Society5.0に向けた人材育成に係る大臣懇談会 第1回議事要旨 平成29年12月1日 

日時:平成29年12月1日金曜日18時~19時45分
場所:文部科学省15階15F特別会議室

出席者

林芳正(文部科学大臣)【座長】
鈴木 寛(文部科学大臣補佐官)【座長代理】
新妻秀規(文部科学大臣政務官)


【構成員】

太田 昇(岡山県真庭市長)
大橋 弘(東京大学大学院経済学研究科教授)
北野宏明(ソニーコンピュータサイエンス研究所 代表取締役社長)
城山英明(東京大学大学院法学政治学研究科教授/東京大学政策ビジョン研究センター副センター長)
杉山 将(理化学研究所革新知能統合研究センターセンター長/東京大学大学院新領域創成科学研究科複雑理工学専攻教授)
新居日南恵(株式会社manma代表/慶應義塾大学システムデザイン・マネジメント研究科 修士課程)
原田曜平(博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー)
水野正明(名古屋大学総長補佐/医学部附属病院先端医療・臨床研究支援センター副センター長)

【ゲストスピーカー】
大内伸哉(神戸大学大学院法学研究科教授) 


(敬称略。五十音順)

議事内容

出席者からの主な意見は以下の通り。


<人工知能(AI)研究の現状と今後の展開>
○ 現在の技術でも、音声認識、画像理解、言語翻訳等の要素技術はヒトと同等以上の水準。近い将来、定型的業務やある程度の知的業務はAIで代替可能になると考えられる。コンピュータによるアシストは、例えば医療分野では既に使われている。言語翻訳については、既に高いレベルで翻訳ができる一方で、現在のAIは「意味」を理解しておらず、要約ができない。
○ このような要素技術を統合する技術(汎用AI)が必要だが、実現はそう簡単ではない。技術的に可能となったとしても、開発がビジネスとして成り立たない可能性がある。
○ 人と接する業務はAIによる代替可能性が低い。ただし、そのような業務でも、実はAIによって代替可能なものが数多くある。他方で、ロボットに対して人間が感情的な愛着を持つ場合がある。日本人的な感覚が関係しているのかもしれない。
○ ビッグデータが取れないケースにおいては、深層学習を進めることは技術的に難しい。
○ このような新しい技術を社会がどう受け入れるか、何が求められるのか、人間が幸せになるかどうか、「安全・安心」などの観点から評価する必要がある。


<AI時代における雇用・働き方>
○ AIとロボットの組み合わせによって、人間以上のレベルで労働が可能となり、現在の多くの雇用が喪失するとの予測がある。技術が変わることにより産業がかわり、働き方も変わる。業務のモジュール化が進み、アウトソーシングや時間・場所を問わないICTモバイルワーク、自営的就労が進む。今の労働法とは異なる支援の在り方が必要となる。
○ 「働くこと」の意味が、生きることから自己実現や、やりたいことをやるということなどに変わっていくかもしれない。


<Society5.0に向けた人材育成>
○ 「AIを作る人」と「AIを使う人」、両方をしっかり分けて考える必要がある。
○ 職業教育の重要性は飛躍的に高まる。自学、知的創造性、グローバル化時代への対応がポイント。経済的自立のための能力として、教養、職業基礎、実践的職業教育が求められるだろう。教師の責任はますます重くなる。
○ 独立した働き方が求められる社会となったとき、親が子供に安心を与えることで育まれる自己肯定感と、そこから生まれる挑戦する力がますます重要。
○ 機械学習の研究開発は加速度的に増加しており、AI研究者・技術者は世界的に不足しているものの、日本では特に深刻。国際会議での日本人のプレゼンスは極めて低い。これからの人材には機械学習の基礎的な理論を支える数学の素養が重要で、加えて応用分野に関する知見も有用。
○ AIの技術が理解できる人とできない人の格差が拡大していく。情報科学の素養を持つ人材を、人文・社会系や社会人を含め、増やしていく必要がある。その受け皿となる情報科学系の教員と学生も増やすべき。


<その他>
○ AIなどの技術革新が、どのようなタイムスパンでどこまで進展するか、どのような時間軸を前提に議論するかを考えていく必要がある。


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