学校給食における食事内容について(平成20年10月23日)

20文科ス第754号
平成20年10月23日

附属学校を置く各国立大学法人学長 殿
各都道府県知事 殿
各都道府県教育委員会教育長 殿

文部科学省スポーツ・青少年局長
山中 伸一

(印影印刷)

 このたび、平成20年10月23日付けをもって、別紙1及び別紙2のとおり「学校給食実施基準」(昭和29年文部省告示第90号)及び「夜間学校給食実施基準」(昭和32年文部省告示第28号)の一部をそれぞれ改正し、義務教育諸学校及び夜間課程を置く高等学校における学校給食の児童又は生徒1人1回当たりの学校給食摂取基準に改訂を行いました。併せて別表のとおり「特別支援学校の幼児1人1回当たりの学校給食摂取基準」も改訂しました。
 ついては、別記のとおり、このたびの改訂の趣旨を御理解いただくとともに、改訂の趣旨を踏まえた学校給食の食事内容の充実等が図られるよう願います。
 なお、この学校給食摂取基準は、全国的な平均値を示したものであり、適用に当たっては、学校や地域の実情等に十分配慮した弾力的な運用に努めていただきますようお願いします。
 また、各都道府県教育委員会及び都道府県知事におかれては、域内の市町村教育委員会、所轄の学校及び学校法人に対してこの趣旨を周知されるとともに、適切に指導するよう願います。
 なお、平成15年5月30日付け文科ス第121号「学校給食における食事内容について」は廃止します。

1 学校給食摂取基準について

  • (1)学校給食における摂取基準(以下「学校給食摂取基準」という。)については、義務教育諸学校の児童生徒においては、学校給食実施基準別表(別紙1)に、夜間課程を置く高等学校の生徒においては、夜間学校給食実施基準別表(別紙2)に、特別支援学校の幼稚部の幼児または、高等部の生徒においては、別表にそれぞれ掲げる基準によること。
  • (2)これらの学校給食摂取基準については厚生労働省が定める「日本人の食事摂取基準(2005年版)」(以下「食事摂取基準」という。)を参考とし、その考え方を踏まえるとともに、文部科学省が平成19年度に行った「児童生徒の食生活等の実態調査」(以下「食生活等実態調査」という。)結果を勘案し、児童生徒等の健康の増進及び食育の推進を図るために望ましい栄養量を算出したものである。したがって、本基準は児童生徒等の1人1回当たりの全国的な平均値を示したものであるから、適用に当たっては、個々の児童生徒等の健康状態及び生活活動の実態並びに地域の実情等に十分配慮し、弾力的に適用すること。
  • (3)学校給食摂取基準についての基本的な考え方は次のとおりである。
    1 エネルギー
     エネルギーについては、学校保健統計調査から児童生徒等の標準体重を求め、食生活等実態調査結果を参考として、身体活動レベル1.75を用いて算出した1日の必要量の33パーセントとした。
    2 たんぱく質
     食事摂取基準においては、成長期のたんぱく質の算定方法が変更になったことから、たんぱく質の推奨量が「第6次改定日本人の栄養所要量」より低い値となっている。しかし、主菜の量、児童生徒等の嗜好及び学校給食においてカルシウムの供給源としての牛乳が通常毎日提供されていること及び食生活等実態調査結果などを勘案すると、基準値は現行程度が適切と考えられる。よって、食事摂取基準の推奨量(1日)の50パーセントを基準値とした。また、高たんぱく質・高脂質の食事嗜好を助長しないよう食事摂取基準の推奨量(1日)の33パーセントから食生活等実態調査結果の摂取量1日分の40パーセントを範囲とした。
    3 脂質
     脂質の過剰摂取は、肥満並びに血中コレステロール値などの問題も指摘されることから、将来の生活習慣病予防の観点から、脂質の基準値は、現行同様に脂肪エネルギー比率で示し、総エネルギー摂取量の25~30パーセントとした。
    4 ナトリウム(食塩相当量)
     ナトリウムについては食事摂取基準において、生活習慣病予防の目的から過剰摂取対策として、成人女性1日あたり8グラム、男性は1日あたり10グラム未満を目標量としている。1~11歳については、推定エネルギー必要量に応じて目標量を設定していることから、学校給食においては、その33パーセント未満を基準値とした。
    5 カルシウム
     カルシウムについては、食生活等実態調査結果や平成14年に独立行政法人日本スポーツ振興センターが実施した「児童生徒の食事状況調査」の結果から、家庭において不足している実態を踏まえ、食事摂取基準の目標量(1日)の50パーセントを基準値とした。
     また、食事摂取基準においてはさらに摂取することが望まれるカルシウム量として目安量を示していることから、学校給食においては摂取することが望まれるカルシウム量を目標値として示したので、可能な限り目標値の摂取に努めること。
    6 鉄
     鉄については、食事摂取基準の推奨量(1日)の33パーセントとした。鉄の摂取は、家庭はもとより学校給食においても容易でないことから、学校給食においては献立の創意工夫を行い、摂取の確保に努めること。
    7 ビタミン類
     ビタミンについては、基本的には食事摂取基準の推奨量(1日)の33パーセントとした。ただし、日本人が欠乏しやすいビタミンB1は食事摂取基準(1日)の40パーセントとし、ビタミンB2についても牛乳1本(200ミリリットル)をつけると1日の推奨量の40パーセント程度となることから、食事摂取基準(1日)の40パーセントとした。なお、ビタミンAについては食品の選択の幅を確保するという観点から、1日の推奨量の33パーセントを基準値とし、その3倍までを摂取範囲とした。
    8 食物繊維
     食物繊維については、食事摂取基準において、成長期の必要量は示されていないが、成人の場合、1,000kcal当たり10グラムが望ましいと規定されており、食生活等実態調査における排便に関する調査結果を踏まえ、現行より若干減じて基準値とした。
    9 マグネシウム及び亜鉛
     マグネシウムは食事摂取基準の推奨量(1日)の50パーセント、亜鉛については、33パーセントを望ましい数値とした。

