家庭教育支援の推進方策に関する検討委員会(第5回)議事概要

日時

平成28年11月28日(月曜日)14時00分~16時00分

場所

文部科学省生涯学習政策局会議室 

出席者(敬称略)

委員

伊藤亜矢子、稲葉恭子、岡田淳子、奥山千鶴子、川口厚之、西館慎、松田恵示、
水野達朗、山野則子、吉見和子

事例発表者

向井説行 泉大津市教育委員会事務局教育部指導課長

オブザーバー

小林克嘉 厚生労働省雇用均等・児童家庭局総務課少子化総合対策室室長補佐

文部科学省

有松生涯学習政策局長、神山大臣官房審議官(生涯学習政策局担当)、里見政策課長、
高橋男女共同参画学習課長、関家庭教育支援室長、髙橋家庭教育支援室室長補佐

議事概要

(1)第4回議事概要(案)について、承認

(2)事例発表(向井課長、山野座長)
以下、質疑・意見

<向井課長事例発表(資料3)>
○ 学校指導の担当課が主体となり訪問型の支援を実施し、そこに来年度から生涯学習の担当課も参画するという流れとのことだが、どのようなきっかけでそうした流れになったのか。
    また、小学校に配置される「家庭教育支援サポーター」の活動頻度はどのようなものか。
   もう一点、私も「タイプ3 」への訪問型支援が課題と思っているが、子供に問題は現れていないが、客観的に見ると課題が家庭教育側にあるようなケースは、訪問への反発が予想され、ここに対する工夫はあるか。

○ この生涯学習課との流れは今年度から試行しており、できるだけ部局、課を越え連携し、例えば生涯学習課が小学校で親学習講座を実施するときに、指導課の担当指導主事も参加する。主としては指導課がアウトリーチで、生涯学習課が親学習を、重なり合いながら2課でやっていくという流れとなっている。
    小学校への「家庭教育支援サポーター」配置の頻度は、財政部局と次年度の予算の折衝中であるが、1小学校週2日ぐらいの配置を想定。
    反発が予想される家庭への工夫について、泉大津市には地域の人で、子育て世代の心配なことや悩みがあったら聞いてくれる人がいますよというようにソフトタッチでアプローチしていくこととしており、第三者で地域の仲間といったような人材をサポーターとして活用しているので、余り拒否されるケースはないと思う。

○ 子供の状態はとても流動的で、すぐに動かなければならないということもあると思う。そういうときは定めたフローによらず柔軟な対応も必要なのではと思うが、その場合はどう考えるか。また、訪問を拒否する家庭や、共働き等で留守が多くなかなか対面することができない家庭への対応はどのようにされているか。

○ 緊急対応の場合、管理職から担当者に電話で即一報が入ることになっている。緊急のケース会議で家庭教育支援が必要となれば、すぐに訪問できるような体制をとっており、基本と緊急対応は別で考えて対応できるようにしている。留守家庭等への対応について、当市のサポーターは比較的自由に時間がとれる方が多く、早朝や夕方しか在宅しない家庭へはその時間にあわせ訪問するなど柔軟に対応しており、教員が行けない時間に訪問することが多い。

○ 問題等をどう早期に把握していくかがポイント。湯浅町の事例では、5歳児健診ヘスクールソーシャルワーカーや校長も担当として加わっている。医師も健診のチームに入っているため、医療関係とのつながりができ、そうしたことも一つの網として活用していけると思っている。

○ 生涯学習課の親学習について、子供が小学校へ入るとPTAが年1回講演会を開催する程度で、学びの機会が限定される状況だと思うが、小学生の保護者も対象としているのか。

○ 生涯学習課の親教育は、小中学校の保護者及び一般の方を対象として募集している。加えて、保健センターでも健診の機会にも親学習講座や子育て相談を実施するなど、専門家(発達相談員)を配置し手厚く取り組んでいる。

