家庭教育支援手法等に関する検討委員会(第1回)議事概要

日時

平成27年7月10日(金曜日)10時00分~12時00分

場所

文部科学省生涯学習政策局会議室

出席者(敬称略)

委員

相川良子、小寺康裕、西郷泰之、廣末ゆか、松田恵示、水野達朗、森田知世子、八並光俊、山野則子、渡辺顕一郎

オブザーバー

楊井厚生労働省雇用均等・児童家庭局総務課少子化対策企画室室長補佐

文部科学省

河村生涯学習政策局長、德田大臣官房審議官、藤江男女共同参画学習課長、枝家庭教育支援室長、塚田家庭教育支援室室長補佐、齋藤児童生徒課課長補佐、今村幼児教育課課長補佐

議事概要

(1)議事の公開について、資料4のとおり決定。座長に山野委員を選任。

(2)河村生涯学習政策局長挨拶。

(3)事務局より、資料1(設置要綱)、2(委員一覧)、3(スケジュール)、5(家庭教育支援手法等に関する現状について)、6(訪問型家庭教育支援チームの課題)について説明。

(4)3団体(大阪府泉大津市、愛知県田原市、大分県別府市)より事例発表。

(5)質疑。
○ 訪問支援担当のチーム員は、家庭を訪問した際に、具体的にどのような支援を行っているのか。

○ 訪問支援の受入れを拒否している家庭に対してアプローチをするために、どのような工夫をしているのか。

○ まずは、家庭に受け入れてもらうために、被支援者とつながりのある教員や地域の方などの人脈を探し、始めは二人で訪問して顔つなぎをしてもらい、うまくいけば定期的に訪問という流れになる。
ケースごとにやり方は異なるが、保護者の話を聞くということから始めて、こちらから何か提案をしたり子供と話をさせてもらうのは、ある程度人間関係ができてからになる。定期的に再アセスメントをしながら、状況に応じた対応を行っている。

○ 学校や、民生児童委員、保護司、各種ボランティアにお願いして、気になる事案があれば我々の相談窓口につないでもらうようにしている。また、問題は抱えているが相談窓口には行きにくいと思っている家庭でも、著名人等による講演会や勉強会等には参加してもらえる場合があるため、そういった機会を利用して、支援につなげる工夫をしている。

○ 我々もまず保護者の話を聞くところから始める。子供が問題を抱えているにもかかわらず、日々の生活に追われ、子供と向き合う時間的な余裕がない保護者がいる。そのような保護者の困りや悩みを聞くことで関係を築き、子供への支援につなげている。子供への支援に当たっては、それぞれの子供の興味関心に応じてそれにうまく対応できる学生ボランティアを選び、受け入れてもらえる工夫をしている。
しかし、まだまだかかわりをもつことができていない家庭も多く、そこをどうやって支援につなげていくかが今後の課題である。

○ 我々のチームでは、2人体制で訪問を行い、1人は親の悩みを聞き、1人は子供に絵本の読み聞かせ等を行うことで子供の状況の把握を行っている。
訪問支援を受けていることを、恥ずかしいことだと感じて、周りに知られたくないという家庭は多いが、そういったマイナスイメージを払しょくして、気軽に捉えてもらうために、家庭訪問は特別なことではないんだ、先輩ママと話ができるチャンスなんだということを、保護者懇談会をはじめとした様々な場でアピールしている。

(6)事務局より、資料10(主な論点(案))、11(調査研究(案))について説明。

(7)討議。
○ 介護疲れした家族に、支援者が介護を一時的に代替してリフレッシュしてもらうことを「レスパイト」と呼び、介護の現場ではよく使われているが、不登校等の問題を抱える子供と向き合う保護者に対する家庭教育支援チームの取組にも、このようなレスパイト的効果を期待できるのでないか。

○ 対象とする年齢については、やはり学齢期とそれ以降だろう。学齢期については、ごく一部を除いて学校が状況を把握できているが、高校や大学中退、あるいはひきこもり、就職、離職の繰り返しまでいくと、把握するのは非常に難しい。そこが生活保護受給等の問題にもつながっているので、支援の対象をそのあたりまで広げられたらいいと思う。