2 学校給食における食品構成について

 食品構成については、学校給食摂取基準を踏まえつつ、多様な食品を適切に組み合わせて、食に関する指導や食事内容の充実を図ること。また、各地域の実情や家庭における食生活の実態把握の上、日本型食生活の実践、我が国の伝統的な食文化の継承について十分配慮すること。
 さらに、独立行政法人日本スポーツ振興センターが実施した「児童生徒の食事状況調査」によれば、学校給食のない日はカルシウム不足が顕著であり、カルシウム摂取に効果的である牛乳等についての使用に配慮すること。なお、家庭の食事においてカルシウムの摂取が不足している地域にあっては、積極的に牛乳、調理用牛乳、乳製品、小魚等についての使用に配慮すること。

3 学校給食の食事内容の充実等について

  • (1) 学校給食の食事内容については、学校における食育の推進を図る観点から、学級担任、栄養教諭等が給食時間はもとより各教科等における食に関する指導に学校給食を活用した指導が行えるよう配慮すること。
    • 1 献立に使用する食品や献立のねらいを明確にした献立計画を示すこと。
    • 2 各教科等の食に関する指導と意図的に関連させた献立作成とすること。
    • 3 地場産物や郷土に伝わる料理を積極的に取り入れ、児童生徒等が郷土に関心を寄せる心を育むとともに、地域の食文化の継承につながるよう配慮すること。
    • 4 児童生徒等が学校給食を通して、日常または将来の食事作りにつなげることができるよう、献立名や食品名が明確な献立作成に努めること。
    • 5 食物アレルギー等のある児童生徒等に対しては、校内において校長、学級担任、養護教諭、栄養教諭、学校医等による指導体制を整備し、保護者や主治医との連携を図りつつ、可能な限り、個々の児童生徒等の状況に応じた対応に努めること。なお、実施に当たっては財団法人日本学校保健会で取りまとめられた「アレルギー疾患対応の学校生活管理指導表」及び「学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン」を参考とすること。
  • (2) 献立作成に当たっては、常に食品の組み合わせ、調理方法等の改善を図るとともに、児童生徒等の嗜好の偏りをなくすよう配慮すること。
    • 1 魅力あるおいしい給食となるよう、調理技術の向上に努めること。
    • 2 食事は調理後できるだけ短時間に適温で提供すること。調理に当たっては、衛生・安全に十分配慮すること。
    • 3 家庭における日常の食生活の指標になるように配慮すること。
  • (3) 食器具については、安全性が確保されたものであること。また、児童生徒等の望ましい食習慣の形成に資するため、料理形態に即した食器具の使用に配慮するとともに、食文化の継承や地元で生産される食器具の使用に配慮すること。
  • (4) 喫食の場所については、食事にふさわしいものとなるよう改善工夫を行うこと。
  • (5) 望ましい生活習慣を形成するため、適度な運動、調和のとれた食事、十分な休養・睡眠という生活習慣全体を視野に入れた指導に配慮すること。

4 特別支援学校における食事内容の改善について

  • (1) 特別支援学校の幼児、児童及び生徒については、障害の種類と程度が多様であり、身体活動レベルも様々であることから、学校給食摂取基準の適用に当たっては、個々の児童生徒等の健康状態や生活活動の実態、地域の実情等に十分配慮し、弾力的に運用するとともに次の点に留意すること。
    • 1 障害のある児童生徒等が無理なく食べられるような献立及び調理について十分配慮すること。
    • 2 食に関する指導の教材として、障害に応じた効果的な教材となるよう創意工夫に努めること。
  • (2) 特別支援学校における児童生徒等に対する食事の管理については、家庭や寄宿舎における食生活や病院における食事と密接に関連していることから、学級担任、栄養教諭、学校栄養職員、養護教諭、学校医、主治医及び保護者等の関係者が連携し、共通理解を図りながら、児童生徒等の生活習慣全体を視野に入れた食事管理に努めること。

5 その他

 学校給食摂取基準の改訂に際し、文部科学省に調査研究協力者会議を設置し、検討を行ったので、「学校給食における食事摂取基準等について(報告)」と改訂に際し基礎資料として実施した「児童生徒の食生活等実態調査結果」を参考とされたいこと。

[お問い合わせ先]

学校健康教育課学校給食係
電話:03-5253-4111(代表)(内線2694)
FAX:03-6734-3794

(スポーツ・青少年局学校健康教育課)

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