件数

・交付対象期間:本事業の交付対象期間は、原則として交付決定を受けた年度から翌々年度までの3年間とする。ただし、交付決定は、年度ごとにすることとし、2年目以降については、事業の実績、予算の状況、3に定める要件を満たしているか等を勘案し,1年目(2年目)の実績及び2年目(3年目)の事業実施計画をもとに審査を行い、交付を継続することが妥当と判断した場合に限り、交付決定を行う。なお、交付決定は文部科学省予算の成立以降に行うものとする。
また、令和3年度に幼児教育推進体制の充実・活用強化事業を実施している団体であっても、令和4年度を1年目として事業実施計画書を記載すること。
 ・事業規模:事業規模に応じて2,000万円程度とし、交付金は上限1,000万円程度とする。
 ・採択予定件数:予算の範囲内で件数を決定(予算額(案):260百万円) 

5.スケジュール

・公募開始:令和4年1月21日(金曜日)
・公募締切:令和4年2月21日(金曜日)17時
・審査:令和4年3月
・交付決定:令和4年予算が成立した場合に令和4年4月以降順次
・交付対象期間:交付決定日から令和5年3月31日まで
※ 交付決定以降の交付対象経費が交付対象となることに十分留意すること。なお、委託先又は間接補助先がある場合は、この旨を委託先又は間接補助先にも十分周知すること。

5.交付要綱等

交付要綱等の詳細については下記をご覧下さい

お問合せ先

文部科学省初等中等教育局幼児教育課
企画調整係
電話番号:03-5253-4111(2713)

 

Get ADOBE READER

PDF形式のファイルを御覧いただく場合には、Adobe Acrobat Readerが必要な場合があります。
Adobe Acrobat Readerは開発元のWebページにて、無償でダウンロード可能です。