家庭教育支援手法等に関する検討委員会(第4回)議事概要

日時

平成28年2月9日(火曜日)17時00分~18時30分

場所

文部科学省生涯学習政策局会議室

出席者(敬称略)

委員

相川良子、岩金俊充、川口厚之、西郷泰之、廣末ゆか、松田恵示、水野達朗、八並光俊、山野則子、渡辺顕一郎

オブザーバー

伊藤厚生労働省雇用均等・児童家庭局総務課少子化総合対策室室長補佐

文部科学省出席者

德田大臣官房審議官、岩本生涯学習総括官、高橋男女共同参画学習課長、枝家庭教育支援室長、塚田家庭教育支援室室長補佐、齋藤児童生徒課課長補佐

議事概要

(1)事務局より資料2(平成28年度家庭教育支援予算案)、参考資料1(すべての子どもの安心と希望の実現プロジェクト)、参考資料2(「次世代の学校・地域」創生プラン(馳プラン))について説明。

(2)山野座長、西郷委員より資料3(調査研究チームによるマニュアル(案)及び養成講座(案))のマニュアル案について説明。

(3)質疑
○ 訪問員の方の話を伺うと、訪問開始期が一番不安だという声があった。そのときに、服装一つで雰囲気が変わるという話もあったので例示等を入れてもらえれば、市区町村の教育委員会としては参考になるのではないか。

○ 各家庭に家庭教育支援チーム等が訪問するという事前告知がないと訪問すること自体が難しい。例えば就学時健診で一度チラシを配布し、入学式のときに説明をしてうまくいったというような、好事例等もあるとよい。

○ 湯浅町は全戸訪問をしているが、訪問に伺う月は必ず学校から伺いますという教育委員会のチラシを配布・告知してもらっている。その分、保護者の方も安心する部分があると思う。告知の方法・手段というのが一つのきっかけとしては非常に大事ではないかと感じる。

○ 配布されているのはどんなものか。また、訪問の理由などは示しているのか。

○ 配布物はプリント1枚で、今月訪問員が各家庭を訪問しますという内容。全戸訪問のため訪問の細かい理由は書いていない。学校から子供が持ち帰り家庭に届けるというような形をとっている。
マニュアル案の中で湯浅町の「訪問支援の約束事」という資料を掲載していただいているが、湯浅町のホームページアドレスも記載したら参考になるかと思う。

○ 個人情報の扱いについて、弁護士の先生に相談したところ、実施主体を明確にしておくということが非常に大事であるということだった。湯浅町の場合は、今まで支援の対象が小中学校の子供を持つ保護者のみだったが、幼稚園や保育園も含めていくと、首長部局を入れる必要があるとのことだったので、今年度からは実施要項に実施主体を首長部局と教育委員会の2つとして併記している。

○ 具体的な援助技法について会話形式などで例示があると、実際に訪問される方の中には年配者もいるのでわかりやすいのではないか。

○ 家庭内での支援の展開過程の中の終結という内容についてどう捉えたらいいか。中学校時代に不登校だった子を支援していたが、成人して子供ができた後も同じような別の課題がでてくるなど継続した支援が必要な事例もある。

○ これは終結する場合のイメージ。必ず終結するわけではないことを記載する必要がある。

○ 終結という考え方は、学校やボランタリーに入る方には伝わりにくいので、丁寧に記載することや、支援のステージが変わっていくということも立体的に表せたらよい。

○ 類型化について、もう一つ上の枠組みとして、スポット型とユニバーサル型という分け方があった方がいいのではないか。ユニバーサル型は、広報中心型や全家庭訪問型が含められ、スポット型は要請を受けるなど、問題があるところに訪問するイメージのため、不登校支援型はスポット型になるかと思う。

○ 標準型というのはどこに入るのか。

○ 標準型というのは、ユニバーサルなものとスポットのものがちょうどかぶっているイメージなのかなと感じた。

○ 訪問支援の対象について、湯浅町の場合はほとんどが保護者に対しての支援だが、不登校の改善を図る場合は子供へ支援を行うところもあると思う。支援対象を子供まで含めるのか保護者だけにするのかによっても、後々の人材選出や研修なども違ってくると思うので、支援対象を分かるようにしておいた方が良い。

○ 調査によると多くのチームが保護者に対してのアプローチが軸になっていたという結果で出ていたので、実際は様々なパターンがあるが、保護者に対しての支援を主な内容にした。ただし、子供への支援の視点も落としてはいけないと思う。

