「これからの図書館の在り方検討協力者会議」（第10回）議事要旨

• 日時
  平成19年9月10日（月曜日）10時〜12時
• 場所
  文部科学省仲通りビルK2会議室

• 平成8年の「司書等の研修体系について」を見直す際には、経験年数毎の視点を入れたものにできないか。
• 初任者の研修については、都道府県でどのような研修を行うべきかということを考えるのが現実的ではないか。
• 研修対象者の区分について考えるときに重要なのは、資格の有無や雇用形態ではなく勤務年数である。資格を持っていない事務職員でも長期間図書館で勤務しており、それなりの知識と経験を積んでいる職員もいる。また、実際に現場を支えているのは長期間勤務している非常勤職員である。
• 初任者については、司書資格を持つ者とそうでない者では知識に差があるため、別々に考える必要がある。
• 司書だけ集めて初任者研修を行うのは、人数が少なく現実的に難しいのではないか。
• 館長以外の管理職の研修についても検討する必要があるのではないか。
• 館長については、初任者と経験を積んだ館長の研修の内容について検討すればよい。
• 非常勤職員の場合、有資格者を優先的に採用する傾向がある。複数の図書館での経験を通算すると長いキャリアを持っている者もおり、図書館の現場を支えているため、これらの者に研修を行うと効果は大きいと考えられる。
• 正規・非正規職員ともに2〜3年で異動するケースが非常に多いので、短期間で即戦力とする研修が必要ではないか。
• 非常勤職員で司書的業務を行っている者について、できるだけ研修が受けられるよう、例えば地区別研修や社会教育実践研究センターで行っている研修が受講できるようになれば、各図書館のレベルアップが可能である。
• 都道府県で実施される研修のほとんどは児童サービスとレファレンスサービスである。それ以外のニーズのある分野、例えば新しい情報技術の活用やビジネス支援などについてはあまり実施されていない。
• 特定分野の専門性を高める研修を実施する必要がある。専門家の養成は国の役割である。
• 新しい情報技術の活用やビジネス支援などについて研修が実施されていても、スポット的なもので系統立っておらず、実践的な取組を進めようとする場合には物足りない。この要因としては、講師が確保できないということが表裏一体の問題としてある。
• 大都市圏では、児童サービスやレファレンスサービスについての研修が実施されているが、それ以外の地域ではこれらの研修も含めて十分に行われているとは言いがたい。
• 大都市圏の近くの県協会では、研究会が活動しており、その構成員がある程度の成果を上げて現場に持ち帰って研修を行っている。そういう取組が行われていない地域では、スポット的な研修が行われているのみである。研究的な研修の有無というのも大きな問題である。
• 県レベルでの研修の弱体化をカバーするために、地区別研修が行われているが、実施図書館の力量によってはそれも機能していない。県立図書館でもレファレンスデスクがない図書館がある。レファレンス担当者がおらず、貸出担当者しかいないということであり、そのような図書館はレファレンス研修が実施できない。
• 児童サービスはひとつの重要な成功例である。長期的に行う研修でないと専門家は育たない。長期的展望に立って、全国レベルで様々な分野の専門家を養成することが必要である。
• ある基礎的な分野に関しては、一部の職員が知っていればよいということではない。地区別研修では、標準化して毎年行うメニューと最新のテーマを組み合わせて実施するという方法もある。
• 10年後、20年後の図書館の到達すべきレベルを設定し計画を作り、それを実現するためにはこういうレベルの職員が何人必要だという見通しが必要ではないか。
• 何年目にはどういう研修を受講すべきであるという見取り図（キャリアパス）がないため、必要な研修を必要な時期に受けられない状況が生まれている。その見取り図に沿って司書が自分自身で研修を受講する環境を整えていくことが必要である。
• 研修に力を入れている自治体と国、関係団体の研修を組み合わせて、理想的な研修の姿を作ることができるのではないか。
• 日本図書館協会が研修のための個人カルテのようなものを全国に配って各職員が履歴を作ることも考えられる。
• これまでは研修を開催する側の視点から見ていたが、受講者側からの視点も必要である。

以上