○ 日本の子育て支援は乳幼児期には手厚く、学童期になると手薄になるというのが特徴であり、乳幼児期は、ある程度子育て支援でカバーされていると言える。福祉サイドとしても、支援が手薄になる学童期以降について、この訪問型家庭教育支援とうまく連携していきたい思いはあるが、家庭教育支援の概念が包括的かつ雑多であり、対象や支援内容があいまいであるため、いざ連携しようと思っても、どうしていいのかがわからない。
各自治体の裁量にまかせる部分も大事だが、普及させていくという観点からは、ある程度対象や手法について絞り込んで明確化する必要があるだろう。

○ 支援の内容や範囲、事業の有効性等を考えたときに、学校サポートチームをはじめとする類似の制度と何が違うのか、すみわけをきちんとした方が良い。例えば学校教育では対応できない夜間や土日などの空白地帯を埋められるなど、他との違いを整理することで、おのずと支援の内容や範囲も決まってくるのではないか。

○ 家庭教育支援チームは家庭教育を支援する役割を担っており、家庭支援や子供支援とは異なるが、現場では区別が難しい。コーディネート機能を果たしていくというのは異論がないところであるが、一方で家庭教育自体のプレイヤーとしても代替的に役割を期待されているところもあるのも事実で、今一度役割や支援内容の線引きについて整理する必要があるだろう。それにしたがって、養成のやり方も変わってくると思われる。

○ 事例発表にあったように、保護者への支援から入り、最終的に子供への支援につなげていくことを考えると、保護者に対する訪問型支援のマニュアルと子供に対する訪問型支援のマニュアルを分けて考えていくことが必要ではないか。

○ 訪問支援を実施する際、当然アセスメントを行い、課題解決の仮説に基づいて個別の援助計画を立てることになる。SSWなどの専門家が入っている場合は別として、そうではない場合には、どのようなアセスメントを行い、どのように信頼性を持たせるのか。今後アセスメントや支援計画の具体的事例を収集して、ひな形となるものを組み立てる必要があるだろう。

○ 訪問支援を行うチーム員に求められる知識として、カウンセリングの知識はもちろんだが、例えば不登校であればいじめなどが背景になるため、いじめ防止対策推進法や少年法などの最低限の法律的知識も求められる。チーム員を養成する段階で、必要とされる知識や能力とは何なのか検討する必要があるだろう。

○ 要支援家庭あるいは要保護に近い家庭となると防衛意識が強くなるため、当然、接近困難性は高くなり、そこにどう近づいていくかは、慎重に考えていかなくてはいけないところであり、心理学的な知見も求められるだろう。

○ 身近な地域の人材から構成される家庭教育支援チームの強みは、サロンや家庭教育学級を通して、来てくれた人に寄り添った支援ができるということで、これまで大きな成果を上げてきた。チームの持っている良さを生かしながら、アウトリーチ支援をどのように展開していくのかという議論が必要ではないかと思う。
これまで実際に訪問支援に関わってきた中で、専門家がいない、専門的なスキルがないのに訪問を拒否する家庭に入っていけるのかというように、「専門性」という部分に、大きなプレッシャーがかかっているように感じている。
相談を受けて話を聞き、アセスメントを行い支援計画を立てる。この部分を専門家ではないチーム員に担わせるのはハードルが高いのではないか。
今日の事例発表団体に共通しているのは、支援の入り口となる行政による相談機能が充実している点である。家庭教育支援チームの良さを生かして、家庭に入っていくためのバックアップ体制をいかに行政が構築できるかが、チームによる訪問支援が普及していくためのカギになるだろう。

○ 教員の業務が肥大化しているということはよく言われていることだが、家庭教育支援についてもかなりの部分、教員が支えているところがあるのではないか。昔と違い、家庭訪問が、半数以上で実施されなくなっている状況の中で、学校と家庭教育支援チームとの連携について、学校側の視点からももっと考えていく必要があるのではないかと感じている。

○ 学校だけでなく放課後児童クラブ、放課後子供教室や障害児対象の放課後等デイサービス、児童福祉施設、児童館等の福祉関係機関との連携が必要である。
それらの施設においても、発達障害や、虐待のリスクを抱えている家庭への対応等が大きな課題となっており、同じ問題認識を持って連携していけるはずである。特に、発達障害に関しては、不登校やひきこもりの原因となるため、障害児に関わる専門機関との連携は不可欠だろう。

お問合せ先

生涯学習政策局男女共同参画学習課家庭教育支援室

(生涯学習政策局男女共同参画学習課家庭教育支援室)

-- 登録:平成27年08月 --