○ ユニバーサル型とスポット型というのは、ユニバーサル型とスポット型ないしはターゲット型という言い方で、家庭教育の類型ではよく使われるタイプである。
一方で、ファンダメンタルな家庭教育として、育っていくということにどうしても欠けてしまう状況があるというところに対する支援と、それぞれの家庭が教育目標を置き、積んでいく部分があり、今回の訪問型家庭教育支援というのは、どちらかというと積んでいくところというよりは、ベースがどうしても環境的に厳しいというところへの取組になっている。この部分の枠組みとして示せれば、もう少しこの3つの類型の意味が明確になると思う。

○ 循環型人材育成システムの形成が必要。
持続可能なチームを作るためには、主体性を一人一人のチーム員が持つということを明確に記載すると良いと思う。例えば、チーム員が主婦であるとは限らなく、働く親であったり、あるいは地域の企業人であったり、多様な形で参入できる場が必要。スーパーバイズやコーディネート機能がある前提の中で、自分の特性が生かせて参加でき、それが循環するイメージが欲しい。

○ 既に訪問支援を行っている箇所の情報を共有できるとよい。湯浅町でも共有できるノウハウについては、提供していきたい。問合せができる仕組みがあるとよい。

○ 文部科学省では、家庭教育支援のホームページで各チームの概要を掲載しているが、連絡先などは掲載していないので、そのような視点も今後、取り入れていけるように考える必要があると思う。

○ 成功事例が何パターンかあると良い。例えば、事業例やA君、B君と言った個別具体例など。

(4)松田委員より資料3(調査研究チームによるマニュアル(案)及び養成講座(案))の養成講座案について説明。

(5)質疑
○ 家族療法という手法は、家族を一つのシステムと捉えて援助する手法であり、訪問員の研修にとって効果的だと感じている。

○ 地域性に合った研修の進め方について福祉の分野から言うと、地域住民の方が児童委員・民生委員になろうとして研修を受けるとミニ専門家になってしまう。家庭教育支援の観点では、地域住民ならではのいい部分をどう活用できるか、エンパワーメントできるかというところを、養成過程の中で求められているのではないかと思う。

○ 学校との連携も非常に重要であることから、学校や教員の視点から子供や家庭をどう捉えているのかということもわかれば、支援員が学校とつながりやすくなるのではないか。

○ 生涯学習における研修は、具体的に解決しなければならない課題に対して、基礎から応用に行くのではなく、応用から基礎に戻るというような学び方のスタイルというのが多いと思う。教育と福祉でもニュアンスが違うと思うがどのような方針でまとめていくべきか、御意見を頂きたい。

○ 現任者研修においては、応用から基礎に戻るという考えはニーズがあると思う。

○ 地域福祉計画やコミュニティーソーシャルワークの演習のように、自分の街を見て課題をピックアップしてプランニングしていく演習型の講座のスタイルは非常に効果的だと言われている。

○ 専門職と非専門職の活動についてすみ分けが必要ではないか。専門職というのは、課題を解決していくためにいろいろなアプローチを仕掛けていくという中で、いろいろな基礎技術を身に付けなければいけないと思う。非専門職の方たちは傾聴やどこで専門職にバトンタッチするのか、地域住民としての力に自信をもつといったことを研修の中で身につけていただき、地域の中で一緒にやっていくことで保護者は何か軽くなったなど、自己肯定感が改善していくと思う。

○ 基本的に家庭訪問をする方たちの人選は、各自治体の判断だと思うが、主な想定としては、地域住民が行くという理解でよいか。地域の一市民として、訪問をするというような位置付けなのか、専門職の方たちが訪問を行うということを推進するべきなのか、文部科学省としてどのような方向性なのか教えてほしい。

○ 家庭教育支援チームのコンセプトは、地域の人材の力を活用して家庭を支援するということ。ただし、非専門職の方を前提としながらも、いろいろな地域の実情や特性を鑑み、実際には、専門職の方にも必要に応じて入ってもらうこともある。

○ 支援の対象とする家庭の子供の対象年齢をどう定義するのか。発達段階や年齢によって悩みも違う。

○ 乳幼児だけの訪問支援をしているところもあり、幅の広がりはあると思うが、現実的には小学校・中学校の学齢期が中心になるのではないか。

○ 地域の住民が被支援者と同じ目線で共感的に関わっていくことが家庭教育支援のメリットとしてある。余り専門的なところに肩入れしすぎない方が良さが出る。平成16年の調査研究委員会の報告書でも、「場」を通じた人間関係が大事としている。児童福祉や社会福祉と家庭教育支援を上手に使っていけるとよい。現場の方々は横文字に抵抗感があるという声もある。

お問合せ先

生涯学習政策局男女共同参画学習課家庭教育支援室

(生涯学習政策局男女共同参画学習課家庭教育支援室)

-- 登録:平成28年03月 --