<山野座長事例発表(資料4)>
○ 学校をプラットフォームとして、教育だけでなく福祉的な要素を持ち込むところがポイントであると思うので、家庭教育が福祉と教育の接点になっていくということがより伝わるような形にまとめができるとよい。

(3)主な意見の取りまとめ案の審議
・事務局より資料5に基づき説明
・以下、質疑・意見
○ 家庭教育支援の意義について、家庭教育支援がどのような形で行われるべきかという部分で、あくまでも、教育や福祉だけでなく、それぞれの関係機関が協力して家庭教育支援に取り組んでいく必要があるということを含めると、今後チームとして家庭教育支援を行っていく行政や民間や各関係者が動きやすくなると思う。

○ 家庭教育が何を目指すものであるか、どういうものなのかについて、表現が難しいところとは思うが、例えばスクールカウンセラーの分野であれば、「子供のウェルビーイング」といった言葉がある。それを軸にして関係者が協働できるという、協働のゴールのようなものを記述する言葉となっている。このように「ここを軸として考える」というものがあると協働がしやすい。

○ 福祉では「子供の最善の利益」という言葉を用いる。「子供のQOL」といった意味合いである。

○ 家庭側にしてみると、指導されてしまうのではないかという思いがあり、それを払拭するような解説、私には関係ないとか、関わりたくないというふうに思われないような解説が必要。
    子育て支援という考え方もまだたった15年であり、家庭状況の変化の中でやっと家庭支援という言葉、子育て支援という言葉を使えるようになってきたという経緯があって、その中での家庭教育の定義付けをしていくということが必要と思っており、2ページの「家庭教育支援の意義について」の「家庭の基盤をしっかり作ることが全ての家庭に関わってくる」というところの、主語というか、誰がしっかり作るのかというところが、家庭に求められると捉えられてしまうと、ニュアンスが変わってくるので、読んだ人がどう捉えるかというところは注意が必要。

○ 家庭教育支援というのは、家庭教育の主体者が自らの子供との関係の中で、子供と一緒に教育の目標を持つということ、そして、持ったものに対して、それを達成していこうとする、そういうことを支えるということ。ただ、現在課題になっているのは、その家庭教育ということ自体がそもそも成り立ちにくい社会の中で、それをどう支えていくかということだと思うので、余り「家庭教育とは」と定義付けをしない方がいいかと思う。
    また、非常に家庭教育が厳しい状況になっている社会において、どの子供たちや家庭においても、家庭教育がまずは支えられるという仕組みを、どう作っていくべきかという考えでまとめてみてもよいと思う。

○ 資料4の35ページの「支援の流れとポイント」という三角形の「全戸訪問」から始まるものが、分かりやすく、大事であると思う。学校をプラットフォームにという考えとも結び付くが、支援が予防的なところを中心に、ということが明確であるので、訪問の第一の意義ということが分かりやすい。基本的に訪問は一番裾野の広い部分で、支援の最後のところにより専門的な機関がある。この図があると安心していろいろな非専門家の方も参画することができ、また実際の支援の流れとしても安全が保たれるように思う。まとめの際には、家庭教育支援がどの層を中心としたものなのか、予防を中心としたものであるということは強調するとよい。
    また、家庭教育支援について、各家庭の個性的な在り方や多様な家庭教育とその支援の在り方があることを前提とした上で、それらに共通するゴールとして、「子供の命」や「ウェルビーイング」、「最善の利益」等の概念を提示するとよいのではないか。

○ 保護者の話を聞くと、「支援」と言われるとマイナスのものをゼロまで持っていくようなサービスという認識が多い。しかし、今回議論してきた中では、予防的、開発的なものも含んでの議論であったので、支援という言葉が決してマイナスをプラスに戻すだけというニュアンスではなく、プラスを更に積み重ねるものであるので、そのような文言があってもよいと感じた。また、近年私自身が支援者として感じるのは、ネットの世界で子供が経験する教育で、これは学校教育でもなければ、地域教育でもない、もちろん家庭教育でもないもので、今後、この第4の柱を我々は議論をしていく必要があるということである。もう一点、数ある家庭教育支援チームの類型化、メニュー化ができたらよいと思っており、主管は生涯学習なのか、学校教育なのか等、チームを作る一手目の類型化ができれば、行政としてもやりやすくなると感じている。

