中高生を中心とした子供の生活習慣づくりに関する検討委員会(第3回)議事概要

日時   

平成26年3月10日(月曜日)13時00分~15時00分

場所

文部科学省生涯学習政策局会議室

出席者(敬称略)

委員

大久保貴世、景山明、木村治生、鈴木みゆき、成田奈緒子、原田哲夫、前田勉

文部科学省

藤江男女共同参画学習課長、坂本家庭教育支援室長、西村家庭教育支援室室長補佐

議事概要

(1)坂本家庭教育支援室長より、資料2について説明。

(2)鈴木委員、大久保委員、景山委員、木村委員、原田委員より資料4に基づいて発表。

(3)審議の整理(案)について全体討議。

(委員の主な意見) 

○ 「調べる学習」といって、小中高生が、テーマを決めて、図書館で調べるコンクールがある。中高生の学びの一環として、睡眠に関する知識を中高生はきちんと分かっているわけではないということが議論されたので、知識プラス実感調査、睡眠の記録や食事内容などを実際調べてみると良いのでは。また、自分が午前中眠くならない、学校で眠くならないためにはどのくらい寝たらいいのか、あるいは、規則正しい生活をすると朝目が覚めるときに機嫌がいいとか、そういったことを自分の体に聞いてみるという調査をしていくのも一つ。中高生が学ぶ主体として取り組めることが重要。

○ 主体性や自律性、生活をコントロールすることを自分で考えてもらうということで、効果的な普及方法は、インパクトがあって「実感できるもの」。大人からの押しつけではなく、「自分自身が」やらなきゃと思わせるもの。また、人材養成とか支援者を養成するというところで「誰」が伝えるのかが決め手となる。文章やイラストもいいが、「写真」や「劇画マンガ」などで現実感、リアリティを出すということも必要。

○ 自分は将来こういう人間になりたい、こういう職業に就きたいというものが子供たちにないと物事は進まない。幼稚園から高校までというように、長いスパンの中で一貫性のあるキャリア教育を進めることによって、自己管理能力が育成されるのではないか。
 また、学校教育だけではなく、社会教育での取組が必要。放課後子供教室や土曜教室などでの体験活動等によって生活リズムも向上し、また、そういうものに地域の大人や保護者が関わることによって家庭や地域の教育力も向上してくる。
 社会教育の現場での取組として、まず、縦の関係。教員から保護者、保護者から子供にきちんと科学的な根拠に基づく知識を知らせていく。次に、横の関係。子供たち同士で、例えば、生徒会による生徒同士の働きかけ、部活動での働きかけも重要。それから、斜めの関係。特に成功モデル、あるいは、反対に失敗したモデルを、子供たちに斜めの関係で知らしめるということが非常に大事。これをPDCAサイクルでしっかりやる。また、いい改善が見られるものは大いに賞賛をすることで、他の子にいい影響を与えるのでは。

○ スマートフォンなどのアプリケーションで、科目ごとに学習時間の記録をしたり、推移を見たりして分析ができるようなソフトがある。コミュニティを作って、お互いに励まし合い、自分の勉強の履歴も公開をして、それに対して意見をもらうような機能も付いている。メディアの時間を極端に増やすのはいいとは言えないが、現在、7割、8割の高校生がスマートフォンを持っている時代であることを考えると、こういったものをうまく使う方法もある。
 また、ワークショップ形式で、中高生同士がなぜ生活習慣が大事なのか、自分はどうするのかといったことを徹底的に語り合い、目標設定して、半年後や1年後に、ワークショップを受けてどうだったかということの振り返りの検証も行うなどの取組も考えられる。
 格差の是正という観点から考えると、やはり学校の場は非常に重要。その上で、インターネットを通じたコミュニティづくりやアプリケーションを使った時間管理のようなことも含めた多様な場を考えられるといい。また、子供に任せる姿勢というのは基本にしたいところではあるが、保護者にいかに協力してもらうかということは、中高生であっても大切だと思う。

○ 生活習慣づくりの啓発活動として、学校教育の中では、いろいろな教科で教えることがばらばらになっているので、例えば、土曜日に月に1回でも子供たちを集めたり、あるいは、栄養教諭やスクールナース、理科の教諭などを集めたりして、一緒に勉強するというようなことができればいいと思う。
 その場合に教材が必要になってくるが、例えば、リーフレットを使った啓発によって、それを実践した場合に精神衛生が良くなったり、睡眠の質が改善されたりしたという基礎データのフィードバックをもとに、教材を作れるのではないのか。1回授業して、それがどういうふうに子供を変えるのかといったような基礎データを蓄積していって、それをかなり簡単なリーフレットのようなものにしていけば、相当説得力がある教材ができる。そして、それを活用した土曜授業などの取組が全国で広がればいいと思う。

○ 睡眠時間に関する全国的な捉えが甘い。絶対的不足というのは、特に知っていただきたいところであり、国民全体が「神経系の発達のためにどうしても必要な子供の睡眠時間」を正しい知識として持つように啓発していくということが大事であるというのが、一番言いたかったこと。

○ 学校の先生が子供たちのために「朝塾」を開き、その後、みんなで朝ごはんを作って食べるということに取り組んで、子供たちの学習意欲が高まったという取組例がある。理論上は、朝に勉強することは一番効果が良く、子供が実感できる。中高生も実際やってみて効果が上がれば、自然と取り組めるようになるのではないか。

○ 睡眠を中心とした生活リズムの向上を広めていくためには、それぞれの地域で科学的な根拠に基づいた話ができるコーディネーターを育てていくことが大きな課題である。また、学校では教育計画の中にしっかり睡眠や朝食などの生活リズムの取組が明示されることと組織的に教師が一丸となって取り組むシステムが整っていることが大切である。
 高校生を指導している中で気づかされることは、彼らは睡眠についての科学的な知識をほとんど持っていないことであり、それを学ぶ機会がないまま育ってきていることである。例えば、朝から体がだるいとか気分がすぐれない、小さなミスを繰り返すなどの原因の一つとして、夜更かしや朝食抜きなどの生活リズムの崩れがあることに気づく場がない。子供たちが自分の生活習慣(リズム)を振り返る場を設ける必要がある。

(以上)

お問合せ先

生涯学習政策局男女共同参画学習課家庭教育支援室

(生涯学習政策局男女共同参画学習課家庭教育支援室)

-- 登録:平成26年04月 --