子どもの読書活動推進の取組
   
〜子どもの読書活動の推進について〜

1 子どもの読書活動の重要性
 読書活動は、子どもが、言葉を学び、感性を磨き、表現力を高め、創造力を豊かなものにし、人生をより深く生きる力を身に付けていく上で欠くことのできないものです。
 平成12年12月の教育改革国民会議報告においても「読み、書き、話すなど言葉の教育」を重視すべきことが提言されています。
       
2  現状
 テレビ、ビデオ、インターネット等の様々な情報メディアの発達・普及や子どもの生活環境の変化、さらには、幼児期からの読書習慣の未形成などにより、子どもの「読書離れ」が指摘されています。
 平成14年5月に行われた調査(社団法人全国学校図書館協議会による)によれば、児童生徒の1ヶ月の平均読書冊数は、小学生が7.5冊、中学生が2.5冊、高校生が1.5冊、また、1冊も読まなかった子どもたちの割合は小学生9%、中学生33%、高校生56%となっており、中学校以降極端に読書量が減少しています。
 また、平成12年に行われた経済協力開発機構(OECD)生徒の学習到達度調査によれば、「趣味としての読書をしない」と答えた生徒は、OECD平均では31.7%ですが、日本では55%となっており、「どうしても読まなければならないときしか、本は読まない」と答えた生徒は、OECD平均では12.6%であるが、日本では22%となっています。
       
3  読書活動に関する近年の動向
 このような中、平成11年8月、読書の持つ計り知れない価値を認識して、子どもの読書活動を国を挙げて支援するため、平成12年を「子ども読書年」とする衆参両議院の決議がなされました。
 また、平成12年5月には、国立国会図書館の支部図書館として「国際子ども図書館」が開館し、さらに、平成13年4月には、「子どもゆめ基金」が創設され、民間団体の行う子どもの読書活動等に対する助成が始まりました。
 これらを中心となって進めてきた超党派の「子どもの未来を考える議員連盟」(会長:扇千景参議院議員)では、「子ども読書年」を契機とする子どもの読書活動の推進をするための取組を更に進めていくため、平成12年12月に「子ども読書活動振興法案作成プロジェクト」を設置し、法案の立法作業に取りかかりました。
 そして、平成13年11月、議員立法により「子どもの読書活動の推進に関する法律案」が提出され、同年12月に成立、公布・施行されました。
 この法律は、子どもの読書活動の推進に関し、基本理念を定め、国及び地方公共団体の責務等を明らかにするとともに、国が「子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画」を策定・公表すること、地方公共団体が「子どもの読書活動の推進に関する施策についての計画」を策定・公表すること、4月23日を「子ども読書の日」とすることなどを定めることにより、施策の総合的かつ計画的な推進を図るものです。
 この法律の第8条第1項の規定に基づき、平成14年8月、「子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画」が閣議決定されました。
 この基本計画は、すべての子どもがあらゆる機会とあらゆる場所において、自主的に読書活動を行うことができるよう、積極的にそのための環境の整備を推進することを基本理念として、施策の総合的かつ計画的な推進を図るために定めるもので、平成14年度から平成18年度までのおおむね5年間にわたる施策の基本的方向と具体的な方策を明らかにしています。
 今後、この基本計画に従い、子どもの読書の機会の提供、関係機関や民間団体等が連携・協力した取組の推進、社会的気運醸成のための普及・啓発等の取組を推進することが求められています。