日時:平成30年5月25日(金曜日)15時00分~16時30分
場所:文部科学省 11F文部科学大臣室
林芳正(文部科学大臣)【座長】
鈴木寛(文部科学大臣補佐官)【座長代理】
新妻秀規(文部科学大臣政務官)
【構成員】
太田昇(岡山県真庭市長)
北野宏明(ソニーコンピュータサイエンス研究所 代表取締役社長)
紫舟(書家/アーティスト)
城山英明(東京大学大学院法学政治学研究科教授/東京大学政策ビジョン研究センター副センター長)
杉山将(理化学研究所革新知能統合研究センターセンター長/東京大学大学院新領域創成科学研究科複雑理工学専攻教授)
新居日南恵(株式会社manma代表/慶應義塾大学システムデザイン・マネジメント研究科 修士課程)
原田曜平(博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー)
(敬称略。五十音順)
出席者からの主な意見は以下の通り。
<Society5.0に向けた人材育成:若者の実経験からの提言>
○小中学校は義務教育として手厚いサポートがあるが、高校はその後の進路を左右する大事な時期。この時代に、学校の先生だけではなく、多様な人との出会いを提供することで、多様な生き方をリアルに思い描き、レールを外れたチャレンジができる。NPOや企業などによる様々な学校以外の学びの場が生まれつつある中で、これらと連携していく必要がある。
○これまでは「キャリア教育」の言葉に代表されるように、仕事のロールモデルの提示が多かったが、結婚や出産など「人生」のロールモデルを作る必要がある。その際、変化の速い時代においては、数年前の生き方はもう古くなっている。たくさんのロールモデルの“いいとこ取り”をして、自分なりの人生を再編集する力が求められる。
○まず知識をインプットして実践するというスタイルでは、何のために学ぶのかが不明確になりがち。社会に出ていなくともSNS等を活用することで様々な実践ができる時代になる中、まず自らの興味を形にしてみるという実践をした上で、足りないことを学ぶという逆転のスタイルが有効ではないか。これにより、社会に出た後も、実践と学びのサイクルを繰り返すことができる。
○不確定要素が多い時代を楽しんで生き抜くには、新しいものや変わっていくものに対する好奇心と探求心を持つことが重要。このような力を育むには、幼少期において好奇心を育ててくれる人やチャレンジに伴走してくれる人、基盤となるコミュニケーションをとる力を伸ばしてくれる人など、多様な人たちとのつながり(社会関係資本)が重要となる。
○豊かな社会関係資本をもつ大人は多忙なため、若い世代を支援するのに時間を割くのが難しい場合もあるだろう。企業で働いている人たちが、一時的に先生になるというような流動性が必要。
○若い人に対して失敗を許容すること、レールから外れることを許容することが大切。今は、大学を4年で卒業して会社に入って休まず働いて出世して…という決まりきったコースがあり、そこから外れるのを恐れて固まってしまっている。留学や休学、結婚や出産がハンデにならない社会が新しいチャレンジを生むのではないか。
<Society5.0に向けて取り組むべき教育政策の方向性>
○文系で数学ができない、理系でコミュニケーション能力や一般的な教養がないというようなことは問題で、文理分断から脱却し、両方を学ぶこと非常に重要。サイエンスの知識としては、AIとの関係で情報や数学はもちろん必要だが、物理や生物も同様に重要。
○好奇心や探求心を育むためには、様々な物事や豊かな自然を実際に体験することも重要。
○学びのポートフォリオを作るのは、1個別最適化された教育のためという側面と、2教育の成果を可視化して「こういうことを学んできたんだ」という自信につなげるという側面がある。自信はモチベーションにつながる。
○ギャップイヤーや休学のような形で、学びの途中で社会に出て実践を行い、また学びに戻って来られる柔軟性が制度にあれば理想的。ただ、それには親をはじめとする周囲の理解も重要。
大臣官房政策課