○ 「支援」という言葉について、私たちもNPOで子育て支援をするということで、NPOを立ち上げたが、検討の中で、保護者や子供たちの力を信じて、それに寄り添ってバックアップしていくというエンパワーメントだったら、支援じゃなくて応援であるということになり、子育て応援を、という表現にしている。そうした前向きな言葉も考えていければよいかと思う。

○ 学校プラットフォーム化ということがポイントになってくるものと思っており、就学児以上になるとやはり学校が一番情報を握っているというのが現状であるので、学校がいかに垣根を低くして、地域や関係機関と連携できるか、あるいは地域から学校、家庭へのアプローチができるか、そして、地域の家庭教育支援ができるかという仕組みが必要になってくると思う。そのような中で、昨年の12月21日の答申では、コミュニティ・スクールというのは努力義務、そして、地域学校協働本部は小中学校区を全てカバーし、地域学校協働本部の働きの中に家庭教育支援のツールも入れていくようにということが示されている。そういうことを考えたときに、家庭教育支援チームという言葉をもっとポピュラーにしていかなければいけないと考えている。チームの類型・タイプは多様であるけれども、何かあったときに、中間の支援組織としてちょっと相談することができ、もし困難な事例に発展しそうな場合には、専門機関へつなぐことができる、そういう人たちがいるということが、地域、あるいは社会でできたときに初めて社会総掛かりで家庭教育支援ができるという形になってくるのではないか。

○ チームの在り方の部分について、対外的な部分に加え、チームの構成員としてどういう関わりを持っていくべきなのか、ただチームという枠組みだけの中に入っているのではなくて、実際に本当のチームとして、目標に向かって進んでいくという部分も含めて、チームの中の在り方も考えていく必要があると感じた。

○ 人材養成について、児童相談所が非常に多忙を極(きわ)めていて、全てのケースに十分に関わり切れていない現状があるように感じており、そうなると、市町村も職員の体制が整っていなかったり、スキルがなかったりというところがあり、そういう部分への働き掛けが必要。また教育委員会とどうつながっていくかも重要な点で、その一つのきっかけとして、例えば家庭教育支援チームがつながっていくと、より効果的な支援が0歳児から卒業までの切れ目のない支援につながっていくのではないかと感じている。
    また、首長部局側としては、家庭教育支援がどう効果的なのか、なかなかすぐにイメージできないところがあるので、教育委員会が、必要な施策であることをどうアピールしていくかということが今後、より普及していくために大事であると思う。また、生徒指導と関連付けて、どう効果を出していくかというところも重要。さらには、学校プラットフォーム化になってくると、学校の教員とも、本当に教員自身がこれを活用しよう、これを使うことによって、もっと自分たちの学校に生かそう、プラスにしていこうと思うようなものをPRできれば、更に効果的になるのではと感じる。

○ 事例の類型化を考えるときに、学校との関係作りや、学校へのアウトリーチということも含まれると思うので、その観点からの類型もあった方がよい。

○ 家庭教育支援として、ICTをうまく活用した取組、妊娠や養育費等に関連した既存の制度を保護者が利用できるような情報提供など、バックアップしていくことができないだろうかと思う。また、今現在の親への支援だけでなく、これから親になっていく者への教育支援、親になる教育、高校生等向けの家庭教育ということも考える必要がある。

お問合せ先

生涯学習政策局男女共同参画学習課家庭教育支援室

(生涯学習政策局男女共同参画学習課家庭教育支援室)

-- 登録:平成28年12月 --