鈴木寛会長のごあいさつ

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こんにちは、ユニバーサル未来社会推進協議会会長の鈴木寛です。

9月15日、文部科学省において「ユニバーサル未来社会推進協議会」が設立されました。

協議会の目的は、「先端ロボット技術におけるユニバーサル未来社会の実現」です。

2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会を機に、世界中の注目が集まるチャンスを活かし、人工知能(AI)やロボットを始めとする最先端技術に触れて、その体験を持ち帰ってもらおう、というプロジェクトを進めていきます。

この協議会設立に際して、私がキーワードとして掲げるのが「コンビビアリティ(conviviality)」です。

一般的になじみの薄い言葉ですが、オーストリア出身の思想家イヴァン・イリイチ(1926-2002年)が提唱した概念で、日本語では「共悦」「共愉」、すなわち「みんながワイワイ楽しく、生き生きとしている様子」を表現しています。

このプロジェクトでは、コンビビアリティを大事にし、ロボットと触れ合える場を提供します。

そこで皆さまに体験して頂くのは、協議会の名称でもあるユニバーサルな社会、すなわち、ロボットの力を借りて、障害の有無、言語の壁を取り払い、誰もが生き生きと(コンビビアルに)生活できる社会です。

1つの産業を「国策」的に盛り上げようと国が前のめりになる時代が終わりつつあるという経済やビジネスの専門家の指摘を聞くことがあります。

確かに、政治家や官僚がプランをつくって、イノベーションを起こせるわけではありません。

しかし、使い古された言葉で言えば「産官学」が連携し、互いが役割に応じて持ち味を発揮し、特に新時代を切り開く新しい技術、新しいビジネスが民間で生み出せるように、相乗効果が働く環境を整えていく意義は十分にあると考えます。

その観点から、この協議会では「官」(文部科学省)と「学」(大学の研究者)のみならず、「産」「民」「自治体」などに、これから精力的に声をかけていきます。

日本や世界中の人々がロボットを身近なものとして普及できるようにするには、「産」、つまり民間企業や「民」、つまりNPOやNGO、地域コミュニティの力が欠かせません。「日本から新しい時代を創造する」と意気込む皆さまには、ぜひ、このプロジェクトに参画いただきたく思います。

9月15日に行われた第1回協議会では、顧問を引き受けていただいた日本科学未来館館長の毛利さんから、私たち協議会に対して「人々が持っている『思いやり』をもとに、ユニバーサル未来社会、ロボット社会を築くことがメッセージとして世界に広がっていくのを期待しております」との励ましの言葉を頂きました。

このプロジェクトでは、単にイノベーションを追い求めるのではなく、人間と人間、日本人と外国人、健常者と障がい者、そして人間とロボット(場合によればペットも、)が手を取り合う社会のあり方という哲学を日本から提案していきたいと思います。  ぜひこの協議会・プロジェクトにご賛同・ご協力いただければ幸いです。


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科学技術・学術政策局研究開発基盤課

(科学技術・学術政策局研究開発基盤課)

-- 登録:平成27年10月 --