各種学校規程の制定について


昭和三十一年十二月二十七日文管振第四百五十三号
各都道府県教育委員会、各都道府県知事あて文部事務次官通達
昭和三十二年一月十四日文大技第五十七号関係大学長あて文部省大学学術局長通達

 昭和三十一年十二月五日文部省令第三十一号をもって、別添のとおり各種学校規程が公布され、昭和三十二年一月一日から施行されることになりました。この規程の制定の趣旨、留意すべき事項等は、次のとおりでありますので、事務処理上遺憾のないようお取り扱いください。

 制定の趣旨
(1)  各種学校が学校教育に類する教育を行うものとしてふさわしい条件を規定することにより各種学校教育の振興を図ったこと。
(2)  学校教育法第八十三条第四項および第八十八条に基き、各種学校の施設、設備、教員組織等について最少、かつ、最低の必要な事項を規定したこと。
(3)  従来の各種学校に関する通達が実情に則しなくなったため、都道府県監督庁における各種学校の取扱または認可の方針が区々であり、相当の差異が認められたが、これらの従来の通達を改め、各種学校に関する統一的取扱について必要な事項を示したこと。
(4)  一部の各種学校について、従来批判のあった営利的傾向について規制を加え、各種学校が良心的教育的に運営されるべきことを規定したこと。
 留意すべき事項
一条について
 「その他の法令」とは、私立学校法、地方教育行政の組織及び運営に関する法律、学校教育法施行令、学校教育法施行規則等をさす。
三条について
 「簡易に修得することができる技術、技芸等の課程」とは、教育課程の内容が簡易である課程または教育課程そのものはかなり専門的なものであっても、その教育課程の内容の範囲が限定された課程、もしくは、すでに一定の基礎的な課程を修了した者を対象として設けられる課程等をいう。
四条について
 「修業期間に応じて授業時数を減じて定める」とは、修業期間が三月以上一年未満の場合に、年間六百八十時間以上の授業時数を基準として、当該修業期間に応じて減じて定めるという趣旨であるが、実際にこれを定めるに当たっては、比例して減じた時間数よりも若干増加して定めることが適当であると考えられる。
五条について
 第一項に規定する「その他の条件」とは、各種学校の経営面、地域社会の特殊事情等を意味する。
六条について
 「一定の入学資格」とは、学校教育法第一条の学校の卒業程度、各種学校の課程修了程度または年齢等によることである。また「適当な方法によって明示しなければならない。」とは、このような一定の入学資格を学則に記載すべきことはもとより、その他公告、掲示等を必要とする場合にもそれらによって明示すべきであるという趣旨である。
七条について
 「教育、学術又は文化に関する職又は業務」とは、校長の職務の重要性にかんがみて、少なくともこれらの職または業務に従事した者でなければ校長となり得ないことを規定したものである。
八条について
(イ)  第一項について
 「課程及び生徒数に応じて」とは、教育課程の内容の高度または複雑な課程には、他の課程よりもより多くの数の教員を必要とすること、ならびに生徒数の増加に応じて当然それ相当の教員数を増加することを意味する。
(ロ)  第三項について
 各種学校の設置者は、積極的に教員に研修の機会を与えるべきであるが、都道府県監督庁もできるかぎりこれに協力することが望まれる。
九条について
 第二項に規定する「施設、設備」については、自己所有であることが望ましい。
十条について
第一項について
 実験、実習等を必要とする課程では、生徒一人当り○、七坪を上廻る坪数を必要とする。かっこ書は、生徒数が相当増加すれば、一人当りの基準坪数を減じ得ることを規定した。
十二条について
 「各種学校として適当」でなければならないとは、各種学校は学校としてふさわしい名称を使用すべきであるという趣旨であって、研究機関もしくは単なる私塾を意味するような名称は各種学校として不適当である。また学校教育法第一条に規定する学校と紛らわしい名称を用いることも同様に不適当であると考えられる。「課程にふさわしい」ものでなければならないとは、課程の内容および程度と一致しない名称を用いることが不適当であることを明らかにする趣旨である。
十三条について
 認可を受けたことを、都道府県監督庁が定めた一定の様式に従って、標示することができることを規定したものである。
一四条について
(イ)  第一項について
 従来各種学校にみられた営利的傾向を規制し、各種学校経営の自主性を確保しようとしたものであり、各種学校の経営者が学校教育以外の事業を行っている場合には、経理の区分はもとより、経営の形態についても区分して行われなければならない。
(ロ)  第二項について
 各種学校の設置者の多くが個人であり、これに対しては従来なんらの規則もないので、個人が設置者である場合の要件について規定した。
附則第二項について
   この省令施行の際、現に存する各種学校については、第六条、第七条、第八条第二項および第三項、第十三条ならびに第十四条の規定は、この規程施行の日からただちに適用になり、その他の条項については施行後「当分の間」は従前の例(3、(1)(イ)、(ロ)の通達)によることとした。「当分の間」は、施行後五年程度を予定しているので、その間にこの省令に規定する水準に達するよう御指導願いたい。
 その他の事項
(1)  通達の廃止について
(イ)  「各種学校の取扱について」(昭和二十三年三月一日発学八十一号学校教育局長から都道府県知事あて)の通達は、昭和三十一年十二月三十一日限り廃止されることになる。
(ロ)  「私立学校法の施行について」(昭和二十五年三月十四日文管庶第六十六号文部事務次官から都道府県知事あて)の通達中、五、各種学校の認可基準についての部分は、昭和三十一年十二月三十一日限り廃止されることになる。
(2)  内規の作成等について
(イ)  この規程で、都道府県監督庁の裁量に委ねられている事項について、内規を定めることはさしつかえないが、これを定めるに当っては全面的な調整を図る必要上、事前に文部省に連絡協議されたい。
(ロ)  この規程の施行と同時に、この規定にていしょくする都道府県の認可基準等は速かに改廃されるよう措置されたい。
(ハ)  この規程において規定された事項以外の一般的事項について都道府県監督庁が規則を制定することはさしつかえない。
別添(省略)

(生涯学習政策局生涯学習推進課専修学校教育振興室)

-- 登録:平成21年以前 --